8月で試験情報の宣伝合戦が一巡すると、いよいよ9月は過去問演習の本格解禁へ。その時間違えないのは、過去問はR1→R5へと古い順から解き進むこと。
当サイト調べで受験者の95%が、まるで何かに魅入られたように過去問をR5→R1へと遡ってしまう。そうでなくR1→R5へと解き進むと【なぜ作問がこんなに変わる?】を実感できます。
R1→R5に解き進むと、R6の変化を予測可能に
事例Ⅰ:R5「Ⅲ」を上回る想定以上の難化でガチ
事例Ⅱ:何をさせても結局ダナドコなのでノーマーク
事例Ⅲ:「生産」の枠を超え組織人事が絡む「総合事例」へ
事例Ⅳ:事業承継M&A熱を受け企業価値が出題濃厚 (サスティナブル成長率含む)
【R6先取り傾向変化】知識を×書く→○使う時代へ / 試験準備の転換期(前)
R5「Ⅲ」で示された【試験準備の転換期】では、古いノウハウや思い込みをうっかり掴んだ「前年たまたま合格ちゃんのうっかり自慢」をいかに蹴とばすか、またはその真逆をするのが大事。そこで今日は、試験の変化を論文風に綴っていきます。
1.1 研究の背景と目的
- コロナ禍前後のビジネス環境の急激な変化
- 中小企業診断士試験の意義とその重要性の変化
- 本論文の目的と意義
1.2 研究の対象と範囲
- コロナ禍の影響が及んだビジネス環境の変化
- 中小企業診断士試験の出題傾向の分析
- 研究の範囲と制約
2.1 コロナ禍前のビジネス環境
- デジタルトランスフォーメーションの進展状況
- 伝統的なビジネスモデルの特徴
- グローバル化の進展
2.2 コロナ禍によるビジネス環境の変化
- リモートワークと働き方の変革
- デジタル化とオンラインビジネスの急速な拡大
- サプライチェーンの再構築と地域経済の影響
2.3 コロナ禍後のビジネス環境
- ハイブリッドワークとその定着
- データドリブン経営の重要性
- 持続可能性と社会的責任の増大
3.1 コロナ禍前の出題傾向
- 知識重視の出題構成
- 特定の理論やフレームワークの暗記を問う問題
- 実務と理論の乖離
3.2 コロナ禍後の出題傾向の変化
- 実務的な問題解決能力を問う出題
- リアルな企業課題への適応力の評価
- デジタル化やリモートワーク関連の出題増加
3.3 出題傾向の変化に対する受験者への影響
- 従来の学習方法の限界
- 新しい試験対策の必要性
4.1 旧来の学習方法とその限界
- 知識の暗記とその効率性
- 過去問に依存した学習の弊害
- 試験委員の意図を捉えにくい学習アプローチ
4.2 新たな学習アプローチの提案
- ケーススタディを通じた実践的問題解決能力の強化
- リアルビジネス環境を模擬したシミュレーション学習
- デジタルツールの活用と学習効率の向上
4.3 コロナ禍後のビジネス環境に対応した学習方法の具体例
- デジタル化対応のための学習資源の選定
- リモートワークの実践とその理解
- 持続可能性と社会的責任に関する事例学習
5.1 研究の総括
- コロナ禍によるビジネス環境の変化の重要性
- 中小企業診断士試験の進化とその背景
- 新しい学習方法の必要性と有効性
5.2 今後の研究課題
- 中小企業診断士試験のさらなる出題傾向の変化予測
- 持続的な学習方法の発展と改善の可能性
- デジタル時代における診断士試験の未来
5.3 結論
- 現代のビジネス環境に対応する中小企業診断士の役割
- 試験と実務のギャップを埋めるための今後の取り組み
第2章 コロナ禍前後のビジネス環境変化 ★
8月に読み解いた事実から、知識を×書く→○使う(=知識自体は与件で与える)試験に進化した。なぜこうなったかの第2章★を今日、ではどうするかの第3~4章☆を次回解説します。

Step-1:コロナ禍前のビジネス環境
よって事例はR1→R5に解き進まないと、作問傾向変化を見逃してしまう。そして今や当たり前の変化も、コロナ禍前に予兆があります。
コロナ禍前の時代、デジタルトランスフォーメーション(DX)は既に多くの企業で取り組まれていましたが、その進展にはばらつきがありました。主要なテクノロジーであるクラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などが導入され始め、特に先進企業においてはデジタル化の進展が顕著でした。しかし、多くの中小企業においては、デジタル化の進展は遅れがちで、紙ベースの業務プロセスや、従来のオフライン営業活動に依存している部分が多く見られました。
企業間取引(B2B)や消費者向け取引(B2C)において、デジタルチャネルの重要性は徐々に認識されていましたが、オンラインの存在感は一部の業界に限られ、実店舗や対面でのビジネスが依然として主流でした。多くの企業はDXの必要性を理解しつつも、変革に伴うコストや従業員のスキルギャップ、社内の抵抗などから、全面的なデジタル化をためらう状況が続いていました。
コロナ禍前のビジネス環境では、伝統的なビジネスモデルが依然として多くの業界で主流を占めていました。具体的には、製造業においては大量生産・大量消費のモデルが一般的であり、サプライチェーンは複雑でグローバル化されていました。金融業界では、支店や対面でのサービス提供が重視され、フィンテックの台頭が始まっていたものの、従来型の銀行や保険会社が市場を支配していました。
