J事例Ⅲ

【好感される自己採点】R5C社はテストキッチン / 生産知識より業界知識は史上初

事例Ⅰ、Ⅱですら難しいのに、従来の過去問と全く違う試験になったR5事例Ⅲ。当サイト調べの限りでは、【第6段落】ホテル厨房と同じ調理設備→テストキッチンに使えたスクールはゼロ以下です。

テストキッチンとは
"ホシザキのテストキッチンは、「導入を検討してるけど、一度、使ってみたい」「自分の厨房で使用するイメージをつかみたい」…といったお客様の声にお応えする体験スペース。実際の厨房をイメージして設置された製氷機や冷蔵庫、食器洗浄機、ディスペンサー、加熱調理機器まで、ホシザキの各種厨房機器を気軽にお試しいただけます。"
出典:ホシザキ南九州㈱

約20名参加の当サイト事例検討会で、第6段落の調理設備→テストキッチンに使えたのは、「ファミレス経験者」「業務食材卸経験者」の2人だけ。10人に1人しか知らない業界知識を国家試験に出してよいのか、ウチらしく真顔で検証な。

【好感される自己採点】R5C社はテストキッチン / 生産知識より業界知識は史上初

業界経験を優遇する意図こそないが、会計のⅣで80点、90点が飛び出す通り、このテストキッチンは没問にはならない。上手くいくと10点以上の大幅加点も期待できます。

そしてKEC様には申し訳ないのですが、引用のお礼を述べつつ、今回はAI答案の引き立て役に回ってもらいます。

第1問 強みS 20字×2要素で10点

Q
第1問(配点10点)
C社の生産面の強みを2つ40字以内で答えよ。
A
KEC模範解答AI答案
①多品種少量の受託製造体制、②自社製品や新規事業の企画開発に活用できる情報の保有。①経験豊富な経営者と管理者が料理人経験を持ち、②多品種少量の高級食品を供給できる。
今年の第1問SWはわずか10点で、しかも差がつかない。目を皿にしてキーワードを探す信者を横目に、余裕をカマして最後に埋めます。

【強み】各3点×4=10点まで
・経験豊富な経営者
・料理人出身の管理者
・多品種少量
・受託生産

第2問 生産管理・期待効果→人員不足の解決策を

Q
第2問(配点20点)
C社の製造部では、コロナ禍で受注量が減少した2020年以降の工場稼働の低下による出勤日数調整の影響で、高齢のパート従業員も退職し、最近の増加する受注量の対応に苦慮している。生産面でどのような対応策が必要なのか、100字以内で述べよ
A
KEC模範解答AI答案
受注量の変動による出勤日数調整の影響を和らげるため、前処理や軽量・カットなどの汎用調理器具を使った手作業が必要な工程について、専用生産設備を順次導入し、現状の少人数体制でも対応可能な製造工程を構築する。対応策は、①専用調理器具を導入して手作業の調理を自動または効率化し、②直接指導監督している作業方法をマニュアルで標準化し、③製造班をまたぐパートの多能工化を進めて週ごとの需要変動に沿った勤務体制を取る。(100字)
100字20点なので、いつもの1文3センテンスの構文を浮かべ、解答要素を3つ選び取ります。

【対応策①】各3点×2
・汎用調理→専用調理器具
・手作業を自動化
【対応策②】各3点×2
・作業方法のマニュアル標準化
・製造班の間の応援を可能にする多能工化
【期待効果】各3点×3
・作業の生産性を上げる
・週ごとの需要変動に沿った勤務体制
※効果は別解可
【文のキレイさ】2点

第3問 生産計画(調達)・期待効果→廃棄削減で収益UP

Q
第3問(配点20点)
C社では、最近の材料価格高騰の影響が大きく、付加価値が高い製品を販売しているものの、収益性の低下が生じている。どのような対応策が必要なのか、120字以内で述べよ。
A
KEC模範解答AI答案
入出庫量を正しく記録し、出庫情報も長年取引がある食品商社に適宜提供する。また、日ごとの納品情報も週初めに確定した段階で食品商社に提供する。食品商社が、必要な食材等を必要なとき必要な量だけ納入できる体制を整備し、在庫量の増加や廃棄等を抑制する。C社は、①受託生産品では地元食材の使用量や作業手順は指示されるため原材料調達と管理に注目し、②経験値による発注を改め入出庫記録をつけて在庫量を管理し、③食材発注頻度を月間から週次に変更し発注ロットを小さくして廃棄を減らし収益性を高める。(120字)
100字に比べ120字は間延びしますが、読みやすさ重視の時代では詰め込む根拠を増やすより、与件をより丁寧に引用する方が好まれます。

【レイヤーの特定】
・日程・調達・工数計画のうち、「調達」に絞ることを示す・・+3点
【対応① 調達計画】
・食材発注頻度を月次→週次 3点
・発注ロットを小さくする 2点
【対応② 現品管理】
・経験値の発注を改める 2点
・入出庫記録を付けて現品管理 3点(←ただし、単価の高い食材に限ること)
【期待効果】
・食材廃棄削減 3点
・収益性向上 2点
【文のキレイさ】2点

