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【猫でもわかる】おベテがⅣでループする理由 / 計算偏重の怖さを仕繰・繰仕の例で

おベテがⅣにムキになるほどショボンするのは、計算対策に偏重するから。その恐ろしさを、商簿精算表「仕繰・繰仕(しくりくりし)」の例で説明します。

Q
おベテは「簿記」が毛虫より苦手。その原因は、例えば精算表では仕繰・繰仕とだけ習い、どうしても理解できないトラウマによる。
A

ベテは「1科目ずつ完璧に」と考えるので、「科目またぎの知識」に弱い。そして「仕繰・繰仕」を本当に理解するには工簿仕掛品の知識が必要で、そこに気が回らないとベテ化します。

①商簿精算表では「仕繰・繰仕」②工簿を学ぶと「期首と期末の仕掛品」③工簿仕訳は貸方→借方に振替
商業簿記の決算整理仕訳の一つに「仕繰・繰仕」があります。これは、売上原価を確定するための仕訳であり、具体的には以下の仕訳です。工業簿記では、仕掛品のボックス図を使って原価計算を行います。ボックス図を何度も練習すると、以下の点に気づきます。工業簿記の仕訳は右側(貸方)の金額を左側(借方)に振り替える形になっています。
仕入 / 繰越商品 (期首商品棚卸高の繰越)
繰越商品 / 仕入 (期末商品棚卸高の計上)
左上に期首仕掛品(前期から繰り越された未完成品)
右下に期末仕掛品(次期に繰り越される未完成品)
←期首仕掛品の仕訳をしたい
←期末仕掛品の仕訳をしたい
この仕訳を「仕繰・繰仕」として暗記させるのは、商業簿記では工業簿記のような仕掛品の概念がなく、直感的に理解できないためです。このボックス図を使うことで、期首と期末の仕掛品に対する仕訳を行う必要があることが理解できます。これにより、商簿精算表「仕繰・繰仕」の仕訳を工業簿記仕掛品の知識を使って理解できるようになります。

【猫でもわかる】おベテがⅣでループする理由 / 計算偏重の怖さを仕繰・繰仕の例で

ベテも最初は理解を試みるものの、教わり方がヘタクソなのですぐに躓き、暗記でうろちょろ。そこにあの難しすぎる「Ⅳ」が襲い掛かるのが、おベテがⅣループする真相な。

Step-1:理解に詰まるおベテは計算偏重

Q
ネットやSNSのカキコを見ると、「Ⅳ対策にどの計算問題集が良いですか?」の間抜け質問だらけで草。あの宇宙語NPVに通用する計算問題集が存在したら、ドラえもん四次元ポケット級の発明じゃね?
A

ここ4年の難しすぎるNPVが問うのは【設問文から計算条件を読み取る国語力】です。それなのにおベテが計算問題集を珍重するのは、1次「財務」の理論問題を苦手にするため。

①簿記不要の診断士でも、1次「財務」は理論頻出

診断士試験は簿記を履修せずに合格できるよう設計されていますが、1次「財務」では財務諸表等規則に関する理論問題が多く出題されます。しかしあくまでも簿記不要で合格させるため、同じ問題を繰り返し出題する「ファイナンス」を得意化すれば合格ラインを超え、理論問題を苦手にしたまま「2次」に進む受験者が続出しています。

②簿記や会計を苦手にするほど計算偏重

会計や簿記の学習経験がない受験者は、理論問題に対する理解が不十分であることが多く、計算問題に偏重して正答することで合格を目指す傾向があります。計算問題は、一見すると明確な答えが出せるため、勉強の成果がわかりやすく感じられ、自己効力感を得やすい事情もあるでしょう。

③会計苦手同士が集まり、計算依存を続ける組織慣性

近年の「事例Ⅳ」は計算条件が複雑な長文読解問題が増え、単純な計算力だけでは対応できなくなっています。しかし、会計や簿記を苦手にして診断士試験に滞留しているベテラン受験者の間には、「計算練習をすれば受かる」という組織慣性が強く働きます。その結果試験の変化に適応する意欲や能力が育たず、計算問題練習への依存を続けてしまうのです。

