時代の変わり目は狙い目。
画像:産経新聞
与件とは、「与えられる」性質上、誰しもつい受け身に国語読み? ところがそんな試験の長くて古い伝統は、新しい時代には周回遅れに。
「事例Ⅲ」とは、あくまで文系ホワイトカラーを想定したペーパー診断。そこで①文系十八番の国語読みはほどほどに、②出題側が想定した知識・レイヤーに従えば200%試験に勝てる。
まだまだ国語の読み書きを競うのが当試験。そこでHAKS氏の力作、全5回の「Ⅲ」ノートを使って時代の変わり目に挑みます。
HAKS流 2次ノート「Ⅲ」~全体把握
ノートの公開もとうとう最後の事例Ⅲです。訳あって、今年の受験生の勉強の面倒を見る機会があるのですが、この事例Ⅲってなぜだか「妄想と空想の狭間」で生きる解答が豊富に出てくるもの。おそらくなかなか製造業に携わらない人がイメージ先行と1次試験の知識だけで解くので支離滅裂になるのかと。近年の事例Ⅲもより「あなたの思考を試す」物に代わっているだけに下手な記述をいかに避けるかがキーポイントですね。
最初はいつも通り、ノート最初のページから。
実はこの科目ですがH28に比べて唯一得点が落ちてしまった科目だ。H28 :69点 → H29:67点 HAKS実は最初に受けたH28の2次や1次試験に至るまで、運営管理の内容は仕事を通してよく知っておりあまり勉強をしたことがなく、そこそこの得点を取ってしまっていて、フィーリングで解く「悪い癖」があるようだ。それが得点減少の主要因と言えよう。
さて、そんなフィーリングは絶対に本番ではやってはいけないのは≪予備校解答速報編≫でのMMC解答で説明させていただいたばかりだ。そういったことを排除するためにもしっかりと論理を組み立てて解答していく事が好ましい。
1⃣【全体把握】
まずは解答の方針だが
生産に関わる強み(弱み)を探せ →生産力(技術力)、開発力、営業力、QCD |
【C社概要】の成功体験を探せ →強みを得た経路や結果で売上が増えたことは未来問題に |
失敗体験を探せ →過去・現在の弱みに当たる部分は未来問題でケアをする |
オペレーションの改善問題は典型パタ-ンでしっかりと取る →典型的なトラブルについていくつか答えを用意してそれを愚直に書く |
最初と最後の問題を意識 →強みを使って新たな販路、弱みは直して新たな販路。できるだけお金をかけず、既存のノウハウを活用 |
と言ったところだ。賢明な読者の方はお気づきだろうが、実は事例Ⅰと事例Ⅲの解法は非常によく似ているのだ。生産戦略の立案においては、SWOT分析がマストであり、技術力などはこれまでの歴史にかかわるから構成要素が似てくる。違いはSWOTをするにあたって、「生産力(技術力)、開発力、営業力、QCD」という所に着眼点を持って答えていくという所だ。
この中でも特徴的な物について、少し解説をしよう。
例年の問題では第1問の基本はC社の強みや弱み(課題)を端的に答えさせる問題が多い(昨年はそうではなかったところが大変だった)。その中での与件本文の抜き出しで必要なのが、「生産力(技術力)、開発力、営業力、QCD」の着眼点である。例えば
年度 | 要素 |
H29 | 【技術力+】常務のIT技能 【営業力-】社長と常務が受注を担っている、HPの活用が不十分 【コスト-】これ以上コスト面で既存取引先にこたえられない 【納期±】設計仕様は担当者が直接折衝 【品質±】品質検査は兼任状態である |
H28 | 【コスト+】農業法人の親会社からの規格外原料の仕入 【コスト-】原料がないときの市場からの仕入による原材料原価の高騰 【コスト-】生産に関わる人員の管理が不十分 【納期-】3か月間の休業期間 【品質-】各種クレームが多い |
H27 | 【生産力-】若手人材に乏しい 【生産力+】鋳造工程の生産能力 【生産力+】加工工程と塗装工程の一貫生産体制 【営業力+】中堅エンジニアからなる技術営業 【納期-】仕掛品置場や設備間移動に時間を要することによるリードタイムの長期化 【コスト-】機械加工工程の残業 【コスト-】設備の稼働率が低い |
