診断士「ファイナンス」が苦手な方がいないのは、本来難しい学問を筆算で解けるよう単純化した試験委員の工夫があってこそ。それをさらに「要は株式会社の出し手・借り手のルールじゃね?」とより単純にします。
その狙いは過去問の答を覚えるノウハウ勉に勤しむと、科目の全体感が掴めず応用アドリブに弱くなるため。そうでなく「ファイナンス」の全体を先に掴むと、こんなに簡単です。
出し手:証券投資論 | 借り手:企業財務論 | |
---|---|---|
資金を企業に出資する投資家の立場から、市場の動向やリスクとリターンのバランスを評価します。ポートフォリオ理論やCAPMなどの評価モデル、ファンダメンタル及びテクニカル分析を通じ、投資の適正評価と効率的な資産配分を検討します。 | 考え方の基本 | 企業が事業を拡大・維持する財務戦略として、どのように資金を調達し、適切な資本構造を構築するかを学びます。株式発行、社債、銀行借入など複数の資金調達手段のコストとリスクを評価し、最適な資金調達戦略を立案することが中心です。 |
・自社や顧客の余剰資金の効果的な運用 ・投資案件選定のためのリスク・リターン分析 ・市場動向の把握に基づくタイミングの見極めと投資戦略の策定 ・企業の財務健全性や業績評価に基づく経営判断のサポート | 実務での活用点 | ・経営戦略に合致した資金調達方法の選定 ・投資案件(設備投資や新規事業)の評価を通じた投資判断の精緻化 ・リスク管理(為替リスク、金利リスク等)による安定経営の推進 ・M&A戦略を活用し、企業価値の向上を図る |
【はじめての財務・会計④】株式会社の出し手と借り手 / ファイナンス5年分全48マーク
証券投資論は資金を提供する投資家がリターンを確保するための判断基準に、コーポレートファイナンスは企業がその資金を確保し事業展開するための戦略立案にそれぞれ役立ち、以下のように両者の知識を統合することで、より効果的な経営支援や投資戦略の策定が可能な。

これらの論点を1問ずつ別々に覚えるのが隣のふぞろいとすれば、論点またぎのクロスオーバーで全体感を把握するのが上位5%。ここで隣と大差をつける、伝説の超良問H25第14問を最初にどうぞ。
当問をWACC解こうとすると自己資本コストが見当たらず、CAPMから10.5%を算出。WACC+CAPMを1問で学べるベストの1問です。

以下のデータからA社の加重平均資本コストを計算した場合、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
有利子負債額:4億円
株式時価総額:8億円
負債利子率:4%
法人税率:40%
A社のベータ(β)値:1.5
安全利子率:3%
市場ポートフォリオの期待収益率:8%。
×ア 5.8%
×イ 6.7%
○ウ 7.8%
×エ 8.3%
1⃣企業財務論
WACC
企業が調達する自己資本と負債の各コストを、市場価値に基づいて加重平均する指標です。投資案件の評価や資本配分の意思決定に活用され、特に負債における税効果を反映することで、実務に即した資本コストを示します。
こうなると10点満点
自己資本と負債のミックスが最も効率的で、資金調達コストが最低となっている。すなわち、市場の期待に沿って正確に計算され、企業価値評価や投資判断において最も適切な割引率が適用されていること。
○ア一択です
企業価値評価に関する以下の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 |
企業価値評価の代表的な方法には、将来のフリー・キャッシュフローを【A】で割り引いた現在価値(事業価値)をベースに企業価値を算出する方法である 【 B】 法や、会計利益を割り引いた現在価値をベースとして算出する収益還元法がある。 これらとは異なるアプローチとして、類似の企業の評価尺度を利用して評価対象企業を相対的に評価する方法がある。利用される評価尺度は 【 C】 と総称され、例としては株価と1 株当たり純利益の相対的な比率を示す 【 D】 や、株価と1 株当たり純資産の相対的な比率を示す【 E】 がある。 |
(設問1 ) 文中の空欄AとBに入る語句および略語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。 |
(設問2 ) 文中の空欄C~Eに入る語句および略語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。 |
(設問1) | A | B |
○ア | 加重平均資本コスト | DCF |
×イ | 加重平均資本コスト | IRR |
×ウ | 自己資本コスト | DCF |
×エ | 自己資本コスト | IRR |
DEは決まるので、イエの2択に絞ればOK。
(設問2) | C | D | E |
×ア | ファンダメンタル | EPS | BPS |
×イ | ファンダメンタル | PER | PER |
×ウ | マルチプル | EPS | BPS |
○エ | マルチプル | PER | PER |
単なるWACCの計算問題ですが、解答要求を「リスクプレミアム」と言い換えて迷わせます。リスクプレミアム=自己資本コストーリスクフリー・レートで、ファイナンスR6第19問が例題です。