Step-2:難問や重箱の隅ばかり解きたがる「計算偏重」

Q
難しい計算問題に挑むことが、無意味な受験を毎年続ける自分への言い訳=目的化してしまう。そのエサとして与えられるのが、あの難しすぎるNPV?
A

「Ⅳは猫でも60点」なのに、70点を狙った途端に超難問が連続し、一年たっぷり受験生気分を味わえる。ところがそんな重箱の隅をいくら計算練習したところで、翌年のNPVはさらに難化してさっぱり当たりません。

①傾斜配点と没問テクニック~「Ⅳ」は猫でも60点

「事例Ⅳ」は傾斜配点や没問を多用し、「猫60点」とも言われるように、誰でも容易に合格点の60点を取れるように設計されています。つまり、基本的な計算力と理解があれば60点には到達できるため、無理に高得点を狙う必要がないのです。

②難問や重箱の隅を覚えたがる「計算偏重」

しかし60点でなく70点を狙うと難度が格段に上がります。その重箱の隅をつつく難問の解き方ばかりを覚える「計算問題偏重勉」に陥ると、勉強するほどスコアが伸びず苦手意識ばかりが募り、「会計嫌い」「コンプレックス」を生み出す心配が高まります。

③会計理論を一度苦手化すると解決不ノウ

計算偏重を避け、理論重視で難問への応用力を上げようとする場合でも、1次試験の「財務」での会計理論への苦手意識が影響し、なかなか改善が進みません。このため、無理に70点を目指しても理論面での理解が追いつかず、逆に総合的な得点が伸びない結果になるのです。

Step-3:「Ⅳ」70点を狙わず、60点と割り切り基礎重視

Q
こうやって生成AIを使い、「Ⅳ」70点を狙ったおベテが毎年敗れ去るファクトを知る。すると①「1次」で会計理論問題を苦手にした結果、②「事例Ⅳ」までヘタクソ計算練習に偏重し、③その結果新規の応用問題がさっぱり解けないと分かる。
A

ではおベテが聞いたら慌てるヒントを一つ。「Ⅳ」のヘタクソ70点狙いを止め、猫でも取れる60点の基本論点の理解や理論を互いに説明しあう。すると覚えすぎのムダが削れて知識が絞られ、本試験のアドリブ応用力が上がります。

①Ⅳ70点狙いの解き方暗記は非効率

「Ⅳ」でうっかり70点を目指すと、CVPやNPVの主要点以外の重箱の隅をつつく派生論点の解き方を、一生懸命覚えてしまうことになりがちです。しかし、これらの詳細な解法は試験対策としても非効率であり、実務で使う機会も限られる点に注意します。

②無駄ノウハウ・無駄な解き方で理論が低下

特におベテは会計理論を苦手にするため、こうした派生論点を覚えることに多くの時間を費やし、仕事で二度と使うことのない無駄な計算問題の解き方ばかりが手元に残ります。そして本来重視すべき基礎論点の理解をおろそかにするため、試験を受ける回数が多いほど落ちやすくなります。

③Ⅳは60点狙いの基礎知識重視で

そこで無理に70点を狙わず、「猫でも合格」とされる60点を目標にする方が賢明です。60点を目指すことで、本当に必要な基礎論点の理解が深まり、その結果、応用的な出題にも対応しやすくなります。基礎をしっかりと固めることで、試験全体の合格可能性が高まるでしょう。

今日のまとめ

【お知らせ】Ⅳの解き方zoom受付中
週1回zoomで集まり、基本問題の解き方を互いに説明しあって正しい理論を身に付ける。試験委員が泣いて喜ぶ「Ⅳの解き方zoomは好評受付中です。

Q
70点を狙った途端に難しく、ムダ勉重ねてコスパタイパが悪いのに、60点で我慢すれば猫でも取れる。最近の「Ⅳ」は基礎がしっかりしていれば応用できる、落ち着いて見直すと良問が多いので、仕繰・繰仕のように暗記で済ませるのは悪手。
A

没問&傾斜配点システムにより猫60点な「Ⅳ」に挑むとき、難しい過去問の計算練習に偏重してお勉強した気になるか、「Ⅳの解き方」を使って基本と理論を鍛えるか。長年のベテ勉でループする原因は、ズバリその計算偏重です。