「中小」が取れて晴れて企業診断士。活躍の場は2倍以上です。

【H28~R2】直前特典:写経講座で事例Ⅰ

指定キーワードを100字に並べカエル試験
春の東大入試マンガ+ドラマが看破した通り、8,500人のキーワードがお揃い化すると、採点係は「自分好みでない」答案にバツを付け出す。その2大バツ候補が、①わかってない気に入らないの2つです。
そしてベテ化の始まりが、試験終了直後の過ごし方
当試験の合否は既に努力の有無や知識多寡でなく、「言い回しの良しあし」に過ぎない。そこに試験後7週間をクヨクヨ過ごすから、ヘタクソ国語が余計にこじれる。そこで当フォーラムは試験直後1週間で当落に目鼻を付けます

直前特典:写経講座で事例Ⅰ【H28~R2】

今日はそれともう一つ。採点係に好かれたければ彼ら好みの抑制の効いた言い回しを学べばOK。そこで写経の手順&効果を説明します。

直前期に必ず出てくる'写経'ネタ
"写経の目標は、清浄心を養うこととして、仏教の経典を書写する、いわゆる修行として行われてきました。写経用紙に向かって文字を写すことによって邪念を払い、本来持っていた心の安定を取り戻し、清らかな自分の心に気づく機会となります。"
出典:書遊

そこで試験直前期に写経を試すなら、ふぞ・パクリが渾身で回収した自称等身大の答案より、作問係直筆の出題趣旨や設問文に注目します。

【初級】出題の意図

R2事例Ⅰ

第 1 問(配点 40 点)
(設問 1)
老舗蔵元 A 社を買収する段階で、買収側企業グループのトップマネジメントが、どのようなビジョンを描いていたかについて、分析する能力を問う問題である。
(設問 2)
買収側企業の被買収側企業に対する条件提示の意図について、理解して分析する能力を問う問題である。
第 2 問(配点 20 点)
買収された後の A 社が、買収以前の事務処理を情報システム化する際に、どのような手順を踏んだのかについて、理解して説明する能力を問う問題である。
第 3 問(配点 20 点)
主たる販売方法がルートセールス方式から直販方式に変更される際に、営業担当に求められる能力が、どのように変化するのかについて、分析する能力を問う問題である。
第 4 問(配点 20 点)
企業グループのトップマネジメントとして、グループ全体の人事制度確立の方法について、助言する能力を問う問題である。

R1事例Ⅰ

第 1 問(配点 20 点)
事業再建のための新規事業開発において、経営者が考えるべき戦略的課題に関する分析力を問う問題である。
第 2 問(配点 20 点)
企業体質および企業風土の形成要因とその関係について、理解力を問う問題である。
第 3 問(配点 20 点)
市場動向とホームページなどを活用した情報戦略の関連性について、理解力を問う問題である。
第 4 問(配点 20 点)
新規事業の営業力強化にとって必要な意識改革を実践する経営施策について、理解力・分析力を問う問題である。
第 5 問(配点 20 点)
組織再編を実施する際の条件に関する分析力を問う問題である。

H30事例Ⅰ

第 1 問(配点 20 点)
研究開発型企業である A 社のターゲット市場が小規模市場である理由を、競争戦略の視点から分析する能力を問う問題である。
第 2 問(配点 40 点)
(設問1)
A 社が最終消費者市場向けの製品開発に積極的に取り組んでこなかった理由を、人員構成の視点から分析する能力を問う問題である。
(設問2)
A 社が経営危機に立ったとき展開した事業と、それ以前の事業の特性を分析し、その違いを明らかにする能力を問う問題である。
第 3 問(配点 20 点)
A 社の組織改編が、どのような目的をもって実施されたかについて明らかにする能力を問う問題である。
第 4 問(配点 20 点)
従業員の大半を占める技術者のチャレンジ精神や独創性を維持していくために、A 社は、どのような施策に取り組むべきか、助言する能力を問う問題である。

