脳が新しい事例を欲する日曜午前は、3本180円で手に入る新作AI事例で初見に挑戦。ここで近年事例Ⅰ~Ⅲの作問が似たり共通するのは、頭の固いベテに嫌がらせの他に、リアル企業が論点またぎのクロスオーバーするため。そして知識をまたぐ診断士の活躍の場が広がります。

近年の事例Ⅰは組織そのものが提供するサービスの質や、それを支える従業員エンゲージメントが問われるようになっている。
これは、組織戦略が単なる内部管理ではなく、外部の顧客提供価値(サービスマーケティング)と深く結びついているという、よりリアルな企業経営のケーススタディへの進化を示しています。
近年の事例Ⅱは顧客が商品を知り、購入し、利用し、ロイヤルティを持つまでの顧客体験CXを設計し、その体験価値を高める提案が求められます。
これは、マーケティングの視点が、事例Ⅰの組織戦略や事例Ⅲの生産・提供体制と連携する必要があることを示唆しています。
近年の事例Ⅲ(生産・技術)は、単なる納期・品質管理の効率化に限らず、職人技や独自の技術を活かした高付加価値化戦略を出題することが増えています。
この背景には生産事例を検討する上でも付加価値化が問われ、事例Ⅰの人材育成・組織文化や、事例Ⅱのブランディング戦略と直結する動きがあります。
事例企業の設定が詳細になり、現実の中小企業の複雑な課題に近づくほど、一つの経営課題は組織(Ⅰ)、マーケティング(Ⅱ)、生産(Ⅲ)の全ての機能にまたがります。
受験生は、特定の事例知識に縛られることなく、与件企業の状況を総合的に把握し、全ての事例知識を連携(クロスオーバー)させて解決策を導き出す、真のコンサルティング能力が試されるのです。
【日曜午前は新作事例】3事例で180円:事例の解像度が上がるとクロスオーバー化
同じ過去問を何度も解いて、悪い方向に古いフレーズ集を固めるのが隣のふぞ勉。そこで初見の新作事例をバンバン解いて、短期記憶のワーキングメモリを鍛えてアドリブ力を磨くと上位5%です。
プリント予約番号:52491979 で入手可能

※採点解説をAIで行う場合は、PDF版をDLしてお使いください。
事例Ⅰ:ソーシャルワーカーのサービスマーケに挑む生活支援サービスA社
A社は、F県S市を拠点に、高齢者向け生活支援サービスと家事代行サービスを提供する地域密着型企業である。S市は、中心市街地のドーナツ化現象により人口の高齢化が急速に進んでおり、郊外の住宅地では独居老人や老老介護世帯の増加が顕著である。
商店街の閉鎖や公共交通機関の利便性低下も進み、高齢者が孤立しやすくなっているのが現状だ。一方で、S市近郊に工業団地が整備されたことで、共働き世帯やシングルマザー世帯も増加しており、平日の日中や週末に家事や育児と仕事の両立に課題を抱える層も顕在化している。
本事例は、人口高齢化と共働き世帯の増加という地域社会の構造変化に直面する生活支援サービス企業A社が、深刻な人材不足を克服し持続的な成長を実現するために、ダイバーシティ&インクルージョン戦略を通じて組織能力を再構築するプロセスと、その結果生じた新たな組織課題への対応策を問うものである。
受験生には以下の能力が求められる。
- 外部環境と内部資源の分析能力: S市の社会課題とA社の理念・既存の経営資源を関連付け、事業転換の戦略的な意義を多角的に分析する能力。
- 多様な人材の価値理解: シニア層と子育て中の女性という多様な人材がA社のサービス提供にもたらした独自の価値(経験、柔軟性、ノウハウなど)を具体的に特定し、顧客満足度向上への貢献を説明する能力。
- 組織変革と人事制度設計の提案能力: サービスモデルの転換(生活コーディネーターモデル)に伴い、サービス品質の均質化と従業員のモチベーション向上を実現するためのインターナルマーケティングの観点から、人事評価制度の具体的な見直し策を提案する能力。
- 組織的な課題の特定と解決策の提示能力: 多様な働き方を許容する組織において、理念共有と付加価値提案の評価という新たな組織課題を特定し、その持続的な解決策を提示する能力。
| 経営課題 | 根拠となる与件文の要素 |
|---|---|