A社の負債コストは2%、時価基準の負債比率(負債÷自己資本)は0.25、WACC(加重平均資本コスト)は6.28%である。A社の自己資本コストに含まれるリスクプレミアムとして、最も適切なものはどれか。なお、リスクフリー・レートは1%、法人税等の実効税率は30%である。 |
○ア 6.5% ×イ 6.9% ×ウ 7.5% ×エ 7.9% |
配当割引モデル(企業価値)
将来の配当金を株主資本コストなどの割引率で現在価値に変換し、企業全体の価値を算出する手法です。ゴードン成長モデルや多段階成長モデルなど、成長率の予測と割引率の適切な設定が重要であり、安定企業の評価に主に用いられます。
こうなると10点満点
理想状態では、企業が持続可能な成長を実現し、配当が安定的かつ一定の成長率で増加するため、モデルの前提が完全に満たされる。これにより、将来の配当金が正確に現在価値へ割引され、企業の真の価値が反映される。
当問は配当割引モデル(理論株価)の出題ですが、配当→FCFに変えると企業価値を計算できる。Ⅳ対策にマストの1問です。

D社の次期(第2 期)末の予想配当は1 株44 円である。その後、次々期(第3 期)末まで1 年間の配当成長率は10 %、それ以降の配当成長率は2 %で一定とする。なお、自己資本コストは10 %である。 当期(第1 期)末の理論株価として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 540 円 ○イ 590 円 ×ウ 645 円 ×エ 649 円 |
ごく簡単な次期予測データからFCF=900が決まる。次に定率成長モデルなので(WACC‐成長率g)で割ると企業価値に。企業価値算定の基礎が身に付くので、エクセル計算をぜひどうぞ。

以下のデータに基づいて、A社の株主価値を割引キャッシュフローモデルに従って計算したとき、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、これらの数値は毎年3 %ずつ増加する。また、A社には現在も今後も負債がなく、株主の要求収益率は6 %である。 |
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×ア 15,000万円 ○イ 30,000万円 ×ウ 35,000万円 ×エ 70,000万円 |
配当割引モデルのうち、定率成長する継続価値は「Ⅳ」企業価値計算で出題濃厚です。電卓手書きでなくエクセルで解けば深く正確に理解できる意味で、★新傾向としました。

D社の第11期期首において、第11期から第13期までのフリー・キャッシュフローは毎期末200百万円の定額であり、それ以降のフリー・キャッシュフローの成長率は毎期4%で一定と予測されている。 このとき、第14期以降のフリー・キャッシュフローの第11期期首における現在価値として、最も適切なものを下記の解答群より選べ。ただし、計算の結果が割り切れない場合には、小数第1位を四捨五入すること。なお、資本コストは8%であり、その複利現価係数と年金現価係数は以下の通りである。 |
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×ア 3,675百万円 ×イ 3,822百万円 ×ウ 3,970百万円 ○エ 4,129百万円 |
サステナブル成長率の定義や使い方は後回しでOK。設問文を読み取り、エクセルに入れると一発で式を覚えます。※TAC解説によると、サステナブル成長率=配当割引モデルの成長率g


以下の資料に基づき計算したサステナブル成長率(内部留保のみを事業に投資した場合の純資産の成長率)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×ア 2 % ×イ 3 % ×ウ 8 % 〇エ 12 % |
選択肢〇エのようにあからさまにⅣ出題を予告することを、業界用語でフラグと呼びます。×アについて、全額を配当するとサステナブル成長率=ゼロになってしまうので、全額を留保するとROEとイコールで覚えます。
サステナブル成長率に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、ROEおよび配当性向は毎期一定とする。 |
×ア 企業が毎期の純利益の全額を配当(→○留保)する場合、サステナブル成長率はリスクフリー・レート(→○ROE)に一致する。 ×イ サステナブル成長率は、ROEに配当性向(→○内部留保率(1-配当性向))を乗じることで求められる。 ×ウ サステナブル成長率は、事業環境に左右されるが、内部留保率(→下線部あべこべ)には左右されない。 〇エ サステナブル成長率は、配当割引モデルにおける配当成長率として用いることができる。 |
近年頻出のサステナブル成長率は、ROE×内部留保率で求めるので5%×0.6で3%になる。そして期首の企業価値(=自己資本)3,000万円を3%成長させると、期末企業価値=3,090万円です。

