「事例Ⅰ~Ⅲ」と異なり、必ず1つの正解に決まる「Ⅳ」。そして必ず正しい1つの解き方=必勝法が存在することを、GWの全8回シリーズで200%実証します。
簿記1問題集の難度は2級と桁違いで、GWにやろうと今日の「直接原価計算」から解き始めると、血反吐が出るほど難しい。そこで今日の必勝法はこの§2を自力で解かず、エクセル解説だけ眺めることです。
①ムダのない正しい解き方 | ②エラー箇所を完全修正 | ③計算条件の取捨選択力 |
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Excelを使う場合、計算フローが論理的に整理され、各セルに必要な数式を構築することで、無駄な計算や複雑な手順が省かれます。結果として、試験問題において求められる「正しい1つの解答」を見出すための過程が、最も効率的かつ簡潔なものとなります。 | Excelでは、計算結果に誤りが生じた場合、数式や入力データを遡ってチェックすることが容易です。これにより、どの部分でエラーが発生しやすいのか、また問題作者が仕掛けたひっかけ条件がどこにあるのかを特定しやすくなります。 | 試験問題には、実際に解答する上で不要なダミー情報や条件が含まれていることがよくあります。Excelでは、各条件をセルに分解して整理する過程で、真に必要な情報とそうでない情報とを明確に区別できます。 |
数字や条件、変数間の関係性をセルごとに整理することで、計算過程が誰が見ても再現可能・検証可能な形に整えられ、余計な余韻や冗長な処理がカットされるため、常に最適解へとたどり着く設計になります。 | 一度エラー箇所を特定しておけば、その部分を一覧化・記録することができ、次回以降の試験対策として「間違いやすいポイント」への注意喚起と、同様のミスを防止するための学習材料として非常に有効です。 | 計算条件を一つひとつ検証しながら数式を組むことで、欠けている情報に気づいたり、逆に無駄な情報を除外するなど、試験問題の本質を見極めるための分析力が養われます。これにより、より精度の高い解答作成とともに、試験全体の論理的思考力も向上します。 |
【GWでⅣ対策】§2直接原価計算 / Ⅳには「必ず正しい1つの解き方」
前提として「事例Ⅳ」に簿記論点を出すことはなく、§3→4→6の順に解いて良い。そしてエクセル解説だけ先に眺める利点は、変動費⇔固定費の扱い方を嫌と言うほど覚えてしまうこと。


第1問 全部原価計算と直接原価計算①
与えられた計算条件から、「報告書形式」と呼ばれるPLに数値を穴埋めしていく基本問題。
この第1問では期首・期末ともに仕掛品がないので、製造費用をそのまま製品Box(当期製造費用)に書いてしまうのがポイントになるが、それでも簿記1級になると計算量が多い。

第2問 全部原価計算と直接原価計算②
仕掛→製品Box図の流れにおいて、全部原価計算+直接原価計算を使い分けるほかに、簿記1級標準原価計算&配賦&原価差額を加えて複雑にした応用問題。
単に解説通りに解くよりも、エクセルでBox図を自作することで、計算手順を減らして精度を上げることができる良問。

第3問 全部原価計算と直接原価計算③
固定費調整(ころがし計算)を除けば、第3問より基本的な仕掛→製品Box図になる良問。
仕掛Box図を直接材料費+変動加工費+固定加工費の3つに描き分けることで、報告書形式のPLは単に関数で引用すればよく、考え方の整理になる。

第4問 固定費調整
直接原価計算営業利益→全部原価計算営業利益に戻す「固定費調整」につき、原則である「ころがし法」を簡単に振り返ったうえで、実務で簡便に採用される「一括調整法」を学ぶ設問。
診断士試験では固定費調整そのものを出題しないため、特に(問2)はやらなくて良い。

第5問 直接標準原価計算①
簿記1級で学ぶ標準原価計算を使うと、直接原価計算の当月変動売上原価を計算し、後から実績との変動費差異を考慮することで、計算過程を大幅に簡略化できる。
慣れないうちは丁寧に計算し、コツを掴むと計算スピードを速めることができる。当問では予算データを使い、標準原価カードの製造間接費を変動@500、固定@600に分けることがポイント。

第6問 直接標準原価計算②
直接標準原価計算において、材料費・労務費・製造間接費の差異分析に加え、2通りのPLを作らせて固定費調整まで行う総合問題。
仕掛・製品Boxを作るときに、Z・R・VK・FKの4つに分けておくと、2通りのPLでは関数で引用すれば良いとわかる、難しいが良問。標準原価差異分析のうち、製造間接費差異は診断士の出題範囲外なのでカバー不要。

第7問 全部原価計算と直接原価計算の利益比較
当問は全部原価計算⇔直接原価計算による営業利益の差についての理論問題となり、「期首期末棚卸資産に含まれる固定原価」だけに注目して、手際よく正解を出すことが出来る。
公式解説ではその差額だけで出す方法と、一通り計算して出す2つの方法を説明しており、差額で出すと計算を大幅にカットできることを知っておく。

今日のまとめ
簿記の計算問題には必ず1つの正解があり、かつ必ず正しい1つの解き方に決まるのが簿記。そしてまず「Ⅳ」に出ない§2,5,7,10を後回しにすることで、エクセル関数で使われていない計算手順は全てムダと確定させます。
