A経済学

【経済】「石川の経済」斜め読み(ミクロ)

「経済」には3人の神様がいる。

その名もスピ問様、石川様、マンキュー(の入門経済学)様、の3名。この3人、高潔な人格にこそ定評あるが、ちょっぴり商売っ気があり、

こちらの水は甘いぞ。
さぁさぁまずウチの水から飲みなさい。

としきりに誘いを掛けてくる。確かにその水は甘美で、気づいたら2ヶ月経過、というのがこの業界でよく聞くお伽噺。

その呼び込み文句をご紹介。
スピ問様:
試験傾向の変化を見て毎年2~3割を入れ替え。最新試験傾向を意識し効率的に学習可能。60%の得点で合格するため、学習領域の取捨選択が重要。
石川様:
「日常会話でわかりやすく」など、5つの特徴により初学でも大丈夫。(診断士対策なら)本書でインプットし、過去問・予想問題を繰り返して完成度を上げれば良い。
マンキュー様:
経済学を学ぶ理由は、①日常世界の理解 ②経済に自ら機敏に参加 ③経済政策の可能性と限界を理解。実際の生活に応用できるため、将来必ず役に立つ。

※出典:各書のはしがきより要約引用。

3人の言い分は解った。で、「経済」はどこまで学習すれば良い?

「周囲が出来る所を取る」が正解。だが学習開始前に一つ留意点。

○要領よく点を取ることは有効。
△効率良く合格を狙う、は慎重に。

「要領よく得点」するには、難易度・出題頻度を意識。正解率ABランクを8割当て、最後の2択Cランクを5割当てる。これで60点到達(→TAC過去問集を自分で集計し、期待値計算でわかる)。

「効率良く合格」するには、「合格を目的とし」「非効率な学習をしない」ことで、独学・通信生に有効。通学生の場合、受験校カリキュラムこそ「最も効率的」。そこで手を抜くと痛い目に遭う。

独学合格=最も効率的。INPUT抜きで最初から過去問を解き、その逆算で頻出知識から順に増やすから。

通学生は講義+予復習重視で、60点狙いにはINPUT超過。そこでINPUT時間を削り、過去問・スピ問OUTPUT重視で要領よく得点。その後、時間の許す限り非効率な学習(=あれこれ試行錯誤や失敗PDCA)に手を出しておく。

失敗は成功のもと。他人が嫌がる失敗を乗り越えてこそのスト合格。

本日の斜め読み範囲

では、「石川の経済」はどう使えばいいの?

独学者:石川の経済をテキストとして使う。一巡してから問題集。
通学生:講義終了次第スピ問を解く。不明点を石川の経済で理解。

「経済」や「財務」は既に体系化された学問。まず目次を見て全体像を頭に入れることが効果的。

Part 1 経済学の勉強方法と全体像

 

§1 経済学の思考パターン
§2 グラフの読み方
§3 ミクロ経済学の全体像
▲§4 微分の公式と活用

Part 2 家計の行動

 

§5 限界効用理論
§6 無差別曲線
§7 予算制約線・最適消費点
§8 上級財・中立財・下級財
§9 需要曲線
▲§10 さまざまな無差別曲線
▲§11 労働供給量の決定
▲§12 貯蓄量の決定
▲§13 顕示選好の理論

Part 3 完全競争企業の行動

 

§14 利潤と収入
§15 費用
§16 供給曲線
§17 完全競争市場の長期均衡
▲§18 生産要素の需要

Part 4 完全競争市場均衡§19 △調整過程
Part 5 不完全競争市場§20 独占
§21 △独占的競争
§22 寡占
§23 ゲーム理論
Part 6 効率と公平§24 効率性と公平性
§25 △ローレンツ曲線とジニ係数
§26 余剰分析
§27 ▲パレート最適
Part 7 市場の失敗§28 △費用逓減産業
§29 外部効果
§30 △公共財
§31 情報の非対称性
§32 期待効用仮説
Part 8 貿易の理論§33 自由貿易
§34 △保護貿易

斜め読み開始~「要するに」作戦

作戦の進め方

「石川の経済」の特長は、①知識体系の提示 ②わかりやすい文章 ③60時間の無料解説講義。問題集の前に通読するのがベスト。時間がなければ問題集の解説として使うのがセカンドベスト。

