「2次」はトンビに油揚げ。ところが「知識を浮かべて与件読み」が万能とは限らない。
そこで今日は押しの強いHAKS氏一辺倒でなく、文章のわかりやすさで知られるきゃっしい様に、またまた無理を言って「知識を浮かべて与件読み」のセオリー&トラブル対応を聞いてきました。
【きゃっしい特別編】想定した根拠がない時/想定外の強い根拠があった時
こんにちは。きゃっしいです。またまたふうじんさんから「2次試験対策の記事を書いて欲しい」というリクエストをいただきましたので、記事を書かせていただきました。
いただいたテーマは想定した「根拠がないとき/想定外の強い根拠があったときどうすればいいか」ということで、ご質問いただいた3点に回答する形で書かせていただければと思います。
質問1⃣ 想定した根拠がないとき
例えば、事例Ⅰで人事施策について聞かれたと考え、「さちのひもけぶかいねこ」のフレームワークに従って根拠を想定したとします。
【参考記事】H30「Ⅰ」第3問 後継者育成の本番対応
Q:ところが、与件文を読むと想定した根拠にあたるような記述が全然ない。あれ?どうしよう?とパニックになってしまいます。
そんなときは、①与件根拠重視のPush⇔②1次知識重視のPullどちらで行った方がいいのでしょうか?
A:とりあえず、そういった問題は後回しです。
その上で、想定が間違っていたり不足していたりすることがないかもう一度確認し、改めて確認してもどうしても見つけられなければ1次知識を使いましょう。
①どんなトラブルが? 最初に想定して探しに行った根拠が与件文を読んでも見つけられない、という事態に陥ったらとても焦ると思います。つい、何度も与件文を読みかえして「あれ?根拠がない!!」とパニックになってしまうかもしれません。 |
②トラブル(トラップ)が起きる理由は? 2次試験では、4~6問という少ない問題を80分の時間をかけて解きますので、どれか1問がわからなくてパニックになってしまうと、その焦りが他の問題にまで波及してしまう恐れがあります。そのため、このような場合、パニックにならないことと、他の問題への波及を防ぐということが重要になります。 |
③トラブルの対処法は? 「あれ?根拠がない!!」と思った時点で、一呼吸おいて、「自分が根拠を見つけられなくて焦っているということは他の人もみんな焦っているはずだ」と思い直し、「ここで冷静になれればライバルに差が付けられる」と思うようにしましょう。その上で、根拠が見つからないということは、難易度が高い問題だと判断して、一旦その問題への解答を保留し、次に難易度が低いと判断した問題に取り組むようにしましょう。 |
焦れば焦るほど、視野は狭くなり、冷静な判断や思考はできなくなってしまいます。このような問題は他の問題を全部解き終わって、落ち着いた気持ちで考えるようにしましょう。
④他の問題を解き終えて冷静になったら さて、それでは、他の問題を全部解き終えて冷静になって戻ってきた場合にどうするか、ということについて説明したいと思います。まずは、一旦、自分の想定が間違っていないか確認しましょう。 |
- 最初に想定したレイヤーが間違っていないか?
- 人的資源管理のレイヤーの問題かと思っていたが、改めて設問文を読み直してみると組織構造のレイヤーの問題だった、など
- 一度思い込んでしまうと思考が抜けられない場合は「もしこれが人的資源管理のレイヤーでなく〇〇のレイヤーだったら」と別のレイヤーを前提に考え直してみると気づくことがあるかもしれません。
- 想定した一次知識に誤りやヌケ・モレはないか?
- 有力だと思われる与件文の根拠から、逆に一次知識で分類するならどのようなものか、ということを考え、そこから1次知識を改めて振り返ってみます。
- 「覚えていなかった」、「知らなかった」場合はいかんともしがたいですが、「忘れていた」レベルであれば、それで思い出せる可能性があります。
冷静に上記の2点について確認した上で、それでも根拠が見つからなければ、1次知識を極力与件文に寄せた表現を使いながら書き連ねていきましょう。
想定した根拠が見つからない。そんなトラブルに対応するには、①まずは全力で与件根拠重視のPushを試してみて、②どうしてもだめなら1次知識重視のPullに移行するのが良いでしょう。
質問2⃣ 想定外の強い根拠があったとき
例えば、H29事例Ⅱの2段落目の「X 市の主要産業は農業とガラス製品生産である。」という記述。これまでの過去問では、地場産業とB社の製品やサービスを組み合わせるのはテッパンでしたので、強い根拠のように見えます。
【参考記事】H30「Ⅱ」第4問 夜の活気の本番対応
Q:ところが、設問文を読むと使いどころがわからない。そのような場合、見つけた強い根拠を使うか、使い残すかどうしよう?
A:あくまでも設問文に忠実に判断します。
①どんなトラブルが? いくらそれらしくても、設問文で聞かれていない根拠は使わないようにします。 |
②トラブル(トラップ)が起きる理由は? 例えば先に例に挙げたH29の事例Ⅱの「X 市の主要産業は農業とガラス製品生産である。」という記述は、過去問を使って勉強していれば、B社の製品やサービスを組み合わせるのはテッパンでしたのでついつい使いたくなるかと思います。 |
しかし、この試験の最大のポイントは「聞かれたことに素直に答える」です。
③トラブルの対処法は? 例え過去問の傾向が地域資源の活用であっても、聞かれてないことにズレて答えたらアウトです。(個人的にH29のあの記述は、過去問の「結果」だけ覚えて試験に臨む受験生をひっかけるための罠だったのではないかと思っています。) |
聞かれていないことは切り捨てる勇気を持つことも重要です。 |
質問3⃣ 根拠が複数問に使えそうなとき
ある根拠が、第3問にも第4問にもどちらにも使えそうと思うこともあります。
Q:どちらか1問にだけ使うか?それとも、複数問で使おうか?
A:リスク分散のため、複数問で使います。
①どんなトラブルが? 例えば、ある根拠が、第3問にも第4問にもどちらにも使えそうと思ったときを考えます。 |
②トラブル(トラップ)が起きる理由は? 1問だけに使う場合、長時間悩んだ挙句、第3問に賭けたところ、実は正解が第4問の方だったということも大いにあり得ます。その場合、第3問も第4問も両方外してしまうことになります。さらに、運良く第3問の方が正解だったとしても、80分という時間制限の中で、どちらに使うかを長時間悩んでいると、他の問題を解く時間が削られてしまっているということになります。 |
③トラブルの対処法は? そうであれば、あまりグジグジ悩まず、満点は取れないかもしれませんが、複数問題に使ってリスクヘッジした方が時間も有効に使えるかと思います。 |
年々難化する「2次」試験対策では、与件文だけから国語的に答えを導く以外に、作問に使われた「1次」知識を浮かべることで出題側が用意した正解の要素を選びやすくする、セオリー論も広まっています。
ところが、事例をいつもセオリー通りに解けるとは限りません。そこで想定した根拠がない時や、想定外の強い根拠があった時などは、今日紹介した方のセオリーが役立つことがあります。
本番は必ずと言っていいほどこれまでの方法が通用しない問題が出題されるかと思います。 その時に80分トータルとして最善のパフォーマンスを発揮できるよう、「想定外を想定」した対策(言葉が矛盾していますが)を行うことが、合格の確実性を高めるでしょう。
以上、きゃっしいでした。
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