2024年業界最初の勝ち名乗り=筆記合格体験記は「1次」ド苦学で548点を叩き出したR.Mさん。「1次」知識がこの水準に届くと、世間の噂に違わず「2次筆記」は国語のテストになるそうです。
1. 診断士に挑戦した理由・きっかけ、年齢(任意)
父が地方で起業した農作物加工業(後継者不足から製法が断絶の危機にあった製品の製造)への支援をきっかけに、中小企業の経営のお手伝いを通じて、地方活性化に興味を持ったため。
2023年初回受験。40代後半。
2. 学習開始時の知識・保有資格、得意科目・不得意科目、「1次」科目別点数(合格年)
学習開始 | 2022年11月 |
学習開始時知識 | なし |
学習開始時保有資格 | なし。(診断士勉強途中2023年4月にIPA・ITストラテジストを取得) |
得意科目 | 「財務」「情報」「運営」 |
不得意科目 | 「中小」 |
1次科目別点数(2023年)
経済 | 財務 | 経営 | 運営 | 法務 | 情報 | 中小 | 計 |
76 | 80 | 75 | 83 | 84 | 76 | 74 | 548 |
3. 学習スタイルとそのメリット・デメリット
1次 | 独学 |
2次 | 独学+Webのチーム学習(ミライスタイル) |
×メリット | ×デメリット | |
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「1次」「2次」共通 | コストが低く、勉強時間・場所を選ばない。隙間時間が最大限活用できる。 | 回り道がとにかく多い。 1.学習計画作成とチェック→ロードマップ作り/テキスト情報の収集選定に時間と手間が必要。 2.PDCAとスケジュール管理を自力で回す必要がある。 3.合格水準と現状のGapがわかりづらく、精神的に不安定な状況に置かれやすい。 |
「2次」 | コストが低く、勉強時間・場所を選ばない。 意識とレベルが高い他受験生からのインプットや刺激を、心理的安全性が高い環境で受けられる。 | 1.作成した記述回答に対して、第3者の視点から冷静な評価を受けづらい。 この点を、Web学習チームの参加で解消することを試みた。 2.実力養成と解法が情報発信者の数だけある中、解法の確定までに時間がかかり、かつそれが効率的かについて、心理的な不安が常に付きまとう。 |
4. 筆記合格までの受験回数、学習時間とその作り方
回数 | 「1次」→1回、「2次」→1回 |
学習時間 | 「1次」→920時間、「2次」→260時間 |
作り方 | 1.平日→早朝5時~ 机に向かう時間として2時間/日の捻出を目指す。 2.休日+年末年始・GW・夏休み→机に向かう時間として6時間/日の捻出を目指す。 3.隙間時間(移動時間・風呂・トイレ等)→YouTubeの音声コンテンツ視聴+Webでの肢別問題の周回をし、忘却曲線に抗う。 |
5. 筆記合格までの学習法(1次・2次)
「1次」
利用テキスト | ・「まとめシート上下」 ・「速習!ミクロ/マクロ経済学」 ・「過去問マスター7冊」 ・「Web動画」 ・「Web過去問(過去問ドットコム)」 |
ゴール | 過去10年間の過去問7領域における各選択肢内容を、自信をもって判別・回答可能に |
戦術 | 1.アウトプット重視型学習法。インプットは最小限。 2.過去問を高速回転させ、設問文と選択肢から得られるものをすべて吸収する。 3.科目優先順位は、2次に直結する「財務・会計」・「企業経営理論」・「運営管理」 |
「2次」
利用テキスト | ・「まとめシート流!ゼロから始める2次対策+年度別解法集」 ・「TAC事例IV問題集」 ・「事例IV30日完成」 ・「事例IV全知全ノウ」 ・「意思決定会計講義ノート」 ・「ふぞろい」(H19~の加点想定KWDがわかる本) |
利用ツール | 生成AI(Chat GPT+Google Bard) |
ゴール | 1.与件と設問に対し論理構成を重視し、読み手にとって、すぐに内容が頭に入る回答にすること。チェックとして第3者目線で高評価を取り続ける。 2.学習段階では、1事例60分で、一定レベルの回答を手書きで書ききれるようになる。 →本番での頭真っ白・与件+設問分量増・初見問題対策 「事例IV」: 1.パターン化されている問題は、自動的に手が動くように精度を向上させる。 2.初見問題は、部分点を取れればOK、と割り切る。 |
戦術 | アウトプット+ディスカッション併用型学習法。回答の高速化。 科目優先順位は、正解が唯一決まる事例IVが優先。 1次の「財務・会計」の学習が終わったら、記憶が残っているうちに2次対策に取り掛かる。 「事例I~III」 1.本番までに、延べ80事例以上を制限時間60分で解く。 2.回答をExcelに入力し、第3者目線でのチェックをできるだけもらう。 3.回答を生成AIに入れ、より論理構成がクリアな文章を出力させ、自分の回答とのGapを把握し、次回の事例演習に取り入れる。 「事例IV」 1.回答プロセスを後から振り返りができるように、各設問基本制約事項(桁処理、単位記載の有無等)と共に必ず記載する。 2.電卓使用起因の計算ミスを防ぐため、回数を最小限にできるように、論点と解法がすぐに思い浮かぶまで演習を重ねる。 |
6. 私の思う当落分岐点 ~試験合格への転機を感じた、あの瞬間~
「1次」 | 過去問での選択肢の9割を、記載内容の理解を伴って、自信を持って判別できるようになった時 |
「2次」 | (全体) ・全事例を通じ、これは現代文試験の記述論述問題で、1次知識を加えて回答する試験だ、と早い段階で感じた時。 ・加点論点や項目が開示されず、予備校模範解答もバラバラの中、これはある程度は運ゲーだ、と感じた時。 (事例I~III) ・ふぞろいでの加点KWDが採用されながら、より論理構成が明確な文章を書き始めた時。 ・AIによる論理構成がシャープな回答と、自分の作成回答のギャップを意識でき、それをどう埋めるかの方法論を自分なりに確立した時。 ・PCへの入力ではなく、手書きで1事例60分で回答まで完結できるようになった時。 (事例IV) ・与件/設問の構成をExcelなどで図示し、全体構造とポイントを自力で作ることができた時。 |
7. 学習時・試験当日のエピソード
・1次・2次ともに、行きの電車が駅間で緊急停止し、試験への遅刻を覚悟しましたが、幸いすぐに動き始めたので、試験結果も含め最後は運だな、と悟りました。
・受験番号だけは絶対に一番最初に書きましょう。特に回答開始以降に受験番号を書く2次試験において。(1次は回答開始以前に書く時間が取られます)事例Iで、書き忘れた方が提出後に気づき、休憩時間中ずっと監督官に詰め寄っていて拒否されていました。その方の事例II以降の精神状態を考えると、いたたまれません。
8. これから合格を目指す方へのアドバイス
・平穏無事に日々学習でき、受験ができるだけありがたい、というマインドセットを貫くと、心の平穏が保たれて集中できる気がします。(これが難しいのですが)
・ご家族がいらっしゃる方は、学習できることへの感謝を常日頃から伝えておくと、一番の理解者・応援団になってくれやすく、これが私の場合最後の心の拠り所になりました。
・予備校の模試や再現答案サービスの結果は参考程度にとどめる: 4月に、初めて受験した予備校2次模試の結果は下位10%、再現答案サービスも真ん中より上の結果はありませんでした。それでも、運よく独学1年で合格に滑り込みましたので、ご自身の努力と運を信じ、諦めずに最後の1秒まで粘りぬいてください!