いつものⅢなら受注側の小ロット対応が、R5は発注側の多頻度小ロットのニーズを問う。ここの捻りは一定以上の加点があると考えます。

第4問 事業戦略・助言→製品企画の助言は試験の範囲超え

Q
第4問(配点20点)
C社社長は受注量が低迷した数年前から、既存の販売先との関係を一層密接にするとともに、他のホテルや旅館への販路拡大を図るため、自社企画製品の製造販売を実現したいと思っていた。また、食品スーパーX社との新規事業でも総菜の商品企画が必要となっている。創業から受託品の製造に特化してきたC社は、どのように製品の企画開発を進めるべきなのか、120字以内で述べよ。
A
KEC模範解答AI答案
レシピを必ず作成するとともに、活用しやすくするために、季節性や高級感といった観点で整理する。このレシピ情報および製品開発部の製品開発の知識に加え、現経営者や工場管理者の料理の知識、営業部員が有する各販売先の情報等も全社的に共有して進める。C社は、①受託製品における食材・使用量・作業手順のノウハウを蓄積して標準化し、②口頭で指示されたメモ程度のレシピの活用と整理を進め、③客先の厨房と同様の設備を持つ加工室に販売先料理長を招き、④調理場作業のニーズに応じた自主企画製品を開発する。(120字)
事例ⅢC社はR3鞄の商品企画、R4プレス加工の金型設計、R5の総菜企画と年々消費者&マーケ寄りになる。これは商品ライフサイクルの短命化を通じ、親会社や発注元企業が、積極的にアウトソーシング外注化を進めるためです。

【施策① 情報資源の蓄積】各3点×2=5点まで
・C社の受託生産に関わるノウハウ
・標準化して蓄積
【施策② 文章にして見える化】各3点×2=5点まで
・料理長からの口頭レシピ
・文章化して整理活用
【施策③ テストキッチンを活用】各3点×2=5点まで
・客先の厨房と同様の調理設備
・料理長等を招いて開発
【期待効果】各3点×2=5点まで
・調理作業のニーズに応じた企画開発
・他のホテルや旅館への販路拡大
妥当な内容であれば、上記に限らず幅広く別解可

近頃は業務スーパーなどで大容量の業務用食品は身近に。そして実際に書けるのは10人に1人程度でも、古臭い生産知識解答を避け、解像度の高い根拠を使うフレッシュな解答を。するとこの第4問はおっきく加点です。

第5問 新規事業・助言→妥当の2択はどちらもOK

Q
第5問(配点30点)
食品スーパーX社と共同で行っている総菜製品の新規事業について、C社社長は現在の生産能力では対応が難しいと考えており、工場敷地内に工場を増築し、専用生産設備を導入し、新規採用者を中心とした生産体制の構築を目指そうとしている。このC社社長の構想について、その妥当性とその理由、またその際の留意点をどのように助言するか、140字以内で述べよ。
A
KEC模範解答AI答案
C社社長は新規事業に積極的に取り組む方針であり、管理面、設備面、人員面で既存事業の生産体制への影響を防ぎながら生産能力を増強できる等の理由で、構想は妥当である。留意点は、配送回数が大幅に増えるため、営業部が兼務している配送業務の外部委託など配送体制の構築も検討することである。構想は妥当である。理由は、①高級感ある和洋食の総菜はX社既存総菜との差別化が可能で、②X社総菜コーナーの売上や客単価向上に寄与するためであり、③新規事業の設備投資を回収すべく外部人材の製品開発実務や管理の経験を生かし、④客単価の低くなる店舗への拡大に留意して実現するよう助言する。(140字)
この第5問30点は、妥当⇔そうでないよりも、事例Ⅱマーケ~Ⅳ設備投資まで総合的な視野が問われる点に留意します。

【結論先出し】
妥当である 5点 (←診断士の助言は原則プラス思考)
妥当でない 2点 (←某T○Cの言うような全面的×にはならない)
【競争戦略(Ⅰ)】
・高級感ある和洋食総菜 4点
・X社既存商材との差別化 3点
【マーケ(Ⅱ)】
・X社総菜コーナーの売上・客単価向上に寄与 4点
・外部人材の経験を生かす 3点
【設備投資(Ⅳ)】
・設備投資の経済性に言及 3点
・徐々に拡大させるリアルオプション的助言 4点
※与件根拠解答は幅広く加点するが、解像度の低い一般知識でマス目を埋めても加点なし。また「妥当でない」場合の根拠も適切な範囲で加点。
【文のキレイさ】3点

今日のまとめ

Q
どうみても過去問の経験が活きないR5事例Ⅲは、スクール564を打ち出す主催者側の勝利宣言? 全スクール中唯一まともなKECでさえ、AI解答に屈する初のテストケースに。
A

作問を明確に変えた年ではAI有利に
①業界知識で得点できるR5Ⅲは従来の生産知識偏重からの脱却を促し、②どうせ来年また作問が変わるので古い知識が不要と分かり、③与件根拠をどう引用するかのAI型学習が主流になる。(100字)

全スクール中唯一まともなKECさえ、軽く上回ってしまうAI答案。その成功要因は、①視野を広げて、②常に意識を高く持ち、③文の後方予測を得意にしてミライをズバリと当てることです。

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