【連続出題シリーズ】とは
診断士「1次」が同一論点を反復出題する点に注目し、毎年出るほど重要論点とする考え方。上手に使うと「2次」スコアが伸びる。
もし診断士試験で規模・範囲の経済が働くなら、規模ではTAC、情報量ではベテから受かるはず。でも現実は真逆です。
はい、試験合格が目的化するとノウハウをコレクションしがちですが、安っぽいノウハウには裏がある。そんな事実を以下に示します。
- | 収穫逓増の場合 | 収穫逓減の場合 |
規模の経済 | 一定規模まで学習を進めると、ある知識の応用で他科目も解けることがあり、短期間で急速・相乗的にスコアが伸びる。 | 過去問の答を覚える学習を続けると、知識を他科目に応用する力が弱まり、1つ覚えたことに対するスコアの伸びが低くなる。 |
学習曲線(累計生産量) | 一定の累積量まで学習を進めると、選択肢の誤答のクセがつかめるため、大量の過去問を短時間で解くスピード感がつく。 | 一定の累積量以上に2次を勉強してしまうと、解く1事例辺りの効用が下がり、解答に不要な余計な一言をつい書いてスコアが下がる。 |
範囲の経済(情報の多重活用) | 情報力の勝負とされる試験では、情報を素早く入手したり共通点を見つけることで、核心から応用まで幅広く加点ができる。 | 同じ情報がループしやすいSNSでは、自分の身の回りの耳障りのよい情報が正と思い込むと、フィルターバブルで視野が狭まる。 |
試験が初学ワンチャン化すると、こうすれば受かると思い込んだ出版D社ノウハウがはびこる。だが同じコトを2年目にやると人生ショボンな。
【初学&他資格優遇】2次合格には150h / 注意一秒ベテ一生 / 連続出題シリーズ
80分で解けない試験の勝負は、ウスノロなノウハウより大量情報を素早く処理するスピード勝負に。そこで2次お勉強を年150h以下に抑える工夫をします。
AI時代は知識がツナがる~「1次」スコアも急上昇
以下の表は、「経営」で頻出の規模の経済⇔学習曲線⇔範囲の経済の知識と、「経済」の収穫逓増⇔逓減の関係を、GPTにまとめさせたもの。ヒトの頭でできないコトを、指示の出し方一つで実現するのがAIです。
(競争戦略↓) | (経済学→)収穫逓増 | 収穫逓減 |
規模の経済 | 一定以上の投入に対して、それに応じて生産が増加する状態。 | 一定以上の投入に対して、それ以上の生産効果が得られなくなる状態。 |
学習曲線 | 累計生産量が増えるにつれて、単位当たりのコストが下がっていく状態。 | 限界効用の低下により、単位当たりのコストが増加していく状態。 |
範囲の経済 | ある一定の領域内で生産を行うことによって、コストの削減が可能となる状態。 | 生産範囲を拡大する際に何かの不都合が起き、コストが増加する状態。 |
規模の経済3兄弟★正しい知識があると、1次・2次とも収穫逓増
以下は「規模の経済3兄弟」とされるR1~R3の連続出題。誤答選択肢の下線部を全て正解訂正済なので、↑の表の知識が素早く頭に入ります。
R1第7問 コスト・リーダーシップ(規模の経済) Bランク
経験効果や規模の経済に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
○ア 経験効果に基づくコスト優位を享受するためには、競合企業を上回る市場シェアを継続的に獲得することが、有効な手段となり得る。 ×イ 経験効果は、累積生産量から生じるコスト優位として定義されることから、経験効果が生じる基本的なメカニズムは、規模の経済と同じである。 ×ウ 生産工程を保有しないサービス業では、経験効果は競争優位の源泉になる。 ×エ 中小企業では、企業規模が小さいことから、規模の経済に基づく競争優位を求めることはできる。 ×オ 同一企業が複数の事業を展開することから生じる「シナジー効果」は、範囲の経済を構成する中心的な要素の1 つである。 |
企業の競争優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
×ア (テキスト外のため省略) ×イ 経験効果における習熟度は業界の特性に関わらず一定ということはなく、累積生産量の増加に伴う単位当たり費用の変化は、いかなる業界においても同様の習熟度を係数とする式で示せるとは言えない。 ○ウ 経験効果を利用したコスト・リーダーシップを追求する場合には、競合企業よりも多くの累積生産量を達成するために、できるだけ早い時点で参入することが有効な方策となる。 ×エ 製品差別化が有効である場合には、価格が上昇しても、競合する製品への乗り換えが生じにくいことから、需要の交差弾力性は低い。 ×オ 範囲の経済は、多角化を進める要因であることから、特定の事業においてコスト・リーダーシップを追求する上でも、考慮する。 |
競争戦略に関する事項の説明として、最も適切なものはどれか。 |
×ア M.ポーター(M. Porter)によれば、競争戦略の基本は、規模の拡大による低コスト化の実現と製品差別化と集中の3点があり、製品差別化と結びつかない低コスト化の追求は、短期的には成功を収めても、中長期的には持続的な競争戦略にはならない。 |
×イ ある特定の製品の生産・販売の規模を拡大することによって、生産・販売に関わるコスト、特に単位当たりコストが低下する現象は、「規模の経済」と呼ばれており、コスト・リーダーシップの基盤となる。 |
○ウ 経験効果とは、累積生産量の増加に伴い、単位当たりコストが一定の比率で低下する現象である。この累積生産量と単位当たりコストの関係に基づくと、将来の累積生産量から単位当たりコストを事前に予測して、戦略的に価格を設定することができる。 |
×エ 製品差別化が実現している状況では、当該製品の顧客は代替的な製品との違いに価値を認めているために、競合製品の価格が低下しても、製品を切り換えない。したがって、このような状況では、需要の交差弾力性は小さくなる。 |
×オ 製品ライフサイクルの初期段階で、コスト・リーダーとなるためには、大幅に価格を引き下げて、一気に市場を立ち上げるとともに、市場シェアを高める「市場浸透価格政策」が有効である。 |
過去問の答を覚えるベテ勉を続けると、①コストを下げた思い込みで読み飛ばしたり、②余計な差別化要素をマス目に入れる。それがおベテな規模の不経済な。
はい。ふとした判断ミスから同じミスを繰り返すリスクを注意一秒ベテ一生と呼びます。このような思い込みや先入観によるミスは、自分自身では気づきにくいため、周囲の人の意見を素直に受け入れ、謙虚な姿勢で接することが大切です。
今日のまとめ
そして、規模や範囲の不経済は2次対策に応用できる。他資格や初学優遇な当試験では、2次を150h以上解かない方が有利です。