「1次」最後の2択のCランク問題では、怪しい方の間違いを探して落とす消去法が効果的。すると3年連続出題のどうも怪しげな知識=エフェクチュエーションも得意化できます。
そうですね、作問採点が毎年変わる試験では、「過去問こそが大事!」などの寝言に迷わされないことが不可欠。そこで以下の5つが受験ライフの目安になるでしょう。
定義 | 試験での応用 | |
---|---|---|
手中の鳥 | 手元にある既存のリソースや能力を最大限に活用する戦略。具体的には、持っている資源や知識、経験、人脈などを活かして新しい事業や解決策を実現する。 | 自分の得意な分野やスキルを最大限に活かし、その中での強みを生かしつつ、不得意な領域や問題点にも積極的に取り組む。 |
許容可能な損失 | 新しい事業や取り組みにおいて、失敗しても許容できる範囲のリスクや損失を定め、その範囲内で実験や挑戦を行うこと。失敗から学びながら前進する戦略。 | 「2次」受験は2回までと考え、計画的にリスクを管理する。もし2回目の試験が不合格の時は、養成課程などの代替手段を検討する。 |
クレイジーキルト | 周囲の人々やネットワークと協力し、多様な情報や視点を集め、それらを組み合わせて創造的な解決策を見つけ出す戦略。 | 周囲の仲間や専門家の多角的な意見やアドバイスを積極的に取り入れる。異なる視点からのフィードバックやアイデアを大切にする。 |
レモネード | 逆境や困難を乗り越え、それをチャンスに転換する能力。不利な状況を前向きに捉え、ポジティブな方向に転じることで新しい価値を生み出す。 | 過去の誤答や不合格を振り返り、過去問にこだわりすぎると変化への対応が下がると弁え、試験以外の事に視野を広げる。 |
飛行機の中のパイロット | 自らの運命や成功に対して責任を持ち、自らが舵を取ること。自己決定能力やリーダーシップを発揮し、状況をコントロールする能力。 | 不確実な「2次」のワンチャンにムキにならず、確実に知識が身に付く「1次」を体系的に鍛えて安定合格が実現することに、早めに気づく。 |
【最後の2択で得点UP】ベンチャー経営いろいろ / 試験も世間も不確実性
大企業の古臭いオジサン体質が見透かされ、今や新卒でも好んでベンチャーに就職する時代。こりゃうかうかしてると、すぐ追い抜かされるな。

技術経営Cランク7選
R1第11問 アーキテクチャ(モジュール) Cランク
製品アーキテクチャは、製品を構成する個々の部品や要素の間のつなぎ方や製品としてのまとめ方であり、部品(要素)間の相互依存性の程度によって、インテグラル型とモジュラー型の2 つに分類される。
「a 乗用車」、「b 大型旅客機」、「c デスクトップパソコン」、「d 業務用複合機(コピー機)」の4 つの領域において、現在の市場で主に取引されている製品を想定した場合、それぞれインテグラル型、モジュラー型のいずれに該当するか。下記の解答群から、最も適切なものの組み合わせを選べ。
a乗用車 | b大型旅客機 | cデスクトップパソコン | d業務用複合機(コピー機) |
---|---|---|---|
インテグラル型 | インテグラル型 | モジュール型 | インテグラル型 |
複合コピー機は一見モジュール型に思えますが、実際は複雑な機能調整が求められる、インテグラル型に分類されます。(※暗記不要) | |||
乗用車は高性能や安全性、快適性を追求するために、部品やシステムが緊密に統合されています。例えば、エンジンやトランスミッション、車体構造が一体となって動作し、全体としての性能を最適化しています。 | 大型旅客機は安全性や効率性を高めるために、非常に緊密に設計されています。翼、胴体、エンジンなどの部品はそれぞれが重要な役割を果たし、相互に依存して性能を最大化します。 | デスクトップパソコンは、個々の部品(CPU、メモリ、ハードディスクなど)が独立しており、標準化されたインターフェースで接続されています。これにより、部品の交換やアップグレードが容易です。 | 業務用複合機は多機能で高性能を要求されるため、各機能が緊密に統合されています。コピー、スキャン、印刷、ファクシミリなどの各機能を相互に依存して一体化して動作させ、全体の性能を最適化しています。 |
a | b | c | d | |
×ア | インテグラル型 | インテグラル型 | インテグラル型 | モジュラー型 |
○イ | インテグラル型 | インテグラル型 | モジュラー型 | インテグラル型 |
×ウ | モジュラー型 | インテグラル型 | モジュラー型 | モジュラー型 |
×エ | モジュラー型 | モジュラー型 | インテグラル型 | インテグラル型 |
×オ | モジュラー型 | モジュラー型 | モジュラー型 | インテグラル型 |
コピー機は部品が多いので一見モジュール型と思いがちだが、実は内部が緊密に統合されているインテグラル型? そこを覚える意味はないので、参入が多い⇔少ないの違いで割り切ります。
