診断士の新作事例=「これからのベクトル」とすれば、解像度を上げて具体化するのが「ビジネスコンパス」。企業の花形であるマーケ(事例Ⅱ)と裏方である会計(事例Ⅳ)がコラボするミライを考えます。
こらこら、それは成長を忘れたゆで蛙であるあなたの勤め先である大企業に限った話。ファクトベースのデータドリブンで動くスタートアップの世界では、マーケから資金繰りまでワンストップでカバーするのが常識です。
①データドリブンで意思決定 | ②求めるスキルは「データ活用」 | ③部門のカベを超える全社・経営視点 |
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【ビジネスの時流】 データドリブン経営の普及により、マーケティング戦略と財務データを融合させた収益モデルの構築が重要視されています。部門横断的な意思決定が成長の鍵です。 | データ分析を活用した顧客価値の最大化が競争力の源泉になっています。データを基に迅速かつ正確に課題を解決する力が企業に求められます。 | スタートアップや先進企業では、マーケティングから財務管理までを一人で担う「多能工型人材」が求められています。全体最適を目指す視点が必須です。 |
【求めるスキル】 マーケットトレンドの分析力と、収益性やコスト構造を判断する財務スキルを組み合わせることで、的確な戦略立案が可能となります。 | ファクトベースで課題を抽出する分析力と、解決案を実行するプロジェクト推進力が重要です。データとアクションを結びつける能力が求められます。 | マーケティング戦略、財務分析、資金繰りの知識を包括的に活用できる汎用的なスキルセットが必要です。広範な業務領域を横断する力が求められます。 |
【事例Ⅱ×Ⅳ効果】 事例Ⅱでニーズを的確に捉え、事例Ⅳで財務面から検証する力を身につけることで、データに基づいて意思決定を下す経営者視点を磨けます。 | 事例Ⅱで顧客データを活用したマーケ戦略を学び、事例Ⅳで分析結果を資金面で裏付ける力を養うことで、課題解決力が飛躍的に向上します。 | 事例Ⅱで戦略的マーケティング視点を、事例Ⅳで資金繰りや財務管理を学ぶことで、経営の全体像を俯瞰できる視座が得られます。 |
【忘れたいけどクセになる②】ミライを拓くビジネスコンパス / データドリブン意思決定 / (事例Ⅱ&Ⅳ)
専門分化された大企業様では水と油で月すっぽんな2つの部署が、キラキラ働くスタートアップの世界ではワンストップなOne team。見事診断士の座を射止めたあなたが輝くチャンスがここにあります。
事例Ⅱ:西九州三大焼に食い込むのは波佐見焼?唐津焼?
ぜひ博多に通したい新幹線を依怙地になってブロックするあたり、両県の仲の悪さはお察しレベル。そこに3代目B社長の感覚・観念価値がどう斬りこむかに注目です。
3代目の動画コンテンツの成功を踏まえ、オンライン動画やSNSを活用してX焼の感覚価値や観念価値を訴求する。これにより国内外の若者や感度の高い消費者層への認知を拡大し、新規市場を開拓する。
デザイナーズホテルや飲食店との共同開発事例を基に、X焼を観光地の宿泊・飲食施設における象徴的な食器ブランドとして確立。これにより地域全体の活性化と観念価値向上が期待できる。
零細化する窯元と移住者クリエイターを巻き込み、新たなデザインやプロダクト開発に取り組む。これにより商品ラインアップの多様化と新鮮味を提供し、他産地との差別化を図る。
自前店舗とオンラインショップを連携させ、一般消費者向けの販路を強化。特に家庭料理映えする食器の提案を通じて、日常生活におけるX焼の価値を浸透させる。
分業制の生産体制を背景に、川上事業者(陶土屋、型屋など)との連携を図り、サプライチェーン全体での効率化と情報発信を推進。これにより産地全体のブランド価値を向上させる。
事例Ⅳ:卸売に始まり、外食・中食・冷食と多角化すぎる飲食D社
地元で有名な焼き鳥や駅弁会社があれこれ手を出して、店をたたむケースは日常茶飯事。ハゲタカ企業に食い物にされる前に、事例にすら登場しない無能なD社長を解雇して、どこかに事業譲渡することを強く推奨します。
D社は飲食、惣菜、加工の3事業を展開していますが、飲食業がコロナ禍や競争激化で収益減となる一方、惣菜事業が成長を補っています。これを踏まえ、収益性や成長性を基準に事業ポートフォリオを再評価し、重点投資や撤退を検討することが重要です。また、加工事業では収益性向上のために製造効率化や付加価値型製品の開発を進めるべきです。
現在、事業はZ市および県内に限定されていますが、長期的な成長には県外進出が不可欠です。地域密着型の強み(地元産素材の活用、独自メニュー)を活かしつつ、新たなエリアで競争優位性を確立する戦略が求められます。これには市場調査、試験的な店舗展開、パートナー企業の活用が有効です。
同業他社と比較すると自己資本比率が低く、財務的リスクが高まっています。一貫体制の維持コストを抑えるため、サプライチェーン効率化や設備投資の見直しが必要です。また、財務の健全性を高めるため、キャッシュフロー管理や長期借入金の圧縮を優先すべきです。
加工事業では、X社とY社への販売条件の違いが利益率に影響します。限界利益率を基に生産配分を最適化し、営業利益を最大化する戦略が重要です。同時に、追加加工や価格交渉の柔軟性を活かして新規顧客獲得を目指すべきです。
財務諸表を活用した分析を通じ、各事業の収益性や効率性の課題が明確化されています。今後は業務プロセスや市場動向に基づくデータ分析をさらに強化し、定量的な経営判断を行うことが重要です。特に、AIやBIツールを導入することで、投資判断や業績管理の精度を向上させる余地があります。
事例Ⅱ×Ⅳ:伸ばす企業と畳む企業の二極化
例えば本気で冷食に力を入れるなら大手メーカーとのコラボで良いが、30店舗の居酒屋業に資本参加するノロマな大手社長は日本のどこを探しても1人もいない。今後の「Ⅳ」では廃業や隠居勧告への加点もあるでしょう。
診断士の使命の一つである地域経済の活性化を基準に、企業の成長可能性や社会的価値を評価します。地域価値を高める企業には資源を集中させる一方、影響が少ない企業や地域の負担となる企業には、廃業や撤退を提案します。この視点を試験に取り入れることで、診断士が地域全体の利益を考慮したアプローチを習得できるようにします。
市場や顧客ニーズに的確に応える企業の特徴や戦略を評価することで、事例Ⅱでは実行力のある企業が高く評価されます。例えば、明確なターゲット設定、効果的なプロモーション、独自のブランド価値の創造など、具体的なマーケティング戦略を提案できる能力を試験で重視することで、診断士が成長性のある企業を的確に支援できる力を養います。
事例Ⅳでは、財務状況や投資計画のリスク分析を通じて、企業の持続可能性を評価します。その中で、財務的に厳しい状況が明確な企業には、事業譲渡や売却といった選択肢を示し、経営資源を他の有望な企業に移すことで地域全体の価値を高める方向性を提案します。この現実的な視点を評価軸に取り入れることで、診断士が単なる助言に留まらない実践的な対応力を身につけられます。
今日のまとめ
ファクトベースのデータドリブン時代では、Ⅱ&Ⅳでのデータの捌き方一つで結果が真逆に。そして診断士がミライを切り拓くビジネスコンパスである以上、わかっていないD社にダメ出しするのも一つの使命です。