診断士「ファイナンス」が苦手な方がいないのは、本来難しい学問を筆算で解けるよう単純化した試験委員の工夫があってこそ。それをさらに「要は株式会社の出し手・借り手のルールじゃね?」とより単純にします。
その狙いは過去問の答を覚えるノウハウ勉に勤しむと、科目の全体感が掴めず応用アドリブに弱くなるため。そうでなく「ファイナンス」の全体を先に掴むと、こんなに簡単です。
| 出し手:証券投資論 | 借り手:企業財務論 | |
|---|---|---|
| 資金を企業に出資する投資家の立場から、市場の動向やリスクとリターンのバランスを評価します。ポートフォリオ理論やCAPMなどの評価モデル、ファンダメンタル及びテクニカル分析を通じ、投資の適正評価と効率的な資産配分を検討します。 | 考え方の基本 | 企業が事業を拡大・維持する財務戦略として、どのように資金を調達し、適切な資本構造を構築するかを学びます。株式発行、社債、銀行借入など複数の資金調達手段のコストとリスクを評価し、最適な資金調達戦略を立案することが中心です。 |
| ・自社や顧客の余剰資金の効果的な運用 ・投資案件選定のためのリスク・リターン分析 ・市場動向の把握に基づくタイミングの見極めと投資戦略の策定 ・企業の財務健全性や業績評価に基づく経営判断のサポート | 実務での活用点 | ・経営戦略に合致した資金調達方法の選定 ・投資案件(設備投資や新規事業)の評価を通じた投資判断の精緻化 ・リスク管理(為替リスク、金利リスク等)による安定経営の推進 ・M&A戦略を活用し、企業価値の向上を図る |
【はじめての財務・会計④】株式会社の出し手と借り手 / ファイナンス5年分全48マーク
証券投資論は資金を提供する投資家がリターンを確保するための判断基準に、コーポレートファイナンスは企業がその資金を確保し事業展開するための戦略立案にそれぞれ役立ち、以下のように両者の知識を統合することで、より効果的な経営支援や投資戦略の策定が可能な。
これらの論点を1問ずつ別々に覚えるのが隣のふぞろいとすれば、論点またぎのクロスオーバーで全体感を把握するのが上位5%。ここで隣と大差をつける、伝説の超良問H25第14問を最初にどうぞ。
当問をWACC解こうとすると自己資本コストが見当たらず、CAPMから10.5%を算出。WACC+CAPMを1問で学べるベストの1問です。
以下のデータからA社の加重平均資本コストを計算した場合、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
有利子負債額:4億円
株式時価総額:8億円
負債利子率:4%
法人税率:40%
A社のベータ(β)値:1.5
安全利子率:3%
市場ポートフォリオの期待収益率:8%。
×ア 5.8%
×イ 6.7%
○ウ 7.8%
×エ 8.3%
1⃣企業財務論
WACC
企業が調達する自己資本と負債の各コストを、市場価値に基づいて加重平均する指標です。投資案件の評価や資本配分の意思決定に活用され、特に負債における税効果を反映することで、実務に即した資本コストを示します。
こうなると10点満点
自己資本と負債のミックスが最も効率的で、資金調達コストが最低となっている。すなわち、市場の期待に沿って正確に計算され、企業価値評価や投資判断において最も適切な割引率が適用されていること。
配当割引モデル(企業価値)
将来の配当金を株主資本コストなどの割引率で現在価値に変換し、企業全体の価値を算出する手法です。ゴードン成長モデルや多段階成長モデルなど、成長率の予測と割引率の適切な設定が重要であり、安定企業の評価に主に用いられます。
こうなると10点満点
理想状態では、企業が持続可能な成長を実現し、配当が安定的かつ一定の成長率で増加するため、モデルの前提が完全に満たされる。これにより、将来の配当金が正確に現在価値へ割引され、企業の真の価値が反映される。
株価の計算
PER、PBR、ROEなどの財務指標を用いて、企業の収益性や成長性、安全性を評価し、株価が合理的に算出されているか判断する方法です。市場期待やリスクプレミアムを反映することで、投資家の判断材料として重要な役割を果たします。
