今年も採点基準を変え、合格者をガラリと入れ替え。
診断士とは、超ホワイトカラー属性のエリートが、MBA代わりに一年ストイックに学習してやっと合格? それも一つのスタイルですが、出題側の回答は「違うよ、人それぞれでいいんだよ」。
今日の体験記は、「1次」「2次」を両方4回受けたST様。「2次」開示得点の伸び悩みを受け、肩の力を抜いたら、試験への見方が変わったそうです。ではどうぞ。
【筆記合格体験記】4回目の「2次」受験。肩の力を抜いたら見方が変わった ~ST様
1. 診断士に挑戦した理由・きっかけ
STと申します。現在43歳、事務機器の販売会社で営業職を10年、人事、総務、企画部門で11年の社歴になります。診断士を目指したきっかけは今から4年前の2014年の9月。
まもなく40歳を迎えるタイミングで、もう一度自身の能力アップのために難関資格を取得したいと思い、中小企業診断士を目指すこととしました。
2. 学習開始時の知識・保有資格、得意科目・不得意科目、「1次」科目別点数(合格年)
PC関係の資格(ドットコムマスターダブルスター、MOS、P検定2級)、統計検定2級、エクセル分析スペシャリストなど。 比較的簡単な資格を多数。
得意科目:
「情報」「財務」(業務上IT製品の取扱が多いため)
苦手科目:
「企業経営理論」
「1次」受験年度別スコア
年度 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 |
経済 | 68 | 52 | ○70 | ※ |
財務 | 72 | ○68 | - | ※ |
経営 | 55 | 53 | 56 | ※ |
運営 | 62 | 55 | 50 | ※ |
法務 | 60 | ○60 | - | ※ |
情報 | 48 | ○64 | - | ※ |
中小 | 72 | 38 | ○76 | ※ |
合計 | 437 | 390 | 252 | ※ |
結果 | 合格 | 免除 | 合格 | 合格 |
○は科目合格、※2018年は自己採点をせず、開示請求結果待ち。
「1次」保険受験について
① 一次免除の年も毎年受けた。 免除年だから二次に注力するという方もいますが、仮にその年に二次落ちると翌年一次7科目受けることと、前年全く勉強していないので2年ぶりで一次の勉強に取り組むことになります。このパターンで多くの方が3年目一次不合格というケースを見ています。 毎年少ない時間でも一次の勉強をすることで、知識が身につきます。私は今年の一次の勉強は、昨年の本試験問題を一回やったことと、TAC通信講座で「中小企業経営政策」を軽く一度見ただけですが、7科目で合格できました。(法務の得点調整があったことも一因ですが) |
② 「中小企業経営政策」はTAC通信講座を。 昨年までは洞口先生の講座で、語呂合わせなどでとても面白く学習することができました。今年から講師の方が変わりましたが、内容は問題ありません。 「中小企業経営政策」は時間をかければ70点以上獲得できるので、費用対効果の高い科目だと思います。(そもそもこういった中小企業の動向を知らないでコンサル目指しているというのもおかしいかと) |
③ 出来る限り7科目受験でリスクヘッジ。 私のまわりでも、前年の科目合格があり、当年度に2、3科目で受験し、その科目が難しい年にあたり不合格というケースを多々見ています。少なくとも4科目、できれば7科目受験をおすすめします。(中小企業経営政策は必須) |
3. 学習スタイルとそのメリット・デメリット
4年間で様々な勉強スタイルをとりました。
1年目 TAC通信
メリット:自分のペースで勉強できる、Web授業は想像よりもわかりやすい
デメリット:二次は習得しづらい、仲間がおらず学習ペースがわからない
2年目 TAC通学(池袋) 勉強会チーム参加
メリット:通学で決まった時間に規則正しく学習できる、勉強会チームは仲間と切磋琢磨や情報の共有ができる。(過去問を一日で7ラウンドやるなどしましたが、一人だとできない)
デメリット: 通学の時間が無駄、勉強会では様々な意見が出ることが多く、情報過多になることも
3年目 独学、TAC「中小企業経営政策」通信
メリット:独学は自分のペースで勉強できる
デメリット:独学では自宅が落ち着かずカフェに行くことも多く、コスト面での負担、移動時間がかかるなどがある
4年目 独学、TAC「中小企業経営政策」通信
※3年目と同じ
4. 2次筆記合格までの受験回数、学習時間とその作り方
年度 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 |
学習時間h | ||||
1次 | 784 | 94 | 366 | 約20 |
2次 | 204 | 791 | 314 | 約70 |
合計 | 988 | 885 | 680 | 90 |
開示得点 | ||||
事例1 | 47 | 59 | 48 | ※ |
