あれれ~おかしいぞ~とは
『名探偵コナン』の主人公・江戸川コナンが、大人の前で「ちょっとヌケてる子供のフリ」をする際に多用する台詞。特に事件現場において、自身が見つけた手がかりを「子供が偶然気づいた体で、自然に」周囲に知らせるために使っている。「あれれ~?」の後には「おっかしいぞォ~?」などが続く。
近年易化続きの「運営」~「中小」は過去問の答の暗記でイケますが、もし試験委員が見咎めて難化させたら手に負えない。そこで「間違い探しの暗記」と丸く言い換えます。
R2~R6の「経済」年25マーク×5年を集計すると、その半数以上がグラフ問題になり、かつどの論点からも正答率6割程度に。そこで最初にグラフ問題からまとめて解くとき役に立つのが、「あれれー、おかしいぞー」です。

【はじめての経済①】易化科目は間違い探し / 傾きと接線(企業・消費者行動30マーク)
「経済学」5年125マーク中、今日紹介する「傾きグラフ30マーク」は易しいミクロの中でも特に当てたいサービス論点。そこで嘘つき選択肢⇔正答率A~Eの関係を見ながら、どこで間違えさせようとするかを「あれれー、おかしいぞー」します。
企業行動
企業行動とは、企業が利潤最大化を目的として生産量・価格・投入要素を最適化するプロセスを分析する分野である。具体的には、固定費・変動費を含む総費用関数と総収入関数を用いて限界費用曲線・平均費用曲線を導出し、P=MCの利潤最大条件や損益分岐点、長短期の供給曲線を明示的にモデル化する。
こうすると10点満点
TC・FC・VC・AC・MCの曲線を正確に描き、P=MC条件下での供給曲線を導出し、損益分岐・操業停止点の計算を示し、企業の合理的な行動を予測する。

供給関数
余剰分析(面積)の問題(選択肢bc)は簡単ですが、選択肢aの言い回しが強いひっかけになって正答率Eに。ここはいったんエを選んで後から直せばOK。
下図には、供給曲線が描かれている。この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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〇a 生産量が拡大するにつれて、限界費用は増加する。 〇b 価格がP0 のとき、生産者が必要最低限回収しなければならない費用の合計は三角形OE0Q0 で示される。 ×c 価格がP1 のときの生産者余剰は、台形P1E1E0P0 (→○△P1E10)で示される。 |
a | b | c | |
×ア | 正 | 正 | 正 |
〇イ | 正 | 正 | 誤 |
×ウ | 正 | 誤 | 誤 |
×エ | 誤 | 正 | 誤 |
×オ | 誤 | 誤 | 正 |
こちらはテキストレベルですが、選択肢bcが両方とも迷いやすいです。
利潤最大化を達成するための最適生産について考えるためには、総収入と総費用の関係を見ることが重要である。下図には、総収入曲線TR と総費用曲線TC が描かれている。 この図に基づいて、下記の設問に答えよ。 |
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(設問1 ) 費用関数に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
〇a 総費用曲線TC の縦軸の切片は、固定費用に等しい。 〇b 平均費用が最小値を迎えるところでは、限界費用と平均費用が一致する。 ×c 生産量の増加に比例して (→○につれて)、平均費用も増加していく (→○は増加→減少→増加と動く)。 |
(設問1) | a | b | c |
×ア | 正 | 正 | 正 |
〇イ | 正 | 正 | 誤 |
×ウ | 正 | 誤 | 誤 |
×エ | 誤 | 正 | 正 |
×オ | 誤 | 誤 | 正 |
(設問2)は全て〇なのでテキスト代わりに。正答率Cで一瞬おや?な表現も、よく考えると納得です。
(設問2 ) 利潤に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
〇a Q1 の生産量では、価格が限界費用を上回っており、生産を増やせば利潤が増加する。 〇b Q0 の生産量では、総収入曲線の傾きと、総費用曲線の接線の傾きが等しくなっており、利潤最大化と最適生産が実現している。 〇c Q2 の生産量では、限界費用が価格を上回っており、生産を減らせば利潤が増加する。 |
(設問2) | a | b | c |
〇ア | 正 | 正 | 正 |
×イ | 正 | 正 | 誤 |
×ウ | 正 | 誤 | 正 |
×エ | 誤 | 正 | 正 |
×オ | 誤 | 正 | 誤 |
テキストレベル。×aの突っ込み所は、固定費用はどの点であろうが一定です。
