「Ⅳ」対策にしては難度の高い簿記1問題集を使う利点は、必ず正しい1つの解き方=必勝法が存在すること。そしてCVP分析の必勝法は、できるだけ方程式を使わないこと一択です。
実はCVPの高難度な感度分析では、方程式を使わないと解けない論点がある。だからと言って方程式の一つ覚えを始めると、以下の誤答トラップに誘導されて、見事おベテとふぞのⅣループが爆誕します。
①あいまい国語で誤答誘導 | ②計算手順ばかりすぐ増える | ③単位や桁数で嫌がらせ | ④場合分けする意地悪問題 | ⑤次々と変わる感度分析 |
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例として「外注費(率)が7%増加する」とする問題で、「率」の記述を敢えて省くことで、受験者が「外注費額が7%増加する」と解釈してしまいやすくなります。 | 多桁の数字や複数の掛け算、割り算を含む変動予算の計算問題は、手順が増える分、途中の計算ミスが起こりやすいです。 | 試験問題では、数字の単位(万円、千円など)をわざと混ぜたり、端数を目立たせたり、桁数を大きくすることで、計算過程に混乱をもたらすケースがあります。 | 一見単純なCVP分析であっても、例えば「通常期」と「特定期間中の例外的な状況」など複数の前提が同時に提示される場合、どの前提で分析すべきか迷う意地悪問題になります。 | 複数のシナリオを順番に考える感度分析の出題では、各要素が結果に与える影響を整理し、計算に進む必要があります。 |
正しくは経費率(%)の変化)が題意であり、国語の正確な解釈ができた受験者とそうでない者で大差がつきました。 | 細かい数値管理ができる受験者は正確な数値を導ける一方、計算過程での丸めや端数処理の違いが、得点差になります。 | たとえば、コスト項目の中で一部は千円表記、他は万円表記の場合、注意深さを欠く受験者は混乱して失点するでしょう。 | 受験者は固定費の内訳や、その他の変動要因など、どの要素を重視すべきか自己判断することになり、前提条件の整理が上手くいくと点が伸びます。 | こうした問題は単なる公式当ての計算ではなく、実際の経営判断やリスク管理の側面まで考慮する論述力と分析力が求められ、受験者の点差がつきやすくなります。 |
【GWでⅣ対策】§3 CVP分析 / 方程式で解くから間違い
隣のおベテの計算馬鹿が「Ⅳ」60点にカスリもしないのは、わざと意地悪に作られたムダな解き方ばかり暗記するから。そうでなく「簿記的に正しいCVPの解き方」は、必ず1つに決まります。

第1問 固変分解①
「事例Ⅳ」R5第2問で問われた固変分解について、簿記1級では高低点法と最小二乗法の2つを学ぶ。
なお最小二乗法が「Ⅳ」で出題されることはなく計算練習は不要となり、実務上はエクセル関数(slope, intercept)で求めて良い。

第2問 固変分解②
第1問と同じ考え方で、データ数を増やした計算練習問題。
「事例Ⅳ」が最小二乗法の計算を問うことは絶対にないので、当問はスルー。

第3問 CVP分析①
診断士「Ⅳ」のCVPは方程式で求めさせる指導が多いが、感度分析など計算量や試行錯誤が増える時は方程式を使わず、SBEP=固定費÷限界利益率の関数式で求める方が理解しやすい。
§2の直接原価計算はスキップして良いが、そこで学ぶ「変動損益計算書」方式を使うと、CVPの計算はここまで省力化できる。

第4問 CVP分析②
基本の変動損益計算書から、固定費÷限界利益率の考え方を用いて、SBEP・安全余裕率・感度分析(目標利益達成売上高)を求める基本問題。
経営レバレッジ係数=限界利益÷営業利益で丸暗記しておき、その応用や理論は一旦考えなくて良い。

第5問 CVP分析③
CVPの感度分析を(問1)では目標利益の計算を複雑にし、さらに(問2)では売上高連動にして方程式でないと解けなくした難問。
以下のエクセル関数では方程式を使わない関数式で示したが、むしろわかりづらいので(設問2)は方程式で解く方が良い。復習は不要。

第6問 CVP分析④
販売単価・数量や変動費・固定費などをさまざまに変化させる、感度分析の基本問題。
診断士のCVPではこれ以上のややこしい出題の前歴があるので、エクセルで正しい計算過程を確認した上で、手書きで再現できるよう練習しておく。

第7問 多品種製品のCVP分析①
CVP分析を一段階難しくしたものとして、組製品がある。通常は個数比で指示されるが、売上比で指示されるとさらに一段階難しくなる。
計算が煩雑になる問題に共通し、手書きでおかしなクセをつけることがないよう、エクセルで先に一度答を確かめておくことが望ましい。

第8問 多品種製品のCVP分析②
組製品のCVPとして、(問1)がノーマル、(問2)が売上比で指定、(問3)が複雑な感度分析になる。
これも手書きで混乱しないよう、エクセルで一度正解を確かめてから手書きの練習をすると良い。

第9問 全部原価計算におけるCVP分析
診断士CVPでの出題はないが、簿記の原価計算(製品Boxと操業度差異)を組み合わせたイレギュラーな設問。
ここで解き方のパターンを増やしてしまうのを避け、いつもの変動損益計算書型で簡単に解けることを確認しておく。

第10問 経営レバレッジ係数
経営レバレッジ係数は営業利益÷限界利益で求まり、これに限界利益の増減額を掛けると営業利益増減額を示すことができる。
当問は数値を計算して知識を穴埋めさせる設定となり、④の販売量増減額をG社の営業利益減少額から逆算で求めさせ、1問でレバレッジ係数の複数の使い方が身に付く良問。

今日のまとめ
隣のD社が一つ覚えの方程式なCVPをエクセルで解く利点は、そこで正解するには関数式に1つのミスも許されず、必ず正しい1つの解き方に決まること。そこを残る6回で100%に仕上げます。