R5再試験第7問 アーキテクチャ(モジュール)
イノベーションは企業の知識や競争の在り方に影響をもたらす。R. ヘンダーソンとK. クラークが提唱するイノベーションの類型に関する記述として、最も適切なものはどれか。
×ア アーキテクチャ・イノベーションは、製品やシステムを構成するコンポーネントについての深い技術的知識を生み出す。 | ×イ インクリメンタル・イノベーションは、当該分野で実績のある大企業の競争力を破壊し、新規参入企業の競争力を強化する。 | ○ウ 当該分野で実績のある企業が、特定のイノベーションをアーキテクチャ・イノベーションだと認識するには、ラディカル・イノベーションと比較して長い時間がかかる。 | ×エ ラディカル・イノベーションは、アーキテクチャの安定化をもたらし、新興企業の市場参入を困難にする。 | ×オ ラディカル・イノベーションは、既存のコンポーネントに関する知識や技術、経験が重要になるため、アーキテクチャ・イノベーションと比較して、他社の模倣や追従が困難になる。 |
当問では、インクリメンタル・ラディカルの2つに加え、新たに「モジュール」「アーキテクチャ」の2つのイノベーションを出題しており、迷いやすくなっています。 | ||||
アーキテクチャ・イノベーションは、製品やシステムを構成するコンポーネントそのものよりも、コンポーネントの組み合わせや相互関係に関するイノベーションです。 | インクリメンタル・イノベーションは、既存技術の漸進的な改良を指し、通常は既存の大企業の競争力を強化します。 | アーキテクチャ・イノベーションは市場や技術の基盤そのものを変更することが少ないため、既存企業はイノベーションが起きていることに気付きにくくなります。 | ラディカル・イノベーションは、製品や市場に大きな変革をもたらし、新しい技術やコンセプトの導入を伴うため、市場の既存のアーキテクチャを破壊する傾向があります。これにより、新興企業が参入しやすくなります。 | ラディカル・イノベーションは既存の技術や知識を破壊し、新しい技術を導入するため、既存のコンポーネントに関する知識はあまり重要ではありません。これにより、新規参入企業が有利になることがあります。 |
R4第9問 イノベーション Cランク
C.M.クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』(The Innovator’s Dilemma)に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
○a 破壊的技術が登場した初期段階においては、破壊的技術を利用した製品の性能の方が持続的技術を利用した製品の性能よりも低い。 | ○b 破壊的技術が登場した初期段階においては、破壊的技術を利用した製品市場の方が持続的技術が対象とする製品市場よりも小規模である。 | ○c 破壊的技術が登場した初期段階においては、破壊的技術を利用した製品の方が持続的技術を利用した製品よりも利益率が低い。 |
破壊的技術の方が一見高性能に思えますが、同書においては初期段階では低性能と述べています。 | 破壊的技術の方が一見高利益率に思えますが、初期段階では高コストなので利益率が低いと述べられています。 | |
破壊的技術は、初期段階では既存の技術と比較して性能が劣ることが多いです。これは、破壊的技術が初めて市場に登場する際に、成熟した持続的技術と比べて未熟であり、特に高性能を要求する既存の顧客が満足できないためです。 | 破壊的技術は、初期にはニッチな市場や既存の技術にあまり興味を持たない新しい顧客層をターゲットにすることが多いです。このため、破壊的技術が登場する市場は、既存の持続的技術が支配する大規模な市場と比較して、小規模であることが一般的です。 | 破壊的技術を利用した製品は、初期には生産コストが高く利益率が低いことが一般的です。しかし技術が成熟し、市場での存在感が増すにつれて、利益率も向上する可能性があります。 |
a | b | c | |
○ア | 正 | 正 | 正 |
×イ | 正 | 誤 | 正 |
×ウ | 誤 | 正 | 誤 |
×エ | 誤 | 誤 | 正 |
×オ | 誤 | 誤 | 誤 |
abcのうち明らかに〇がつくのはbだけなので、誤って×ウを選びやすい。どれか一つにはバツをつけたい心理に注目した出題で、間違えて覚えさせる狙いがあります。
R1第8問(設問1) デファクトスタンダード Cランク
コンピュータのソフトウェアやコンテンツなどのデジタル化された情報財は、製品開発費などの固定費が占める比率が【A】く、製品1 単位を追加的に生産するためにかかる費用が【B】い傾向があるという特性を有している。
