初年度ワンチャン当選におっお喜びの間抜けが少なくない中、当日あまりの手応えのなさに肩を落として家路についたS.Iさん。「ではなぜ合格?」を考える好機到来です。
1. 診断士に挑戦した理由・きっかけ、年齢(任意)
現在の仕事(士業)に付加価値を与える資格として中小企業診断士の受験にチャレンジいたしました。自分自身が経営者でもあり、事実上クライアントの経営相談にも乗っていたのですが、体系的な知識を取得して自社の経営にも生かしつつ、クライアントへの還元もできればと考えたところです。
年齢 40代後半
2. 学習開始時の知識・保有資格、得意科目・不得意科目、「1次」科目別点数(合格年)
学習開始 | ー |
学習開始時知識 | アドバンテージのあるものは科目免除になっていますので、特になし |
学習開始時保有資格 | 弁護士 |
得意科目 | 「経済」、「企業経営」、事例Ⅳ |
不得意科目 | 「情報」、「運営」 |
1次科目別点数(2023年)
経済 | 財務 | 経営 | 運営 | 法務 | 情報 | 中小 | 計(700点換算) |
64 | 免除 | 76 | 58 | 免除 | 64 | 73 | 469 |
3. 学習スタイルとそのメリット・デメリット
1次 | 独学 |
2次 | 独学 |
動画視聴を中心とした独学(「1次」については1年目に診断士ゼミナールの動画を視聴しました)。参考書類や文献等はすべてPDF化してiPadにつっこみ、いつでも参照できる状況は作っていました。
○メリット | ×デメリット | |
---|---|---|
「1次」「2次」共通 | 場所や時間を選ばない | 特に2次試験においては自己を相対化して評価できずさまよってしまいました。 |
4. 筆記合格までの受験回数、学習時間とその作り方
回数 | 「1次」:2回(いずれも合格) 「2次」:3回 |
学習時間 | 記録せず |
作り方 | 本業のみならず、本の執筆、所属団体の役職やPTA会長をやっていたため、まとまった時間がとれず、隙間時間のやりくりになってしまいました。学習時間の記録はできていないのですが、時間を取ることはほとんどできていませんでした。 |
5. 筆記合格までの学習法(1次・2次)
「1次」
利用テキスト | 「診断士ゼミナール」、「TBC」の動画視聴 |
戦術 | 過去問を解き、わからなかったところを個別にWeb検索や動画検索をして補強。 経済学については、「はじめよう経済学」、情報システムについては応用情報技術者試験関連の動画が参考になりました(ただ、今年の問題は難易度が大幅に上がったという感想です。)。 |
「2次」
利用テキスト | 事例Ⅳを中心に過去問を独学。 |
戦術 | 特に1年目は(基本知識がないのに財務会計が科目免除をいただいてしまったがため)事例Ⅳに全振りしました。その結果、得意科目になりました。 事例Ⅰ〜Ⅲは「TBC」、「まとめシート」、「ふぞろい」などで復習していたのですが、どうも納得感がなく、これという型を身につけられないまま時間を使ってしまいました。 |
6. 私の思う当落分岐点 ~試験合格への転機を感じた、あの瞬間~
「2次」 | 1年目、2年目と総合Bでガチャに外れてしまいました。ただ、その中でも事例ⅣだけはいずれもAがとれていました。開示のあった令和4年ではあと数点だったので、事例Ⅱのミールキットに気づくか事例Ⅳの上乗せがあれば届いていた計算になります。ミールキットは二度と出ない以上、事前の準備ができるのは事例Ⅳしかありません。そのような計算の元、「イケカコ」を購入し、購入翌日にこのサイトの門を叩くことに決めました(この時点では、令和5年に「あああ、サブスク〜」と嘆くことになるとは思っていませんでした。)。 事例Ⅳを目的に参加した勉強会でしたが、そそくさと購入した「イケカコ」を初日に封印して、持ってない振りをしました。「TACの解き方」は確実に力になりましたし、直前1か月で始めた事例Ⅰ〜Ⅲの演習もみなさんの集合知に助けられました。 |
7. 学習時・試験当日のエピソード
- 2次試験会場は、大正大学の講堂で、私の席はもっとも左かつ最前列でした。試験が始まっていちばん困ったのが、照明の関係でペン先が見えないことです。事例Ⅰで答案用紙に記載をするのですが、何度字を書いても、字の角と角が合わない、つまり字にならないのです。またストレスと去年から患っている五十肩の影響か、右腕が痺れて力が入らない状態にも悩まされました。時折腕を振ってストレッチし、書いては消し書いては消しという試行錯誤を余儀なくされた結果、時間の浪費にあって最終問題が白紙の状態で「残り5分」のアナウンスが。考えもまとまらないまま、一般論で殴り書きをせざるを得ませんでした。
- 事例Ⅱを迎える前の休憩時間にストレッチを兼ねてひとり反省会。事例Ⅰの配点を見ると、最終問題の第4問が合計40点になっており、まるまる落とすとその時点でジエンドになることに気が付きました。事例Ⅱ以降も80分で解けない問題が出る可能性がある以上、コンティンジェンシープランとして、「落とすのであれば配点の低い問題」という戦略を立て、ⅡとⅢについては最終問を優先的に着手する方針としました。
- 事例Ⅱはサブスクが出てこず、また事例Ⅲは総じて難化していたことから、まったく手応えはありませんでした。ただ、いずれの最終問も成績はともかくそれなりに取り組んだ内容を書けたとは思っています。
- この時点で何かが足切りになっている可能性はありますが、やるだけやってみようと事例Ⅳには必死で取り組み、第3問の設問(2)以外は解答できました。
8. これから合格を目指す方へのアドバイス
- 試験後の情報交換で「あああ、サブスク〜」ということもあり、筆記合格発表はまったく期待していませんでした。発表の日、自分の番号がなくて不合格を確信したものの、知り合いの方に合格を教えていただき、自分が間違って令和4年の発表を見ていたというオチも付けてしまいました。
- 月並みではありますが、ギリギリまで諦めないという気持ちは大切です。本番は想定外の連続です。そんなときに割り切ってプランBを実行できるかどうかが分岐点だったかも知れません。まだ得点開示はされていませんが、事例Ⅳに救われた一方、いずれも足切りされなかったことは、結果的に合格につながる要因でした。
- 合格発表の確認で間違えるという想定外はさらに想定外でした。