| 人材不足の恒常化と定着率の低さ | 介護・家事代行業務の身体的・精神的負担の大きさや不規則な勤務形態から、若い世代の応募が少なく、わずかに入社した新人も3ヶ月以内に離職するケースが相次ぎ、経験豊富な質の高い人材の確保が極めて困難となっている。 |
| 画一的なサービスモデルによる多様な顧客ニーズへの未対応 | 健康志向の高齢者向けの特別な食事療法への対応や、夜遅くまで働く共働き世帯からの夜間対応要望など、細分化・多様化する顧客ニーズに対し、従来の画一的なサービスメニューや労働集約的なモデルでは対応しきれなくなっている。 |
| 多様な働き方に対応するための事務作業負担増大と非効率な組織運営 | 「生活コーディネーターモデル」への転換により、多様な働き方(短時間勤務、フレックスタイム制など)に対応するためのシフト管理が複雑化し、事務作業の負担が増加している |
| サービス品質のばらつきと付加価値提案不足 | サービス品質がスタッフの経験やスキルに依存しばらつきが生じやすい。また、短時間勤務などで顔を合わせる機会が少ないため、全社的な理念の共有や成功事例の水平展開が不十分であり、スタッフの創意工夫や付加価値の高い提案が正当に評価されていないという不満がある。 |
| インターナルマーケ不足による理念浸透とモチベの維持困難 | 全スタッフが「お客様の家族の一員として、心に寄り添う」という理念を共有し続けることが困難になり、特に「生活コーディネーター」としての付加価値提案が個人の努力に依存している。従来の評価制度が作業量中心であるため、高いモチベーションで業務に取り組める組織内部の活性化が不可欠。 |
| 受験した方の感想 | 次の改善意見 |
|---|---|
| 近年のⅠの傾向と一致 与件構成が一貫して「戦略的人材活用 × 組織活性化」を軸としており、R3〜6事例Ⅰの出題傾向(人的資源を核とした組織能力構築)との親和性が高い。 | |
| 与件に親しみやすく解きやすい 働き方の多様化や団塊の世代の高齢化を題材としており、現実味のある内容で時代にマッチしている。設問はオーソドックスで与件要素を切り分けやすく、解答しやすい構成だった。 | |
| 多様な字数での解答作成 50字から150字まで、多様な字数制限が設けられた設問要求が複数あり、制約の中で解答を作成する実践的なトレーニングとして優れていた。 |
近年の「Ⅰ」がR5蕎麦屋、R6物流業者のように従業員のヤル気(組織コミット、エンゲージメント)を問うのは、生成AIでできるオペレーションレベルは一瞬で模倣される(パクられる)ため。そこであの手この手のニンジンで、ヤル気モチベを高揚します。
事例Ⅱ:日本三大和牛の一貫飼育B社の若年ファン獲得に向けた顧客体験
B社は、Y県Y市に本社を置く、資本金4,800万円、従業員数240名(正社員150名、パート・アルバイト90名)の企業である。Y市は、国宝の城郭を中心に広がる歴史的な城下町であり、年間を通じて国内外から多くの観光客が訪れる県内有数の観光地である。近年は、歴史的な街並みが若者世代に「レトロで新しい」と評価され、SNS映えするスポットとして人気を集めている。
B社は、日本三大和牛の一つに数えられる地域のブランド牛「Y牛」の生産から加工、販売、さらに飲食店運営までを一貫して手がけており、その品質の高さから、地域を代表する企業として絶対的な知名度を誇っている。
本事例は、地域のブランド牛「Y牛」の一貫事業を手掛ける老舗企業B社が、コロナ禍からのV字回復と利益体質強化を達成した後、持続的な成長に向けた中期マーケティング戦略を策定するプロセスを問うものである。
受験生には以下の能力が求められる。
- SWOT分析能力: 外部環境(機会・脅威)と内部環境(強み・弱み)を適切に抽出し、企業の現状を包括的に把握する能力。
- インバウンド市場開拓戦略の立案能力: 円安と高品質な食体験への関心の高まりという機会を捉え、物販部門と飲食部門のチャネル特性を考慮した具体的なマーケティング施策を策定する能力。
- ブランド価値再構築戦略の提案能力: 機械化による生産性(機能的価値)向上と、老舗が大切にしてきた手作りの温かみ(情緒的価値)というブランドイメージの希薄化という課題を認識し、両立させるための顧客体験(CX)の具体的な施策を提案する能力。
