H事例Ⅰ

【たまたまスト合格】効率的得点仮説~H28事例Ⅰ

たまたまスト合格、略して「たまスト」。

11週間の「2次」対策も、今日から折り返しの6週目。合格手応えを既に得た方もそうでない方も、知っておいて損しないのが、

ストレート合格=原則たまたま。
・たまたま解きやすい問題だった。
・たまたま採点者の機嫌が良かった。
・たまたま「Ⅳ」の計算問題を当てた。
・たまたま合格しやすい年だった。

平均合格所要年数=2.54年。「2次」筆記とは、2年、3年必死に準備した方を8割落とすため、80分では解けない文章量に意地悪問題を織り交ぜて作る試験。

試験ブログを漁れば、スト合格するノウハウがあるに違いない!

もしそんな勘違いをしたら、厄介な事態になるのはご想像の通り。あえて分類するなら、8割落とすために作問者が用意したトラップ問題を、

A:気づかず通り過ぎるのが20%たまたま合格
B:ここはヤバイと安全策を取るのが50%計画たまたま

そうか、一口にスト合格と言っても2種類あるのか。そこで自分がどちら向きかを見極める切り口が、過去問の分析・研究力。

H28事例Ⅰ~社内人材の流動化で事業構造転換に挑む印刷業者

Step 1 設問要求の把握→得点期待値計算
事例 H28Ⅰ H28Ⅰ H28Ⅰ H28Ⅰ H28Ⅰ
問題 第1問 第1問 第2問 第2問 第3問
小問 (1) (2) (1) (2)
レイヤー(大) 1全体戦略 1全体戦略 1全体戦略 2事業戦略(コア) 3付帯戦略
レイヤー 1A環境分析 1A環境分析 1B事業構造 2A組織構造 3C雇用管理
解答要求 1整理・分析 1整理・分析 3助言・解決 1整理・分析 3助言・解決
用語 SW SW 助言 SW 助言
時制 1過去 1過去 3将来 1過去 3将来
難度 B B D C D
字数 100 100 100 100 100
配点 20 20 20 20 20
期待得点 15 15 8 12 8

 

ふうん、表にするともっともらしい。というかコレ、受験校の2次テキストのパクりじゃね? いえいえ、分類表はあっても、「難度B」「期待得点8点」なんて見たことない。そんな好き勝手な仮定ができるのは、過去問を自力で分析してこそ。

  • 元ネタ→設問分析5年分エクセルノート 9/15(金)掲載予定
  • 分析軸講座→来週シリーズ掲載いたします。
Step 2 回答骨子の作成

※個人運営の当サイトに、最新の「回答骨子」を作る力はなく、以下は昨年10月記事で作成した当時のものです。最新の内容はぜひ受験校や他サイト様のものをご使用ください。

第1問 (100字、100字、40点)

業績が好調であったA社の3代目社長の時代に進められた事業展開について、以下の設問に答えよ。

(設問1) 過去・成長要因・考察・難易度:易
当初立ち上げた一般印刷事業などの事業展開によってA社は成長を遂げることができた。その要因として、どのようなことが考えられるか。100字以内で述べよ。

【回答方針案】
100字→3センテンス入れたい。「要因は~」で書き出し、①~、②~、③~の並列列挙で安全回答。強みの根拠は多数あるので、①【第2段落】(創業~)主力のアルバム事業、②【第4段落】(1970、80年代~)技術制度による一般/美術印刷、③社員教育の充実と他社差別化、あたりを編集力で並べる。

(設問2) 過去・失敗要因・考察・難易度:易
1990年代後半になっても売上の大半を学校アルバム事業が占めており、A社の3代目社長が推し進めた新規事業が大きな成果を上げてきたとはいえない状況であった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100字以内で述べよ。

余計なお世話だが、△上げる→○挙げる?

【回答方針案】
100字→3センテンス入れたい。「要因は~」で書き出し、①~、②~、③~でつなぐが、①→③の間が因果になる様に並べる。根拠は①【第5段落】→非関連多角化、②【第6段落】→環境変化による需要減と技術の強みの喪失。これだと2センテンスしかないので、③【第5段落】→従来の強みは技術と教育も入れることでどうか。

第2問 (100字、100字、40点)

A社の現社長(5代目)の経営改革に関連して、以下の設問に答えよ。

(設問1) 将来・留意点・助言・難易度:高
A社が、新規のアルバム事業を拡大していく際に留意すべき点について、これまでの学校アルバム事業の展開との違いを考慮しながら、中小企業診断士として、どのような助言をするか。100字以内で述べよ。

【回答方針案】
100字→3センテンス入れたい。「助言は~」で書きだすか、「~する様に助言する。」で締めるかは個人の好み。「助言内容」はズバリ当てにくいため、3センテンス中2センテンスを原因の指摘、1センテンスを「助言したフリ」に割り当てることで安全回答。制約条件「中小企業診断士として」に留意。

①【第7段落】非関連多角化の反省→アルバム回帰 ②【第8段落】アルバムを軸に需要開拓 ③【第8段落】学校向けと異なる営業戦略。この辺で根拠を抜き書き。

(設問2) 現在・施策の理由:難易度:中
A社では、これまで、学校アルバム事業を中核に据えた機能別組織体制を採用していたが、複数の事業間で全社的に人材の流動性を確保する組織に改変した理由を、100字以内で述べよ。

余計なお世話だが、△改変→○改編?