下図は企業の短期費用曲線を示し、縦軸のOAが固定費用を表している。ここで、総費用曲線TC上の接線のうち、①その傾きが最小となる点をX、②Aを起点とした直線と接する点をY、③Oを起点とした直線と接する点をZとする。 この図から読み取れる記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。 |
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×a 点Xでは (→○どの点でも)平均固定費用が最小 (→○一定)になっている。 ○b 点Yでは平均可変費用が最小になっている。 ○c 点Zでは平均総費用が最小になっている。 ×d 点Xから点Z (→○点Y)にかけて限界費用は逓減している。 |
a | b | c | d | |
×ア | × | ○ | ||
×イ | × | ○ | ||
×ウ | × | × | ||
○エ | ○ | ○ | ||
×オ | ○ | × |
生産量は限界費用曲線MCと価格の交点ですが、ややひっかけになっていて、点の名前が書いてありません。
下図には、限界費用曲線MC、平均費用曲線AC、平均可変費用曲線AVC を描いている。なお、この企業は、利潤を最大化するように生産量を決定しているとする。 この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×a 価格がP1 のとき、この企業の赤字は四角形P1 P2 BC (→○(ヨコ)P1とMCの交点×(タテ)P1とAVCの差)である。 ×b 価格がP2 のとき、この企業の生産量はQ (→○P2とMCの交点)である。 ○c 価格がP3 のとき、この企業の利潤は四角形P2 P3 AB である。 |
R5再試験第16問と全く同じグラフですが、(設問1)が生産者余剰では固定費を考慮しない強いひっかけ。(設問2)はテキストレベル。
短期の完全競争市場下における価格と企業の生産との関係を考える。下図には、ある財の生産に関する限界費用曲線MC、平均費用曲線ACおよび平均可変費用曲線AVCが描かれており、価格が与えられると企業は最適生産を実現するものとする。ただし、P1はACの最小値、P3はAVCの最小値に対応している。 この図に基づいて、下記の設問に答えよ。 |
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(設問1 ) 価格がP0のときの生産者余剰として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 四角形ABED ×イ 四角形AOQ0D ×ウ 四角形BOQ0E ×エ 四角形P0ADC ○オ 四角形P0BEC |
(設問2 ) この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
○a 価格がP1のとき、企業の総収入は可変費用と固定費用の合計に等しくなる。 ○b 価格がP2のとき、企業の損失は固定費用の一部のみとなる。 ×c 価格がP3のとき、企業の損失は可変費用 (→○固定費用)のみとなる。 |
(設問2) | a | b | c |
×ア | 正 | 正 | 正 |
〇イ | 正 | 正 | 誤 |
×ウ | 正 | 誤 | 誤 |
×エ | 誤 | 正 | 正 |
×オ | 誤 | 誤 | 誤 |
生産関数
正解 ○ア R1第14問の類題。労働量に対し収穫逓減の状態です。
下図は、資本量を一定とした場合の労働量と生産量の関係を示した総生産物曲線である。また、労働量と労働の限界生産物との関係は、労働需要曲線として描くことができる。 総生産物曲線上の点 A、点 B、点 C と対応関係にある労働需要曲線として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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やや難問ですが、×bは労働者数が増えただけではシフトしない、×cは増加→低下とわかる。また資本・労働比率=「経営分析」で言えば労働装備率のことです。
生産関数f は、 Q = f(L, K) と表される。ここで、Q:生産量、L:労働投入量、K:資本投入量である。 資本投入量を一定として、労働投入量と生産量との関係を描くと、総生産物曲線TP が導かれる。 また、総生産物曲線から、労働投入の追加的な増加に伴う生産量の変化を求めると、労働の限界生産物曲線MP が導出される。 下図は、総生産物曲線と労働の限界生産物曲線を描いたものである。これらの図に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。 |