- デジタルコミュニケーション戦略の提案能力: SNSで情報収集をする若年層・ファミリー層という新しい顧客層を獲得し、長期的な顧客関係を構築するために、既存のECサイトの課題を踏まえたデジタル技術を活用したコミュニケーション戦略を立案する能力。
| 経営課題 | 根拠となる与件文の要素 |
|---|---|
| 収益性の脆弱性(価格転嫁の遅れ) | 原材料費やエネルギー価格が高騰する中でも、長年の顧客への配慮から価格転嫁に踏み切れず、売上が回復しても営業利益率が低い水準(3.2%)に留まるという利益体質の脆弱性がある。 |
| 属人的な業務構造と技術継承の難航 | 肉のカットや惣菜の調理といったバックヤード業務が熟練職人の経験と勘に頼る属人的な作業が多く、職人の高齢化が進む中で若手人材の採用が難航し、技術の継承が課題となっている。 |
| 既存顧客層への偏りと新規顧客層へのアプローチ不足 | 既存顧客層は50代以上が全体の65%を占めており、SNSでの情報収集を主とする若年層やファミリー層といった新しい顧客層へのアプローチが課題となっている。 |
| インバウンド市場への対応遅れと機会損失 | Y市にインバウンド観光客が戻り、競合店が富裕層向け特別コースを提供し連日満席であるにもかかわらず、B社はこれまで国内顧客中心であったため、多言語対応や海外向けのプロモーションが手付かずの状態であり、成長市場獲得の機会を損失している。 |
| ブランド情緒的価値の希薄化の懸念 | 機械化によって品質は安定し生産効率化が進んだ一方で、一部の顧客から「手作りの温かみ」が失われたという指摘を受けており、生産性という機能的価値と、顧客が感じる「B社らしさ」という情緒的価値をいかに両立させ、ブランドとして昇華させていくかが重要課題となっている。 |
| 受験した方の感想 | 次の改善意見 |
|---|---|
| 近年の本試験傾向に近い 「地域資源活用 × ブランド再構築 × 顧客体験CX」の3本柱で構成され、ストーリー展開が論理的で自然。マーケ4P、ブランド、デジタル戦略を一体的に問う構成は、R3~6の試験傾向に近い。 | |
| 実在企業をベースに適度な難易度 実在の企業を題材としたことで本試験に近い感覚で取り組めた。与件文の分量が適切であり、受験生に適切な負荷がかかる良いトレーニングになった。 | |
| 与件根拠がバラけてマーカー練習に良い 各設問に対応するキーワードが均質に散りばめられていたため、与件文のマーキング練習に最適だった。特に、設問別マーカー方式ではSWOT分析時に混乱することなど、解答作成技法のメリットと課題を実践的に経験できた。 |
日本三大和牛でY県Y市ときたら、日本人の半数以上は「あぁあそこね」とピンとくる。それでも簡単に解かせない事例を作問するには、使う根拠を各段落に自動でバラ撒くAIを使うことが得策です。
事例Ⅲ:大手PB依存で強みを失いつつある畜肉加工C社の付加価値戦略
C社は、九州地方W市に位置する食肉加工業者である。社員30名(うち製造部門18名、社⾧含む間接部門10名、営業2名)、パート70名という規模で、地域の銘柄豚を用いたハム製造から創業した。地域に根差した品質の高さで知られ、特に創業以来の伝統製法によるハムは、地元住民にとって誇りであった。
しかし、市場環境の変化とともに、大手食品メーカーZ社からの冷蔵ウインナーの受託生産が主軸となっていった。現在、ハムの生産は少量に留まるが、ウインナー製造においてはISO 9001認証を取得し、Z社が求める厳しい製造品質水準をクリアしているが、この品質体制は、⾧年にわたり品質管理を担ってきたベテラン役員の貢献によるところが大きい。
本事例は、大手食品メーカーZ社へのウインナー受託生産に大きく依存し、低利益率、属人化、縦割り組織といった構造的課題を抱える食肉加工業者C社が、高付加価値化を目指して新規の高級ハム製造事業への参入を検討する状況を問うものである。特に、老朽化した生産管理体制と、品質管理の属人化という問題点をデジタル技術(クラウドシステム)と生産方式の改善によってどのように解決し、新規事業を成功させるか、そのための組織運営と技術・品質管理の改革について問うものである。