H29事例Ⅰ

第1問 (配点20点)
創業後わずかな期間で高い業績をあげるに至った要因について、経営環境を考慮した上で分析する能力を問う問題である。
第2問 (配点20点)
同業他社に比べて少数の正規社員による効率経営を実現している事業の仕組み及び管理体制について、分析する能力を問う問題である。
第3問 (配点20点)
事業活動拠点の移設に伴う事業展開上の戦略的メリットについて、分析する能力を問う問題である。
第4問 (配点20点)
地域ブランドとして優位性をもつ主力商品の全国市場への展開がもたらす問題を分析し、それに対して適切な助言をする能力を問う問題である。
第5問 (配点20点)
非同族支配の中小企業であるA社が、「第三の創業期」といわれる新しい時代に向けて、どのような経営課題に直面しているのかを分析する能力を問う問題である。

H28事例Ⅰ

第1問 (配点40点)
(設問 1)当初立ち上げた印刷事業が成長した要因について、分析する能力を問う問題である。(設問 2)印刷事業関連以外の新規事業が大きな成果を上げることのできなかった要因を把握する能力を問う問題である。
第2問 (配点40点)
(設問 1)学校アルバム事業との事業展開の比較を通して、新規アルバム事業の事業展開において留意すべき点を分析し、適切な助言をする能力を問う問題である。
(設問 2)新規事業を展開する上で、複数事業間で人材の流動性を確保する組織に改変した理由について、分析する能力を問う問題である。
第3問 (配点40点)
業績低迷が続く地方都市の中小企業が、事業を継続していく上で必要となる人材をいかに確保していくかについて、適切な助言をする能力を問う問題である。


