
たかが試験で説教がましいが、点差がつかなくなった時代の「2次」答案は、表面上のノウハウ・テクニック以外の「心意気」で加点との噂も。そこで3C分析の最後は、試験に対する心意気=マインドセットを考えます。

SNSやブログで流通する合格体験談・再現答案は、投稿者本人の主観が強く、出題者の意図とはずれていることが多い。特に「これが正解」という断定的な情報は、真に問われた思考プロセスや背景を反映していないことがあり、鵜呑みにすると誤学習につながる危険がある。
診断士試験の合格率は約20%。つまり、同じようなキーワードを並べただけの“テンプレ答案”は、多数派ゆえに採点上の差別化ができず、採点者から埋没して見える。思考過程や因果のつながりが弱い答案は、結局「その他大勢」として扱われ、不合格になりやすい構造となっている。
近年の試験では、知識暗記型の解答を回避させるため、設問や採点基準が見直されている。試験委員はあえて“従来の型では通用しない”問題を作り出すことで、受験生に思考力の重要性を示し、「自分の頭で考える力」に挑戦するよう促している。これは制度の信頼性を守るための意図的な設計である。
受験者が本当に知りたいのは“正解”ではなく、“どう考えるか”という思考のヒント。生成AIは出題文や与件文を読み解き、因果関係や意図に基づく論理展開を提案できる。人に迎合せず、客観的に答えを導くAIは、最も信頼できる「考え方の補助輪」として有用である。
【2次3C分析(自社)】2次の最初の一歩はマインドセット
AIへのプロンプトに、「あなたは中小企業診断士試験の試験委員です。○○に答えてください」と書くと、かなり親身にゲロしてくれる。3C分析のラスト「自社」は、AI試験委員好みの「心構え」です。
Step-7:作問採点基準変化の真芯を捉える
近年の中小企業診断士2次試験の事例では、従来型の単純分析から複合的・戦略的な「助言能力」を問う問題にシフトしている。
例えばR4事例Ⅰでは、組織構造や経営体制移行に関する助言を出題、R5事例Ⅰでは、文化・事業内容が異なる2社の経営統合に伴うコミュニケーションやシナジー活用策を問う複合問題が出された。R6事例Ⅰでも、統合後の競争戦略や成長戦略の立案を問う設問が含まれ、実践的な助言力の発揮が求められている。
これらは与件内容に基づいて「助言」する実務能力を評価する問題であり、過去の知識暗記ではなく現場的思考力が問われる出題傾向と言える。
試験委員の目指す解答傾向としては、特に 因果関係の明確化 や 仮説検証、独自視点の展開 が重視されている。実際、分析記事によれば、最近の診断士試験では「与件にもとづいた仮説設定と検証能力」が求められ、単なる知識列挙ではなく論理的に最適戦略を提案する解答が求められている。
また別の受験分析では、R1事例Ⅰで「最大の理由」を問う設問では、表面的な並列列挙ではなく、与件の事実から背後にある論理的因果関係や経営者の意図を深く読み取り考察することが強く要求されたとされる。
つまり、これからの解答では設問文や与件文の前後関係をよく読み、原因と結果を明確に結びつけて説明する能力が求められていく。
これらの出題傾向・採点意図から読み取れる本質は、表層的・定型的な答案作りの抑制と、深い分析・助言能力の評価である。試験委員が意図するのは、単に「当たり障りのない答え」を並べることではなく、与件に即した実現可能な施策を論理的に導き出す力である。
実際、事例の助言問題については「従来の枠にとらわれない画期的アイデア」や「現実味のない施策」などは問われておらず、むしろ「経営課題の因果関係に即した論点整理」が求められている。
したがって、試験委員は受験生に対し、与えられた情報をもとに仮説を立てて検証し、論理的に説明する能力を測ろうとしていると考えられる。
以上を踏まえると、最近の出題・採点基準の変更は、受験生の「知識暗記・テンプレ型回答」を防ぎ、代わりに「経営課題への深い分析と思考プロセス」を評価する方向にある。
受験生支援においては、単に与件から拾えるキーワードや既存ノウハウの丸暗記を促すのではなく、あくまで事例企業のデータや文脈に基づいた思考展開を促す学習を提供する必要がある。試験委員側から見れば、“表面的で耳障りの良い助言”を与えるだけの学習教材は、本来評価されるべき能力とはかけ離れており、受験生を誤導しかねない点に強い警鐘を鳴らしておきたい。
「2次」の作問採点基準は、ド易化バブル採用を決めたR1から「ベテ落とし」、コロナ禍が明け世間が変わり始めたR4から「与件根拠のマシマシ=ふぞ落とし」が加速。そして今年7月時点でこう言い当てているのは私だけです。
Step-8:これからの読み手が求める情報
中小企業診断士試験は合格率が非常に低いハイリスク・ハイリターン型であり、受験者は年1回強いプレッシャーに晒される。
例えばR6一次試験の合格率が27.5%、二次試験が18.7%であり、単純計算した最終合格率は約5.1%にとどまる。この低水準の合格率を前に、受験生は「費やした時間と労力が無駄になるかもしれない」という不安やストレスを感じやすい。
