「中小」が取れて晴れて企業診断士。活躍の場は2倍以上です。

【コピペ答案時代の得点差(Ⅲ)】短納期や小ロットの待ちから新技術の攻めに転じるプラメーカー

工業団地の出題なら、「Ⅲ」こそ本家。

画像:北海道千歳市工業団地

前年のラディカル、突然変異の出題から一変し、一見オーソドックスで解きやすい今年の「Ⅲ」。しかし経営課題である、短納期化、小ロット化、多品種少量化への対応を通じジャストインタイムな生産を実現するには、以下の通り第2~4問を機械のように緻密に切り分けます。

第2問 【生産業務】
→図2)作業方法改善による段取り/待ち時間短縮
第3問 【生産管理(計画)】
→図1)段取り時間短縮を前提にした小ロット化
第4問 【生産管理(統制)】
→現品管理のコンピュータ化による段取り短縮

実際には与件の記述に引っ張られ、図2、図1の分析に触れず大きく狂った解答が多数を占めます。採点側がシビアにやると足切り続出ですが、第2~4問を3つピタリ完答する方はまずいないので、意外と差がつかないとする意見もあります。

【コピペ答案時代の得点差(Ⅲ)】短納期や小ロットの待ちから新技術の攻めに転じるプラメーカー

第1問 難度B SWOTレベルは差がつかない

昨年と一転し、オーソドックなSWOTは点差にならない。時間をかけないコピペで編集。

顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても、C社の業績は維持されてきた。その理由を80字以内で述べよ。

分析解説会との比較
①コピペ解答はひたすら強みを列挙、②加点解答例ではそれを「垂直統合」と言い添えています。実際の解答で②を書く方はいないので、①を書けばスコアが横並びになるサービス問題です。

第2問 難度D マン・マシーンをズバリ当てると70点

出題者の意図は明確。ズバリ当てると高得点だが、外した方の方が多数。

C社の成型加工課の成型加工にかかわる作業内容(図2)を分析し、作業方法に関する問題点とその改善策を120字以内で述べよ。

分析解説会との比較
マン・マシーンは「運営」過去問出題済なので、理解して解いたか、事前に備えたかで点数が割れた問題です。問題点を指摘し、①作業者の段取り時間短縮 ②機械の待ち短縮の2つの対応策を正しく指摘すれば20点満点でアドバンテージに。②機械の待ち=生産順の変更には言及しなくても、十分なA答案に。

第3問 難度C ~ピタリの正解なら加点

経営課題から、段取り時間短縮=小ロット化が正。ただし何か書けば部分点。

C社の生産計画策定方法と製品在庫数量の推移(図1)を分析して、C社の生産計画上の問題点その改善策を120字以内で述べよ。

分析解説会との比較
第2、3問ともスクールの解答が割れない。つまり出題者の意図が明確なので、時間を掛けて解くと正解はピタリ一つに揃います。実際は80分でピタリとは当たらないので、1つや2つのミスは大丈夫、ピタリ当てれば+αの加点と捉えます。

第4問 難度C ~レイヤーは生産管理⇔情報項目どちら?

コンピュータ、データベースと来れば「情報項目」の列挙。ただ当問の要求はその一つ上。

C社が検討している生産管理のコンピュータ化を進めるために、事前に整備しておくべき内容を120字以内で述べよ。

分析解説会との比較
コピペ答案では、従来型の「情報項目」をひたすら列挙。加点答案では、シゲヨ(進捗・現品・余力)のうち現品管理「だけに」フォーカスした編集にしています。識別コードや材料などの与件をどこまでコピペしたかで差がつく他、進捗・現品・余力を全て書くと一気にスコアが1/3になる、失点を避けたい問題でした。

第5問 難度C ~与件のコピペで解答できた助言問題

与件のコピペで答える問題は確実に得点できる。後回しにしない判断がポイント

わが国中小企業の経営が厳しさを増す中で、C社が立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略について、中小企業診断士として120字以内で助言せよ。

分析解説会との比較
助言問題なので一瞬後回しにしがちですが、実は与件の根拠のコピペで答えるサービス問題でした。当日作成したコピぺ答案と2週間じっくり作ったスクール解答で差がつかない。今後はこの手のコピペ問題は確実に取ることが前提です。

今日のまとめ

何であんな答案を書いてしまったか。

悔やんでも悔やみきれない方が多い今年の「Ⅲ」ですが、少し気休めを言えば、第2~4問を完答した方はまずいない。初見の図を見てズバリ正答できる方は多くなく、むしろ製造現場の実務に詳しい方ほど自社の立場に引っ張られ誤答しやすい問題です。

何だ、思ったほどの点差はつかないぞ。

もちろんピタリ当てれば加点ですが、周囲の出来不出来と見比べて振り返ると、自分の合格を判定する精度が高まります。

次のページへ >