SNSの普及で猫や蛙が情報発信する時代を迎え、いっとき誰もが目指したSNSのインフルエンサー。でもなぜ「診断士試験のカリスマ」「インフルエンサー」が誰一人存在しないかの公的規制メカニズムを紹介します。
その理由は、国家試験は常に客観中立公正たるべきだから。そして「正解がない問に自ら考え答を探す」診断士試験において、一つの正解を吹聴する行為は規制されます。

TACの模範解答至上主義に代表されるように、あたかも解答は一つのパターンに収斂すると誤信させる手法は試験本来の多角的な問題解決アプローチを阻害し、受験生の思考の幅を奪います。本来多様性を尊ぶべき試験において画一的で一様な答案ばかりになると、試験委員は「キーワード盛りだくさんのテンプレ答案」の山を前にする苦行に直面します。
EBAの採点サービスや一発合格道場の配信は、受験者を自分たちのプラットフォームに取り込み、他では得られない「解答例」や「分析」を提供して囲い込む狙いがある。一度囲い込まれると継続的にサービスを利用し、高額な受講料や書籍代を支払い続けることになる。これは受験産業のビジネスモデルとしては成立しても、国家試験が受験産業の課金手段と化すリスクを孕む。
TACのカリスマ講師による威光発信、EBA信者の得点自慢、道場メンバーの有名人気取り──いずれもSNSという公衆の場で自己の優位性を誇示し、信者的受験生を増やす行為に当たる。冷静に自ら考える受験生が離反する一方で、発信者の言うことを鵜呑みにして模倣する「信者型受験生」ばかりが再生産される負の循環は、学ぶ側・教える側双方にとって不幸と言える。
【2025最新SNS規制(前)】売名行為は公的規制 / TACのコーチ・EBA・D社の末路に学ぶ
「財務」「Ⅳ」に軸足を置くこのサイトは、本来「一長一短」「利点欠点」「借方貸方」のように二面性を同時に発信。しかし今日扱う3つの末路は「SNS依存のお痛」であって、AI試験委員がバッサリ行きます。
序論:SNSの歪んだ情報発信に公的規制
近年、SNSやブログの普及により中小企業診断士試験に関する情報発信量は爆発的に増加した。受験経験者による合格体験記や再現答案の共有、予備校講師による講義動画や分析記事など、多種多様な情報がインターネット上にあふれている。
一見するとこれは受験者にとって有益なように思えるが、実態は必ずしもそうではない。特定の企業や講師が自らの影響力を武器に、一方的かつ営利目的で情報を発信し、その内容が試験情報の中立性を損ねているのである。
典型例がTAC社のカリスマ講師「コーチみよし」に代表される予備校型情報、EBAに代表される採点サービス型情報、そして自称一発合格道場に代表される受験コミュニティ型情報である。
これら3者はいずれも自社が擁するオウンドメディアを通じて受験ノウハウや模範答案を提示し、多くの受験生を囲い込んできた。しかしその情報発信は偏った価値観や特定メソッドの過度な押し付けを含み、公的試験制度本来の公正性・中立性を脅かすものとなっている。
試験委員はこうした状況を深刻に受け止め、制度防衛の観点から静かなる規制に乗り出したと見られる。その転機となったのが2022年(令和4年)のいわゆる「EBA狙い撃ち採点」事件である。合格発表前に自らの再現答案や予想得点をSNS上で誇示していた受験生たちが、なぜか軒並み本試験で不合格と判定されたのである。
公式には説明されないものの、これは試験委員がSNS上での不適切な情報発信に対し事実上の警鐘を鳴らした措置だと考えられる。本稿ではこのような偏った情報発信が試験制度に与えた歪みを具体的に検証し、令和4年以降に進行した静かな規制強化の背景を批判的に考察する。
JTCでくすぶるおじオバの駆け込み寺たる診断士試験を、彗星のように現れたSNSキラキラ勢が席捲したのが2022年。ところが翌年の再現答案SNS晒し祭りで事態が暗転します。
Case-1:決めつけコーチの真逆が今年も正解