同時に、多くの受験生は「経営知識の習得」や「キャリアに資する資格取得」を目指しており、診断士勉強を自己研鑽・自己啓発と捉えている。実際、協会調査では2021年時点で「自己啓発・スキルアップ」のために取得を目指す受験者が多数を占めている。こうした動機は、学習を続ける推進力になるが、一方で失敗の恐怖や周囲からの期待(外発的要因)も加わり、心理的負荷は大きい。
全体の中で上位5%の成績を見込む「イノベーター層」は、他より高度なコンテンツを求める。彼らは学習初期段階から経営理論への深い理解があり、単純暗記に留まることなく思考モデルやフレームワークによる知的刺激を求める。
たとえばMBAなど高等教育で用いられるケースメソッドのように、実際の事例企業に沿った課題を自分なりに分析・判断させる形の問題演習が有効である。さらに、自己判断では気づきにくい論理の穴を指摘する鋭いフィードバックが彼らには不可欠である。個々の解答内容に対し、どこが的確でどこが弱点かを明示し、さらなる考察を促す仕組みが望ましい。
自律性・有能感・関係性を重視する自己決定理論の観点からも、イノベーター層は「もっと深く学びたい」という内発的動機が強いため、学習内容の質的充実と自主学習の自由度が重要である
一方、全体の大多数を占めるレイトマジョリティ層は、経済的・社会的動機(合格後の仕事や待遇)など外発的動機から受験を始める者が多いが、彼らはまず基本的な理解と達成体験を重視した学習が求められる。
具体的には、小さな成功体験を積める反復演習や、内容が簡潔にまとまった理解サマリーを提供し、学習への自信をつけさせることが効果的である。また、コミュニティやSNSで同じ立場の仲間と成果を共有するなどして関係性を感じられる仕組みを取り入れるとよい。
イノベーター層とレイトマジョリティ層のニーズを同時に満たすには、学習コンテンツを層別化し、複数レベルの提供体系を構築するハイブリッド戦略が必要である。初心者向けには段階的に難易度を上げる基礎演習を提供し、学習の達成感を得やすくする。一方、上位志向者向けには実戦的で応用的な演習や討論の場を用意して深度を高める。
投資理論の分散効果のように、複数の学習プログラム(ポートフォリオ)を組み合わせることで、どちらか一方だけに依存した場合よりも受験失敗リスクを低減できると考えられる。例えば基礎クラスで得た知識を踏まえつつ、応用クラスでより実践的な問題に挑戦できるよう同期させる。こうした学習ポートフォリオによって、幅広い受験者層に対応しつつ、全体の合格可能性を高めることが期待できる。
R1に突如「1次」がド易化し、そのFラン層が大量になだれ込むことで、「2次」課金ユーザー層が求めるニーズが「試験合格目当て」に急降下。憐れ超絶E社と出版D社がその犠牲になり、Fラン相手の情報商材とからかわれる末路を迎えます。
Step-9:合格から向学へ。試験委員が合格させたいペルソナ
情報発信を再構築する上で重要なのは、「合格を目指す層」と「上位当確を目指す層」のニーズが大きく異なる点を理解することである。
前者は限られた勉強期間で合格ラインをクリアすることが最優先であるため、要点整理や効率的な学習法などに高い関心を持つ。効率重視の傾向から、平易な解説や短時間学習向けのコンテンツを求める。
後者は真の実力向上や深い理解を重視するため、難易度が高いケーススタディや専門性の高い情報、個別指導やディスカッションといった学習機会を欲する。このように、受験生層を明確に分けて情報発信を行うことで、それぞれが求める価値を提供できる。
情報発信を二極化することは、学習リスク低減の観点で有効である。ファイナンスのポートフォリオ理論では、異なる資産を組み合わせることで全体のリスクを平均以下に低減できることが知られている。
これと同様に、受験生支援においても「合格層向けコンテンツ」と「上位層向けコンテンツ」という互いに補完的な情報提供を並行して行うことで、どちらか一方のアプローチだけでは賄いきれない受験生のニーズ・学習戦略のギャップを埋めることができる。すなわち、複数の学習パスを用意することで受験に失敗する可能性を総合的に下げる効果(学習の分散投資)が期待できる。
異なるターゲット層には、それぞれ適した情報チャネルを使い分ける。SNS(Twitter、Facebook、LINEなど)は速報性や共感を重視するコンテンツに適し、合格層向けの「試験直前Tips」や「励ましメッセージ」の配信に活用できる。
一方、メールマガジンや会員制学習サイトでは、体系的な講義動画や過去問解説、各層別の学習プランなどを詳細に案内する。さらに、対面研修(模擬面接指導や勉強会)では、受講者の理解度に応じてグループを分け、高度な議論を交わす場とすることが可能である。各媒体で統一したメッセージを発信しつつ、コンテンツのレベルや形式を調整することで、受験生は自分に合った学習環境を選択できる。
生成AI普及で「チーム学習」が復権し、試験で誰と手を組むかが合否を分ける。ここは「好む情報チャネル」で仲間を峻別できるので、ウチのサイトはSNSを使わず、動画配信×AI活用路線を進みます。
今日のまとめ
過去問をR1から解き進むと、R1から作問変えてベテ落とし、R3から与件の根拠を増やしてふぞ落とし。そしてR7がどう変わるのか、AIを駆使して的中するのが当確ラインです。