こうした情報財の特性は、製品市場での競争状況や、その状況に基づく競争戦略に影響を与える。特に重要なのは、複数の企業が同様の情報財を供給して、コモディティ化が生じる場合、たとえ当該市場が成長段階にあったとしても、企業間での競争が激化して、最終的には【C】の水準まで価格が低下してしまう点にある。
(設問1 )
文中の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
固定費が占める比率 | 1単位の追加生産にかかる費用 | 価格下落する水準 |
---|---|---|
高 | 低 | 限界費用 |
限界費用(=変動費)、固定費は「経済学」、機会費用は「原価計算」と別々に学ぶ必要があり、答えにくくなっています。 | ||
デジタル化された情報財は、開発に要する初期費用(固定費)が高く、その後の追加的な生産にかかる変動費は比較的少ない傾向があります。 | 追加的な生産費用が低いというのは、デジタル情報財の特性の一つです。一度開発が完了すれば製品のコピーまたは追加生産が容易で、変動費用が少なくなります。 | 複数の企業が同様の情報財を供給してコモディティ化が生じる場合、企業間での競争が激化して、限界利益の水準まで価格が低下することがあります。 |
設問1 | A | B | C |
×ア | 高 | 低 | 機会費用 |
○イ | 高 | 低 | 限界費用 |
×ウ | 高 | 低 | 固定費 |
×エ | 低 | 高 | 機会費用 |
×オ | 低 | 高 | 限界費用 |
デジタル財=追加生産費用が少なく売れば売るほど丸儲けのイメージがあれば、アイウの三択になる。×アウを選んだ方は、「ミクロ経済」「業務的意思決定」のどちらかで要復習です。
R1第12問 ベンチャー Cランク
S.G.ブランクが構築した「顧客開発」モデルは、顧客ニーズの把握が不十分、かつ顧客の特定化が困難な場合に、仮説の検証を素早く繰り返すことによって、学習を通して、新しいビジネスの成功率を高めようとするモデルであり、それを発展させたものが、E.リースによって提唱された「リーン・スタートアップ」モデルである。
「リーン・スタートアップ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
○ア リーン・スタートアップでは、戦略を検証する実験によって、その実験段階の製品やサービスが失敗に終わった場合、ビジョンを実現するためには、それまでの開発コストが無駄になっても、戦略の方向転換(ピボット)が必要であるとしている。 | ×イ リーン・スタートアップでは、不確実な状態で新しい製品やサービスを創り出すスタートアップのプロセスを、戦略を検証する実験の連続と捉えており、その実験回数をあらかじめ制限しておくことが、成功の鍵と捉えている。 | ×ウ リーン・スタートアップは、①顧客ニーズにかかる「仮説」を立てること、②顧客ニーズを満たすアイデアを「製品化」すること、③製品化したものを消費者に「提供」すること、④新たな顧客を次々に「開拓」することの4 つのプロセスを直線的に進めていくものである。 | ×エ リーン・スタートアップは、新規事業の製品やサービス、対象となる顧客、販売方法などが詳細に記述されたビジネス・プランを構築し、そのビジネス・プランに従って新規事業を進めていくプロセスである。 |
さももっともらしく説明するのでつい正解に選びがちですが、リーン・スタートアップは直線的でなく円形と覚えれば、×ウを誤答にできます。 | |||
リーン・スタートアップで戦略の方向転換(ピボット)が必要とされるのは、失敗を避けることよりも、失敗から学び成長することを重視するためです。 | リーンスタートアップでは実験回数をあらかじめ制限することはせず、むしろ実験を通じて学び、柔軟に方向転換(ピボット)することが重要です。 | この4つのプロセスで進めることは顧客開発モデルと呼ばれ、リーンスタートアップでは継続的に顧客との対話を通じてフィードバックを得て、製品やサービスを改善していくアプローチを取ります。 | リーンスタートアップでは最初から完璧なビジネス・プランを策定して実行するのではなく、不確実性の高い状況で実験し、市場の反応を受けてアジャストしていく手法です。 |
× | →○ | |
×イ | しておく | しない |
×ウ | リーン・スタートアップ | 顧客開発モデル |
×エ | リーン・スタートアップ | 一般的な新規事業開発 |

リーンスタートアップとアジャイルは考え方がほぼ同じ。その違いもネットで押さえておけば万全です。
R4第8問 ベンチャー(エフェクチュエーション) Cランク
次の文章の空欄に入る記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
エフェクチュエーションは、S.D.サラスバシーが経験豊富な起業家の行動から抽出した実践的なロジックである。エフェクチュエーションは、【 】である。