サステナブル成長率 | 株主価値 | |
×ア | 2% | 3,060万円 |
×イ | 2% | 3,090万円 |
×ウ | 3% | 3,060万円 |
○エ | 3% | 3,090万円 |
C社の当期首の自己資本は3,000万円である。また、負債による資金調達を行っておらず、今後、外部からの資金調達を行わない予定である。当期のROEは5%、当期の配当性向は40%、株主の要求利益率は5%であり、これらは毎期一定とする。 C社の当期のサステナブル成長率と当期末の配当支払後の株主価値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、本問において、当期のROEは当期純利益をお当期首の自己資本で除した値であり、配当は毎期末に支払われるものとする。 |
診断士が使う企業価値といえば配当割引モデル。そこに追加の新知識です。
企業価値評価における割引超過利益モデルに関する記述として、最も不適切なものはどれか。 |
×ア クリーン・サープラス関係が成り立つ場合、配当性向が高いほど株式価値は高く(→○低く)なる。 〇イ クリーン・サープラス関係が成り立つ場合、配当割引モデルから割引超過利益モデルを導出することができる。 〇ウ 将来の配当がゼロの場合でも株式価値を求めることができる。 〇エ 毎期の予想利益が、自己資本に自己資本コストを乗じた額を上回るならば、株式価値は当期自己資本簿価を上回る。 |
この論点はもう何度も繰り返し出題されたので、次は事例Ⅳのポエムか計算問題出題とわかります。
有利子負債がある企業に適用される株主価値評価モデルに関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。 |
○a 割引キャッシュフローモデルによる株主価値は、株主に帰属する将来の期待フリーキャッシュフローを割引いた現在価値の合計である。 ○b 割引超過利益モデルと配当割引モデルは、クリーンサープラス関係を通じて、理論的な整合性が図られている。 ×c 割引超過利益モデルと配当割引モデルのターミナル・バリュー(→○企業価値)は、理論的に等価である。 ×d 割引超過利益モデルによれば、株主価値は(→追加:自己資本の簿価と)将来の超過利益の割引現在価値を合計したものになる。 |
a | b | c | d | |
○ア | ○ | ○ | ||
×イ | ○ | × | ||
×ウ | ○ | × | ||
×エ | ○ | × | ||
×オ | ○ | × |
株価の計算
PER、PBR、ROEなどの財務指標を用いて、企業の収益性や成長性、安全性を評価し、株価が合理的に算出されているか判断する方法です。市場期待やリスクプレミアムを反映することで、投資家の判断材料として重要な役割を果たします。
こうなると10点満点
株価指標(PER、PBR、ROEなど)が企業の実態や将来の成長性、リスクを正確に反映し、市場価格が内在価値とほぼ一致する。また市場効率性が高く、投資判断が合理的に行われる前提を満たす。
目的語や形容詞のあべこべパターン。国語で解きます。
非上場会社の株式評価の方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
○ア 時価純資産方式では、対象会社が事業を継続することを前提とする場合、再調達時価を用いるべきである。 ×イ 収益還元方式は、将来獲得すると期待される売上高(→○収益)を割り引いた現在価値に基づき、株式評価を行う方法である。 ×ウ 簿価純資産方式は、客観性に優れた(→○劣った)株式評価方式のため他の方式よりも優先して適用されるべきである(→○ない)。 ×エ 類似業種比準方式とは、対象会社に類似する非上場会社(→○上場会社)の過去の買収事例をベースに株式評価を行う方法である。 |
最近増えた出題パターンで、各指標の暗記ではなく、その分母分子が何かの【意味を考えながら】試行錯誤で答を出します。このような問題を覚え始めると頭の固いベテ、全く理解できないとオツムの弱いふぞ認定です。

以下の資料はE社の連結財務諸表に基づいて計算された財務指標を示している。この資料に基づき、下記の設問に答えよ。なお、株主資本、自己資本および純資産は同額である。 |
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(設問1) E社のROE として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 1.23 % ×イ 5.34 % ×ウ 5.70 % ○エ 9.50 % |
(設問2 ) E社の配当利回りとして、最も適切なものはどれか。 |
×ア 0.21 % ○イ 2.25 % ×ウ 5.20 % ×エ 5.70 % |
正答率Aだから簡単なはず・・と思ってエクセルを描く。すると以下になり、一目で覚えます。

Z社の期首自己資本は3,000万円である。また、ROEは5%、配当性向は40%、発行済株式数は20万株である。Z社の当期の1 株当たり配当として、最も適切なものはどれか。ただし、本問において、ROEは当期純利益を期首自己資本で除した値とする。 |
×ア 2 円 〇イ 3 円 ×ウ 4 円 ×エ 5円 |
当問は最近の「Ⅳ」でよくある、長い設問文を読ませる読解問題です。そもそも株価の計算方法はいくつもあるのに設問文で指定されていないため、【時価純資産法】と推定し、200万円配当→株価△20円(○正解イ)です。「Ⅳの設問文の国語はおかしい」と見当違いの批判をたまに見かけますが、当問のようにわかる人は分かるのでその批判は筋違いです。


