TAC正答率を日々使いこなす上位5%でなくても、正答率AB=基礎点、正答率E=捨て問で、最後の2択のCランクが試験合否の決め手になるのはお察し。このとき「正解を選ぶ」⇔「不正解を落とす」の違いが決定打になるファクトを説明します。
その前提に、ふぞろい⇔上位5%の試験に対するアプローチの差がある。あの小さなオツムで覚えたキーワードやフレーズを書けば加点とするのがふぞろいで、いや、余計な寝言を書くから減点じゃね?とするのが上位5%です。
①正解を選びたがるふぞろい | ②不正解を探して落とす上位5% | ②「1次」で培うエラー検知力 |
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この心理は、「1次」420点前後の受験者に多く見られます。彼らは直感で「これが正解だ」と感じる選択肢を選びがちで、表面的な知識や記憶に頼る傾向があります。 | この心理は、「1次」500点を超える上位5%の受験者に多く見られます。彼らは正答を選ぶよりもまず誤りを除外することで、残った選択肢から正解を導きます。 | 2次試験では与件が長文化し、複雑化する傾向があります。単に正解知識を並べるだけでは問題の本質を捉えるのが難しく、「誤りを落とす」アプローチが有効です。 |
結果、選択肢の微妙な違いや論理的な矛盾を見落とし、エラー検知力が不十分になり、わずかなミスで得点を逃し400点台に留まります。 | 選択肢の矛盾や不自然な表現を的確に見抜き、深い分析力を駆使するため、安定して「1次」500点を軽く超えることができます。 | エラー検知力を磨くことで問題点を的確に把握でき、論理的に整った解答作成が可能となり、2次試験の合格に直結します。 |
【春の4択祭り】悩んだ2択は消去法 / 隣と差がつく決定打
生成AIの新機能「ネット検索」「推論」が発展し、どうすれば「2次」を最速で確実合格できるかが広まる一方、なぜ隣のふぞろいが万年2割のたまたま止まりかの理由も知れ渡る。そこで自分のオツムがふぞろい⇔上位5%のどちらに近いかのチェックを始めます。
戦略論:R6第9問 イノベーション Cランク
○ア ある製品について、使用状況、仕様、評価基準が顧客の間で共有されるようになると、ドミナントデザインが定まってくる。
×イ 生産者の評価基準は、工程イノベーションが主流になると、コストから製品の新規性(→○下線部あべこべ)に移っていく。
×ウ 製品そのものや、それを背後で支える各種の要素技術の進歩をもたらす製品イノベーションは、ドミナントデザインが生じた後に(→○前に)より多く現れる。
×エ ドミナントデザインが出現すると、機械的組織よりも有機的(→○下線部あべこべ)組織が、その産業において増えていく。
×オ ドミナントデザインが出現すると、製品イノベーションも(→○より)工程イノベーションも(→○が)活発化する。
隣のふぞろいが耳の痛い、または聞く耳を持たない話題として、前年と同じノウハウにしがみつく内は試験のイノベはやってこない。そして以下の私の説明は、今年2025年の「2次」対策に少しのイノベをもたらします。
この設問は、基本テキストに記載されていないA-Uモデルに関する追加情報を織り交ぜることで、受験生に「予期せぬ知識」の不安を誘います。テキスト外の知識に触れられると、暗記だけに頼っている受験生は混乱し、知識の網羅性に自信がなくなります。つまり知識の拡張が十分でないと、普段の学習内容から逸脱する際に動揺して正答選択に至れない状況に陥りがちです。
この問題は、初出知識の丸暗記や知識量そのものより、テキストに記載された基本知識をもとに論理的に推論できるかどうかを問います。正答選択肢に導くためには、記憶している断片情報だけではなく、基本原理やその応用例をしっかり理解している必要があります。従って、受験生はテキストの基礎部分から吸収し、そこから応用的な考察を導き出す力が求められ、直感で選ぶだけでは落とし穴に陥りやすくなります。
1次試験も2次試験も、合格ラインに近い受験生にとっては、基礎知識の正確な理解と、その知識を応用して微妙な誤答選択肢のエラーを検出する能力が決定的な意味を持ちます。基礎知識だけでは十分でなく、それを論理的に組み合わせて推論することで初めて、曖昧な部分や微妙な違いに気づくことができるため、この「基礎+応用」の組み合わせが、合否を左右する上でのボーダーラインとなるのです。
×カ:ドミナントデザインが確立されると、市場には新規参入者が増加し、競争が激化する。(→○減少、寡占化)
×キ:ドミナントデザインの出現後も、製品イノベーションの頻度は高いままである。(→○工程)
×ク:ドミナントデザインが定まる前は、工程イノベーションが主要な競争要因である。(→○製品)
×ケ:ドミナントデザインの確立により、企業間の製品差別化が促進される。(→標準化)
組織論:R6第20問 チーム(コンフリクト) Cランク
○ア 「回避」とは、自己の利益を強く主張しない一方で相手の利益もあまり許容できない場合に、問題解決を延期して様子を見るという対処である。互いの対立点が表立つのを避けたい場合にとられやすい。
×イ 「競争」(→○協調)とは、相手の利益を最大限に許容しつつ、相手に命令したり相手を説得したりすることで自己の利益も追求するという対処である。権力志向的で高い職位の人間から、順応的な低い職位の人間に対してとられやすい。