こうなると10点満点
株価指標(PER、PBR、ROEなど)が企業の実態や将来の成長性、リスクを正確に反映し、市場価格が内在価値とほぼ一致する。また市場効率性が高く、投資判断が合理的に行われる前提を満たす。
資金調達
直接金融は株式や社債の発行を通じて市場から資金を調達する方法であり、間接金融は銀行借入やリースなど金融機関を介して資金を得る手法です。各方法には発行コストや審査、情報の非対称性などの特徴があり、企業の状況に合わせた最適な選択が求められます。
こうなると10点満点
企業が自社の特性や市場環境に最適な調達手段を選択し、調達コストやリスクが最小限に抑えられている状態。直接金融と間接金融が効果的に活用され、企業の成長資金が安定的に調達できること。
最適資本構成(MM理論)
MM理論は、理想的な市場条件下で資本構成が企業価値に影響を与えないという命題(第1命題)と、負債の増加が株主リスクを高めるという命題(第2命題)に基づいています。実務では、税効果や破産コストなど現実的要因を考慮する必要がある点も注目されます。
こうなると10点満点
完璧な市場条件下で資本構成が企業価値に影響を及ぼさないというMM第1命題に基づくものがベスト。現実においては、税効果や破産コストなどを考慮し、税制メリットを最大限活用しながらもリスクが適切に管理された状態が最適となる。
2⃣証券投資論
個別証券リスク・リターン
各証券のリスクは、市場全体の動向に起因するシステマティックリスクと、その証券固有の要因による非システマティックリスクに分けられます。CAPMなどのモデルを用いて期待リターンを評価し、分散や標準偏差、ベータ値を算出することで投資判断の基盤を構築します。
こうなると10点満点
個別証券の期待リターンがそのリスク(市場リスクおよび固有リスク)に正確に見合っている。これはCAPMなどの理論モデルにおいて、リスクプレミアムが適切に補償され、市場参加者が合理的なリスク評価を行える環境のことです。
2証券リスク・リターン(相関係数)
2つの証券間のリターンの連動性を示す相関係数は、共分散を各証券の標準偏差で標準化して求められます。相関が低い場合は分散投資によるリスク低減効果が高まり、ポートフォリオ全体の安全性向上に寄与します。
こうなると10点満点
2つの証券間の相関係数が低いため、分散投資の効果が最大限発揮され、ポートフォリオ全体のリスクが大幅に低減された状態。資産間の相関関係が適切に分散され、全体リスクが最小化されます。
ポートフォリオ理論
複数の資産を組み合わせることで、全体のリスクを抑えながら期待リターンを最大化する投資戦略を示す理論です。効率的フロンティアの構築により、各資産の組み合わせがリスクとリターンに与える影響を明確に説明します。
こうなると10点満点
投資家がリスクとリターンのトレードオフを最も効率的に実現できる効率的フロンティア上のポートフォリオを構築している。すなわち、与えられたリスク水準で最大のリターンが得られる、または逆に一定のリターンで最小のリスクとなる資産配分が達成されている。
デリバティブ
デリバティブは、原資産の価格変動に連動して価値が変化する金融商品の総称で、オプション、先物、スワップなどが含まれます。リスクヘッジや投機、裁定取引に利用され、ブラック‐ショールズ・モデルなどの評価手法を用いることで、ボラティリティや金利変動を反映した理論的価格が算出されます。
こうなると10点満点
デリバティブがリスクヘッジや裁定取引の手段として、理論的評価により正確に価格が決定され、原資産との連動性が完璧に反映されている。これも市場のボラティリティやその他変数が理論前提通りに働き、リスク管理が最適に行われている状態が前提。
今日のまとめ
その上でリアル経済がスピード化し、じっくりNPVで設備投資より素早く企業価値DCF法でM&Aした方が手っ取り早い。そしてファイナンスは簿記と異なり何度もコツコツ解き直しは不要で、一度理屈がわかれば後はあっという間です。