H社は全額自己資本からなる企業であり、今期の配当政策を検討中である。H社の資産構成は、現金1,000 万円、その他の資産4,000 万円である。また、H社は毎期300 万円の営業利益をあげており、次期以降も同額の営業利益が期待されている。H社では減価償却費と同額を営業活動維持のために設備投資にあてており、また運転資本の増減もなく、減価償却費以外の費用はすべて現金支出であるため、上記の営業利益はフリーキャッシュフローに一致する。H社の現在の株価は500 円であり、発行済み株式数は10 万株である。 H社が現金200 万円を配当した場合、配当支払後の株価に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、株式市場は完全で、税金や取引コストは存在しないものとする。 |
×ア 株価は配当前と配当後で変化しない。 ○イ 株価は配当前と比較して20 円下落する。 ×ウ 株価は配当前と比較して50 円下落する。 ×エ 株価は配当前と比較して50 円上昇する。 |
クールに考えるとその通りなのに、本試験ではついカッとなりがち。誤答した人は、選択肢を冷静に見る習慣が必要です。
毎期一定額の配当を支払う場合と比べた、業績連動型の配当政策に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 毎期の配当性向の変動は大きくなり(→○安定し)、1 株当たり配当額の変動も大きくなる。 ×イ 毎期の配当性向の変動は大きくなり(→○安定し)、1 株当たり配当額は安定する(→○変動も大きくなる)。 ○ウ 毎期の配当性向は安定し、1 株当たり配当額の変動は大きくなる。 ×エ 毎期の配当性向は安定し、1 株当たり配当額も安定する(→○変動も大きくなる)。 |
どちらかと言えば「法務」に近い、株式分割や併合に関する出題です。選択肢の国語はまぎらわしいので、誤答した方はテキストに戻って見直します。
A | B | C | D | |
×ア | 減少する | 減少し | 与える | 減少する |
○イ | 減少する | 変化せず | 与えない | 変化しない |
×ウ | 増加する | 変化せず | 与える | 増加する |
×エ | 変化しない | 減少し | 与えない | 減少する |
次の文章の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
株式分割によって1 株当たり株主価値は【A】。なぜなら、株式分割によって発行済み株式数は増加するが、株主の持分割合は【B】、また、株式分割は企業の資産内容やキャッシュ・フローに影響を【C】ため、株主の富がDからである。 |
企業価値の求め方の文章題で、【 】の知識をそのまま覚えます。リアルビジネスで事業承継やM&Aが盛んになっており、必須の知識になります。
A | B | C | |
×ア | コストアプローチ | インカムアプローチ | 経常利益 |
×イ | コストアプローチ | マーケットアプローチ | 営業利益 |
○ウ | マーケットアプローチ | インカムアプローチ | 営業利益 |
×エ | マーケットアプローチ | コストアプローチ | 経常利益 |
次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
乗数法(マルチプル法)は、主力事業が類似している上場企業の乗数として、PER(株価収益率)や企業価値EBITDA倍率などを用いて企業や事業の価値を算定する手法であり、【A】に分類される。乗数法は、【B】に分類されるDCF法(割引キャッシュフロー法)による評価をチェックしたり、簡便的に評価額を求める目的で用いられる。 企業価値EBITDA倍率は、企業や事業の価値評価でよく用いられる乗数である。企業価値EBITDA倍率の分子の企業価値は、有利子負債総額と株式時価総額の合計から現金・預金を差し引いて計算されることが多い。また、分母のEBITDAは利払前・税引前・償却前の利益であり、簡便的には【C】に減価償却費を加えて計算されるので、資本構成の影響を受けない。乗数法に分類される類似会社比較法では、対象企業と類似した複数の上場企業の企業価値EBITDA倍率を算出し、その平均倍率に対象企業のEBITDAを掛けて、対象企業の評価額を算定する。 |
資金調達
直接金融は株式や社債の発行を通じて市場から資金を調達する方法であり、間接金融は銀行借入やリースなど金融機関を介して資金を得る手法です。各方法には発行コストや審査、情報の非対称性などの特徴があり、企業の状況に合わせた最適な選択が求められます。
こうなると10点満点
企業が自社の特性や市場環境に最適な調達手段を選択し、調達コストやリスクが最小限に抑えられている状態。直接金融と間接金融が効果的に活用され、企業の成長資金が安定的に調達できること。
定番の理論問題です。
資金調達の形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 株式分割は直接金融に分類される(→○資金調達の効果はない)。 ○イ 減価償却は内部金融に分類される。 ×ウ 増資により発行した株式を、銀行が取得した場合は間接(→○直接)金融となる。 ×エ 転換社債は、株式に転換されるまでは負債に計上されるので間接金融(→○負債・純資産の区分にかかわらず直接金融)である。 |
×アイは結論あべこべ、×ウは目的語入れ替えです。
× | →○ | |
×ア | 純資産が減少する 下落 | 1株当たり純利益が増加 上昇 |
×イ | しなければならない | する定めはない |
×ウ | 自己資本 | 株式の取得価額 |
株主還元に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 自社株買いを行うと当該企業の純資産が減少(→○株当たり純利益が増加)するため、売買手数料をゼロとすれば株価は下落(→○上昇)する。 ×イ 自社株買いを行った場合、取得した株式は一定期間のうちに消却しなければならない(→○する定めはない)。 ×ウ 配当額を自己資本(→○株式の取得価額)で除した比率を配当利回りという。 ○エ 有利な投資機会がない場合には、余裕資金を配当などで株主に還元することが合理的である。 |
×アエは主語をそっくり入れ替え。×ウは正解に直しにくいので、1次方程式の説明にしました。
配当政策に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、他の条件は一 定とする。 |
×ア 1 株当たり配当金額を一定に(→○配当性向を一定に)する政策では、当期の利益額にかかわらず配当性向は変わらない。 ○イ 自己資本配当率(配当額÷期首自己資本)を一定にする政策では、当期の利益額にかかわらず1 株当たり配当金額は変わらない。 ×ウ 当期の利益額のうち投資に必要な支出分を留保し、残余を配当する政策では、当期の利益額にかかわらず配当性向は変わらない(→○y=ax-bの関係になる)。 ×エ 配当性向を一定に(→○1 株当たり配当金額を一定にする政策)する政策では、当期の利益額にかかわらず自己資本配当率(配当額÷期首自己資本)は変わらない。 |
資金調達はまず外部⇔内部に分ける。次に内部を企業間・間接・直接の3つに分けるとスムーズです。
資金調達に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 株式分割(→○短期借入)と当座借越は、短期資金調達であり、内部金融に分類される。 ○イ 企業間信用とコマーシャルペーパーは、短期資金調達であり、外部金融に分類される。 ×ウ 減価償却費(→○増資)とファイナンス・リースは、長期資金調達であり、外部金融に分類される。 ×エ 増資(→○減価償却費)と留保利益は、長期資金調達であり、内部金融に分類される。 |