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○a 資本投入量が増加すると、労働投入の各水準において総生産物も増加し、限界生産物曲線は右方にシフトする。 ×b 労働市場が開放されて外国からの労働移動が生じれば、限界生産物曲線は右方にシフトする (→○左右にシフトしない)。 ×c 労働投入量が増加すると資本・労働比率が低下し、労働1 単位当たりの総生産物は増加 (→○減少)する。 ○d 完全競争下では、労働の限界生産物と実質賃金率が一致するように労働投入量を決めることで企業の利潤は最大化し、労働の限界生産物曲線は労働需要曲線と一致する。 |
等産出量曲線
×cのひっかけは、意地悪クイズ級です。
財の生産においては、労働や資本といった生産要素を効率的に投入することが必要となる。下図では、最適な生産要素の投入量を考えるために、等産出量曲線と等費用線が描かれている。 この図に基づいて、下記の設問に答えよ。 |
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(設問1 ) 等費用線に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
×a 等費用線の傾きは、賃金が下落するほど、急勾配 (→○緩やか)に描かれる。 〇b 費用が増加すると、等費用線C0C0 は、C1C1 へとシフトする。 ×c 縦軸の切片の値は、資本のみを投入する場合の費用 (→○資本量)を示している。 |
(設問1) | a | b | c |
×ア | 正 | 正 | 誤 |
×イ | 正 | 誤 | 正 |
×ウ | 正 | 誤 | 誤 |
×エ | 誤 | 正 | 正 |
〇オ | 誤 | 正 | 誤 |
×bがやや難で、要素価格比率とは等費用線の傾き(理屈は別)。間違えて用語(の言い換え)と分かればOKです。
(設問2 ) この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
〇a 点A から等産出量曲線に沿って、労働量を増やし資本量を減らすと、点Eにおいて最適投入を達成できる。 ×b 点B では、技術的限界代替率が要素価格比率より大きい (→○小さい)。 〇c 点E では、要素価格1 単位当たりの限界生産物が均等化する。 |
(設問2) | a | b | c |
×ア | 正 | 正 | 正 |
〇イ | 正 | 誤 | 正 |
×ウ | 正 | 誤 | 誤 |
×エ | 誤 | 正 | 誤 |
×オ | 誤 | 誤 | 正 |
このヘンテコな図はエッジワースボックスと呼び、古い過去問で出ています。×adはいずれも点Cが正解で、パレート効率が実現するほか、2財の技術的限界代替率(接線の傾き)が等しくなります。
ワインとチーズという2 財を生産するために、2 つの生産要素である資本と労働をどのように配分するかという問題を考える。 縦軸に資本の賦存量、横軸に労働の賦存量をはかった下図では、OWがワインを生産するのに両生産要素の投入量がともに0 の状態、同様にOCがチーズを生産するのに両生産要素の投入量がともに0 の状態である。したがって、ボックスの中の任意の点は、これら2 財の生産に投入される資本と労働の配分パターンを表している。 ワインとチーズの等産出量曲線がそれぞれ図のように示されているとすると、2 財の生産に投入される両生産要素の配分パターンに関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×a 点A (→○点C)では、パレート効率が実現している。 ×b 点Dは点Cよりもチーズの生産量が多い (→○少ない)。 ○c 点Bから点Cへの変化は、生産の効率性を改善する。 ×d 点E (→○点C)では、2 財の生産において資本と労働の技術的限界代替率が等しい。 |
a | b | c | d | |
×ア | 正 | 正 | 正 | 誤 |
×イ | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
×ウ | 正 | 誤 | 誤 | 正 |
×エ | 誤 | 正 | 誤 | 正 |
○オ | 誤 | 誤 | 正 | 誤 |
技術的限界代替率=接線との一つ覚えで解けます。
下図は、生産要素としての労働と資本を投入して生産される、ある財の等産出量曲線を描いている。ここでQ1 の等産出量曲線での産出量は、Q0 の等産出量曲線での産出量よりも大きいものとする。 この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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○a 資本の投入量を一定に維持したまま、労働の投入量を増加させれば、産出量は必ず増大する。 ○b 同一の等産出量曲線上では、労働の投入量を減少させても、資本の投入量を増加させれば、一定の産出量を維持することができる。 ×c 労働の資本に対する技術的限界代替率は、各生産要素の投入量に関わらず一定である (→○応じて変化する)。 ×d 等産出量曲線が右上方にシフトすれば、資本・労働比率が一定の下で労働の資本に対する技術的限界代替率は必ず上昇する (→○一定である)。 |