これだけ抜き出せていれば後は1次試験の知識を活用して、設問ごとに使う要素を間違えなければそれだけで合格点に到達する。(実際にはその設問へのつなぎ合わせが難しいのだが、、、)
ここで、H29の出題の仕方がイレギュラーであった。いつものように強みや課題を答えさせるのではなく、最終問題のような未来志向の話も織り交ぜて、第1問と第2問で対応策まで答えさせているのだ。
ただ、出題の仕方がイレギュラーになっても、着眼点に変わりはなく、ただただ聞かれていることに愚直に答えるだけだ。
これはH29に限っては全く異なる形式であったので、除外するとして、例年は最初の問題で強みや弱みを答えさせると、弱みや課題を第2問以降で解決させて、最終問題でその強みを活用して新事業を開拓していくというストーリーラインが定石であったが、H29はこの限りでないところだ。
ただ、昨年がイレギュラーかどうかと言うのは、今年の本試験を見てみなくてはわからないので、ここを予想するのは難しい。
そういった意味ではHAKS自身は受験当日考えたのはとても事例Ⅰによく似ていて解法もそういった傾向にあるところだ。
HAKSノートの違うページに事例Ⅲではこういったことに警告を促している。
何故か放っとかれている「人」「部署」があったら、どこかで「手厚い保護」をせよ
そう、H29で言えば「兼務させている品質検査の担当者」なのだ。事例ⅠではH28の「女性の活用」の論点など相通じるものがある。
そして、典型的なトラブルの対応パターンではしっかりと「結果と要因」をまとめておいて、与件本文にある「事象」で何が起こるかという事は常に予測して読むべきである。
例えば、「仕掛品が滞留する」という結果に対しては次のようにまとめておく
こういったことをこれまでのどんなに「クソ」な演習も含めて、整理しておくと一見状況がわくりにくい生産管理の事例でもわかりやすくなるのではないだろうか?
ちなみに私の再現解答は以下のとおりである
【第1問】 課題は①組立工程を加味した生産計画を立てる必要がある点②CNC制御装置製作企業への外注部品の発注管理の必要がある点③受注生産の余力を考慮した生産をする必要がある点。対応策は①両加工工程に組立工程を加味し一括した生産計画の立案をする事②外注企業にカムアップシステム等で納期等管理をする事。 |
【第4問】 製品で①顧客の産業機械メーカー等へ一部委託生産を依頼し②自社工場は商品開発の場として活用する事で高付加価値化と投資抑制、設計担当者の検査人員削減を図る。サービスで①機械商社等の販売チャネルを開拓し②CNC制御装置企業と協力してメンテナンスマニュアルを作成し業務を委託して人員増防止。 |
まずはC社の強みや弱みをはっきりさせておいて、一つ一つ設問で聞かれていることを愚直に答えれば「日本語として間違っていない」解答になる。
事実としてこの話に正解があるとすれば、H29年はストレート合格者が多かったこと。で、私が言いたいのは、おそらく予備校の言うとおりに設問分析をして落ちてしまった人と言うのはそもそも「やるべきことの本質が全く分からないまま1年を過ごしただけ」である。
表面的なテクニック論に傾倒してしまい「読み方・書き方」教室に終始した結果である。基本期待値20%の合格率の上積みができていない。
そういった中で戯言ストレート診断士は実務補習も終わり、半年がたとうとする今も「試験自慢」をしている不思議な人種だ。
※私はコンサルとして仕事をしているが、こういう輩と実務補習を受けるのが苦痛で仕方なかった。まずは実務もただの国語のテストと勘違いして、難題に対して思考することを放棄するは、調べることを嫌うわで同じチームで仕事は絶対にしたくないものだ。心当たりのある診断士がこのブログを読んでいたら、即刻そんな行為を恥じていい加減やめるべきだ。
そういった「クソ診断士」を世の中に大量生産してしまったという意味ではH29の試験や採点基準と言うのは「罪深い」物だと思う。試験母体や中小企業庁も今年は改善していただくことを切望します。
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