うは、最新体験記はこうまで詳細化?
センス・地頭・たまたま=スト合格の三大要素。こう言われて久しいのですが、当試験を通じ本当にモノにしたいのは、
合格へのエッセンス。
本質的なもの。最も大切な要素。
今日のKING様は、「ビジネス知識の体系化」が受験動機ながら、「業務上の多忙」のため、あえてフレキシブルな独学を選んだ方です。かなりの長文ですが、その分独学者に役立つ合格エッセンスが盛りだくさん。では覚悟を決めて(笑)、ぜひどうぞ。
合格体験記:スト合格への最新エッセンス~KING様
1. 診断士に挑戦した理由・きっかけ
KINGと申します。53歳。証券会社勤務。これまでの職務経歴は、支店営業→IPO業務→企業再生→本社各部(経営企画他)です。
中小企業診断士に挑戦したきっかけは、数年前、企業再生に従事した際、企業経営に必要な業務知識(生産管理、販売管理、労務管理等)が自分に欠落していることを痛感し、それを習得できる本資格にいつかは挑戦したいと考えていました。
2. 学習開始時の知識・保有資格、得意科目・不得意科目、「1次」科目別点数(合格年)
- 商学士(財務会計)。経営学修士(金融専攻)。
- 保有資格:日商簿記2級、日本証券アナリスト協会検定会員。
- 得意科目:「1次」財務、「2次」Ⅲ、Ⅳ。
- 不得意科目:「1次」情報、中小、「2次」Ⅰ、Ⅱ。
- 合格年(2017年)「1次」科目別点数
経済 | 76 |
財務 | 96 |
経営 | 62 |
運営 | 54 |
法務 | 56 |
情報 | 80 |
中小 | 57 |
計 | 477 |
3. 学習スタイルとそのメリット・デメリット
学習スタイル:独学
- 自分のペースに合わせて学習ができる。マイルストーンを自由に設定できる。
- 自分にとって最も効果的な学習スタイルを自分で作成できる。
- 通学に比べて低コスト。
- 通学生の「養成答練」、「完成答練」に当たるペースメーカーを見つける必要がある。
- 自分を律しなければ、外部環境の影響を受けて、学習時間が確保できないことがある。
- 自分にとって最も効果的な学習方法・教材を見つけるまでに時間がかかる。(それが見つからないまま試験日を迎えることもあり得る。)
よく言われることですが、学習効果はスカラ(大きさ、量)だけでは測れず、ベクトル(方向と量)で測ることが重要です。
- ベクトルを伸ばすために、自分に最もフィットした学習スタイルは何か。
- 「1次」「2次」の得点を伸ばすには、どのようなカリキュラムが良いか。これを真剣に考える必要があります。
4. 2次合格までの受験回数、学習時間とその作り方
- 受験回数:「1次」1回、「2次」1回。
- 学習時間:
「1 次」概算 675 時間
「2 次」概算 147 時間 - 学習時間とその作り方
平日、休日とも 1 日 3 時間(机上学習 2 時間、隙間時間 1 時間)。朝 4 時半に起床し、出勤前の 2 時間を机上学習に充てました。
通勤時間(往復 1 時間)は隙間時間として、各科目の基礎知識習得に努めました。夜間や休日昼間は、仕事上の付き合いや家庭行事等があり、学習は不可能でした。
5. 2次合格までの学習法
※当サイト注:独学者、特に多忙で時間が取れない方に役立つ学習法です。ぜひご参考ください。
20 問とは「 昨日解いた10 問」+「本日新たに挑戦する 10 問」です。つまり、1 日に 10 問ずつ進む計算です。「スピ問」は各科目概ね 120~150 問(財務は 60 問)ですから、1 科目を 1 回転させるのに 2 週間前後、7 科目であれば、1 回転に 14 週間前後、3か月強かかります。
「過去問」も同様に、1 日 2 科目(前日 1 科目+本日の新規 1 科目)を 2 時間で解き、初日に解いた点数を必ず記録しました。答え合わせは隙間時間に行いました。
本当は「過去問」のタテ解きをしたかったのですが、巻末にあるインデックスを見ながら解くと時間がかかるので「ヨコ解き」のみとしました。「タテ解き」の代わりにしたのが、「スピ問」です。なお、「スピテキ」は、解答の解説が理解できない場合に参考書として参照することに留まりました。