等産出量曲線を連続で解くことで、意味が分かってきます。つまり生成AIのように機械が労働を代替し始めたとき、点EやGまでは機械で置き換えますが、そこから先はヒトに委ねます(今のところは)。
下図は、労働と資本の価格および生産技術水準が一定で、かつ完全競争市場の下で2 つの等費用線と等産出量曲線を示している。 この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×a 点Eは点Dと比べて、産出量(→○総要素費用)は同じである が、総要素費用(→○産出量)はより少ない(→○多い)。 ×b 点Gは点Dと比べて、技術的限界代替率は同じである(→○より大きい)が、産出量はより少ない(→○同じである)。 ○c 総要素費用を一定とした場合、点Fでは、労働量を減らし資本量を増やすことで利潤を多くできる。 ○d 産出量を一定とした場合、点Dでは、資本量を減らし労働量を増やすことで最適生産を達成できる。 |
a | b | c | d | |
×ア | 正 | 正 | 正 | 誤 |
×イ | 正 | 誤 | 誤 | 正 |
×ウ | 誤 | 正 | 正 | 正 |
×エ | 誤 | 正 | 誤 | 誤 |
○オ | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
消費者行動
消費者行動では、消費者が効用最大化を前提に予算制約線と無差別曲線を用いてどう最適消費を導き出すかを分析する。価格変化による代替効果・所得効果の分離、価格弾力性・所得弾力性の算出、上級財・下級財・ギッフェン財の識別、消費者余剰の評価などを通じて需要関数を導出し、主に価格による需要量の変化を予想する。
こうすると10点満点
予算制約線と無差別曲線を正確に描き、その接点を最適消費とする。代替効果・所得効果を数式で分離し、価格・所得弾力性を示すことで、単に価格が下がれば需要が増えるではなく、2財の間の代替・補完関係まで考慮する。

効用&予算制約線
自分の言葉で直して語彙を鍛えます。
企業や商店にとって、消費者の嗜好を知ることは重要である。下図のような無差別曲線を持つ消費者の嗜好に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |

×ア この消費者は、ハンバーガー2 個かワッフル1 個のいずれかを選んで (→○を少なくとも)消費することを好んでいることが分かる。 ×イ この消費者は、ハンバーガー2 個に対して、ワッフルの消費を増やすほど効用が増加する (→○増やしても効用が変わらない)、ワッフルが大好きな消費者であることが分かる。 ○ウ この消費者は、ワッフル1 個に対して、ハンバーガーの消費を2 個以上に増やしたとしても、効用は変わらないことが分かる。 ×エ この消費者は、ワッフル1 個に対して、ハンバーガーの消費を増やすほど効用が増加する (→○増やしても効用が変わらない)、ハンバーガーが大好きな消費者であることが分かる。 |
オヤ?の違和感→正しい用語に直すドリルを。
下図のような形状をした無差別曲線に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。 |
![]() |
×a X 財がおにぎり、Y 財がサンドイッチ (→○割り箸)のように、不完全であるが代替可能性 (→○どちらか一方に効用が生じない)のある2 財の関係を示している。 ○b X 財がお弁当、Y 財が容器ゴミのように、通常の財と負の財の関係を示している。 ○c この無差別曲線上におけるX 財とY 財の組み合わせでは、得られる効用は一定である。 ×d この無差別曲線上を右に行くほど、X 財を1 単位増やすために減らさなければ (→○増やさなければ)ならないY 財の量は増加する。 |
a | b | c | d | |
×ア | × | ○ | ||
×イ | × | ○ | × | |
〇ウ | ○ | ○ | ||
×エ | ○ | ○ | × | |
×オ | ○ | × |
生産関数で意地悪するのに飽きると、正答率Aに。
家計においては、効用を最大化するために、予算制約を考えることが重要となる。この家計は、X財とY財の2 財を消費しているものとする。 下図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |

○ア 予算線AB は、この家計の所得とY財の価格を一定としてX財の価格が下落すると、AD へと移動する。 ×イ 予算線AB は、この家計の所得を一定としてX財とY財の価格が同じ率で上昇 (→○下落)すると、CD へと平行移動する。 ×ウ 予算線CD は、この家計の所得が増加 (→○減少)すると、AB に平行移動する。 ×エ 予算線CD は、この家計の所得とX財の価格を一定としてY財の価格が上昇すると、CB(→○AD)へと移動する。 |
