診断士には誰でもなれる。
でも学習環境にはハンデあり。
今日の受験体験記は、「今年の「2次」は厳しい結果になるだろう」「でもエクセルシリーズを使うとこうなった」。その報告と感謝を兼ねてご寄稿いただいた、受験5年目のたなち様の体験記です。ではさっそくどうぞ。
受験体験記:地方受験5年間の七難八苦~たなち様
1. 診断士に挑戦した理由・きっかけ
渡邉美樹のファン。「夢に日付を」を読んで、何かに計画的に挑戦したいと思い「勉強」をすることに。知ってはいたが合格するわけがないと思い込んでいた中小企業診断士を調べてみると自分が勉強しようと思った内容と全く同じだった。要は大学経営学部のやり直し。これが5年前、当時40歳になったばかりの7月。
今となっては、勉強をやめたら知識がボロボロ失われていくのでやめられない。
2. 学習開始時の知識・保有資格、得意科目・不得意科目、「1次」科目別点数(合格年)
- 職業:銀行員
- 保有資格:簿記3級のみ。大学受験もあまり勉強経験なし。
- 得意科目:
「財務」→好きではなく得意でもないが、仕事で決算書は毎日みていた。
「企業経営理論」「運営管理」「法務」「中小」→得意ではないが、テキストは興味深く関心を持って読むことができた。 - 苦手科目:「情報」「経済」テキストは興味深く関心を持って読むことができたが、さっぱり頭に入らかった。
H25年度
経36(得点調整後)
財79
企61
運52
法65
情64
中小60
合計417
H26年度
経80
運68
→「1次」合格。
(1年目417点、2年目466点※単純加算)
以後H27年度は7科目合格、H28年度は経、財、情に合格。H29年度残り合格。
「1次」の合格証書は合計3枚あり。
3. 学習スタイルとそのメリット・デメリット
勉強開始時に近くに通える受験校がなかった事と、価格、知名度からユーキャンを受講。「1次」対策と試験情報は十分役に立った。「2次」対策の添削も2回分あったのでカリキュラム通り提出した。
「1次」1年目(H27年度) ユーキャン通信。 |
「1次」2年目(H26年度) 独学。「2次」1回目もそのまま独学。 |
「2次」2年目(H27年度) TACばら売り受講(基礎と直前をDVD)と受験校主催の勉強会。 |
「2次」3年目(H28年度) AAS名古屋の通信教育。 |
「2次」4年目(H29年度) AAS名古屋の春秋要約だけ受講し独学。 |
1年目の後半に「一発合格道場」を見つけ、「タキプロ」「ふぞろい」「200%ストレート合格」等試験ブログも毎日読んでいた。全くの初心者なら受験校(通信含め)を利用した方が教材の質、情報、習慣化の点で確実。
勉強と情報収集に自信がある人は、全部の科目を受験校のペースに合わせるのは時間がもったいないので独学で自分なりのカリキュラムを組むのもありだと思います。「2次」は完全に1人だと難しく、他人に自分の答案をみてもらった方がいいです。
4. 2次挑戦までの受験回数、学習時間とその作り方
H26年度から「2次」試験は今年で4回目。毎年「1次」を受けており、8月までは「1次」中心に勉強。ブログ、細切れ時間も含めて平日2時間、休日4時間程度が習慣となった。
5. 2次挑戦までの学習法
1年目 ユーキャンで始めてすぐに図書館で「高島徹治」の勉強法本に出会い、世の中に「勉強法」なるものがあることを初めて知った。テキスト3回読み、問題集繰り返しを取り入れカリキュラム通りに進めた。TAC模試やユーキャン模試では1カ月前に330点くらいしか取れなかったのに、7月に過去問を中心に追いこんだら417点(4点調整後)まで伸びて驚いた。やはり過去問は大事。 |
2年目 残り2科目を独学することにして、石川秀樹先生の「速習経済学」と「過去問完全マスター」を使用。「経済学」は「速習経済学」の動画をすべて見てグラフの重要さを教わったら、その後貯金科目になった。実際にグラフを動かして説明してくれたおかげ。石川先生がユーチューブに「平成25年度中小企業診断士「1次」試験の振り返り」という動画をあげていて、「今年の試験を1文字で表すと、『?』です。」と言ってるのを見たときは胸がすく思いがした。※当サイト注:H25「経済」は大きく難化して2回目の得点調整となった年です。「経済」はその後4年連続で易化しています。 |
3年目以降 「TAC過去問」、「過去問完全マスター」、「スピテキ」、「ポケテキ」、「特訓問題集中小」(TBC)等書籍とブログ4つを利用。 |
H26年度 (「2次」1回目) 8月までは「1次」中心。「1次」合格が分かってから、「世界一やさしい答案作成術」「事例攻略のセオリー」「ふぞろい」を使って独学。「読む」「考える」もできていなかったが、「書く」が全くできなかった。本番でさえ書きだすことができないのでは、と心配していたが見切り発車で完答。DCBAの総合B。案の定、的外れの答えを書いていた。 |
H27年度 TACのばら売り「2次」対策(DVD講義)を受け、受験校(TAC提携校)主催の勉強会にも参加。三好先生がテレビの向こうで『「事例Ⅳ」は設計が大事』と言っていたのは目からうろこだったが、他はあまり理解できず。勉強会の講師からAAS流の書き方を教わり、多少ましになった。BABBの総合B。 |
H28年度 AAS名古屋の通信講座を受講。春秋要約もあり、「読む」「書く」の基本は教わることができた。事例Ⅰ~Ⅲに時間をかけ事例Ⅳ対策をあまりしなかったら、みんなできたせいかH26年度のようなゲタはなく見込みを下回る点数だった。BBBCの総合B。 |