最適資本構成(MM理論)
MM理論は、理想的な市場条件下で資本構成が企業価値に影響を与えないという命題(第1命題)と、負債の増加が株主リスクを高めるという命題(第2命題)に基づいています。実務では、税効果や破産コストなど現実的要因を考慮する必要がある点も注目されます。
こうなると10点満点
完璧な市場条件下で資本構成が企業価値に影響を及ぼさないというMM第1命題に基づくものがベスト。現実においては、税効果や破産コストなどを考慮し、税制メリットを最大限活用しながらもリスクが適切に管理された状態が最適となる。
結論があべこべ。
モジリアーニとミラーの理論(MM 理論)に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、投資家は資本市場において裁定取引を円滑に行うことができ、負債にはリスクがなく、法人税は存在しないと仮定する。 |
×ア PER(株価収益率)は、無借金の方が負債で資金調達するよりも小さくなる(→○変わらない)。 ×イ 企業の最適資本構成は存在し、それによって企業価値も左右される(→○左右されない)。 ×ウ 企業の市場価値は、当該企業の期待収益率でキャッシュフローを資本化することによって得られ、資本構成に影響を与える(→○与えない)。 ○エ 投資のための切捨率は、資金調達方法にかかわりなく、一意に決定される。 |
MM理論は結論だけ覚えて当てます。最適資本構成が「Ⅳ」に出るのは、まだもう少し先でしょう。
モジリアーニとミラーの理論(MM 理論)に基づく資本構成に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 自己資本による資金調達はコストが生じない(→○一般に割高な)ので、負債比率が低下(→○上昇)するほど企業価値は増加する。 ○イ 倒産リスクの高低は、最適資本構成に影響する。 ×ウ 負債比率が非常に高くなると、自己資本コストは上昇するが、負債コストは影響を受けない(→○(信用リスクにより)上昇する)。 ×エ 法人税が存在する(→○しない)場合、負債比率の水準は企業価値に影響しない。 |
一見煩雑ですが、(設問1)は文章から落ち着いて計算条件を読み取れば当たるBランク。この読み取りスキルは、「事例Ⅳ」でそのまま出ます。

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 |
現在、Y社は総資本10億円(時価ベース)の全額を自己資本で調達して事業活動を行っており、総資本営業利益率は10%である。また、ここでの営業利益は税引前当期純利益に等しく、また同時に税引前キャッシュフローにも等しいものとする。Y社は今後の事業活動において、負債による調達と自己株式の買い入れによって総資本額を変えずに負債と自己資本との割合(資本構成)を1 :1 に変化させることを検討しており、その影響について議論している。 |
(設問1 ) 税金が存在しない場合、Y社が資本構成を変化させたとき、ROEの値として、最も適切なものはどれか。ただし、負債利子率は3 %であり、資本構成の変化によって総資本営業利益率は変化しないものとする。 |
×ア 13% ×イ 13.5 % 〇ウ 17% ×エ 17.5 % |
(設問2)はMM理論の修正命題と言われ、こちらは古い過去問があり、結論だけ暗記を。このケースで借入すると、節税効果分だけ企業価値が上がります。
(設問2 ) モジリアーニ・ミラー理論において法人税のみが存在する場合、Y社が資本構成を変化させることで、企業全体の価値に対する影響として、最も適切なものはどれか。ただし、法人税率は20%とする。 |
×ア 企業価値が1億円減少する。 〇イ 企業価値が1億円増加する。 ×ウ 企業価値が4 億円減少する。 ×エ 企業価値が4 億円増加する。 |
企業の資金調達構造の検討に欠かせないMM理論ですが、試験上は結論の暗記で構いません。
モジリアーニ・ミラー理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、株式市場は完全で、取引コストは存在しないものとする。 |
×ア 法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、株主資本コスト(→○WACC)は低下する。 ○イ 法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、全社的加重平均資本コストは低下する。 ×ウ 法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、株主資本コストは低下する(→○変化しない)。 ×エ 法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、全社的加重平均資本コストは低下する(→○変化しない)。 |
2⃣証券投資論
個別証券リスク・リターン
各証券のリスクは、市場全体の動向に起因するシステマティックリスクと、その証券固有の要因による非システマティックリスクに分けられます。CAPMなどのモデルを用いて期待リターンを評価し、分散や標準偏差、ベータ値を算出することで投資判断の基盤を構築します。
こうなると10点満点
個別証券の期待リターンがそのリスク(市場リスクおよび固有リスク)に正確に見合っている。これはCAPMなどの理論モデルにおいて、リスクプレミアムが適切に補償され、市場参加者が合理的なリスク評価を行える環境のことです。
正解〇ア。第20問の効率的市場仮説をグラフで示すとこうなる、親切問題です。
ある企業において、業績が良くなると判断される新情報が市場に流れた場合(t = 0)、投資家が合理的に行動するならば、この企業の株式の超過収益率をグラフにしたものとして、最も適切なものはどれか。 |
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正解〇イと知って×アウエを見ると、間違える方が難しい一般常識クイズになります。
効率的市場仮説(セミストロング型)に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア インサイダー取引によっても、市場の期待を上回る過大なリターンを獲得できない(→○するのは違法である)。 〇イ 市場価格は公に入手可能な情報を反映する。 ×ウ 市場価格は規則(→○不規則)的に変動する。 ×エ すべての証券の将来の価格は確実に予測できる(→○することは難しい)。 |
全く違う用語の正しい説明を誤答選択肢にするのが、「主語入れ替え」タイプです。当問を使って、株式のリスクは、市場・流動性・信用の3つに大別されると覚えます。

