H事例Ⅰ

【40分でA答案】絶対に正解させない作問技術(企業診断2022年7月号Ⅰ)

EBAの「Ⅰ」と聞き、嫌な予感がしたあなたは正解

①あらゆるトンデモ知識が突然聞かれ、②一般人では到底書けない超絶解答がレイヤーまぜまぜと知り、③ダミー根拠&迷彩カオスの手口を見て本試験に備えた度胸を鍛える。(100字)

そして、ありがとう企業診断。ぼっちが溜息をつく超絶解答が、なんということでしょう。みんなの力で、作問係の手口のヒントに。

「Ⅰ」作問傾向は、根拠マシマシ⇔突然知識の二極化へ
①そこで完全な知識問題は答が浮かべば最初に書いて安心し、②浮かばなければメモだけして後回し。③一般ビジネス常識で案外埋まる初学者向けのサービス問題に。(100字)
超絶スクールの超絶解答はニヤリ笑って真似しない
①レイヤーとは作問係が設問構成を考えるフレームであり、②設問1つに3レイヤー混ぜたら当てることなど到底無理で、③これぞ求める超絶解答と勘違いするとベテ扱い。(100字)
設問別マーカーで判明したスカスカダミー&迷彩カオス
①与件前半無駄話はマス目に要らないダミー段落で、②後半ほど複数問に使う迷彩カオスにすると、③虹色マーカー抱えて目を皿にして与件を読むふぞ&ベテ除けに。(100字)

2022年7月号Ⅰ EBA与件を設問別マーカー

それではEBAは、事例Ⅰの根拠をどう与件にデザインしたか。設問別マーカーを使い、前半段落のスカスカぶりと、第6~7段落の迷彩カオスを視覚化します。

第1問 同族企業のメリデメ
第2問 事業承継のためらい
第3問(1) 海外販売の成功
第3問(2) さらなる強化策
第4問 グループ人事制度

1⃣製麺会社の海外レストラン事業 (第4問)

A社は資本金1,000万円、従業員30名、売上高3億円の麺類を製造販売する中小企業である。現社長とその父親が全株式を保有している。A社の創業は1950年で、現社長は3代目になる。麺類の製造販売事業とは別に、A社長が全株式を保有するレストラン事業(F社:資本金500万円、従業員40名)も経営している。レストランは国内外に展開しており、パート・アルバイトや外国人労働者など、多様な従業員が勤務している。

2⃣うどん→ラーメン→パスタにシフト

A社の主な取扱商品は、生パスタ、生ライスヌードル、生中華麺、生うどん、餃子皮などで、現在はグルテンフリーパスタなどの海外販売に力を入れている。グルテンフリーとは、グルテンを含まないという意味で、小麦やライ麦に含まれるグルテンを原材料としない食品を意味する。欧米を中心にグルテンフリー食品が注目されており、さまざまな食品が販売されている。現在のA社の製品の約3割がグルテンフリーヌードルで、そのうち4割が輸出用製品である。

3⃣全く使わぬダミー段落

A社は、1950年に生麺製造業として創業した。当時は近隣のそば屋やうどん屋向けに生そばを製造販売していたが、その後、当時では珍しかった餃子皮の製造を開始し、A社長の父の代になってから、2代目社長はうどんの販売がやがて頭打ちになることを見越して、これまでの業態を大きく変えることを決意し、新たな製品の開発を模索した。その頃、国内で流行の兆しがあったラーメン用の生麺を開発することを決め、独学でラーメンの生麺の製造方法の開発に取り組んだ。地域の中華料理店を全店舗まわり、中華料理店のスープに合う生麺の開発を行った。A社長の祖父は、地元中華料理店に自社製品を使ってもらうべく営業開拓し、納品先を数店舗開拓することができた。当時は、中華料理店の出店が増加していたことや、多くの中華料理店がのれん分けにより出店していたことから、必然的にA社の生麺の納品先が拡大することになった。

4⃣ムダ話の最後にしれっと「特許」 (第3問)