他に隙間時間では、こちらのサイトのコンテンツ(「過去問タテ解き」は重宝しました)、「ポケテキ」、単語帳アプリの自作問題集等により、知識習得に努めました。
使った教材を、仕上げた順番に並べます。
全体 | 1「2 次」過去問 ※2014~2016年 2「スピ問」 ※経営、運営 32017 年「1 次」本試験問題 ※「経済」「情報」を除く5科目 4「TAC 1 次模試」 ※同上 5「全知識」 ※当サイト注) KING様の「2次」対策は、解答技術より「1次」知識を使うことを重視し、「1次」テキスト類を重用したとのことです。 |
プラス 「Ⅳ」対策 |
6「事例Ⅳ 全知識&全ノウハウ」 7「30 日完成 事例Ⅳ合格点突破計算問題集」 ※6で不足した「投資の経済性分析」及び「ディシジョン・ツリー」のみ。 |
後述する理由により、「 2 次」対策は、「 1 次」終了直後ではなく、9 月「TAC 2 次模試」からのスタートになりました。
手始めに2016 年の「過去問」を解き、「TAC」、「ふぞろい」等の模範解答と見比べたのですが、なぜか釈然としませんでした。「1 次」の学習時に得られた「スッキリ感」が得られなかったのです。結局、直近 3 年分、12 事例を解いた時点で止めました。「過去問」(二次事例)をどれほど解いても、自信を持って本番に臨める気がしませんでした。
そのもう一つの理由は、学習開始が遅れたため、今から「過去問」を解き進めても、他の受験生が解く事例数に及ばないことが明らかだったためです。相対試験である「2 次」で、出遅れた者が彼らと同じ方法で学習しても追い付けない。そう考えました。
そこで学習方法を変更し、「 事例Ⅰ~Ⅲ」で問われる「1 次」の基本的知識を徹底して習得することにしました。「急がば廻れ」です。教材は「スピ問」、「1 次」本試験、「TAC 1 次」模試、そして、「全知識」です。
また「事例Ⅳ」については、「TAC 2 次模試」で計算ミスの恐怖を実感したため、 「事例Ⅳ 全知・全ノウ」、「30 日完成」に取り組みました。もちろん、過去問を一切やらなかった訳ではありません。隙間時間で当サイトの「要求分類」を何度も熟読しました。
6. 学習時・受験時のエピソード
TAC「1次」模試の後、7月上旬に異動発令があり、8月末に転居しました。
この間の学習時間はゼロではありませんが、ほぼ通勤時間のみとなりました。試験準備上、大きな制約となりましたが、不本意な異動ではなかったので、「試験は試験」と割り切りました。
「TAC 1 次模試」、「1 次本試験」の結果は次の通りです。
TAC「1次模試」 | 「1次」本試験 | |
経済 | 72 | 76 |
財務 | 76 | 96 |
経営 | 56 | 62 |
運営 | 65 | 54 |
法務 | 56 | 56 |
情報 | 68 | 80 |
中小 | 63 | 57 |
計 | 456 | 477 |
いずれも目標には届きませんでしたが、結果には納得しています(自分の実力は棚に置いて、過去のスト合格者の高得点=500点前後を目標にしました)。
9月のTAC「2次模試」の結果は次の通りです。
TAC「2 次模試」 | 得点 | 平均 | 順位 |
Ⅰ | 17 | 36 | 2366 |
Ⅱ | 38 | 37 | 1197 |
Ⅲ | 72 | 40 | 10 |
Ⅳ | 25 | 37 | 1799 |
合計 | 152 | 151 | 1205 |
上記の結果は模試の数週間後に返却されました。前述した「2 次」対応方針を変更して
数週間後のことです。おかしな話ですが、合格可能性の判定は D でしたが、「2 次」につい
てある種の手応えを感じたのです。
なぜなら、7 月初旬以来、隙間時間の学習だけで受けた「事例Ⅲ」が 2423 名中 10 位で
あったためです。もちろん、D 判定ですから、計算ミスの「事例Ⅳ」をはじめ、「事例Ⅰ」
や「事例Ⅱ」は惨憺たる状況でした。
では「事例Ⅲ」だけ、なぜ高得点であったのか。結論から言えば、
- 「与件引用問題」やいわゆる「ポエム」問題が模範解答とほぼ一致した。
- 「知識応用型類推問題」では、私の知っている知識が活用できた。