また、小売業では実店舗を中心とした営業活動が主流であり、eコマースの成長は見られたものの、まだ全体の売上に占める割合は限定的でした。サービス業においても、顧客との直接的な対話や対面サービスが重要視され、デジタルチャネルを補完的なものとして捉える企業が多かったです。
コロナ禍前の数十年間、グローバル化は世界経済を牽引する主要な力の一つでした。企業は低コストで効率的な生産体制を追求し、サプライチェーンをグローバルに展開することで競争優位を確立していました。特に製造業では、部品調達や生産を複数の国に分散させることでコスト削減を図り、最終製品の市場での競争力を高めていました。
また、貿易協定の拡大や国際物流の効率化により、製品やサービスの国境を越えた流通が容易になり、多国籍企業が急速に成長しました。グローバル化は企業にとって新たな市場開拓やリスク分散の手段として機能し、同時に世界各地の経済成長に寄与しました。
Step-2:コロナ禍によるビジネス環境の変化
世間のあらゆるものがデジタルでオンライン化された結果、上手に使える人⇔そうでない人の二極化が進む。その典型が、ハルシネーションを恐れて生成AIを苦手にする同業D社と、エラーを検知し使い倒す上位5%の二極化です。
コロナ禍により、世界中でリモートワークが急速に普及しました。感染リスクを低減するため、企業は従業員に対して在宅勤務を推奨し、オフィスへの出勤を極力避けるようにしました。これにより、働き方の概念が大きく変わり、リモートワークが一時的な措置ではなく、持続可能な働き方として定着するようになりました。
リモートワークの普及に伴い、クラウドベースのコラボレーションツールやコミュニケーションツールの利用が急増し、オンライン会議が日常化しました。これにより、場所に縛られない柔軟な働き方が可能となり、ワークライフバランスの改善や、通勤時間の削減といったメリットが強調される一方で、チーム間の連携や従業員のエンゲージメント維持が新たな課題となりました。
コロナ禍の影響で、従来の対面取引が難しくなる中、多くの企業がオンラインビジネスへのシフトを余儀なくされました。eコマースの需要が急増し、消費者がオンラインで商品やサービスを購入することが一般化しました。また、オンラインマーケティングやデジタル広告の重要性が増し、デジタルプレゼンスの確立が企業の競争力を左右する要因となりました。
加えて、B2Bビジネスにおいてもデジタル化が加速し、電子商取引プラットフォームやデジタルサービスの提供が標準化しました。多くの企業は、自社のデジタルインフラを強化し、オンラインでの顧客対応や取引プロセスを最適化することで、新たな収益源を確保しようとしました。
コロナ禍により、グローバルなサプライチェーンの脆弱性が露呈しました。特定の地域や国に依存していた供給網が、パンデミックの影響で途絶え、多くの企業が製品の生産や供給に大きな支障をきたしました。この経験を踏まえ、多くの企業はサプライチェーンの再構築に着手し、より柔軟でリスクに強い供給網を構築しようとしています。
地域経済においては、ローカル供給の重要性が再認識され、サプライチェーンの短縮化や地元企業との協力が進展しました。これにより、地域経済の活性化が促進される一方で、コストや効率性の面での新たな課題も生じました。
Step-3:コロナ禍後のビジネス環境
情報発信力の高い方が積極発信することで、世間の無駄が減っていく。同じく試験の世界でも従来型の努力根性モリモリモチベ型が影を潜め、クールなロジカルが支持を集めます。
コロナ禍が収束する中、多くの企業がハイブリッドワークを採用しています。ハイブリッドワークとは、リモートワークとオフィスワークを組み合わせた働き方であり、企業は従業員に対して柔軟な働き方を提供しつつ、オフィスでのチームワークや対面でのコミュニケーションも重視するバランスを模索しています。
ハイブリッドワークの定着により、企業はオフィススペースの再考や、デジタルインフラのさらなる強化を求められています。また、従業員の働き方の多様化に対応するためのリーダーシップの在り方や、企業文化の維持・発展が重要なテーマとなっています。
ポストコロナのビジネス環境において、データドリブン経営の重要性がますます高まっています。デジタル化の進展に伴い、企業は膨大なデータを収集し、それを活用して意思決定を行うことが求められています。データ分析による顧客ニーズの把握や市場動向の予測、業務プロセスの最適化などが競争優位を生み出す要素となっています。
また、AIや機械学習の技術を活用したデータ分析は、企業が迅速かつ的確な意思決定を行うための重要なツールとなっており、データドリブン経営の導入は今後の企業成長に不可欠な要素として認識されています。
コロナ禍後のビジネス環境では、持続可能性(サステナビリティ)と企業の社会的責任(CSR)がますます重要なテーマとなっています。環境への配慮や社会的貢献が企業のブランド価値や市場での評価に直結するようになり、企業は持続可能なビジネスモデルの構築に取り組む必要があります。
具体的には、カーボンニュートラルへの取り組み、エシカルな供給チェーンの確立、地域社会への貢献などが求められ、これらの取り組みが企業の競争力を左右する要因となっています。また、投資家や消費者からの圧力も増大しており、持続可能性を無視する企業は市場からの評価を下げるリスクが高まっています。
今日のまとめ
それは素晴らしい所に気が付いた。そして当試験が知識を×書く→○使う(=知識自体は与件で与える)ように進化した核心は、次回の第3~4章☆で解説されます。