×ア 成功と失敗の確率がが事前に分かっている場合に有効 | ×イ 特定の事業機会における競合分析や市場分析を行う場合に有効 | ○ウ どのような環境に注目し、どのような環境を無視すべきかが不明瞭な場合に有効 | ×エ 目的からさかのぼって手段を考えることができる場合に有効 | ×オ 目的の選好順位がが明確な場合に有効 |
エフェクチュエーションが不確実性に対応しようとする反面、一般的なマネジメントでは目的からさかのぼって考えることが有効であり、つい正答に選びがちです。 | ||||
許容可能な損失 | クレイジーキルト | 飛行機の中のパイロット | レモネード | 手中の鳥 |
エフェクチュエーションでは、成功と失敗の確率があらかじめ分かっているというより、許容可能な損失を決めて事業を始めます。 | エフェクチュエーションでは、特定の事業機会における詳細な分析よりも、手近なリソースと能力を最大限活用するアプローチを考えます。 | エフェクチュエーションは事前の予測が難しい状況下での行動を促し、実際の経験と学習を通じて、適応力を高めることを目指すため、状況が複雑で不確実性が高い場合に有効です。 | エフェクチュエーションでは、目的から手段を逆算するよりも、不確実性を梃子 のように利用することを考えます。 | エフェクチュエーションでは、目的の優先順位が明確であることよりも、もともと自分が持っているリソースの活用を考えます。 |
R5第8問 ベンチャー Dランク
新事業や新市場の創出に関する記述として、最も適切なものはどれか。
×ア E.リースの「リーン・スタートアップ」理論に基づけば、不確実性が非常に高い事業の場合、成功要因の把握は非常に難しいため、多額の調査費を投入して潜在的な需要を把握し、時間をかけて綿密な計画を立てる必要がある。 | ×イ G. A.ムーアの「キャズム」理論に基づけば、イノベーターとアーリー・アドプターはテクノロジーに対する姿勢は共通するが、実用性志向の程度が異なり、その相違によって新市場の拡大において越えることが最も難しい大きな溝(キャズム)が生み出されている。 | ×ウ S. D.サラスバシーの「エフェクチュエーション」理論に基づけば、熟達した起業家は、事前に市場を明確に定義して、セグメンテーションやターゲティング、ポジショニングを設定することによって、不確実性の高い状況でも新事業を創出することができる。 | ○エ W.チャン・キムとR. A.モボルニュの「ブルーオーシャン戦略」に基づけば、顧客価値を高める差別化の要素を持つことと、コストを押し下げることを併せ持つことが、新市場の創出に重要である。 | ×オ 他社に先駆けてデファクト・スタンダードを獲得することは新事業における競争優位につながるため、デファクト・スタンダードの決定に重要な役割を果たすISOのような国際的な標準化機関との間で調整や協議を進める必要がある。 |
キャズムの左右にいるのはアーリーアダプターとアーリーマジョリティとの、正確な知識が必要です。 | 下線部は一般に行われるSTPマーケであり、エフェクチュエーションの5つの行動原則を覚えていないと、つい正解に選びがちです。 | そこまで細かい所は誰も教わらないので、正解に選びにくくなっています。 | ||
リーンスタートアップ | キャズム | エフェクチュエーション | デファクト・スタンダード | |
リーン・スタートアップ理論に基づけば、不確実性が高い事業の場合では、緻密な計画を立てるより、少ないリソースで市場のフィードバックを得て迅速に学習と適応を重ねることが必要です。 | キャズム理論に基づくと、イノベーターとアーリー・アダプターはテクノロジーの受容において需要な役割を担いますが、キャズムの両隣にいるのはアーリーアダプターとアーリーマジョリティです。 | エフェクチュエーションでは、熟達した起業家が手元のリソース(手中の鳥)や周囲の協力者(クレイジーキルト)を活かし、不確実性の高い状況での新事業の創出を図ります。 | デファクト・スタンダードは市場や業界で広く受け入れられた実際の標準であり、ISOなどの国際的な標準化機関によって策定される公式の規格はデジュール・スタンダードと呼びます。 |
× | →○ | |
×ア | 多額 緻密な計画を立てる | 最小限 計画を改善する |
×イ | イノベーター | アーリー・マジョリティ |
×ウ | 事前に市場を明確に定義して、セグメンテーションやターゲティング、ポジショニングを設定する | 5つの行動原則に基づきまずやってみる |
×オ | デファクト ある | デジュール 特にない |
正解〇エがそれらしくなく、×アイウオ全てにバツを付けて消去法にしないと当たらない。こりゃ不確実性の高い難問な。
今日のまとめ
イマドキ古い過去問やノウハウに依存するなど、いつの20世紀の話?今や少し古くなった過去問でも、生成AIに解説させて最新知識に自動updateする時代です。