【中級】与件文

【上級】設問文+参考答案

R2 グループ後継を運命づけられたA社長の、経営修行と人事設計

第1問(1) (情報整理)爺ちゃんのグループビジョン

以下は、老舗蔵元 A 社を買収する段階で、企業グループを経営する地元の有力実業家である A 社長の祖父に関する設問である。各設問に答えよ。
(設問 1 )
A 社の経営権を獲得する際に、A 社長の祖父は、どのような経営ビジョンを描いていたと考えられるか。100 字以内で答えよ。
200%自己採点基準
以下の5要素×4点。因→果がない並列列挙は△4点
①老舗ブランド
②インバウンド需要
③グループ間シナジー
④後継A社長の育成
⑤地域の活性化
200%モデル答案きゃっしい様の80分答案 ★受験同期のベスト答案★
描いたビジョンは、①200年の年月に裏打ちされた老舗ブランドの魅力を活かして地域を活性化すると共に、②グループ内の飲食店舗や高級旅館との協業を含む立て直しをA社長に委ね、自らの後継者を育てる点と考えられる。(100字)
※インバウンド漏れ
ビジョンは①200年の歳月に裏打ちされた老舗ブランド力を獲得し、インバウンドブームの機会を捉え、既存飲食業や旅館業とのシナジーを発揮することで地域の活性化を図るとともに②後継者を育成し事業継続を図ること。経営ビジョンは、 ①老舗ブランド獲得によりインバウンドブームに対応し、②既存の飲食業や高級旅館とのシナジー効果により地域の活性化を図りつつ、③A社長の後継者育成と老舗酒造店の事業を継続すること。(96字)
【ベスト答案チームコメント】
・与件に散りばめられた根拠を拾い、100字を因→果で構成する、近年の「Ⅰ」で典型的に聞かれるパターン。
・スクール解答のうち、MMCのみが①・・②・・③・・、のナンバリングを使用。他スクールと見比べると、ナンバリングを使う=「書きやすい」+「読みやすい」効果を実感できました。
第1問(2) 友好的買収の選択理由
(設問 2 )
A 社長の祖父が A 社の買収に当たって、前の経営者と経営顧問契約を結んだり、ベテラン従業員を引き受けたりした理由は何か。100 字以内で答えよ。
200%自己採点基準
以下の4要素×4点。因→果に応じ+4点まで加点。
①雇用維持を前提
②酒造事業の現状継続
③前社長を残す友好的な買収
④顧問や杜氏からノウハウ吸収
200%モデル答案きゃっしい様の80分答案★受験同期のベスト答案★
理由は、①屋号や従業員10名の雇用を守り前経営者や杜氏の協力を得ることで、②A社長に酒造りや社員と共に現場で働くことを学ばせ、③レストランや土産物販売などA社の異なる事業との適切な連携を実現するため。(99字)
※②は事業承継より実務継続優先で
理由は①長年にわたって勤めてきた従業員の雇用責任を果たし②経験のない分野において短期間で円滑にノウハウを獲得し③孫のA社長らに経営顧問と杜氏、ベテラン蔵人の持つ昔ながらの酒造技術や知識を承継するため。理由は、①経営顧問から経験のない酒造事業の経営ノウハウを学び、②従業員への雇用責任を果たすと共に杜氏やベテラン蔵人から伝統的な酒造りに関する技術・技能を承継するため。以上により早期に事業再建を図る。(99字)
【ベスト答案チームコメント】
・第1問は、(設問1)ビジョン=全社戦略、(設問2)酒造事業戦略+組織構造、の2レイヤーに分けて「情報整理」させる設問。
・構文利用=100字一文のナンバリングで書き方が安定すると、解答要求(レイヤー)に沿って根拠を読み取る力を試す良問に。
・ベスト答案では、マス目が余る対応を兼ね、最後に期待効果で締める形を選びました。
第2問 (情報整理) システムによる業務標準化の手順を推理
A 社では、情報システム化を進めた若い女性社員を評価し責任者とした。ベテラン事務員の仕事を引き継いだ女性社員は、どのような手順を踏んで情報システム化を進めたと考えられるか。100 字以内で答えよ。
200%自己採点基準
以下の4要素×4点。因→果に応じ+4点まで加点。
①業務の複雑性の指摘
②ベテラン女性と2年で引継ぎ
③システム化の実施(DB化、標準化)
④業務マニュアルで形式知化
200%モデル答案きゃっしい様の80分答案★受験同期のベスト答案★
手順は、①既存の複雑な事務作業や取引先との商売をベテラン女性から2年間で引継ぎ、②情報システム化の際にはそれらを整理して標準化・単純化・専門化を進め、③誰でも担当できるよう透明化を進めたと考えられる。(100字)
※透明化でなく、形式知化と言い切ってOK
手順は①ベテラン女性事務員の掌握していた複雑な事務作業や取引先との商売の知識や経験を受け継ぎ②それを整理して形式知化し、標準化した上で③情報システム化を進めることによって業務を合理化し効率化した。女性社員は、①前任の女性事務員と共に働いた2年間複雑な事務作業や取引先との商売手法を受け継ぎ、②ベテランの経験に基づく知識を形式知化した上で整理し、情報システム化を進め、業務の合理化を図った。(97字)
【ベスト答案チームコメント】
・与件で与えられる根拠が、「ベテランの複雑な業務」→「???」→「情報システム化」と少なく、一見何でも書けそうに思える。
・形式知(SECIモデル)が正解と思われ、与件コピペ+知識を半々で問う「事例Ⅰ」らしい設問に。
・80分での現実的な対応は、無理に知識を当てたり殴り書きではなく、与件根拠を因→果で並べるきゃっしい様方式になる。
第3問(情報整理) 敏腕執行役員が部下に求めるコミュ力
現在、A 社長の右腕である執行役員は、従来のルートセールスに加えて直販方式を取り入れ売上伸長に貢献してきた。その時、部下の営業担当者に対して、どのような能力を伸ばすことを求めたか。100 字以内で答えよ。
200%自己採点基準
以下の4要素×4点。因→果に応じ+4点まで加点。
①既存ルートセールス業務の見直し
②直販方式でのマーケティング能力
③日本酒バー他の社内コミュニケーション
④杜氏や職人と新規事業の橋渡し役
200%モデル答案きゃっしい様の80分答案★受験同期のベスト答案★
求めた能力は、①既存ルートの取引先との商売を軽減し、②直販方式の売上増を果たすことであり、③併設した日本酒バーや社員の休憩所での社内コミュニケーションを通じ、④杜氏や職人と新規事業の橋渡しをすること。(100字)求めた能力は①直販方式の売上を伸長させるための、消費者ニーズの把握力や販売力、マーケティング力と②杜氏や蔵人と新規事業との橋渡し役として新規事業や消費者のニーズを伝えるコミュニケーション能力求めた能力は、①日本酒バーを通じて日本酒に対する顧客ニーズの直接収集、②杜氏や蔵人へ顧客ニーズを伝え新商品開発支援、➂顧客ニーズをもとにレストラン事業や旅館などでの日本酒拡販支援、である。(94字)
ベスト答案チームコメント】
・スクール解答は、①100字一文因→果型(MMC、まとめシート、200%) ②知識列挙型(TAC、KEC、EBA)、に分かれる。
・①因→果型は根拠コピペで無難な解答になるが、ベスト答案ではあえて②知識列挙の言い切りを選びました。
・誰もが書いてくる「コミュニケーション」もあえて外した、攻めの答案例です。
第4問 (助言)家族主義や年功賃金から、次にはばたくグループ人事へ