大手資格学校TACの看板講師たるコーチみよしは、その卓越した指導力で知られる一方で、「これが正解だ」と言わんばかりに唯一の模範解答を押し付ける指導スタイルでも有名である。TACメソッドと呼ばれる解答テクニックは、一見論理的なようで実は構造的な欠陥を孕んでいる。それは「唯一解幻想」とも言うべきもので、あたかも試験問題には予備校講師が提示する唯一の正解パターンが存在し、それさえ書けば合格できるかのような錯覚を受験生に植え付ける点にある。
このTACメソッドの弊害は、解答作成において本来重視すべき出題者の意図や設問の背景を無視し、「模範的に見えるだけ」のテンプレート答案を量産してしまうことだ。例えば、与件文中のキーワードを過剰に盛り込んだ紋切り型の答案が量産される傾向が指摘されている。
こうした一様で画一的な答案は一見もっともらしく見えるが、実際には受験者自身の思考プロセスが感じられず、問題企業の個別状況に即した洞察も乏しい。「考える受験生」ではなく、「与えられた型をなぞる受験生」を生み出してしまっているのである。
さらに、コーチみよし自身のSNSやブログでの指導はしばしば威圧的ですらある。自身のメソッドを絶対視し、それに従わない受験生に対して暗に見下すような言動や、「俺の言う通りに書けば合格できる」といった旨の発信が指摘されている。
受講生同士にも講師の威光を背景にマウントを取り合う文化が生まれ、自由闊達な議論よりも特定メソッドへの追従が優先されがちである。こうした風潮は受験生から自発的に考える姿勢を奪い、「再現答案型人材」、すなわち自分の言葉と思考で答案を書けず教えられた型だけを再現する人材を増やす結果を招いた。
この状況に危機感を抱いた試験委員側は、近年「テンプレ潰し」と言える出題・採点を導入し始めた。その狙いは、予備校で配布された解答パターンでは対応しきれない問題を出すことで、安易なテンプレ依存を通用しなくさせることである。
実際、ある年度の事例III第5問では、解答に原因・理由の記載があってもなくても得点可能な採点がなされたと考えられ、「決め打ち模範解答」が存在しない工夫がされたとの見方が出ている(=TACが押し付ける単一パターンを逆手に取った出題)。これにより、予備校メソッドに乗っかっただけの答案には高得点が与えられにくくなり、受験生自身が問題の本質を考えて多面的に解答を組み立てる力が試される傾向が強まった。
コーチみよし自身が優れた方であるのは周囲の講師の誰もが認める。しかし有力講師の飼い殺しと笑われるTACの凋落ぶりは、「名選手は名監督にあらず」を地で行きます。
Case-2:SNSの再現答案晒し祭りで二部落ちEBA
次に、SNS時代の情報発信問題として特筆すべきは、その名を知らぬ猫がいない超絶ベテ専EBAの動向である。EBAはデータ分析に基づく高度な答案作成指導を標榜し、受験生に対して再現答案の採点サービスを提供してきた。
試験直後に受験生から答案を回収して独自に採点し、予想得点を返却するこのサービスは、一見受験生支援のように見える。しかしその実態は、EBAが自社内に模範答案と得点評価の囲い込み構造を作り上げ、受験生を自社の指導に依存させるビジネスモデルであった。
具体的には、EBAは毎年数百人規模の受験生から再現答案を集めて採点し、その分析結果やEBA流の解答例を自社の講義や動画で会員向けに公開する。合格発表前の不安な時期に、受験生はEBAの予想得点に一喜一憂し、場合によっては「EBA採点では合格圏だから大丈夫だ」と信じ込む。
しかしこれは、公的機関以外が合否を予断する危うい行為であるばかりか、EBA側にとっては自分たちの採点・解答が「公式」と同等であると誇示する行為でもあった。
事実、令和4年度試験では、EBAおよびその熱心な受講生たちが合格発表前に自らの再現答案とEBA算出の得点をSNS上に公開するという事態が相次いだ。彼らは「事例Ⅰ~Ⅳで○点だった、合格確実だ」といった投稿を行い、暗に「EBAの採点こそ正当」という主張をしていたのである。