受験生には以下の能力が求められる。
- 内部環境分析能力: 受託生産依存、縦割り組織、システムの老朽化など、C社の構造的な課題を正確に把握し、強みと弱みを特定する能力。
- 品質管理問題の原因分析能力: 品質クレーム増加の背景にある、技術承継の遅れ、OJTの不十分さ、およびISO 9001の属人化という3つの要素を関連付けて説明する能力。
- 情報システム導入効果の説明能力: 新規クラウドシステムの導入が、縦割り組織の解消とパートの多能工化にもたらす具体的な効果を、情報連携と形式知化の視点から論理的に説明する能力。
- 生産計画・方式の改善提案能力: 少量多品種生産による段取り替え時間の長さという課題を認識し、セル生産方式の拡大と週次計画への変更が、生産リードタイム短縮と稼働率向上にどのように貢献するかを説明する能力。
- ISO 9001を活用した新規事業への応用能力: 既存事業の品質管理の属人化という課題を踏まえ、Z社からの支援も活用しながら、ISO 9001の仕組みを新規事業の技術確立と社内教育に活用・改善する具体的な方法を提案する能力。
| 経営課題 | 根拠となる与件文の要素 |
|---|---|
| Z社への過度な依存と低利益率 | 売上高の約85%をZ社からのウインナー受託生産に依存しており、取引は安定的であるものの、価格競争に晒され利益率が低迷している。 |
| 老朽化した生産管理システムと工程間の連携不足 | 導入から15年以上経過した老朽化した受発注生産システムは、受注情報を紙に出力するアナログな運用がされており、工程間のリアルタイムな情報共有機能が欠け、トラブル発生時の連携不足を助長している。 |
| 縦割り組織と技術・品質管理の属人化 | 製造現場は、班長が他工程への関与を避けるなど縦割りの組織体制となっており、パート作業者も自分の持ち場しか知らない。また、高度な技術(熟成・燻煙)やISO 9001の仕組みが退職した役員や古参社員の暗黙知として属人化している。 |
| 少量多品種生産による生産性の低迷 | ウインナーの少量多品種生産(約200種類)が原因で、品種変更に伴う洗浄・段取り替えに平均30分を要しており、これが生産リードタイム延長の主要因となっている。直近3か月の設備稼働率は約68%に留まり、生産性が低い。 |
| 品質クレームの増加とOJTの不備による技術承継の遅れ | 長年品質管理を担った役員の退職後、ウインナーの重量不足やバラツキなどに関する品質クレームが徐々に増加している。OJTが作業手順の丸投げになり、作業手順の形式知化が進んでいないため、パート作業者間での手順のばらつきが重量バラツキの原因となり、品質低下を招いている。 |
| 受験した方の感想 | 次の改善意見 |
|---|---|
| 品質管理に関する良問 「品質問題の構造分析 → 生産計画の混乱 → 技能伝承 → 新規事業への応用」という、事例Ⅲの定番シークエンスを押さえている。特に、多品種少量、品質ばらつき、暗黙知承継といった近年のⅢ傾向をカバーしている。 | |
| リアル試験委員好みの二重構造 「ISO認証を持つが実態は属人化」という、理想と現実のギャップを示す試験委員好みの二重構造が役立った。本来できているはずのことが実はできていない、Ⅲの定番設定を別の角度で問う良問。 | |
| Ⅲの事件は現場で起きていない 製造業の「会議室」「事務室」「現場」で起きる諸問題が絡み合う、リアルな事例設定であった。複雑な工程と複雑に絡む問題が織り交ぜられ、このような「Ⅲ」がもし本番で問われたらと背筋が寒くなった。 |
R5~R6の「事例Ⅲ」は本気で難しく、昨年合格者レベルが騙るノウハウの、軽く三段階は上を行く。もし今年のⅢ大ボーナスに賭けるなら、第2~4問の生産計画planning⇔統制control問題を、どこで事件が起きているかで切り分けます。
今日のまとめ
ここの新作事例がそこらの勝手AI事例と違うのは、同時にいくつも作って見比べてベストを選び、メンバーで実際に解き合って次のAI作問に反映する点。すると近年の「Ⅰ~Ⅲ」がなぜクロスオーバーするかの理由に気が付き、月末の本試験のアドリブ力を業界最高レベルに高めます。