上級財・下級財の用語の定義問題。上級財とは所得が増えると消費が増え、下級財は所得が減ると消費が増える。後出の所得弾力性の知識です。
ある個人が与えられた所得の下で、X財とY財を購入できるものとする。下図には、それぞれ異なる所得に基づく予算制約線AB と予算制約線CD が描かれており、また、予算制約線AB と点E で接する無差別曲線と、予算制約線CD と点Fで接する無差別曲線が描かれている。 この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×ア X財、Y財ともに、下級財である。 ×イ X財、Y財ともに、必需財である。 ×ウ X財は下級財であり、Y財は上級財である。 ○エ X財は上級財であり、Y財は下級財である。 ×オ X財は必需財であり、Y財は奢侈財である。 |
予算制約線は消費者行動のいろんな論点と絡んでいて、当問では後出のスルツキー分解と所得弾力性とのコンボ出題。所得弾力性を後回しにして、スルツキー分解を当てに行きます。
下図は、ある個人の予算制約線を描いている。当初の予算制約線はABであり、このとき、この個人は点Eで決まる数量のX財とY財を消費している。所得の増加によって予算制約線はCDとなり、このとき、この個人は点Fで決まる数量のX財とY財を消費している。 この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
![]() |
×a X財の所得効果は、負 (→○正)である。 ○b X財の所得弾力性は、正である。 ×c Y財の所得効果は、負(→○ゼロ)である。 ○d Y財の所得弾力性は、ゼロである。 |
a | b | c | d | |
×ア | 正 | 正 | 誤 | 正 |
×イ | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
×ウ | 正 | 誤 | 正 | 正 |
×エ | 誤 | 正 | 誤 | 正 |
○オ | 誤 | 正 | 誤 | 誤 |
スルツキー分解
ダ・シ:代替→所得の順で鉄板に。
働くことにより得られる所得と余暇のバランスを考えることは重要である。下図は、家計の所得と余暇の組み合わせについて、予算制約線と無差別曲線を用いて示したものである。賃金の上昇に伴う点E から点F への移動に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |

×ア 点E から点G への変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が増加する部分であり、「所得効果 (→○代替効果)」という。 ○イ 点E から点G への変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が余暇から労働に切り替えられた部分であり、「代替効果」という。 ×ウ 点G から点F への変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が減少 (→○増加)する部分であり、「所得効果」という。 ×エ 点G から点F への変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が労働から余暇に切り替えられた部分であり、「代替効果 (→○所得効果)」という。 |
しつこい位に、テキストレベル。
限られた所得を有する個人がおり、X 財とY 財を購入することができるとする。下図には、この限られた所得に基づいて予算制約線A と予算制約線B が描かれており、また、予算制約線A と点E で接する無差別曲線と、予算制約線B と点F で接する無差別曲線が描かれている。下図に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。 |
![]() |
×a 予算制約線A から予算制約線B への変化は、X財 (→○Y財)の価格の上昇によるものである。 ○b 予算制約線A から予算制約線B への変化は、Y 財の価格の上昇によるものである。 ×c 点E (→○点G) から点F への変化は、代替効果 (→○所得効果)と呼ばれている。 ○d 点E から点G への変化は、代替効果と呼ばれている。 |
当問は図を省略するのが曲者。それと選択肢bcを並べ替えると急に解きやすくなるので、実際の試験問題と比べておきます。
代替財、補完財と需要曲線のシフトについて考える。ここでは図は省略するが、縦軸に価格、横軸に数量をとるものとする。2 財の関係が代替財あるいは補完財であるときの需要曲線のシフトに関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。 |