市場リスクに関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。 |
〇a 外貨建取引の場合に、為替レートの変動で損益が生じるリスク ×b (信用リスクの説明→)貸付先の財務状況の悪化などにより、貸付金の価値が減少ないし消失し、損害を被るリスク 〇c 債券を売却するときに、金利変動に伴って債券の市場価格が変動するリスク ×d (信用リスクの説明→)市場取引において需給がマッチしないために売買が成立しなかったり、資金繰りに失敗するリスク |
a | b | c | d | |
×ア | ○ | × | ||
〇イ | ○ | ○ | ||
×ウ | ○ | × | ||
×エ | × | ○ | ||
×オ | × | × |
2証券リスク・リターン(相関係数)
2つの証券間のリターンの連動性を示す相関係数は、共分散を各証券の標準偏差で標準化して求められます。相関が低い場合は分散投資によるリスク低減効果が高まり、ポートフォリオ全体の安全性向上に寄与します。
こうなると10点満点
2つの証券間の相関係数が低いため、分散投資の効果が最大限発揮され、ポートフォリオ全体のリスクが大幅に低減された状態。資産間の相関関係が適切に分散され、全体リスクが最小化されます。
2証券ポートフォリオのリスクを聞かれると面倒な計算ですが、リターンは単純な加重平均です。
E社株とF社株の2 銘柄を用いてポートフォリオを作ることを考えている。それぞれのリターンの平均が、E社株10 %、F社株18 %のとき、ポートフォリオの期待収益率を16 %にするにはE社株の投資比率を何%にするべきか。最も適切なものを選べ。 |
×ア 16 % ○イ 25 % ×ウ 35 % ×エ 75 % |
よく見かける2証券ポートフォリオの標準偏差(リスク=横軸)を求める式はこちら。筆算では歯が立たないので(相関係数=ゼロで簡略化)、簡単に計算して答を合わせておけばOK。翌年はもっとわかりやすい作問になります。

C社では、以下の証券Yと証券Zに等額ずつ分散投資するポートフォリオで運用することを検討している。証券Yと証券Zの収益率の相関係数がゼロのとき、ポートフォリオの収益率の標準偏差として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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ただし、√15≒3.9、√30≒5.5、√125≒11.2、√250≒15.8 である。 |
×ア 3.9 % ×イ 5.5 % ○ウ 11.2 % ×エ 15.8 % |
リスク資産2つだと相関係数、リスク資産と安全資産が1つずつなら資本市場線の論点です。誤文訂正が意外と難しく、×アを正解に直すにはこちら。
ポートフォリオ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、リスク資産の間の相関係数は1 未満であり、投資比率は正とする。 |
×ア 2 つのリスク資産からなるポートフォリオのリスク(リターンの標準偏差)は、ポートフォリオを構成する各資産のリスクを投資比率で加重平均した値である(→○以下となる)。 ○イ 2 つのリスク資産からなるポートフォリオのリターンは、ポートフォリオを構成する各資産のリターンを投資比率で加重平均した値である。 ×ウ 2 つのリスク資産からポートフォリオを作成するとき、両資産のリターン間の相関係数が大きい(→○-1に近づく)ほど、リスク低減効果は顕著となる。 ×エ 安全資産とリスク資産からなるポートフォリオのリスク(リターンの標準偏差)は、リスク資産への投資比率に反比例(→○比例)する。 |
当問もR3第20問の類題なので、こちらの解説をどうぞ。
ポートフォリオ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 危険回避的な投資家にとって、実現可能な最小分散(→○市場)ポートフォリオを選択することが最適となる。 ○イ 効率的フロンティア上の点は、平均収益率と分散可能でないリスクの最適な組み合わせを表したものである。 ×ウ 個々の危険資産のリスクの一部は、危険資産のリターンが完全に正(→○負)相関の場合に、資産の組み合わせで取り除くことができる。 ×エ 市場ポートフォリオは、効率的フロンティアの形状、リスクフリー・レートの値、投資家の危険回避度(→削除)に依存する。 |
ポートフォリオ理論
複数の資産を組み合わせることで、全体のリスクを抑えながら期待リターンを最大化する投資戦略を示す理論です。効率的フロンティアの構築により、各資産の組み合わせがリスクとリターンに与える影響を明確に説明します。
こうなると10点満点
投資家がリスクとリターンのトレードオフを最も効率的に実現できる効率的フロンティア上のポートフォリオを構築している。すなわち、与えられたリスク水準で最大のリターンが得られる、または逆に一定のリターンで最小のリスクとなる資産配分が達成されている。
証券市場線⇔資本市場線の違いは、テキスト読んだり、計算問題を何度解いても頭には入らない。復習→なぜ?→自分の言葉に直して初めて当たる、正答率Dランクです。
A | B | C | D | |
×ア | 資本市場線 | 効率的ポートフォリオ | 市場ポートフォリオ | 証券市場線 |
○イ | 資本市場線 | 市場ポートフォリオ | 効率的ポートフォリオ | 証券市場線 |
×ウ | 証券市場線 | 効率的ポートフォリオ | 市場ポートフォリオ | 資本市場線 |
×エ | 証券市場線 | 市場ポートフォリオ | 効率的ポートフォリオ | 資本市場線 |
以下の文章は、資本資産評価モデル(CAPM)について説明したものである。文中の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
【A】 は、安全証券と【B 】との組み合わせによる【C】の期待値と標準偏差との関係を、【B 】との関連において明らかにするものである。しかしながら、【A】 の対象は【C】 に限定されるから、それ以外のポートフォリオや証券について、その期待収益率とリスクとの関係を【A】から知ることはできない。それを明らかにするのが【D】 であり、資本資産評価モデル(CAPM)にほかならない。 |
当問を文章で考えてもムダ。グラフを思い出します。
証券投資論に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、投資家はリスク回避的であり、安全資産への投資が可能であるものとする。 |
×ア 効率的フロンティアは、安全資産より期待収益率の高い(→○同一リスクで低リターンの部分を除いた)ポートフォリオすべての集合である。 〇イ 最適なリスク・ポートフォリオは、投資家のリスク回避度とは無関係に決まる。 ×ウ 市場ポートフォリオの有するリスクは、すべてのポートフォリオの中で最小(→○最も妥当)である。 ×エ 投資家のリスク回避度は、効率的フロンティアに影響を与える(→○与えない)。 |
ほぼ唯一と言ってよい、前年と同じ定番クイズ。バツを素早くマルに直します。
以下の図は、すべてのリスク資産と安全資産により実行可能な投資機会を表している。投資家のポートフォリオ選択に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×ア 安全資産が存在しない場合、効率的フロンティアは曲線ABCD (→○BCD)である。 ×イ 安全資産が存在しない(→○する)場合、投資家のリスク回避度にかかわらず、リスク資産の最適なポートフォリオは点Cになる。 ×ウ 安全資産が存在する(→○しない)場合、投資家のリスク回避度が高いほど、リスク資産の最適なポートフォリオは曲線BCD 上の点D寄りに位置する。 ○エ 安全資産が存在する場合で、かつ資金の借り入れができないならば、効率的フロンティアはFCD を結んだ線となる。 |