その際自分なりの理解を、「要するに」と一言メモにしておく(知識記憶→理解記憶(経験記憶)に進化し、記憶に残る)。「要するに」の例を以下に示す。

Part 1 経済学の勉強方法と全体像

§1 経済学の思考パターン
§2 グラフの読み方
§3 ミクロ経済学の全体像
▲§4 微分の公式と活用

→§「経済学の思考パターン」を押さえれば、どこかで迷っても本筋に戻れる。文章がわかりやすいので、§1~3は斜め読みでなく確実に頭に入れる。§4は不要(診断士では問われない)。

「経済」の全体像から詳細まで一気に頭に入れるのは難しいですね。そこでわかりやすい★★★評価と、石川の経済オリジナルのABC出題可能性で優先度を示します。

★★★ 重要頻出論点。理解が問われるので、解けるまで理解。
★★☆ 頻出論点。理解が不要で、主に解法で解けることが多い。
★☆☆ 必要概念。直接問われないが、頻出論点を解くのに使う。
☆☆☆ 出題対象外or稀出論点。▲=全く不要、△=たまに出題。
出題可能性:A=高い、B=普通、C=低い
Part 2 家計の行動

→X財・Y財のみの2財モデルを仮定し、家計の消費行動→最適消費点→需要曲線までを導く。

★☆☆§5 限界効用理論
→ビールの1杯目は超旨いが、2杯目・3杯目・・はそうでもないと説くのが限界効用の逓減。コスパ最高!限界効用を価格で割ったお買い得感が加重限界効用。考え方の基礎であり、出題はない。

★★☆§6 無差別曲線
→2財(X財・Y財)をそれぞれ買う時、効用が同じ(=無差別)になる組み合わせをつないだ線が無差別曲線。5つの性質は最初は理解不要で後から押さえる。

★★★§7 予算制約線・最適消費点
→2財(X財・Y財)を買いたい時、効用は曲線だったが、予算制約は直線。直線と曲線の接点が最適消費点。ここ大事。

★☆☆§8 上級財・中立財・下級財
→経済では様々な実物の動きを説明したいので、どんな財かを分類。所得に対する動きで分類すると上級~下級財。

★★★§9 需要曲線
→所得に加え、価格の動きも反映するには、「代替効果」「所得効果」をスルツキー分解で考える。診断士「経済」はここが大好きで、頻出。ここのポイントはギッフェン財(価格が上がると消費が増える)をどう説明するか。

ギッフェンによるアイルランドジャガイモ飢饉での価格上昇のストーリー仕立てで覚えれば、この章は完璧。

以下は不要か後回し。
▲§10 さまざまな無差別曲線
△§11 労働供給量の決定
△§12 貯蓄量の決定
▲§13 顕示選好の理論
→§11・12はどちらか1マーク出るが、理解せず答えを覚えれば解ける。

Part3 完全競争企業の行動

→企業は利潤が最大化する量を生産すると仮定し、収入(MR)=費用(MC)が一致する供給曲線を導く。

★☆☆§14 利潤と収入
→限界収入(MR)の考え方が最重要。1回目は読み流し、後で悩んだ時に読み返すと、魔法の様にスッと頭に入る。

★★★§15 費用
→限界費用(MC)の考え方が最重要。講義とグラフで、費用曲線(MC→AVC→AC)の考え方を理解で学ぶ。重要点なので、理解につまずいたら動画の出番。

★★★§16 供給曲線
→費用曲線をじっくり眺め、①企業は利潤最大化する生産→MR=MC→供給曲線とはMC曲線そのもの、までを理解で学ぶ。損益分岐点・操業停止点を自分の口で説明できるレベルが目安。

△§17 完全競争市場の長期均衡
→短期・長期の費用/供給曲線は出ても1マーク。理解しても他論点に影響しないので、答えを覚えて解法で解く。

▲§18 生産要素の需要
→出ない。もし出てもマクロ知識・家計行動の知識応用で解ける。

Part 4 完全競争市場均衡

☆☆☆B §19 △調整過程
→価格で調整するのがワルラス調整。翌期の生産、つまり在庫で調整するのがマーシャル調整。用語レベルが問われ。「不安定」は出題なし。

Part 5 不完全競争市場

→完全競争の仮定を外すと、価格競争と差別化が起きる。企業経営者がブル―・オーシャン大好き!である理由がわかる大事な章。

★★★A §20 独占
→独占企業は①作るほど価格Pが下がり、②限界収入はさらに下がる(P.209)。
独占企業は利潤最大化のためMR=MCとなる点で生産を止めるが、MRより高いPで売れるので儲かる。理屈が難しい分、一度理解すると荒稼ぎ。

