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【R6事例Ⅱ】感覚&観念価値で脱ダナドコの超良問 / 新規事業はレンタル・保管・サブスク3強

第1問で3C分析出題を続け、ふぞろい崩しの意欲を隠さない主催側。今年こそSWOT分析!と泣いて喜ぶふぞろい道場には20点だけ進呈し、第2問25→第3問25→第4問30点と、いずれもしっかり点差が開く良問でした。

Q
試験委員中もっとも童顔とからかわれるイワサキクニヒコおじさんのショボいダナドコが続いたせいで、マーケ実務に全く役立たずと舐めプされ続けた「事例Ⅱ」。今年は答が見事に割れて、今までの非礼を全面的にお詫びします。
A

ダナドコは実務でも役立つフレームワークですが、ふぞろいが広めてしまったことが泣き所。そしてR6「Ⅱ」最大の特徴は、マシマシ根拠でマス目が全て埋まるのに、ダナドコでは答を書けない国語のアドリブ力でした。

R6「事例Ⅱ」検討上の留意点
①根拠⇔設問の対応付けは複数あるので、「ボクの答えこそ正!」の主張を避ける。
②R6は脱ダナドコの意欲的な作問で、受験者がマーケを学ぶ意欲を駆り立てる。
③全体を通じ根拠を使って書く前提で、ふぞろいワードを入れるマス目はない。
④事前想定通り第2~4問を構文で時短し、第1問SWOTを最後に書けば間に合う。
⑤マス目の空白+書き殴りがなければ60点を超えるので、「ボクの答え!」の主張は不要。・・①に戻る

与件文+設問別マーカー

これからAI試験委員が示すAI解答モデルでは、ヒトが手書きのスクール解答より根拠が入り、並列列挙+以上によりのふぞろい構文より遥かに読みやすく、共感しやすい。その前提が与件の根拠を設問別マーカーです。

段落第1問第2問第3問第4問
1 ファッション業界出身の陶磁器卸売3代目社長○ファッション業界
2 日用品使いのX焼
3 分業制の産業集積
4 零細化する分、個人クリエイターも起業○新しい作風の土壌
○クリエイター志望の移住者
5 自前店舗でB2Cも
6 市場の変化で悪化の一途×新規・買い替え需要伸びず
7 零細窯元に代わる情報発信機能○陶磁器祭り
○仮設露店で直接販売
○X焼の情報発信
○零細業者に代わって発信
8 日用品デザインは新鮮味なし×似たようなデザイン
×新鮮味がない
×安くもない
9 ホテルコラボを機会にオリジナル食器○盛り付け映え○3代目の真剣な姿
10 コロナ禍でのオンライン発信に活路○感覚価値(食器の盛り付け)
○観念価値(旅先のあじわい)
○地元の食材
11 ファッションセンスを生かしてデザイン路線へ○3代目のセンス
○カフェスペース
○X焼のECサイト
12 将来を賭けて診断士に相談
注意:第2~4問とも設問文に引用対象の根拠があるため、そこに注意しないとアイデア解答になってしまいがち。

設問・構文解答例

最初に目につく第1問40字×4のSWOT。久々の3C脱出で今年こそ!とはしゃぐふぞには20点だけ進呈し、答が割れる第2~4問で点差が開く、ハードモードの良事例になりました。

※注:R6第2~4問の根拠⇔設問の対応付けは複数あるため、以下のAI答案は一例であり、他の解答を否定するものではありません。

第1問(20点) 全社戦略 SWOT

与件全体を4色マーカーで塗り潰し、久々のSWOTマス目で狂喜乱舞のふぞろい道場。だが第2~4問での根拠引用を重視するのが上位5%で、第1問SWOTは最後に書くのがセオリーな。

Q
B社の現状について、SWOT分析をせよ。各要素について①~④の解答欄にそれぞれ40字以内で説明せよ。
A
【構文】40字×4で20点なので解答順を最後し、時間勝負でマス目を埋める。
【答案例】S:3代目のファッション業界経験を活かしたオリジナル食器の提案力と自前店舗の存在。(39字)
W:ホームページの情報が不足し、X焼の認知度が低く、商品デザインの新鮮味が低い。(38字)
O:陶磁器祭りの集客に加えクリエイター志望の窯元が増え、新しい作風を受け入れやすい。(40字)
T:安価でデザイン性に富んだ外国製陶磁器が台頭し、X焼の販路が縮小し、需要が減少する。(40字)

第2問(25点) 製品・ブランド戦略 助言

今年点差がつくのはこの第2問と、150字の第4問。「経営」R2第36問、R5第34問を念頭に「感覚価値」「観念価値」に素直に答えた答案は、きっとスコアが伸びるでしょう。

基本価値便宜価値感覚価値観念価値
製品そのもの使って便利見たり触ると楽しい思い出して楽しい!
美しいデザインや質感など、製品を使うときに得られる視覚・触覚などの感覚的な満足感や魅力。製品が持つストーリーや文化的背景、ブランドの信頼性など、消費者の心情や価値観に響く要素。