事例2 | 57 | 52 | 53 | ※ |
事例3 | 57 | 45 | 46 | ※ |
事例4 | 60 | 59 | 59 | ※ |
合計 | 221 | 215 | 206 | 240以上 |
学習時間の作り方
勉強開始当初は、とにかく毎日やることを誓い、開始から1年間毎日勉強を続けた。
平日 朝は7時頃から会社で0.5~1時間、夜は自宅で1~2時間
土日 3~5時間自宅かカフェで。 通学のときは授業×2回と勉強会で合計8時間
通常週は15時間、月間80時間程度
直前期は週20-25時間 月間100時間超程度
5. 2次筆記合格までの学習法
初年度
一次合格後、引き続きTAC通信で二次の勉強をしたが、演習提出もままならず、何の手応えもないまま二次試験を迎え221点。
2年目
このままでは受からないと感じ、TACの通学を選択。池袋校に通学し講師の方から勉強会チームへの参加を勧められ加入、毎週土曜は講義の後に勉強会(合計38回) 直前期は土日などで過去問を4~7事例解くなど。仲間との事例についてのグループディスカッションで切磋琢磨あり、みなで毎月100時間を目指すことで一体感を醸成、かなりの自信を持った状態で二次試験に臨めた。しかし215点。
ちなみにグループで二次試験受験者16名中合格者は3名。
3年目
4月頃から一次の勉強を開始。一次合格後独学で進める。しかし結果は206点と過去最低。筆記試験は自分に合わないと思い養成課程を受験する。しかし落ちる。
4年目(合格年度)
ここ3年あまりにもこの試験に熱を入れすぎて落ちたときのショックから立ち直れないので、一旦距離を置くことを考える(所詮ただの試験、受からなくても必要な能力が身についていればそれでいいとの開き直る)。通常の仕事の中で、企業買収の検討や決算書を見る機会も増えたので、そういった中で診断士目線で考えることをこころがけた。
一次試験合格後、8月24日より二次試験の勉強を再開。3年連続で二次試験の点数が下がっていることを考え、この試験の考え方を根本的に変えることを決意。この3年間で様々な知識が身についてしまったため、逆にそれを押し付けるような解答になっていた。
自分の書きたいことを書いてしまう癖があり、自分が手応えありと思った事例のほうが点数が低いケースが多いことを再確認した。
改めて、試験委員が何を解答に書いてほしいと思っているかを意識するようにした。当サイトの記事でもありましたが、解答については与件文のコピペに徹底することを心がけました。設問分析(試験委員の意図)、対応付け(どこに隠されているか)、与件のコピペという感じです。事例4については2日に一回くらいのペースで行いました。
あと、これは解答の書き方なのですが、私は文章を書くのが苦手なので下記の点を注意しました。
1.「理由を述べよ」のケースで、文頭の「理由は」の部分は一切書きませんでした。設問で理由を求めているのに、解答に「理由は」という単語がないだけでマイナス評価することはできないと思ったためです。
2.解答に複数の論点を書く場合「①▲▲▲~こと、②△△△~こと」という感じで書いているケースが多いですが、文末の「~こと」などは一切書きませんでした。プレゼン資料の箇条書きのイメージで書くようにしました。
例 事例1 第3問
設問 A社の組織改編にはどのような目的があったか。100字以内で答えよ。
解答 ①製品開発部門を強化し新商品を迅速に開発し、製品領域を拡大し差別化を図る
②専門知識を横断して活用しシナジー効果の発揮とインベーションを起こす
こうすることで、解答がだいぶ書きやすくなりました。文章がうまくかけない方は、この方式も参考にしてみてください。
6.学習時・試験当日のエピソード
勉強時間を見ていただくとわかるかと思いますが、合格年の今年は、ほとんど勉強していません。これは、上記にも書きましたが、ここ3年あまりにも熱を入れすぎたが不合格で、4年目を本気で取り組むことが怖くなったからです。
ただ、それが自分のやり方を見直すきっかけになったのは間違いありません。各設問に対して、試験委員が求めている解答を探すことが重要であると。
勉強時間が圧倒的に少なく、かつ事例を80分で解くことを一度もやらず(模試も受けていない)二次試験に望みました。そのため、当日は慌ただしく、時間も足りずできた実感は全然ありませんでした。正直、得点開示結果が出ていないので、どこがよかったかはわかりませんが、事例4の数値問題は2(3)以外はあっていたので、事例4が得点源になったとは思います。
7.これから合格を目指す方へのアドバイス
・一次試験は毎年受ける、7科目で受ける、中小企業経営政策はTACの通信受ける
・二次試験は試験委員が何を求めているかを意識する、与件分のコピペで
・実務でもコンサル視点で、決算書を見る機会増やす(書籍でも可能)
・勉強は時間じゃない、質
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