☆☆☆B §21 △独占的競争
→独占のおまけ論点。完全競争下でも商品を差別化すれば、独占の理屈で儲かる(短期)。新規参入により利潤=ゼロ(長期)と覚えれば完璧。

★★★B §22 寡占
→独占市場にライバルが登場すると寡占。両社は価格を探り合い、自社が値下げすればライバルも追随、自社の値上げには追随せずシェア拡大を狙う。ここまで(屈折需要曲線)は実務イメージで納得。
さて、技術革新で生産コスト(MC)が下がると、普通は値下げ+増産で儲ける。だが独占市場では迂闊な値下げはライバルに追随され、思惑以上に値段=限界収入(MR)が下がる。それなら今の価格・今の生産量のぬるま湯でいいやとなるのが価格の下方硬直性。出題頻度が減ったのは残念。

★★☆A §23 ゲーム理論
→寡占市場でのライバルとの価格駆け引きを他に応用するのがゲーム理論。頻出論点であり真面目に考えると面白い。だが時間がもったいないので試験上は理解より解法で解く。

Part 6 効率と公平

→「あるべき経済」の実現に向け、効率性と公平性の意味を学ぶ章。

★☆☆C §24 効率性と公平性
→効率性とは「余剰の最大化」、公平性とは「余剰の配分」。ただの前フリ。

☆☆☆B §25 △ローレンツ曲線とジニ係数
→公平性:所得分配の平等度は、ローレンツ曲線のグラフで把握。下に凸になり、ジニ係数が大きいほど格差社会。あまり出ない。出ても簡単。

★★☆B §26 余剰分析
→効率性:総余剰=消費者余剰・生産者余剰等のグラフの面積を最大にすること。ここでは完全競争至上主義。独占市場や課税・補助金で生じる死荷重を示せればOK。

☆☆☆C §27 ▲パレート最適
→パレートさんが考えた、最適資源配分の状態。§29外部効果で使う。

Part 7 市場の失敗

→「完全競争至上主義」のPart 6に対し、「市場に任せると最適資源配分にならないケースがあるでしょ?」とツッコミ入れるのが市場の失敗。

☆☆☆B §28 △費用逓減産業
→電力・鉄道など初期投資が大きい産業は、(追加生産費用が小さく)費用逓減・自然独占。§26で教わった独占=非最適資源配分の知識を使い、ツッコミを入れる。試験上は価格規制をさらっと押さえる。

★★★A §29 外部効果
→外部効果にも色々あるが、外部不経済=公害の例を使う。企業は公害コストを当初意識しないので、本来の全体最適(パレート最適)より作り過ぎちゃうのが市場の失敗。税金で是正せよと主張したのがピグー、交渉に任せよと指摘したのがコース。

☆☆☆B §30 △公共財
→誰でも・同時に使える公共財(警察・消防)は、ただ乗りフリーライドにより見掛け上の需要が減るため、政府が介入して本来の必要量を供給。診断士では用語レベルしか出ない。

★★☆A §31 情報の非対称性
→頻出。契約前の非対称性が逆選択、契約後の非対称性がモラルハザードと覚えれば簡単に解ける。

★★☆B §32 期待効用仮説
→宝くじを買う(=診断士「2次」を受け続ける)心理の説明。2択のうち不確実性のある方を選ぶとリスクプレミアムがついてくる。計算練習すればOK。

Part 8 貿易の理論

→時代はグローバル。だが複雑で面倒だから、ミクロでもマクロでもグローバルの話題は最後に後回し。

★★☆A §33 自由貿易
→小国の2国モデルで貿易を行うと、輸出側は生産者余剰、輸入側は消費者余剰が増える。どちらの国が輸出するかを考えるのがリカードの比較生産費説。

それを労働人口で考えるのがヘクシャー=オリーンの定理。

☆☆☆B §34 △保護貿易
→関税による死荷重だけ示せればOK。

※記事中に示した外人顔画像は、全てWikipediaより。

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