翌年の試験の行方を占う最新合格体験記は、今年もウチから。その第1号は、無料や格安で手に入る学習ツールをフルコンプの勢いで揃えたT.Oさんです。
1. 診断士に挑戦した理由・きっかけ、年齢(任意)
簿記2級を取得後、社内異動等もあり経営に関わる幅広く体系的な知識があると有用ではないかと感じたため。44歳時点(2023年8月)に挑戦を開始した。
2. 学習開始時の知識・保有資格、得意科目・不得意科目、「1次」科目別点数(合格年)
学習開始 | 2023年8月 |
学習開始時知識 | 実務経験として製造現場、法務、経理など |
学習開始時保有資格 | 簿記2級(その他、薬剤師、危険物取扱者甲種など) |
得意科目 | 「経営」「財務」「運営」 |
不得意科目 | 「経済」「法務」「中小」、特に「経済学」の理解に苦慮した。 |
1次科目別点数(202年)
経済 | 財務 | 経営 | 運営 | 法務 | 情報 | 中小 | 計 |
68 | 76 | 80 | 76 | 60 | 76 | 68 | 504 |
3. 学習スタイルとそのメリット・デメリット
1次 | 独学 |
2次 | 独学 |
○メリット | ×デメリット | |
---|---|---|
「1次」「2次」共通 | 費用がかからず、自身のペースで学習できる。 | 特に感じなかった。 |
4. 筆記合格までの受験回数、学習時間とその作り方
回数 | 「1次」→1回、「2次」→1回 |
学習時間 | 「1次」→700時間、「2次」→300時間 |
作り方 | 学習時間はピーク時で週30時間程度を確保。 内訳は、通勤時の音声学習で10時間(2時間×5日)、平日5時間(1時間×5日)、土日15時間。家族の用事や家事を犠牲にしないことで、家族の協力を引き出した。 繁忙期ではなかったため、有給休暇も2週間に1回程度取得して底上げ。朝は弱いので早起きしての学習は一切しなかった。 |
5. 筆記合格までの学習法(1次・2次)
「1次」
利用テキスト | ・「まとめシート上下」 ・「TAC過去問集」(中小以外) ・「過去問完全マスター」(中小) ・「Web動画」 ・「Web過去問(過去問ドットコム)」 |
戦術 | 通勤時の音声学習で「まとめシート」を主に聞き流し。 教材としては「まとめシート」で暗記と過去問実践。 直前期は「中小」以外は「最短合格のための第1次試験過去問題集」、「中小」は「過去問完全マスター」で過去問に集中。 苦手な「経済」はYoutubeやマンガ、「中小」は「速習テキスト」も活用。 |
「2次」
利用テキスト | ・YouTube動画 ・「まとめシート流」 ・「解き方の黄金手順」 ・「ふぞろい」 ・「TBC2次速習テキスト」 |
戦術 | 音声学習ではYoutubeを主に活用。情報収集も含め、関心のあるものを聞き流していた。 教材は、「事例I」「事例II」「事例III」は「まとめシート流ゼロから始める二次対策」「解き方の黄金手順」等で解法をブラッシュアップしつつ、過去問を解き、「まとめシート流ゼロから始める解法実況」「ふぞろいな合格答案」「速習2次テキスト」の3つの回答と解説を見比べて、考え方と解法の改善をはかった。 なお、初見の過去問、特に近い年度のものほど非常に重要との情報に基づき、直前期まで前年の過去問に手を付けないなど、消費ペースに気を使った。 「事例IV」では、まず「全知全ノウIV」の回答をひたすら手書きで写して、考え方と解き方をインストールしつつ、本番で書けるであろう記載量を考えた。その後、「事例IVマスターガイド」「第2次試験事例IVの解き方」で初見問題にあたって力をつけ、直前期に過去問で総復習をした。 「2次」については、ストレート受験のため時間の制約もあり、いずれの教材も繰り返し回数は多くなく、最大のものでも3回程度。 |
6. 私の思う当落分岐点 ~試験合格への転機を感じた、あの瞬間~
「1次」 | 過去問回答において全科目で70点台が出だしたとき |
「2次」 | 何回かあります。 ①「1次」の結果が500点オーバーだったのを確認したとき ②事例回答の2回目で「ふぞろい」採点で60点が取れていたとき ③その後1回スランプに入って40点代などの崩れた時期を乗り越え、解法を叩き直して再度60点台が出だしたとき |
7. 学習時・試験当日のエピソード
・ストレート受験だったため、「1次試験」の前にどこまで「2次試験」の学習をするかで相当葛藤しました。結果としては、「1次」の合格率を多少下げても「2次」の学習をある程度しておくべきと考え、「2次」の教材の準備、解法の作成、過去問回答(各1事例のみ)まで手を付けておいた。
・「2次試験」当日は、「事例I」と「事例II」で問題の内容が面白くて引き込まれてしまい、もっと読みたい、調べたい!という思いが湧いてきて時間コントロールが怪しくなった。「事例III」では自分の会社よりよっぽど優良企業で、どこを改善すべきか途方にくれた。「事例IV」は、設問2に時間を使いすぎて、練習ではあまりなかった設問3の一部白紙回答をやってしまい青ざめた。
8. これから合格を目指す方へのアドバイス
・まず情報収集をしっかりすること。Youtubeでも「まとめシート流!絶対合格チャンネル」「診断士LABO」「事例IVマスターガイド」「まなび生産性向上・怪傑えみりーちゃんねる」「耳トレチャンネル」「ダンシ君のサブノート」「ほらっちチャンネル」「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」「はじめよう経済学」「ねとたす」など、有用なサイトが多々あります。
・テキストは合う合わないがあるので、気になるテキストは恐れずに買い、あわなければ使わなくても良いと割り切る。
・学習法については過去問等を解いた後に、できなかった問題を次回必ず解くために、どのような思考回路を自分の中に作るかを考える。慣れないうちは、「1次」「2次」とも、回答に使う時間の3倍程度はかかるはずなので、進みが悪くても時間をかけて向き合うことから逃げないことです。
・時間の捻出については、通勤時間や昼休み、夜寝る前など、1日の中で学習を習慣化しやすい時間はどこかを考える。家族のいる方向けには、家族の協力を得られやすい時期(子供の受験終了後など)を狙いつつ、行事や家事などにきちんと時間を使い、良い関係性を維持しておくのが良いでしょう。