×ウ 「協調」(→○妥協)とは、双方がある程度の利益を獲得しつつ互いに犠牲も払うという対処である。互いの対立点を曖昧にすることでコンフリクトを自然に解消しようとする場合にとられやすい。
×エ 「妥協」(→○適応)とは、当事者の一方のみが自己の利益を犠牲にして相手の利益を最大限に許容するという対処である。互いにある程度の利益をとりつつ犠牲も払うという折り合いがつけられない場合にとられやすい。
×オ 「適応」(→○競争)とは、相手の利益を犠牲にして自己の利益を追求するという対処である。自己の利益を一方的に追求することで、相手との長期的な関係が損なわれても問題ないと判断される場合にとられやすい。

当問は「エラーを落とす」タイプの典型例で、主語を入れ替えれば後は全て正しい説明と気づくのがカギ。後は「1次」「2次」共通の読解力勝負と知って、国語力のUPに役立てます。
設問は、「回避」「競争」「協調」などの基本概念をもとに、初見の記述を応用的に読み解く力を要求します。初見知識に対し、暗記に頼る受験生はミスをしやすい一方、基本知識の応用で正誤を推論できる受験生が有利になります。
誤答選択肢は、各類型の特徴を微妙に入れ替えた作りになっており、主語や内容を正確に見抜けば、逆にそれぞれが正解知識として整理できるよう構成されています。この入れ替えの巧妙さが受験生の判断を揺るがします。
文章量が多い設問に対し、焦りや直感で解こうとする受験生は不正解を選びやすく、冷静に文章を読み解いて根拠を積み上げる国語読解力のある受験生が正解にたどり着けます。この差が正答率5割程度のCランク設問を生み出します。
×カ 「回避」とは、双方が一時的に問題解決を諦め、対立点を明確にしつつも将来的な対策を見越して協議を行うスタイルである。(→妥協)
×キ 「競争」とは、相手の利益を最大限に尊重する一方、自身の利益も妥協せずに相手を説得するスタイルである。(→○協調)
×ク 「協調」とは、互いに妥協せず、自分の主張を維持しつつ対立を放置するスタイルである。(→○競争)
×ケ 「妥協」とは、相手の利益を完全に尊重する一方で、自分の利益を一切考慮しないスタイルである。(→○受容)
マーケ:R6第29問 コトラーのコンセプト Cランク
×ア 企業が文化支援を行うメセナや慈善行為を行うフィランソロピーの活動は、企業による社会貢献活動であるから、ソシオエコロジカル・マーケティング(→○ソサイエタル・マーケティング)の一部と理解することができる。
×イ ソサイエタル・マーケティングの根底には、企業が行う社会貢献は当該企業の利益につながってはならない(→○つながっていく)という考え方がある。
×ウ 貧困問題を解決するといった社会課題においては、貧困者に自立を促すなどのコミュニケーション活動だけでなく、そもそも貧困が生まれる社会そのものを改革するといった構造的な問題解決も必要である。しかしこのような構造的な問題解決は、ソサイエタル・マーケティングが扱う分野ではない(→○に含まれる)。
○エ マーケティングの4 Pの1 つである「製品(プロダクト)」とは、顧客にベネフィットをもたらす何らかの製品・サービスであるが、ソサイエタル・マーケティングにおける製品・サービスには、例えば「投票に行こう」というような、社会に向けた提案も含まれる。
当問は△アと○エのどちらももっともらしく、「ソシオエコロジカル・マーケティングとは変じゃね?」の疑念を持たないタイプは誤答しやすい。ここで消去法が出来ないタイプは、「2次」でほぼ百発百中ふぞろい化するので注意します。
設問は、ソーシャル・マーケティングの基本的な概念はテキストに掲載されているものの、実際の事例や用語の使い分けにおいては初見の情報(たとえば×アの「ソシオエコロジカル・マーケティング」など)が混じっており、単なる丸暗記ではなく、基本知識をもとに応用的に推論する力が求められます。このため、知識の応用が不十分な受験生は正誤を判断しにくくなります。
誤答選択肢の中には、主語や内容を微妙に入れ替えれば正答に辿り着けるもの(例えば×イウ)が含まれています。消去法で一見「もっともらしい」×アを除去できず、混乱するため、正しい論点を把握していないとどれも選びにくく、正答率が低くなります。
設問文自体が長文かつ複雑な記述になっており、論理の流れやニュアンスを冷静に読み解く国語読解力が問われます。焦って直感的にエイヤで選ぶか、クールに全文を読み込んで根拠を積み上げられるかの違いが、「1次」500点の目安を超える差になります。
×カ ソサイエタル・マーケティングは、企業の社会貢献活動として、慈善活動やメセナに限定されるため、利益追求とは完全に無関係である。(→○されず、両立する)
×キ ソサイエタル・マーケティングの根底には、企業が行う社会貢献は純粋に社会貢献のみを目的とし、企業利益とは切り離されるという考え方がある。(→○消費者の行動を変え、結びつく)
×ク ソサイエタル・マーケティングにおける製品・サービスは、従来の物理的な商品に限定され、社会的な提案やサービスは対象外である。(→○されず、も対象)
×ケ ソサイエタル・マーケティングは、単に企業のCSR活動の延長線上にあり、独自のマーケティング戦略としての側面は持たない。(→○ありつつも、を持つ)
今日のまとめ
今回の【春の4択祭り】では、テキストレベルの正答率ABを軽く当て、意地悪Eランクはスルーした上で、なぜ隣のふぞろいが正答率Cを当て損なうかを知る。その原因が「つい正解を選びたがる」情弱ゆえと分かると、今年の試験の決定打になります。