A社が事業を拡大するきっかけとなったのは、地元特産米を使用した米粉の開発であった。2代目社長が取引先企業から、小麦粉アレルギーを持つ顧客でも食べられる麺はないかと依頼されたことから、米粉を使用した麺の開発を考えた。米粉なら、グルテンフリーで麺を製造できる。また当時、国内では小麦粉の価格高騰や米余りが社会問題となっており、小麦粉の輸入依存度を低下させるため、国を挙げて米粉に代替する取り組みが始まりつつあった。2010年には国産米粉の流通ネットワークを促進するNPO法人が設立され、2代目社長はメンバーに招聘された。県内でも米粉商品開発研究会が設立され、県内の米を使用した本格的な米粉の生産が始まった。2代目社長も研究会の理事としてこの活動に参加し、自身も生米粉麺工場を新設した。このような国内の動向が追い風となって、2代目社長はこれまで培った生麺の製造ノウハウを活用し、県内の関係者の協力を得ることで、複数の米粉製品の開発・販売に成功した。そして、自社開発製品の特許を取得することで、競合他社の模倣に備えた。

5⃣同じくムダ話の最後に「権限移譲」 (第3問)

3代目社長(A社長)は、創業社長の孫に当たる。A社は2代目社長の長男が継ぐことが早くから決まっていたため、A社長は自身の夢であった海外での飲食店出店のため、海外留学してレストランビジネスを学んだ。大学でシェフとして技術を学び、知人の紹介で地中海料理のレストランで見習いとして修業した。大学卒業後は、帰国して県内の調理師専門学校に入学し、本格的に料理の勉強を開始した。在学中に調理師の免許を取得し、専門学校卒業後は、父親の知り合いでもある県内の著名なフレンチレストランに就職して料理人としての修行を始めた。修行を開始して3年後、A社長はこの新店舗の店長に抜擢され、料理長として経営を任させることになった。開店当初は思うように集客できず苦労したが、留学時代に海外のレストランで学んだメニューづくりや店舗づくりを反映するなどの経営改善を根気よく続けた結果、固定客がつくようになり、事業を軌道に乗せることができた。そして、開店から5年が経過した頃に、オーナーからレストランを譲渡したいという提案を受け、A社長はレストランの経営権を取得した。A社長は飲食事業としてF社を設立し、レストラン事業の受け皿とした。現在では料理長はA社長が育成したシェフに任せ、店舗管理はA社長自ら行っている。

6⃣海外レストランの理念と多店舗展開 (第2問、第3問)

A社長には、海外でレストラン事業を展開したいという夢があった。海外でのレストラン事業拡大を通じて日本の技術を広めるという経営理念を掲げ、まずは国内において十分な実績を積み上げる必要があると考えた。イタリア料理店、韓国料理店などを展開して多店舗化を図りつつ、従業員の育成に力を入れた。そして、経営権を取得してから5年後、学生時代からの夢でもあった海外店舗1号店の出店を実現した。それから数年後、A社の後継者として期待されていたA社長の兄が急逝したため、2代目社長は次男であるA社長に事業承継を求めた。A社長は一度断ったが、2代目社長との話し合いの末、A社を承継することを決めた。

7⃣バラマキ根拠の中に混ざった他設問の核ワード(第2問、第3問(1)(2))

A社を承継したA社長は、2代目社長がこれまで培ってきた資産を守りつつ、事業領域を見直すこと決意した。これまでは国内市場を事業領域としてきたが、A社長は、先代が開発した生麺を海外で販売することを決めた。海外で開催された国際食品展示会に出展し、米粉うどん、玄米うどん、豆乳うどんを展示した。A社長は当時、グルテンフリーの麺類が注目されていたことを知り、グルテンフリーパスタとして展示した。A社のブースには長蛇の列ができるほど注目を浴びることになり、複数のスーパーやホテルとの取引を実現した。海外で流通しているグルテンフリーパスタはほとんどが乾麺で、粒度も大きく、食感も硬かった。A社長は海外取引先の声に耳を傾け、つなぎで使用する小麦を排除し、100%米粉原料として、通常の製麺方法で生麺を製造する方法を開発した。さらに、米粉の粒度を小さくすることにも成功し、グルテンフリーでもグルテンを使用したときと同様の食感を再現した。また、A社長は、インターネットを利用して欧米の消費者に直接、自社製品を販売することを決めた。海外向け製品の管理業務は、留学時代に親しくなった現地在住の友人が引き受けてくれた。こうしたA社長の取組が実を結び、A社のグルテンフリーパスタの海外販売は拡大した。

今日のまとめ

Q
EBA=超絶とされるのは、確かにそうだが現実的にまず書けない。リアル本試験に備えた肝試しにはもってこい?
A

そして、ありがとう企業診断。構文が普及し見る目が肥えると、スクールの優勝劣敗まで一目でわかって便利だろ?

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