将来、祖父の立ち上げた企業グループの総帥となる A 社長が、グループ全体の人事制度を確立していくためには、どのような点に留意すべきか。中小企業診断士として 100 字以内で助言せよ。
200%自己採点基準
以下の5要素×4点。因→果がない並列列挙は△4点
①伝統的な家族経営・年功賃金
②非同族からも抜擢
③正規への権限移譲or非正規の活用
④人材の多様化
⑤グループ共通を意識した評価制度
200%モデル答案きゃっしい様の80分答案★受験同期のベスト答案★
伝統的な家族主義的経営や年功賃金と、優秀な非同族社員を抜擢するバランスに留意すべき。具体的には①正規社員に権限を与えて育成する他、②人材の多様化にも配慮し、③さらに優秀な人材を採用できる制度とする。(99字)
※採用できる制度→評価制度の方がマル
留意点は①能力を適切に見極め、血縁関係に関わらず優秀な人材を抜擢する仕組みを構築し②人材の多様性を考慮し③賃金体系に成果主義的要素も加え④客観的で透明性の高い評価を行うことによって意欲を向上させる点。留意点は、①社員の能力を適切に見極められる評価者を育成し、②人材の多様性を考慮しつつ、③年功序列制度に成果主義も加え、④客観的な評価制度を構築すること等により、企業グループ従業員の意欲を向上させる点。(100字)
【ベスト答案チームコメント】
・ラス問助言問題では、HOW要素~「どのように」が加点要素に。それによるあるべき期待効果=「非同族以外の抜擢による従業員の意欲向上」を、最初に決めます。
・その達成手段として、人材の多様性・成果主義・評価制度・評価者育成の各要素を、バランスよく取り込む解答案としました。

R1 規制業種の茹で蛙農機メーカーの販路開拓を既存の営業組織で

第1問 100字20点 環境分析 Bランク
Q:A 社長がトップに就任する以前の A 社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。
A1:最大の理由は、たばこ市場の縮小傾向を受け葉たばこ乾燥機の売上自体が落ち込む点にある。受動喫煙の社会問題化や葉たばこ耕作面積減少に歯止めがかからず、メンテナンス新事業が売上減と費用増の二重苦を生み出した。 (100字)
A2:理由は、健康志向の高まりや生産者の後継者不足、高齢化により縮小する市場で新たにメンテナンスサービス事業に参入したため。その結果、コアテクノロジーが活かせず、売上減少と費用増大という二重苦を生み出した。
【検討チーム】
・外部要因か、内部要因か、その組み合わせか。多くのキーワードから「最大の要因」の説明を求める問題であり、キーワードの並列列挙では対応できない問題でした。