当科目で頻出の資本市場線グラフを先に描くと以下のようにすぐ求まりますが、過去問集のヘタクソ解説をうっかり信じると沼にハマります。
F社は現在、余剰資金の全額を、1 % の収益率をもつ安全資産と、期待収益率5 %、標準偏差7 % の株式に等額投資する投資案を検討している。この投資案の期待収益率と標準偏差の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。 |
期待収益率 | 標準偏差 | |
○ア | 3% | 3.5% |
×イ | 3% | 4.5% |
×ウ | 6% | 3.5% |
×エ | 6% | 4.5% |

安全資産⇔効率的ポートフォリオの組み合わせである「資本市場線」は、毎年少しずつ論点を変えて出ます。当問では「ミクロ経済学」の知識から投資家はC点を選択するので、リスクプレミアム=点Cー点B(正解○イ)です。
以下の図は、縦軸に投資の期待収益率、横軸に当該投資収益率の標準偏差をとった平面上に、効率的フロンティア、資本市場線、ある投資家の無差別曲線を描いたものである。そして、点Aは縦軸と横軸の交点、点Bは縦軸と資本市場線の交点、点Cはこの投資家の無差別曲線と資本市場線の接点、点Dは効率的フロンティアと資本市場線の接点である。 この投資家の保有するポートフォリオのリスクプレミアムに関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×ア 点Aと点Dの期待収益率の差の絶対値は、リスクプレミアムの大きさを示している。 ○イ 点Bと点Cの期待収益率の差の絶対値は、リスクプレミアムの大きさを示している。 ×ウ 点Bと点Dの期待収益率の差の絶対値は、リスクプレミアムの大きさを示している。 ×エ 点Cと点Dの期待収益率の差の絶対値は、リスクプレミアムの大きさを示している。 |
こちらも初見のトンチですが、リスク中立的=標準偏差の大小にはこだわらないと、その場で解釈する。すると期待収益率が同じ15%である点A+点B(正解○イ)を選べます。
以下の図は、縦軸に投資の期待収益率、横軸に当該投資収益率の標準偏差をとった平面上に、資産Aから資産Dのそれぞれのリスクとリターンをプロットしたものである。 リスク中立的な投資家が保有する際に最も望ましいと考えられる資産として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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A | B | C | D | |
×ア | ○ | |||
○イ | ○ | ○ | ||
×ウ | ○ | × | ||
×エ | × | × | ||
×オ | × |
デリバティブ
デリバティブは、原資産の価格変動に連動して価値が変化する金融商品の総称で、オプション、先物、スワップなどが含まれます。リスクヘッジや投機、裁定取引に利用され、ブラック‐ショールズ・モデルなどの評価手法を用いることで、ボラティリティや金利変動を反映した理論的価格が算出されます。
こうなると10点満点
デリバティブがリスクヘッジや裁定取引の手段として、理論的評価により正確に価格が決定され、原資産との連動性が完璧に反映されている。これも市場のボラティリティやその他変数が理論前提通りに働き、リスク管理が最適に行われている状態が前提。
×エがまぎらわしいですが、先物の代表的なものがオプション。下線部あべこべです。
オプションに関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 「10,000 円で買う権利」を 500 円で売ったとする。この原資産の価格が 8,000円になって買い手が権利を放棄すれば、売り手は 8,000(→○500)円の利益となる。 ○イ 「オプションの買い」は、権利を行使しないことができるため、損失が生じる場合、その損失は最初に支払った購入代金(プレミアム)に限定される。 ×ウ オプションにはプットとコールの 2 種類あるので、オプション売買のポジションもプットの売りとコールの買い(→○@プットとコールの売買)の 2(→○4)種類ある。 ×エ オプションの代表的なものに先物(→下線部あべこべ)がある。 |
プットオプションの売りを訊かれることはまずないので、消去法で解きます。
オプションに関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 他の条件を一定とすれば、権利行使価格が高い(→○低い)ほどコール・オプションの価値は高くなる。 ×イ 他の条件を一定とすれば、行使までの期間が短い(→○長い)ほどコール・オプションの価値は高くなる。 〇ウ プット・オプションを購入した場合、権利行使価格を大きく超えて原資産価格が上昇しても、損失の額はプレミアムに限定される。 ×エ プット・オプションを売却した場合、権利行使価格を大きく下回って(→○超えて)原資産価格が下落(→○上昇)しても、損失(→○利益)の額はプレミアムに限定される。 |

