「NPVは白紙で出せ!」と吼える謎ベテスクールや、過去問の答をひたすらヘタクソ解説する隣のD社が実在する試験において、【簿記1級意思決定会計】を3年連続出題するとどんなカオスに? 我らがAI試験委員が3回シリーズでその謎の解明に挑みます。
「Ⅳ」出題論点を意図的に変えることは、その意図を掴むと合格、外すと万年ベテループすることで、受験産業の意図に左右されないより社会的に望ましい学習姿勢への転換を促せる。出題の趣旨と私の解説を併せてどうぞ。
R6第2問(配点20点)(設問1)
与えられた条件をもとに、線形計画法を用いて、X社向け及びY社向けの最適な生産数量を算出する能力を問う問題である。
(設問2)
Y社に対する最低限の販売数量が決まっており、価格の引き上げが可能という条件を追加した上で、Y社の希望を満たすためには、Y社に販売する製品の販売価格を何円以上に設定すればよいかを算出する能力を問う問題である。
R5第2問(配点30点)(設問1)
D社の2期間の財務データをもとに原価分解(予測)を行い、損益分岐点売上高を算出したうえで、2期間で損益分岐点比率がどれだけ変動したかを算出する能力を問う問題である。
(設問2)
(1)D社が扱っている製品について、生産・販売中止の可否の意思決定の知識を用いて、的確な意思決定を行う能力を問う問題である。
(2)ある製品(X製品)の販売を中止し、需要移動や回避不能固定費がある場合に、現状の営業利益を維持するために必要な他製品(Y製品)の売上高増加額を的確に算定できる能力を問う問題である。
(設問3)
共通費の配賦を売上高で行う場合の会計情報の有用性について、的確な理解を問う問題 である。
R4第2問(配点20点)(設問1)
3Dプリンターを用いた新事業における短期利益計画において、与えられた製品データと制約条件のもとで、利益を最大化するセールスミックスを算出する能力を問う問題である。
(設問2)
当該事業の短期利益計画において、制約条件が複数存在する場合のもとで、利益を最大化するセールスミックスを算出する能力を問う問題である。
第 3 問(配点 35 点)(設問 1)
中古車販売事業における点検整備業務において、与えられた費用データに基づいて関連原価を適切に把握し、外注すべきか否かに関する適切な意思決定について助言する能力を問う問題である。
とはいえ1級意思決定会計とは会計士でも苦手にする方が多いレア論点で、得意にする方は希少。そこでAI試験委員に具体化してもらおうな。
作問変化が促す学習姿勢 | 具体的な学習行動 | |
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単なる計算の正確さではなく、複数の選択肢を比較検討し、経営的に最適な意思決定を行う力を重視する必要があります。計算結果の背景や経営的な意図を考慮し、選択肢ごとの優劣を明確にする判断力を養う学習姿勢が求められます。 | ①資源制約:複数案から最適解へ | ケース問題を用いて複数案を比較し、選択肢ごとの数値的根拠や戦略的意義を整理する練習を行います。また、仮定条件を変えて結果を分析し、選択肢が経営に与える影響を検討するシミュレーション能力を高めることが重要です。 |
計算に入る前に問題全体の狙いと設問の意図を把握し、何を求められているかを明確にする必要があります。計算結果の目的や期待されるゴールを考慮し、全体の流れを理解する習慣を身につけることが重要です。 | ②問題の全体像を把握してから計算着手 | 問題文の狙いや目的を簡潔に整理し、題意を掴むためのメモを作る練習を取り入れます。また、与件文と設問文を往復しながら、計算の根拠となる条件やデータを確認する癖をつけることが効果的です。 |
計算結果を導くだけでなく、その結果の背景や経営的な意味、与える影響を説明できる能力を重視します。結果を活用した次の意思決定にどう繋げるかを考える視点を持ち、数値の背後にある経営戦略を意識することが求められます。 | ③計算結果をわかりやすく説明する能力 | 計算後に「この結果が経営にどのような影響を与えるか」を簡潔に記述する練習を取り入れます。さらに、他人に説明する場を設け、なぜその結果になるのか、またその結果をどう使うべきかをロジカルに伝える練習を行います。 |
【1級意思決定の罠(上)】Ⅳの3年連続出題変化 / 試験委員が頷くベスト解答
AI試験委員がこう易しく説明しても、わが受験産業に1級意思決定会計の指導力などゼロ以下で、良くてイケカコ、ひどいとノウハウ計算問題集で悪戦苦闘するオチに。そこで「みんなが欲しかった」「劇的にわかりやすい」1級テキストを3回シリーズでAI解説です。

第①回 | 第②回 | 第③回 |
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§1 管理会計のための原価計算 §2 直接原価計算 §3 CVP分析 §4 最適セールス・ミックスの決定 | §5 予算編成 §6 事業部の業績評価 §7 予算実績差異分析 | §8 業務的意思決定 §9 設備投資の意思決定 §10 戦略的原価計算 |
§1 管理会計のための原価計算
この章で大切なことは「管理会計」「利益管理」を学ぶ上で、簿記2級がカバーする「原価計算」からスタートすること。この最初の一歩が重要です。
管理会計における原価計算は、経営者が意思決定を行う際に必要な情報を提供するための手法です。具体的には、製造にかかる「変動費」や「固定費」を明確に区分し、製品ごとの採算性やコスト削減の可能性を把握することを目的とします。これにより、企業は製品ごとの利益貢献度を把握し、販売戦略や生産計画の最適化を図れます。簿記2級の原価計算の知識は、この基礎を学ぶ上で重要な第一歩であり、管理会計の土台となります。