※R1のみ、①当サイト独自解答、②ベスト解答検討チームの2案を併記しています。

第2問 100字20点 組織行動 Bランク
A 社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にある A 社の企業風土とは、どのようなものであるか。100 字以内で答えよ。
A社の企業風土は、参入障壁の高いたばこ産業に依存する保守的なものである。古参社員が新規事業への取組を好まない他、膨大な部品在庫が収益を圧迫したり全社的な計数管理を行わないなど、経営体制も前近代的である。(100字)
参入障壁に守られた保守的な風土である。具体的には①膨大な数の部品を在庫するコスト意識の低さ、②全社的な計数管理が行われていない前近代的な経理体制、③新しい事業を簡単に受け入れない古参社員の存在、がある。
【検討チーム】
「高コスト体質(=古い営業体質)の要因」の「背景にある企業風土」という整理・分析系の解答要求ですが、古い営業体質の解答に文字数を割きすぎると風土の与件文からの編集文字数が足りなくなり、焦点を絞らせない難問でした。
第3問 100字20点 事業構造 Cランク
Q:A 社は、新規事業のアイデアを収集する目的で HP を立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果などHP に期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。その成功の背景にどのような要因があったか。100 字以内で答えよ。
A1:要因は、HP利用を自社の宣伝より、自社技術による新製品の新規事業アイデア収集に絞った点にある。試験乾燥の返送や説明に全国7営業所を活用することで、様々な潜在市場の見えない顧客にアプローチすることが出来た。(100字)
A2:要因は潜在顧客のニーズを直接的に収集するためにHPを活用したことである。新規事業開発体制を強化し、コアテクノロジーの乾燥技術を有機的に結合させるオープン・イノベーションで、新しい価値を創造できた。
【検討チーム】
背景=物事の背後にある事象。ですので、営業プレゼンが功を奏したというのは背景ではないと考え、書きませんでした。B2Bの市場でも、ネットが新たな価値創造に繋がる可能性があると考えました。
第4問 100字20点 賃金管理 Bランク
Q:新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていた A 社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。
A1:要因は、高齢者を対象とした人員削減が従業員の年齢を10歳程度引き下げたことにある。抵抗感を持つ古参社員の減少や、コストカット分を賞与の成果給に回すことが、新規事業の積極的な拡大につながった。(94字)
A2:要因はコアテクノロジーの明確な位置づけと社員との共有に加え、高齢者対象の人員削減による従業員年齢の引下げや、成果連動型賞与制度で社内整備を図った結果、組織が活性化し新規事業拡大への士気が向上したため。
【検討チーム】
今回の5問の中では根拠が特定しやすい問題でした。ただ、それを100字にまとめるのは少ない時間の中では難しい。根拠を減らしてわかりやすい日本語を優先するのもありです。
第5問 100字20点 組織構造 Dランク
Q:A 社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。
A1:最大の理由は、現状の機能別組織が事業別やマトリックス組織より利点が多いため。試験乾燥ビジネスが順調な他、正規社員が多いA社は本社と全国7カ所の拠点の交流も円滑と考えられ、経営資源を有効活用できる。(98字)
A2:理由は機能別組織のメリットを活かすため。具体的には①社長が全ての部門に目配りしてリーダーシップをとり、②専門性を高め技術力・営業力を強化し、市場開拓と販売チャネル構築で新規事業を軌道に乗せるためである。
【検討チーム】
リーダーシップを発揮した後は、機能別組織により各々の力を高める。チーム力の真骨頂を示す問題でした。