「事例Ⅲ」の勝因分析はこの二点に整理できました。
つまり「2 次」本試験を見据えた場合、
「与件文引用問題」やいわゆる「ポエム問題」は得点源としてあてにできないが、「知識応用問題」だけは、努力すれば比例して得点できるはず。
こんな考えに至りました。既に「基本的知識」重視型の「2 次」準備に切り替えていましたが、この勝因分析を通じて、その方針変更の正しさを確信しました(というより、信じたかったという方が正確でしょう)。
7. これから合格を目指す方へのアドバイス
この項目は、平成 30 年、2018 年スト合格を目指し、最近、学習開始した初年度生(1 年前の私)に向けて記載いたします。
「1 次」合計で 500 点を目指して下さい。
そして、今すぐ、2017 年の「1 次」7 科目を全て自力で解いて下さい。それが、今の自分の実力です。そして、今の実力を、来年の 8 月初旬までに 500 点を獲得できる水準に引き上げるためには、いつまでに、何をどの程度学習すべきなのか、自分でマイルストーンを設定して、学習計画を立てて下さい。
本試験に対する自分の強み、弱み(例、保有資格やビジネス上の素養)を踏まえれば、どの科目も同じウェイトで学習するのは合理的でないはずです。私は、前年の 12 月から独学で学習開始しましたが、1 日の学習時間に制約がありましたので、本来であればもう少し早く学習開始すべきでした。
まず、2017 年の「2 次」全事例を解くことです。
「40 字では書ききれない」、「160 字ではマスが余る」、「そもそも1字も書けない」。これを、今の時期に経験すべきです。
また、「2 次」は正解が発表されないため、できれば複数の専門学校や受験支援機関の模範解答を読んで下さい。同じ問題に対して、複数の模範解答があることも理解しておくべきです。
そして、その与件文といくつかの模範解答を読んで、意味が分かるかどうか確認して下さい。流し読みするのではなく、一言一句、精読して下さい。少なくとも、「1次」の学習後であれば、読めば、与件文や模範解答そのものが何を意味しているのか分かるはずです。
「1 次」を 500 点で通過した後の「2 次」では、その模範解答(に当たる自分の回答)を読むのではなく、自分が書くのです。「1 次」に向けた学習とは「2 次」事例に対して独力で回答する際に必要となる知識の習得(理解と記憶)プロセスであること。これを理解して、 1 次」の学習を開始して下さい。
私の「2 次」合格は「たまたま」です。
その「たまたま」の確率を引き上げることができたのは、 こちらのサイトを通じて、自分に最も効果的な学習スタイルやカリキュラムを早期に見つけることができたためだと考えています。
したがって、「2 次」について、誰かにアドバイスすることは難しいのですが、少なくとも、こちらのサイトを熟読、精読し、自分の頭をフル回転させることはお勧めできると思います。
8.「2次」筆記の年2回化案について (任意記入)
年 2 回化し、1 回あたりの合格者を半減することに賛成いたします。私は、その案に加えて、 1 次」も含めて年 2 回、1 次合格の有効期間の短縮化(当年内、次回まで有効)にしてはどうかと考えます。
もちろん、人のことは言えませんが、二次試験合格者であっても、1 次試験程度の基本的知識が十分でないと思しき方がいらっしゃるようです。
国から専門家としてのお墨付きを得るのですから、単なる「受験ノウハウ」ではなく、専門家として相応しい「知識や技術」を自由に操れないといけないように思います。
合格体験記 ~KING様 まとめ
今年の「2次」合格はたまたま。このやり方で来年合格できる訳でもない。
おやおや、合格スタイルとしては荒削り。世に言われる一般的な合格スタイルとは一線を画し、「1次」知識と「2次」対策がクロスオーバー。出題側、受験機関どちらから見てもびっくりするような最新体験記ですけれど。
合格に必要な本質=エッセンスは外してないぞ。
その1点については、読まれた方全員で納得できそうです。
いえいえ、同じテンプレなら要は一緒。12月に最新体験記が豊富に読める。初学スト生には心強い時代になりました。