利益管理は、企業の経営目標を達成するために、目標利益を設定し、それに基づく計画を策定・実行・管理する一連のプロセスです。具体的には、以下の4ステップで構成されます。
- 目標利益の設定: 市場環境や経営資源を考慮し、企業の利益目標を定めます。
- 利益計画の作成: 売上高やコスト構造を基に、目標達成のための具体的な数値計画を立てます。
- 予算編成: 部門別に必要なリソースを割り振り、各部門が貢献すべき役割を明確化します。
- 予算統制: 実績と予算を比較し、差異を分析することで問題点を特定し、必要な対策を講じます。
これにより、利益目標に向けた組織全体の行動を統一し、計画的かつ効率的な経営が実現可能となります。
§2 直接原価計算
中小企業のPLは税務申告目的の「全部原価計算」で作成し、逆に大企業では利益管理目的の「直接原価計算」を使うため、両者の違いがわかりにくい。その計算手順を覚えるのが簿記2級で、理論で体系化するのが1級です。
直接原価計算は、製品を製造するために直接的にかかる変動費用(直接材料費や直接労務費)だけを仕掛計算に組み入れ、間接的な固定費用(間接材料費や間接労務費など)は年間発生額として扱う手法です。主な狙いは、製品ごとの貢献利益を明確にすることです。この手法を用いることで、製品の販売や生産における収益性を短期的に把握しやすくなります。
直接原価計算と全部原価計算の違いは、コストの扱い方にあります。全部原価計算では、製品にかかるすべてのコスト(直接材料費、直接労務費、間接費)を製品の原価に含めます。一方、直接原価計算では、固定費や間接費を期間費用として計上し、製品原価に含めません。直接原価計算は企業内部での利益管理を重視して短期的な意思決定に適し、全部原価計算は外部報告や税務申告に使われることが多くなります。
固定費調整とは、期首・期末の棚卸資産に含まれる固定原価の取り扱いにおける違いを指します。全部原価計算では、固定費は製品の原価として計上されますが、直接原価計算では、固定費は期間費用として計上されます。この違いにより、製品の原価計算結果が異なり、利益計算にも影響を与えます。直接原価計算では、製品単位での利益管理がしやすくなり、短期的な収益性を評価するのに有効です。
直接標準原価計算は、予算を立てる際に使用する「標準原価」と、利益管理に役立つ「直接原価計算」を組み合わせた方法です。標準原価は、理想的なコストを事前に設定し、実際のコストと比較することで、経営の効率性を評価します。これを直接原価計算に組み合わせることで、企業は生産計画やコスト削減策を迅速に見つけることができます。この手法を使うことで、予算編成と利益管理を一体的に進めることができ、効果的な経営判断が可能になります。
§3 CVP分析
あらゆる計算問題をエクセル解説する当サイトにすれば、CVP分析をひたすら方程式の板書で解かせる診断士界の指導が全く間違い。そうでなくPC持参のエクセルで解かせるスクールが登場すれば、このカオスから確実に一抜けです。
原価の固変分解は、固定費と変動費を分けて扱う手法です。固定費は生産量に関係なく発生する費用(例えば、家賃や管理費)であり、変動費は生産量に応じて増減する費用(例えば、材料費や労務費)です。この分解を行うことで、企業はコスト構造を理解し、利益計画や意思決定に役立つ情報を得ることができます。エクセルなどを使い、売上高と利益の関係を視覚化しやすくするため、計算の精度を高めることができます。
CVP分析の基本は損益分岐点分析です。損益分岐点売上高は、企業が損益ゼロになるための最低限の売上額を示します。これを求めるためには、固定費、変動費、売上高の関係を把握する必要があります。損益分岐点は以下の式で求めることができます。
SBEP(損益分岐点売上高)=固定費÷限界利益率
この分析により、企業はどの売上額を達成すれば利益を得られるのか、または赤字を回避できるのかを明確にすることができます。エクセルを使用することで、さまざまなシナリオを瞬時に計算し、シミュレーションを行うことが可能です。
CVP分析の感度分析は、売上高や費用が変動した場合に、利益や損益分岐点がどのように変化するかを検討する手法です。感度分析を行うことで、企業は予測の不確実性に対応し、リスク管理を強化できます。たとえば、材料費や販売価格の変更がどのように損益に影響を与えるかを確認することができます。このような分析をエクセルで行うと、仮定条件を簡単に変更し、さまざまなシナリオを比較することができます。これにより、意思決定者はより柔軟に対応できるようになります。
§4 最適セールス・ミックスの決定
そもそも線形計画法は簿記1級論点で、ビジネス実務で使うケースは稀。そこをR4→R6と再出題する所に、この試験の闇の深さと意地の悪さを感じます。
最適セールス・ミックスの決定とは、企業が限られた資源(例えば、生産能力や販売時間)を最大限に活用し、利益を最大化するためにどの商品をどの程度売るべきかを決定するプロセスです。ここで重要なのは、各商品の「限界利益」を計算し、それを基に最も効率的な販売組み合わせを選ぶことです。
最適セールス・ミックスを決定するためには、まず各商品の限界利益(売上高から変動費を差し引いた利益)を求めます。そして、制約条件(例えば、製造時間や労働力)を考慮し、限界利益が高い商品から優先的に生産・販売していきます。制約条件を無視してただ売上を追い求めるのではなく、利益最大化に繋がる売上構成を作り上げることが目的です。
今日のまとめ
そして簿記2級の世界では計算問題で手を動かして身体で覚え、簿記1級ではそれを理論で裏付けして説明能力を高める。今回の3年連続出題変化の狙いを、計算から理論重視への転換と解けば、試験委員が頷くベスト解答になります。