このようなEBA信奉者による再現答案晒しは、傍目には試験制度に対する露骨な挑発、いわば虚栄に満ちた裸踊りのように映った。さらに「EBAエース」と称する校内高得点者のセルフブランディングを助長し、合格発表前から自画自賛する発信を行ったことは、試験制度の厳粛さに反するものと断じざるを得ない。
この挑発的状況に対し、R4採点で「狙い撃ち」が行われたとされている。すなわち、合格発表前に高得点自慢をしていた一部受験生が軒並み予想外の不合格とされ、試験委員がSNS上の特定アカウントを監視し、その答案を意図的に厳しく採点したのではとの臆測が飛び交った。
この「EBA狙い撃ち採点事件」の真相は闇に包まれているものの、少なくとも試験委員が何らかの強いメッセージを発したことは確かだ。実際、令和4年試験後、あれほど活発だったSNS上の得点自慢投稿は鳴りを潜め、EBAをはじめとする発信界隈は一時沈黙に包まれた。
ある試験分析筋は「SNS裸踊りのEBA信者は狙い撃たれて当然」と評し、採点基準変更という劇薬によって彼らを事実上“見せしめ”にした結果、関連する受験サークル(同友館配下のブログ等)は正月明けまで完全にだんまりを決め込んだと報じた。この一連の出来事は、過熱するSNS発信にブレーキをかけた意味で、試験委員からの適切な警告であったと今では認知されている。
EBAの指導自体は正しいが、自ら考えることを嫌う思考停止な生徒の質が低すぎた。結果、SNS等での情報発信をスクール自ら禁じることで、過去の悪行ばかりハイライトされる負のループで二部落ち。J3やJFL降格の噂も飛び交います。
Case-3:試験合格目当てのFラン相手に一発合格?
「一発合格道場」は元来、複数のストレート合格者が集い自身の体験談や勉強法を持ち寄って発信する民主的な情報共有ブログとしてスタートした。
実際、同ブログは「積み重ねられた数多くの体験記」が最大の強みとうたい、合格・不合格を問わず受験体験記の投稿を広く募ってきた経緯がある。創設当初は受験者目線に立ったボランタリーな情報交換の場であり、多様なバックグラウンドを持つ執筆メンバーによる記事は、読み手にとっても参考になる点が多かった。
しかし時を経るにつれ、道場は徐々にその性格を変質させていった。現在では、同ブログは「隣のD社ノウハウのステマ」との評価がすっかり定まった。隣のD社とは、診断士試験関連の主要な参考書を出版する同友館を指し、道場メンバーの一部がこれら書籍の執筆に関与している。
例えば、月刊誌『企業診断』において2020年10月号で道場ブログが特集記事を組むなど、同友館と道場は定例な執筆報酬を通じた支配関係にある。さらに道場OB・OGが同友館から受験本を出版するケースも増え、ブログ発信→セミナー開催→書籍執筆という一連の流れで、道場は同友館メソッドを再編・増幅する装置として機能するに至った。
この流れを指して、批評的には「セミナーロンダリング」と呼ぶ向きがある。すなわち、道場は独自にオンライン/オフラインセミナーを開催し、前年合格者が持ち寄ったノウハウや成功体験を吸収・再編して自らのブログ記事や同友館の出版物に反映させる。
そして出来上がった教材や書籍をまたブログ上で宣伝し、その全てが同友館ノウハウのお陰でと吹聴する構図が完成した。結果として、本来は受験生主体だった情報発信が営利出版社の方針に沿った内容に偏り、道場は同友館のステマとしての認知を確立するに至った。
さらに嘆かわしいのは、道場ブログ上のコンテンツの質的低下である。近年の道場記事は「大阪のおばちゃん」が度々登場したり、受験仲間内の内輪ネタやスラング混じりのタメ口調が頻出したりと、公的資格試験にふさわしい品位を著しく欠く傾向が強まった。