【回答方針案】
100字→3センテンス入れたい。いよいよ組織・人事事例っぽいので、「理由は~」で書き出し、(改変するには問題があったはず→)問題点の指摘2センテンス、改善期待効果1センテンスを、①~、②~、③~で並べて安全回答。ここ外さなければA答案の筈。

機能別⇔事業別のタテヨコの整理が難しいが、いったん「マトリクス組織」で答え組み立てる(違っていれば訂正します)。

①【第8段落】配置転換と営業強化の必要 ②【第9段落】機能別組織に人がつき、縦割りの問題 ③(案)機能・事業をまたぐローテーション人事で能力開発、あたりでどうか。とにかく「全社が連動し人材の流動性」の捉え方で答えが割れそう。

第3問 (100字、配点20点) 将来・人事施策・助言・難易度:高

業績低迷が続くA社が有能な人材を確保していくためには、どういった人事施策を導入することが有効であると考えられるか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。

【回答方針案】
これは難問。根拠は恐らく問題本文にはないので、深く期待せず根拠を探すか、使い残した根拠を使う程度。時間をかけず、少ない根拠を極力コピペで。「可愛げのある」=2~3点位は入れたくなる答案を目指す?

Step 3 根拠と設問の対応付け

※こちらは最新に更新済。過去問の解説を見ながら、設問別に使う根拠を色分けマークします。するとどの段落がどう対応するか、視覚的に把握できます。これを3事例×5年分やってみる。

第1問(1)水色第1問(2)緑色第2問(1)黄色第2問(2)桃色第3問紫色

 

【第1段落】 1⃣

A社は、大正時代の半ばに現社長の祖父が創業した、資本金4,000万円の地方都市に本社を置く老舗印刷業者である。戦後まもなく株式会社に改組してから一族で経営を継承し、A社社長は5代目である。現在のA社の売上はおよそ15億円であるが、リーマンショック以降売上は減少傾向で、ここ数年利益もほとんど出ておらず、赤字経営に近い状態で推移している。A社社長の目下の経営課題は、売上や利益を確保し、100年近い同社の歴史を絶やさないことにある。しかし、こうした厳しい経営状況にもかかわらず、およそ150人前後で推移してきた従業員(非正規社員15人前後を含む)のリストラをA社社長自身考えていない。A社ではこれまでも経営理念の一つとして掲げてきた「社員は宝」のスローガンの下で、新卒社員や女性社員の採用を積極的に進め、人件費以外の部分で効率化を図ることに注力してきた。

【第2段落】 1⃣ 主力のアルバム事業

A社の売上の70%程度を占めているのは、卒業式前後に生徒・学生に配布する学校アルバム事業であり、創業以来の主力商品である。現在、全国およそ3,000校のアルバム制作を手掛け、年間のアルバム製造部数は30万部を超えている製版から製本までのアルバム制作の全行程を一貫して自社内で行っており、国内シェアもトップクラスである。残りの売上の30%を占めているのは、1970年代から取り組んできた一般印刷事業、1980年代にスタートさせた美術印刷事業とその他新規事業である。

【第3段落】 1⃣ 社員教育=成長要因

A社の業績が悪化し始めたのは、2000年代になってからのことであり、それ以前、同社の業績は右肩上がりで推移していた。1990年代半ばの売上は、現在よりも10億円以上も多く、経常利益率も10%を超えていた。当時のA社の成長を支えてきた要因の一つは、今日でも経営理念として引き継がれている人材力の強化、すなわち社員教育の成果にあったといえる。

【第4段落】 1⃣ 1970年代、1980年代それぞれの成長

1970年代半ばに3代目社長が、他社に先駆けてオフセット印刷機を導入したのを契機にして、独自で技術開発に取り組んで印刷精度を向上させた。それによって学校アルバム事業を拡大させ、高い印刷精度が求められる美術印刷事業にも参入している。また、社員教育に力を注ぎ、企画力やデザイン力を強化・向上させたことで、他社と差別化を図ることもできるようになった。さらに、教育効果を高めるために、1980年代半ばには、自社所有の遊休地に研修施設を建設し、新入社員研修や従業員の体験学習、小集団活動を積極的に促してきた。

