数ある口述試験失敗談に共通するのは、「想定問答の丸暗記に終始し」「それを夢中で答えた結果」「試験官にツッコミされて頭が真っ白」。そこで想定問答丸暗記を全く不要にする賢い口述対策を、1/5から5回シリーズでお送りします。

K事例Ⅳ

【実務ポイント】中小社長に喜ばれるCVP~値上げ・賃上げ時代の利益改善

生き馬の目を抜くAI時代でそこらの口述対策にヲタヲタすると、いい年こいて隣のふぞろいおじオバ認定の刑が確定。そこで私なら、実務補習または実務に出てくる最新ネタで口述試験に備えます。

①限界を超えた材料費・労務費上昇

原材料やエネルギー価格の急激な高騰は、もはや現場の自助努力だけで吸収できる水準を遥かに超えています。

乾いた雑巾を絞るような過度な我慢を続けることは、将来への投資余力まで奪いかねない重大な経営リスクとなります。

②泣き落としではないクールな値上げ交渉

「苦しいから上げてほしい」という単なるお願いではなく、客観的な根拠データに基づく論理的な準備が不可欠です。

製品ごとの原価上昇分を正確に「見える化」することで、取引先も納得せざるを得ない適正な改定額を算出します。

③納入先も満足顔の単価UPでWin-Win

一方的な値上げ通告ではなく、サプライチェーン全体の持続可能性を守るためのパートナーとして誠実に提案を行います。

段階的な改定や仕様の見直しなど柔軟な代案も用意し、双方がWin-Winとなる着地点を粘り強く探りましょう。

④適正利益がもたらすプラスのスパイラル

適正な利益の確保は、従業員の賃上げ原資や次なる設備投資を生み出し、攻めの経営への転換を可能にします。

価格転嫁の成功体験を強力な原動力として、会社全体に活力ある成長と笑顔の好循環を取り戻していきましょう。

【実務ポイント】中小社長に喜ばれるCVP~値上げ・賃上げ時代の利益改善

1/14に晴れて合格を果たし実務補習先に赴くと、そこはかなりの確率で「値上げ賃上げの波に苦しむ中小製造業」になる。その社長の悩みをAIでズバリ解決して事務ポイントGETです。

Step-1:迫りくる危機~このまま作り続けても儲からない

価格転嫁の遅れ~中小製造業は物価上昇を【コストダウンで吸収しがち】

出典:2025年度版中小企業白書 Ⅰ-80ページ

①最低賃金UPで奪われる中小製造業の経営体力

国内企業物価指数が前年比3.8%上昇する一方で消費者物価指数の伸びは3.0%に留まっており、この0.8%のギャップが中小製造業の利益を構造的に圧迫し続けています。

過去最大となる全国平均51円の最低賃金引き上げは固定費を増大させ、売上数量が変わらなくとも赤字に転落してしまう「新・損益分岐点」の危機を招いています。

②下請体質×値上げ遅れで借金地獄に

原材料費の支払いは即座に高値で発生するのに対し売価転嫁による入金には半年以上のタイムラグがあるため、帳簿上は黒字でも手元資金が枯渇する恐れがあります。

中小企業庁の調査でも約2割の企業が価格転嫁できていない現状があり、コストプッシュインフレ下での資金ショートは黒字倒産という最悪の結末を引き寄せます。

③材料値上げ+賃上げが続くと中小企業は軒並み赤字

売上高10億円のモデル企業で売上横ばいのまま材料費が10%かつ人件費が5%上昇すると仮定した場合、変動費と固定費の同時膨張が始まります。

従来5,000万円あった営業利益は一瞬にして1,750万円の赤字へと転落するため、数量維持ではなく単価引き上げのみが企業の生存を保証する唯一の解となります。

3月決算企業はそろそろ来期予算を作るので、中小社長もこの程度は知っている。その「知っている」を「できる」に変える実行力が診断士の真価です。

Step-2:B2BとB2Cで異なる価格ロジック

診断士が得意なCVP:全部原価計算→変動損益計算書に進化

制度会計上の全部原価計算では在庫を積み増すと固定費が資産計上されて見かけの利益が出るため、この在庫マジックが値上げの決断を遅らせる元凶となっています。

資金繰りの悪化を防ぐには変動損益計算書へと頭を切り替え、いくら売れば固定費を賄えるかという限界利益の総額管理を経営判断の基準に据える必要があります。

【B2B・下請け型】根拠に基づく「論理的交渉術」

公正取引委員会の労務費転嫁指針では発注者が公表資料に基づく協議に応じることが義務付けられており、パートナーシップ構築宣言を梃子に対等な交渉の場を作れます。

自社の原価内訳を全て開示するのではなく最低賃金上昇率などの客観的指標を用いて加工賃の改定を迫ることで、感情論を排したデータに基づく論理的な合意形成が可能です。

【B2C・製造小売型】数量減を補う「最適価格シミュレーション

単価を10%値上げして販売数量が2割落ちてもトータルの限界利益総額が増えれば成功といえるため、CVP感度分析を用いて客離れへの過度な恐怖を払拭できます。

薄利多売のモデルから脱却してブランド価値に見合った価格設定を行うことは、結果として自社を評価する優良顧客との関係を深め収益構造の質を高めることに繋がります。

中小企業は必ず税理士とセットになっており、CVPをしましょうは「それはもうやりました」で切り返される。そこで変動損益計算書に変えましょうと切り出します。

Step-3:経理DX×AIが実現する「手間ゼロ管理」

実在企業の月次PL~変動損益計算書なら損益分岐点売上高が一目でわかる。

①勘定科目法で簡易に組み替え

勘定科目法を用いて会計ソフト上で変動費と固定費をタグ付けし、freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計とBIツールをAPI連携させることが第一歩です。

経理担当者の作業負担を増やすことなく限界利益の推移がリアルタイムで可視化されるため、経営者は試算表を待たずに即座に次の一手を打つことが可能になります。

②営業と製造は「限界利益」が共通目標

営業の売上目標と製造の稼働率目標を限界利益総額という共通指標に統合することで、部門間の不毛な対立を解消し全社一丸となって利益最大化に向かう体制が整います。

受注システム上で限界利益率が基準を下回る案件には警告を出して赤字受注を物理的にブロックすることで、忙しいだけで儲からない仕事を排除する業務フローが確立されます。

③最低賃金UPをチャンスに変えて利益成長

値上げで獲得した原資を人的資本経営の観点から積極的な賃上げへと投資することで、従業員エンゲージメントが向上し離職率の低下や採用力の強化という果実が得られます。

熟練技能の蓄積が進めば現場発の生産性向上や品質改善が実現し、それがさらなる付加価値を生んで次の価格改定を可能にするという成長のスパイラルが完成します。

実務補習先がリアル製造業である場合、「営業が売ってこない」⇔「生産が作らない」と社内が犬猿の仲であることが多い。それを「限界利益」を共通目標にし、互いの貢献を引き出してコミュニケーションを成立させると、中小社長が大喜びです。

今日のまとめ

Q
2月から実務補習に行くとちょうど予算編成時期だから、3年中計を社長と一緒に作るのが良い。そのとき「材料費は年率10%・労務費は年率5%で成長」させると営業利益が赤字に転落するので、値上げの必要が社内に伝わる。
A

東京はまだしも地方製造業のパート賃金はほとんど最低賃金。国の政策で最低賃金を上げくさった以上、そこを価格転嫁に変換するのが、中小社長に最も喜ばれる【実務ポイント】です。

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