H事例Ⅰ

【HAKS流】 2次ノート「Ⅰ」~設問分析(前)

先日までの投稿では「時間軸を戻して」、国語力や1次知識にフォーカスを当てた記事を紹介しましたが、こちらの読者のみなさまは「そんな事はいいからお前の実戦での戦術を教えろ!」とお叱りを受けそうなので、ここらでもう一度本題のノートの話に戻しましょう。

HAKS流 2次ノート「Ⅰ」~設問分析(前)

まずはもう一度私のノートの確認から(事例Ⅰの前半戦)

構成は基本的に問題を解くにあたっての「手順」になっている。


概ね、「全体戦略」
→「設問分析」
→「大枠把握」
→「切り口パターン」と言う構成。 これに沿って事例Ⅰを確認していこう!

1⃣【全体戦略】

全体戦略に関しては各事例共にすでに他の記事になっているので、こちらをご覧いただきたい。事例解法のもっとも重要なエッセンスが詰まっている。

2⃣【設問分析】

(1)解答フレームの「外部環境」は捨てて、思考プロセスに留めよ

聞かれたことに答える⇔答えていないの差とは

解答において、読んでいて胸糞悪く、ふぞろいなどでもB・C評価の人に多い解答がこのパターン。どんなものかと言うとQ「A社の当時の業績の悪化原因を〇〇字で述べよ」→A「業界の共通の課題である不景気の対策や海外からの代替品の影響を受け、さらには法改正などの問題もあり、業績が悪化しているため、経営改革が必要であった」と答えるのだ。

さて、与件本文はなくて具体的でなくとも、事例Ⅰ(組織・人事)という問題を解くという物として、絶対的に足りない物、、、、すなわち、作問者が聞きたいこととは何かお分かりだろうか?

それは「外部環境に屈してしまったA社の内部環境的原因」だと考える。この内部環境とはすなわち「自社の組織や人材」の事を指す。これについて触れずに延々と「読めばわかる」当時の状況をわざわざ編集してもう一度書いているのだ。

先日の記事でも多少触れたが「与件本文はヒアリング内容、解答は診断書」のつもりで書く「ミニ事例集」だと思うと、与件の再編集をするという事は「社長から聞いた話をオウム返しでもう一度言って、実のない話で結論とする」解答となる。要は顧客ニーズを満たさないイライラ解答となる。

例えば、上記の例ならば「機能ごとの機能別組織制を敷いていたために、景気の変化や代替品への対応などの情報を迅速に処理できずに、業績の悪化に気づける体制でなかったため」という答えにするだけで、与件文がここになくても、なんとなくA社がどんなことに問題を抱えてそうかわかる気のする「ロジカルな解答」となる。

文中に余計な与件文の写しをしていて、文字を埋めてないかはしっかり確認したい。

(2)それでも外部環境や内部環境の変化を書く場合は次の典型例しかない

踏まえて系設問での対応

踏まえて、考慮して、基づいて、具体的に

先ほどの内容でも「例外」がある。これは設問に「当時の状況を踏まえて答えよ」とある場合だ。これにはしっかりと、その内容を盛り込まないと「聞かれていることに答えていない」ことになる。他にも同じような言葉で、「考慮して」「基づいて」「具体的に」という言葉があったら、過去問でのA解答はしっかりと外部環境を書いているものが多い。

(3)第1問・最終問題戦略は次の優先順位で検討をせよ

①解答方針は「組織・人事」

第1問あたりで、これまでの成長要因を聞かれることが多いが、そういった場合は素直に「組織・人事」にフォーカスを当てた解答をするべき。例えば、「成長要因は①〇〇な能力を持った人材、②△△に対応した組織」とする。するとこの解答は事例ⅠにおけるSWOT分析の「強み」が分かった状況なので、これはこのまま、コアコンピタンスとして「全問題」に使っていく「資源」となるのだ。それを考慮したうえで、事例Ⅰでの事業の成功・失敗理由は次の2つの論点に絞られる。

【事業が成功する理由】
コアコンピタンスを活用できる事業分野に効率的に進出したから
【事業が失敗する理由】
コアコンピタンスを活用できない事業分野に無謀にも進出したから

たったこれだけの事なのだ。このロジックが分かれば第2問以降(HAKSは間問題と呼ぶ)は余裕だ。

②たま~に「戦略」、それでも何らかの「組織・人事」に帰結できないかを検討

これは昨年の問題が相当するのだが、最近の傾向として第1問や最終問題が組織・人事の問題ではなくて「経営戦略」を問う問題が増えている。

これはチャンドラーの「組織は戦略に従う」という理論からくるもので、最初にSWOTよりも「戦略」を説いて、そのあとに必要な「組織・人事」を設計していくという問題形式なのだ。ネットでまことしやかに言うウツケ受験生の「SWOT不要論」はおそらく、こういったことを「体感して、言葉にできていない」事に起因すると思われる。

とはいう物の、何か組織的な強みと言うのがあれば「模倣困難性」が高まり、競争優位性の源泉となる訳だからVRIO分析的な立場で強みを組織・人事として書けないかは常に念頭に入れるべきではある。

③「特徴」や「逆説(接続詞)」という言葉の前後に事例企業固有の能力が隠れている

これは与件本文を読むときのテクニックだが、設問分析をしていて聞かれていることが分かっても、しっかりと本文から解答の核心がつかめる記述が見いだせないときは、与件本文を上記の言葉があるところに探しに行く。

例えば「A社の経営的特徴はトップダウン型の経営である」とあれば、作問者は「こういう特徴がある企業のメリット・デメリットは?」と聞きたいのだ、さらに読み進めると「順調に事業を進めていたA社だが、新製品開発の遅れから競合に抜かれ・・・」と言うような“が”を挟んで内容が転換する場面が出る。これは作問者は意図的に「トップダウンをすると現場の対応力が弱くなって商品開発が進まない」という結論にもっていかせたいのだ。

こういった「つなぎの言葉」と「設問で聞かれている事」に注目するべきである。

今回はここまでとして、次回もこの続きを書くとしましょう。

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