イージーな結論あべこべ設問です。
先物取引および先渡取引に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 先物価格と現物価格の差は、満期日までの長さとは関連がない(→○ある)。 ×イ 先物取引では取引金額を上回る額の証拠金を差し入れる必要がある(→○ない)。 ○ウ 先物取引における建玉は、清算値段により日々値洗いされる。 ×エ 先渡取引は、先物取引と異なり、ヘッジ目的に用いられることはない(→○もある)。 |
オプションとセットで覚えたい、簿記の為替予約差損益の出題です。1ドル131円で買う予約をして、直物が134円なら3円の儲け、125円なら6円の損です。
A | B | |
×ア | 3万円多くなる | 6万円少なくなる |
○イ | 3万円少なくなる | 6万円多くなる |
×ウ | 4万円多くなる | 5万円少なくなる |
×エ | 4万円少なくなる | 5万円多くなる |
次の文章の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、手数料、金利などは考えないこととする。 |
現在の為替相場(直物)は1 ドル130円である。3 か月後にドル建てで商品の仕入代金1 万ドルを支払う予定の企業が、1 ドル131円で1 万ドルを買う為替予約(3 か月後の受け渡し)を行うとする。このとき、3 か月後の為替相場(直物)が134円になると、為替予約をしなかった場合に比べて円支出は【A】。他方、3 か月後の為替相場(直物)が125 円になると、為替予約をしなかった場合に比べて円支出は【B】。 |
アウトオブ→アット→インザマネーとは順に、オプションが損失→トントン→利益状態にあることを指し、知らなくても解答できます。
現在の原資産価格が500 円であるときのオプション価値に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 行使価格が500 円のコールオプションはアット・ザ・マネーの状態にあり、オプションの本源的価値は80 (→○0)円である。 ×イ 行使価格が520 円のコールオプションはイン(→○アウト・オブ)・ザ・マネーの状態にあり、オプションの本源的価値は20 (→○-20)円である。 ○ウ 行使価格が580 円のプットオプションはイン・ザ・マネーの状態にあり、オプションの本源的価値は80 円である。 ×エ 行使価格が620 円のプットオプションはアウト・オブ(→○イン)・ザ・マネーの状態にあり、オプションの本源的価値は-120 (→○120)円である。 |
ドル買いのコールオプションの設問です。1ドル=140円だったのが今年1月で、2月には1ドル=150円を突破しているので、作問自体はかなり以前にされている証拠になりそうです。
A | B | C | |
×ア | 129円 | 135円 | 3,500円 |
×イ | 129円 | 135円 | 3,700円 |
○ウ | 135円 | 129円 | 3,500円 |
×エ | 135円 | 129円 | 3,700円 |
次の通貨オプションに関する文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
現時点の為替相場(直物)は1 ドル130円である。ドル建てで商品の仕入代金1,200ドルを支払う予定の企業が、決済日に1 ドル132円で1,200ドルを買うことができる通貨オプションを購入し、その対価としてオプション料100円を支払う。当該企業はイン・ザ・マネーであれば権利を行使するので、たとえば決済日の為替相場(直物)が【A】のときには権利を行使し、【B】のときには権利を行使しない。決済日の為替相場(直物)がAのときに権利行使した場合、通貨オプションを購入しなかった場合に比べて総額の円支出は【C】少なくなる。 |
今日のまとめ
その上でリアル経済がスピード化し、じっくりNPVで設備投資より素早く企業価値DCF法でM&Aした方が手っ取り早い。そしてファイナンスは簿記と異なり何度もコツコツ解き直しは不要で、一度理屈がわかれば後はあっという間です。