×a A財とB財が代替財の関係にあるとき、A財の価格の下落によって、B財の需要曲線は右方にシフトする。 〇c A財とB財が代替財の関係にあるとき、A財の価格の上昇によって、B財の需要曲線は右方にシフトする。 〇b C財とD財が補完財の関係にあるとき、C財の価格の下落によって、D財の需要曲線は右方にシフトする。 ×d C財とD財が補完財の関係にあるとき、C財の価格の上昇によって、D財の需要曲線は右方にシフトする。 |
a | b | c | d | |
×ア | × | 〇 | ||
×イ | × | × | ||
〇ウ | 〇 | 〇 | ||
×エ | 〇 | × |
見慣れたスルツキー分解ですが、補助線は自分で引いて当てる。今年の賃上げブームにマストの1問です。
個人は一定の賃金率の下で労働供給を行うことで所得を得て、所得と余暇(労働時間以外の時間)で決まる効用を最大化しようとする。下図は、賃金率が上昇して、所得と余暇の関係を表した予算制約線がAB からAC にシフトしたことに伴って、それぞれの予算制約線と無差別曲線が接する点が、点E から点F に変化したことを示している。 この図に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。 |
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○a 賃金率の上昇は、労働供給を減少させる。 ×b 賃金率の上昇は、労働供給を増加 (→○減少)させる。 ○c 点E から点F への変化は、所得効果が代替効果を上回ったことを意味している。 ×d 点E から点F への変化は、代替効果が所得効果を上回った (→○下回った)ことを意味している。 |
需要関数&価格弾力性
ここでは需要曲線D=無差別曲線とセットで考える。×bがひっかけで、消費者余剰と混同させる狙いです。
ある遊園地では、入場料とアトラクション乗車料金の2 部料金制をとっている。 太郎さんがこの遊園地のアトラクションに乗る回数は1 回当たりの料金に依存するので、下図のような需要曲線D が描けるとする。また、この遊園地がアトラクション乗車1 回で負担する限界費用は200 円であるとする。下図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×a 点A において太郎さんが支払う費用は1,200円 (→○入場料と2,400円)である。 ○b 点A よりも点B の方が、太郎さんの消費者余剰は大きい。 ○c 入場料700 円を支払った後に、点A において太郎さんはこのアトラクションに6 回乗る。 |
a | b | c | |
×ア | ○ | ○ | ○ |
×イ | ○ | ○ | × |
〇ウ | × | ○ | ○ |
×エ | × | ○ | × |
×オ | × | × | × |
R4は限界○○(傾き)をしつこく聞くので、不得意な方は大変だったかも。
下図には、需要曲線が描かれている。この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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〇a 価格が下落すると、消費者の限界価値が低下する。 ×b 価格がP0 のときの消費者の支払意思額は三角形AEP0 (→○台形AEQ00) で示される。 〇c 価格がP0 のときの実際の支払額は四角形OP0EQ0 で示される。 |
a | b | c | |
×ア | 正 | 正 | 正 |
〇イ | 正 | 誤 | 正 |
×ウ | 正 | 誤 | 誤 |
×エ | 誤 | 正 | 正 |
×オ | 誤 | 正 | 誤 |
テキストを目で追っても理解しにくい弾力性は、当問を使ってエクセル計算すれば納得。なおA、Bからの変化量(A’、B’)を任意に変えても、弾力性の計算結果は同じです。

下図には、Q=-P + 10 で表される需要曲線が描かれている(Q は需要量、Pは価格)。点A および点B における需要の価格弾力性(絶対値)に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×ア 需要の価格弾力性は、点A のとき1 であり、点B のとき1 である。 ×イ 需要の価格弾力性は、点A のとき1 であり、点B のとき4 である。 〇ウ 需要の価格弾力性は、点A のとき4 であり、点B のとき1 である。 ×エ 需要の価格弾力性は、点A のとき4 であり、点B のとき4 である。 |
弾力性にしては易問。需要/供給曲線が垂直になると弾力性ゼロ、水平になると無限大の暗記で当たります。