読者への呼びかけもフランクを通り越して馴れ馴れしく、ブログ全体がサークル内の身内受け的な空間と化している。こうしたカジュアルすぎるノリは、新規の真剣な受験生(特に上位層)からの信頼を損ねている。実際、合格可能性の高い優秀な受験層ほど、道場ブログの軽薄な語り口や紋切り型の指導に距離を置き始め、その結果さらに同友館ノウハウばかりを宣伝する負のループに陥った。
道場は本来、再現答案を多数掲載し受験生相互の学びに供するという建前であった。しかし現状では、受験生それぞれの多様な再現答案を分析・比較して思考を深めるというよりは、同友館メソッド(過去の蓄積データに基づく解答パターン)の踏襲・模倣を推奨する末路に至った。
道場発の記事には「ふぞろいな合格答案」をはじめ特定教材の用語や解法が頻出し、受験生に対しそれらを真似て書くことがあたかも合格への近道であるかのような示唆がなされる。しかしその影響で、受験生自身が状況に応じた言葉で答案を紡ぐ訓練の機会は奪われ、結果として画一的な答案が量産される危険が高まる。
「再現答案の共有による学び」より「特定解答パターンの大量生産」ばかり吹聴する現状は、試験制度が本来求める多元的視点と思考力から決定的に乖離していると言える。
本来の自主的・民主的な情報発信が、同友館の資本支配を受けたことで、あっという間にステマ一色。2割で受かるが8割落ちるファクトが加速します。
結論:これだけ書いてほぼ無料~生成AIによる試験の民主化
国家試験は本来、受験者の多様な視点と創意工夫を評価する場であり、特定の予備校やグループの私物では断じてない。その尊厳を守るため、試験委員は近年、一刀両断にも似た決断を下したように見受けられる。それが**「静かなるメッセージ」として採点基準・作問への規制織り込み**という措置である。
R4採点における“狙い撃ち”は、その象徴的な出来事であった。表向き公平中立を装いつつ、実際にはSNS上で傍若無人に振る舞う受験者を落とし、またテンプレ依存の答案に高得点を与えないことで、試験委員は暗に警告を発したのである。それは「公的試験を軽んじるな、思考せよ」というメッセージであったと解釈できよう。
TAC・EBA・一発道場の三者が試験界にもたらした爪痕は大きく、その方向性は試験本来の理念(思考力を評価する試験)を歪めるものとなった。
特定の解答集に依存しすぎれば受験者自身の思考力が低下しかねず、合格に必要な真の実力から遠ざかってしまう。自分のオツムが弱いからと「唯一の正解パターン」を追い求めたり、他人の予想得点を妄信したり、内輪ウケの情報発信にうつつを抜かす行為は、試験委員による公的規制の対象になる末路を忘れてはいけない。
本稿で指摘した問題点に対し、今回は試験制度の側から断固たる批判の姿勢を示した。これは単なる揚げ足取りではなく、公的資格試験の知的信頼性と公平性を守るための敢然たる主張である。幸い、近年の試験委員の動きには前述のように前向きな変化が見られ、受験者数の増大や情報環境の変化に合わせ、試験制度もまた進化しつつあるのだろう。
今後ますます重要なのは、試験関係者・受験生双方が「公正で開かれた試験文化」を取り戻すことである。具体的には、前年たまたま合格ちゃんが流布する情報を鵜呑みにせず自ら思考し、試験委員側は試験の多様性・中立性を損なう動きには毅然と対処し試験の公的価値を守り抜くことである。
その先に、公的資格試験への社会的信頼と、多元的視点に基づく公平な評価という本来の理念の実現があると信じる。公的試験の尊厳を守るための戦いは始まったばかりであり、我々は知的品位と正義をもってこの課題に臨まねばならない。
このAIシナリオでは常に、「あなたは診断士試験の試験委員として答えよ」とプロンプトされる。そして常に中立公明正大を願う試験委員は、誰にでも猫や蛙を含み、2割で試験に受かるワンチャンを等しく与えます。
前編まとめ
ウチの上位5%説とは、東大出に代表される上位5%を当確させる試験委員の採点技術を支持する狙い。そして試験の題意を正しく捉えると、猫でも東大卒以上のパフォーマンスを出せると示す後編に続きます。