【第5段落】 1⃣ 3代目社長のイマイチな新規事業

1980年代後半、将来の少子化時代の到来やOA(オフィス・オートメーション)化の進展が見込まれるようになると、順調に事業を拡大させてきたA社でも、学校アルバム事業や印刷業者の成長の可能性に懸念を抱くようになり、事業多角化を模索し始めた。3代目社長のリーダーシップの下で、自社企画のカレンダーやメモ帳、レターセットなどの印刷関連のオリジナル製品を開発し、商品見本市などでの販売を開始した。その一方で、自社での社員教育の成功体験や施設を活かすことを目的とした企業研修事業や、工芸教室などの教育関連事業にも参入した。また、当時のCI(コーポレート・アイデンティティ)ブームの下で、地元のコンサルティング会社と提携して、企業イメージのトータルデザインを手掛けるコンサルティング事業や自らの顧客である写真館の店舗デザインを助言するといった事業を手掛けるようになった。さらに、漫画雑誌やタウン誌を編集し発行する出版事業にも手を伸ばした。もっとも、1990年代後半にあっても売上のおよそ80%を学校アルバム事業が占めていることから、業績伸張の要因は、1980年代後半に立ち上げたそれら事業ではなく、同社が学校アルバム事業を核に蓄積してきた高度な印刷技術を活用した、一般印刷や美術印刷など印刷事業の拡大にあったことがわかる。2000年代になると、4代目社長が他社に先駆けて進めたデジタル化によって、時間やコストの大幅な削減が実現された。

【第6段落】 1⃣ いやに詳しい環境変化描写

しかし、現社長が就任した2003年を前後して、印刷業界の経営環境が大きく変化した。インターネットが急速に普及し始めて、出版系の需要が大幅に減少した。加えて、印刷のデジタル化によって専門性の高い製版技術が不要になり、他業種から印刷事業への新規参入が急増するようになった。印刷業界では、新規参入企業との価格競争が激化し、1998年以降の約10年間で市場規模が2兆円以上縮小し、少なからぬ企業がこの市場からの撤退を余儀なくされた。その厳しい状況の中で、A社社長は100年の歴史を背負うことになったのである。

【第7段落】 2⃣ 現社長(5代目)の経営改革

さらに、2008年のリーマンショックの余波が、印刷業界を襲った。少子高齢化、価格競争の激化、景気低迷といった逆風の中で、このままでは生き残ることさえ難しいと感じたA社社長は、経営改革を決意した。まず着手したのは、多角化した事業に分散していた経営資源を主力製品であるアルバムに集中し強化することであった。

【第8段落】 2⃣ 現社長(5代目)の経営改革

少子化の中で学校数が減少し学校アルバム市場が縮小するとともに、デジタルカメラの普及以来、それまで学校とのパイプ役を果たしていた地域の写真館の数が減少する中で事業規模を維持していくためには、アルバムの新たな市場や需要を開拓することが不可欠となった。そこで、ターゲット市場を学校だけに限るのではなく、美術館や企業、そして一般消費者のアルバム需要を掘り起こすことに力を入れる体制づくりをスタートさせた。少量印刷・高品質印刷が可能な最先端のデジタル印刷機を導入して、得意としてきた美術印刷事業のさらなる強化に加え、定年退職者の記念アルバムや子供の成長記録アルバムの商品化など新規事業を立ち上げた。とはいえ、それら事業を展開するためには、これまでの学校アルバム事業と異なる営業戦略、事業運営体制が必要となる。生産現場の従業員を営業担当に配置換えするとともに、巨大な潜在市場を抱える大都市圏にも営業所を設けるなどして、営業力強化の体制作りに取り組んだ。

【第9段落】2⃣ 組織改革:機能別組織→事業別とのタテヨコ。

それと同時に、組織改革にも着手した。「営業⇒企画⇒編集⇒印刷⇒製本⇒発送」といった一連の工程を中心に学校アルバム事業に適応するよう編成してきた機能別組織体制を見直し、アルバム事業、一般印刷事業、美術印刷事業、教育関連事業など、複数の事業間の横串を刺すことによって、全社が連動し人材の流動性を確保できるような組織問に改変した。

【第10段落】 2⃣3⃣ 経営改革を支える有能な人材の確保

いうまでもなく、A社の経営改革が結実するまでには時を待たなければならないが、労働人口の減少が著しい地方都市にあって100年の節目を迎えるためにも、さらなる経営改革の推進とともに、それを実現していく有能な人材の確保が必要であることは確かである。

今日のまとめ

4:4:2の法則。

60点=合格ラインの試験では、その難易度構成が一般に以下となる黄金比が有名。

ABランク(4割) 誰でも取れる
CDランク(4割) 最後の2択を当てる
Eランク(2割) 無理ゲー

この時、①「解答の一貫性」を意識した精緻な答案 ②まず取れる所から人並み当たり前回答、そのどちらでも合格者が実在するのが現実。

自分がどちらを選ぶかは、過去問を自分で分析・研究してから決めればOK。少なくとも他人にオススメしたり、されたりする類のものではないぞ。

■■ここからテンプレ■■

-H事例Ⅰ

PAGE TOP