H30 ファブレス電子機器メーカーの技術を支える実力主義の人事制度

第1問 100字20点 環境分析 Cランク
Q::研究開発型企業であるA社が、相対的に規模の小さな市場をターゲットとしているのはなぜか。その理由を、競争戦略の視点から100字以内で答えよ。
A:理由は大規模市場を標的としない集中戦略にある。①取引先の事業縮小による販売減、②生産や販売が他社委託であるため他社の参入可能性 ③代替品の脅威を考慮し、ニッチ市場に向けた製品開発により事業を継続できた。(100字)
この解釈は外れの例。この競争戦略は同じポーターでも5フォースでなく、3つの基本戦略の方です。
第2問(1) 100字20点 事業構造 Bランク
A社の事業展開について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
Q:A社は創業以来、最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった。A社の人員構成から考えて、その理由を100字以内で答えよ。
A:理由は、技術者が9割近くを占め、ニッチ市場向けの研究開発を重視するため。①生産や販売が外注であり消費者向け量産品での利益は狙えず、②新しい技術を取り込んだ製品領域の拡大に人材を振り向ける必要があった。(100字)
【要求解釈】
生産・販売をアウトソーシングしたファブレス企業であり、消費者向け量産化での生産利益は取り込めない。よって時流を先読みした先進的な事業展開(第11段落)により、ニッチ市場の先発優位性まで知識を浮かべ、あとは編集力で。
第2問(2) 100字20点 事業構造 Bランク
(設問2)
Q:A社長は経営危機に直面した時に、それまでとは異なる考え方に立って、複写機関連製品事業に着手した。それ以前に同社が開発してきた製品の事業特性と、複写機関連製品の事業特徴には、どのような違いがあるか。100字以内で答えよ。
A:違いは、製品売切り型と消耗品継続型の差にある。①取引先や顧客の声を反映させた受け身の製品を売切る以前に対し、②情報通信技術の進歩と市場の変化を先読みし継続的な取引を実現した。(87字)
【要求解釈】
第4段落に「売切り型の事業の限界を打ち破る」と明記しています。そこで消耗品ビジネスと大枠を決めると、後は与件の根拠を拾えばOK?
第3問 100字20点 組織構造 Dランク
Q:A社の組織改編にはどのような目的があったか。100字以内で答えよ。
A:目的は重要な経営資源である技術者の活用にある。①技術別組織から機能別組織への改組により、②混成チームでの組織学習が進み、③部門長や管理業務を兼任して従業員数増加を避け、④経営危機を乗り切ることができた。(100字)
【要求解釈】
第8段落で、①技術別組織から機能別組織に大幅改組しています。これに②混成チームによる組織学習、③経営危機を意識した組織変革プロセスの推進とつなげば、3要素で100字が埋まります。
第4問 100字20点 組織行動 Dランク
Q:A社が、社員のチャレンジ精神や独創性を維持していくために、金銭的・物理的インセンティブの提供以外に、どのようなことに取り組むべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。
【加点解答例】
A:現状の成果主義型人事制度を是とせず、ここ10年の業績停滞の原因として、①新卒採用 ②個人評価→チーム評価への転換を助言する。
第4問は難問なので、某スクールの加点答案例を紹介します。ただしかなり踏み込んだ内容であり、これがもし正解であっても本試験で書くには勇気が必要。

H29 売上拡大中の銘菓会社の商品開発+人材戦略

H28 社内人材の流動化で事業構造転換に挑む印刷業者

H27 経営危機を教訓に、技術・新規事業を磨くプラ製品メーカー

H26 主力製品・資金調達・人材育成。試験管メーカーの技術経営は超多忙

H25 非正規社員のコールセンターが強みのサプリメント通販業者

H24 金属表面加工メーカーの品質保証力を国内外の両面から磨く

今日のまとめ

YouTubeを筆頭にネットやSNSまで自称ノウハウがダダ溢れて、お腹一杯に。その中で作問係が使わせたい未利用資源=出題の意図や設問・与件文の写経。そして邪念を払い清らかな心を取り戻すことです。
うん、今年で試験卒業を決める、最低限マストの3要件

①答案に色を出さない(没個性)
②答案で欲を出さない(人並み)
実力以上の背伸びをしない(バレバレ)

合格実力を大きく超えて、初めて写経
そりゃ努力も実力もないのにたまたま受かろう・・なんて邪念だらけの内は、写経するほど逆効果。もうどう考えてもくじ引きっ!清らかな自分の心とは、その諦観の先にあるからです。(100字)