下図において、ある農産物に対する需要曲線Dの下で、垂直な供給曲線S0が収穫量の増加(Q0→Q1)に伴ってS1にシフトした結果、市場価格はP0からP1に下落した。このときの状況に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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○a この農産物の生産者は、価格の変化に対して供給量を調整することができない。 ×b この農産物の供給量が増加したことで、消費者余剰は減少 (→○増加)する。 ×c 供給の価格弾力性は無限大 (→○ゼロ)である。 ○d 需要の価格弾力性(絶対値)が1 より小さいと、供給量の増加は生産者の収入を減少させる。 |
a | b | c | d | |
×ア | 正 | 正 | 正 | 誤 |
×イ | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
〇ウ | 正 | 誤 | 誤 | 正 |
×エ | 誤 | 正 | 誤 | 正 |
×オ | 誤 | 誤 | 誤 | 正 |
これはあっと驚く易問で、水平な需要曲線=価格弾力性無限大の暗記で当たります。
下図のように、X財は右下がりの需要曲線DX、Y財は水平な需要曲線DY でそれぞれの需要曲線が与えられるとする。このとき、X財とY財の需要の価格弾力性に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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○a 点A におけるX財の需要の価格弾力性は、点B におけるY財の需要の価格弾力性よりも小さい。 ×b 点B におけるY財の需要の価格弾力性は、点C におけるY財の需要の価格弾力性よりも小さい (→○大きい)。 ○c 点C におけるX財の需要の価格弾力性は、点C におけるY財の需要の価格弾力性よりも小さい。 |
a | b | c | |
×ア | 正 | 正 | 正 |
○イ | 正 | 誤 | 正 |
×ウ | 正 | 誤 | 誤 |
×エ | 誤 | 正 | 誤 |
×オ | 誤 | 誤 | 正 |
価格の弾力性は一般に理解しにくいですが、R4第14問の図解(数量の変化率÷価格の変化率)と当問をセットに解くと理解できます。
需要の価格弾力性(絶対値)に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
×a ある財について、価格の変化率(絶対値)がそれに伴う需要量の変化率(絶対値)に比べて大きいほど、需要の価格弾力性も大きく(→○小さく)なる。 ○b 代替品が豊富な財は、代替品に乏しい財に比べて、需要の価格弾力性は大きくなる。 ×c ある財の需要曲線が一定の価格水準において水平である場合、この財の需要の価格弾力性はゼロ(→○無限大)である。 ×d ある財の需要曲線が右下がりの直線である場合、この財の需要の価格弾力性は、価格水準にかかわらず一定である(→○が下がるにつれ小さくなる)。 |
所得弾力性
弾力性はグラフにすると難しくなるので、R3はテキストレベルの文章題に。
大学生のAさんは、アルバイト先の時給が上がったことで、所得が増加した。その結果、お昼に学食に行く回数が減り、イタリアンレストランに行く回数が増えた。この状況に関する説明として、最も適切なものはどれか。 |
×ア Aさんにとって、学食とイタリアンレストランの消費は両方ともプラスであるので、ともに上級財 (→○学食は下級財、イタリアンレストランは上級財)である。 ×イ Aさんにとって、学食とイタリアンレストランは補完財 (→○代替材)である。 ○ウ Aさんにとって、学食の消費は減り、イタリアンレストランの消費は増えたので、学食は下級財であり、イタリアンレストランは上級財である。 ×エ Aさんにとって、学食は必需品 (→○下級財)であり、イタリアンレストランは奢侈品 (→○上級財)である。 ×オ Aさんにとって、学食もイタリアンレストランも必需品 (→○上級財(奢侈品・必需品)・下級財のどれか)である。 |
見慣れないグラフ問題ですが、上級財の知識で当てる。ついでに必需財⇔奢侈財もセットで覚えます。
下図は、所得水準と、ある財の消費量の関係を表したエンゲル曲線である。この図から読み取れる記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
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×a 所得Y1の領域では、この財は奢侈財 (→○上級財)であると判断される。 ○b 所得Y2の領域では、この財は上級財であると判断される。 ×c 所得Y3の領域では、この財は必需財 (→○下級財)であると判断される。 |
今日のまとめ
ド易化とはいえ「経済学」なので、過去問と同じ論点から軸を変えたり、少しずつだけ捻りを入れる。この「あれれー、おかしいぞー」のエラーに気づいて正しく直すスキルは、ズバリで2次「Ⅰ~Ⅲ」に直結し、過去問の答ばかり覚えるベテふぞとの決定的な差別化要素になるのです。