H29年度 これ以上は参考書を見ても別の受験校を受講してもノウハウでしかないと思い独学。AAS名古屋の春秋要約だけ継続し、試験ブログ4つを読みながら8月までは「1次」中心。 8月からも何をやったらよいかわからず、昨年の反省を踏まえ事例Ⅳばかりやっていた。「読む」と「書く」の型は決まっていたので事例を解くこともせず。 |
事例Ⅰ~Ⅲについて、設問分析エクセルを使い何かが見えてきたのが10月に入ってから。
http://fuxin24.net/2017/10/20/post-7431/
もともと表にするのが苦手。テキスト等で同様の表は何年も前から見ていたがなにも感じとれていなかった。とりあえずダウンロードしプリントアウトして持ち歩くことに。
そうするうちに「分析」問題が多いなあと思うようになり、エクセルにオートフィルタを追加。視覚的に出題傾向を感じられるようになった。
最終的に設問を以下に言い換え。真の題意は「探せ」と解釈。
- 「分析」→「与件文から強み、弱み、機会、脅威を探せ」
- 「課題」→「与件文から問題点を探し、あるべき姿に裏返せ」
- 「助言」→「与件文から強み、弱み、機会、脅威、事例企業がこれまでにやってきたこと、社長の思い、を探して混ぜ合わせて今後の方向性を導き出せ」
すべて設問は、与件文から探して「1次」知識に照らし合わせて回答するということを今更ながら実感。それと「1センテンス5点」に納得。すでに超直前期だったが「1次」復習、白書の事例企業の見直しをすることにした。
「明鏡止水」には程遠く、試験当日の休み時間にも白書事例企業の取組を抜き出したノート、「全知識」と格闘していた。
昨年までは「受け身」の姿勢だったが、今年はようやく直前に「攻め」ができたように感じます。「受け身」では55点まではすぐだけど、そこから先はなかなか進めないです。これを書いていて気付いたが、「2次」はクロスSWOTをさせようとしているのかな。
事例Ⅳ対策では、エクセルシリーズが画期的だった。
「事例Ⅳ」エクセルシリーズはこちら
これまで経営分析等の計算機をたたくだけでできる問題はなんとかなっていたものの、条件の読み取りが面倒で整理が必要な問題は「面倒くさい。得意な人はササッとやるのだろうけど自分には無理」と投げ出していた。
エクセルシリーズで、こちらのサイトの計算手順をたどることができて、「高得点者でさえ条件を丁寧に整理して、習った計算の仕方をあてはめて解いている。」と知り、ようやく丁寧に解く覚悟ができた。
「スッキリ」では、同じくエクセルを使った計算手順と簿記1級の意思決定会計の範囲、タイムデーブルを丁寧に書くことの重要性を知ることができ、とてもスッキリした。おかげで事例Ⅳの出題範囲も「こんなもんだろう」というのを持てた。
事例Ⅰ~Ⅲでは進歩がないので、事例Ⅳで80点を目指したが、「事例Ⅳにひとこと言いたい」でコメントした通り撃沈。かねて言われる通り欲張ってはいけなかった。
6. 学習時・受験時のエピソード
地方受験生。「1次」では土曜の朝5時台の電車や金曜の夜行バスで試験会場に向かった事があります。7科目受けた時は必ず「企業経営理論」で居眠り。今年は初めて、「企業経営理論」からのスタートだったが、居眠りしなかったにも関わらず去年の59点から1点しか変わりませんでした。
7. これから合格を目指す方へのアドバイス
ストレート合格には、すでに読む力と書く技術が備わっていることが最低条件。そのような人が「1次」対策を通じて診断士に求められる知識を身につけ、「2次」答案を書くから合格するのでしょう。
「読む力」とは、国語の問題ではなく診断士の目線を持っているか、「書く力」とは国家資格保有者を名乗らせて恥ずかしくない文章が書けるか、ということと思います。この2つに目途が立ったらあとは知識の吸収にまい進するだけ。時間を費やす価値があるのは知識の吸収だけといえるので、この試験の肝はやはり「1次」。
敗軍の将なのに長々と語ってしまった。歴が長いだけに体験記も長くなりました。今年も受かる気がしないセンスのない者の体験記なので、
使えそうなところだけお使いください。
万が一、多くの方が↑を取り入れて来年よく似た答案が増えたなら、群れの一匹としてゴールに紛れ込むことを期待しています。
合格させる方もクセがすごい特徴的な答案をバラバラ合格させるよりは、粒がそろった的外れでない答案をまとめて合格させる方が安心できるはず。↑は的外れではないと思っています。(来年は違うことを言ってるかもしれないけれど。)
受験体験記~たなち様まとめ
- 通学に比べ、地方独学はやはり不利?
- 合格していないのに「アドバイス」とは何事?
- 体言止めは読みにくい(※)。やめた方が良いのでは。
簡単にはこういうことです。
- 敬体「です、ます」
→相手に読んでもらえる文章を。 - 常体「だ、である」「体言止め」
→相手への説得感を高める、従わせる。
但し、「ですます」に比べ書くスピードが速く、執筆を通じ自分の思考をまとめるのに便利です。 - 口語体「ですって、だったよ」
→親しみやすい一方、「おちゃらけ」にならない様、工夫が必要。
当体験記を読み、疑問や疑念がいろいろ浮かびそうですが。
地方・独学受験とは結構しんどそうだな。
でもね。自分に苦しさやハンデがあるほど、克服した時のメリットが大きい。事実、合格前でもいろんな気づきがあるものです。たなち様、貴重な体験談のご寄稿、大変ありがとうございました。
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