Q
X市は、ふるさと納税の返礼品としてX焼を活用したいと考えている。現在でも市の返礼品の中にX焼はあるが、全国の返礼品の中で埋もれている状態にある。
3代目は、X市から「返礼品の中でもっと目立ち、市とX焼のファンを増やすような返礼品の企画を考えてほしい」と依頼を受けた。ブランド価値構造のうち、消費者にもたらす感覚価値と観念価値を意識して、返礼品の企画を100字以内で提案せよ。
A
【構文】B社は、①の感覚価値と、②の観念価値を意識し、③により市とX焼のファンを増やす。
【答案例】B社は、①盛り付け映えや写真映えを楽しむ感覚価値と、②旅先で食べた味わいを自宅で再現して楽しむ観念価値を意識し、③地元の食材と陶磁器を組み合わせた返礼品を写真入りで提案し、市とX焼のファンを増やす。(100字)

第3問(25点) 新規事業(×非ダナドコ) 助言

設問文を丁寧に読むと、①製品:どんな新規事業を→②他3P:どんな価格販路販促で→③効果:食器愛好家のニーズ充足で書く。ダナドコで書いてしまうとしっくりこない、ふぞろい崩しの良問です。

当日再現答案70枚が挙げた新規事業案は以下の3つ。AI試験委員のフィードバックをいただきました。

○レンタル事業○保管・買取事業△サブスク事業
消費者が一時的にテーブルウェアを使用できるサービスを提供。特定のイベントや季節に合わせ、幅広いデザインを楽しめる。利用者が持ち物を預ける保管サービスと、不要になった際の買取サービスを併設。新たなテーブルウェアを購入する際、保管と交換が可能。月額費用で定期的に異なるテーブルウェアを楽しむサービス。複数アイテムを継続利用でき、旬なデザインや流行を消費者に提供。
収納場所を節約しながら、消費者が様々なデザインを気軽に試せる点が魅力です。ニーズの変化に対応できる利便性は強みですが、継続的な顧客維持の工夫が必要です。消費者の収納問題を解消する価値提案は優れており、買い替え需要を刺激するメリットもあります。ただし、保管場所の確保とメンテナンスコストが課題です。トレンドを楽しみたい消費者に最適で、リピーター獲得が期待できます。しかし収納場所の制約に触れない分、点数がやや抑えられます。
Q
X焼には窯元それぞれの魅力があるため、3代目は、消費者がいろいろな窯元の陶磁器を手にとれる機会を作りたいと思っている。しかし、陶磁器祭りで接客をしていると、「あれもこれも欲しいが、家にはもうたくさんの食器がある。収納スペースがないし、今あるものも捨てられない」と購入をためらう食器愛好家の声をよみ耳にする。
3代目は、自社や窯元の事業機会拡大を図る一方、こうした食器愛好家のニーズを充足する新規事業を手がけたいと考えている。どのような事業内容にすべきか、100字以内で提案せよ。
A
【構文】B社は、①であり、②により、③する新規事業により食器愛好家のニーズを充足する。
【答案例】B社は、①手頃な価格デザイン性の高い陶磁器を使えるレンタル事業を始め、②クリエイター志望の窯元と協業して品揃えを拡充し、③収納スペースが少ない食器愛好家多様な窯元の陶磁器を楽しむニーズを充足する。(100字)

第4問(30点) 販促チャネル・関係性マーケ 助言

オンラインと店舗の融合に、接客販促要素を入れて、継続来店関係性までを目指す欲張り問題。引用した根拠の数だけ加点がある中、AI委員が提案したのは「陶磁器祭りで使える特典付与」でした。

Q
ECサイトの新規顧客は増えたが、3代目は顧客の顔を直接見ながら販売できない寂しさも感じ始めた。
3代目は、今後は、X市の地元で開く店舗とECサイトの両方を利用する顧客を増やしていきたいと考えるようになった。B社にはどのような施策が必要か、150字以内で具体的に提案せよ。
A
【構文】B社は、①であり、②することで、③により顧客顔が見える販売を行う。これに加え、④であり、⑤することで店舗とECサイトの両方を利用する顧客を増やす。
【答案例】B社は、①自社のECサイトでX焼を購入する顧客に陶磁器祭りで使える特典を発行し、②来場を促して各窯元の仮設の露店自社カフェスペースを活用して顔の見える接客を行う。これに加え、③3代目のセンスやX焼と向き合う真剣な姿勢を示して関係性強化を図り、④店舗とECサイトの両方を継続的に利用する顧客を増やす。(148字)

R6事例Ⅱまとめ

Q
第1問SWOTに狂喜乱舞し、与件1面を4色マーカーで塗りまくったふぞろい勢。しかしR6「Ⅱ」で訊かれたことに答えるには、この長い設問文からかなり引用しないと、アイデア解答になってしまいがち。
A

このR6「Ⅱ」でも、決めつけふぞろいワードや一般知識解答を避け、与件の根拠を引用した数だけ加点が入る。さらに加点減点するならば、①マス目を全て埋めたか ②並列列挙で文章破綻していないか ③因果関係になっているか ④結論に向けて書き進んだかです。