1年前の旧作だけど、本試験作問傾向をデフォルメして強調し、本番への備えに役立つと好評価の｢月刊企業診断｣掲載事例。1冊1,540円の格安、極端には図書館コピーで入手できる気軽さで、みんなで解き進みます。
スクール事例の欠点をAI的に挙げると、｢採点基準がなく｣｢自社メソッドに誘導され｣｢模範解答が正直イマイチ｣。そこで生成AIと組み合わせるのはいかがでしょうか。
【企業診断掲載事例を解説･添削】スクール事例をみんなで解いたら / 2024年3月号事例Ⅱ(EBA)
スクール事例の利点は｢本試験の作問傾向を強調｣で、欠点は｢何をやっても結局自己流｣。そのふぞろいな自己流ノウハウ･メソッドを切り捨て、答案を標準化して生産性をダダ上げするのが生成AIです。
Step-1：AIとヒトの役割分担
はい、80分で解けない試験に無謀に挑むから、2割のガチャが当たってあの大はしゃぎ。そうでなくAI試験委員を併用すると、｢2次｣対策はガラリと変わります。
| 生成AIに作業させる点 | ヒトが思考する点 | |
|---|---|---|
| 大量の与件文を解析し、重要な情報や根拠を自動的に抽出することで、時間を効率的に使う。 | ①設問解釈と与件の読み取り | 設問の意図や文脈を深く理解し、抽出された根拠をもとに独自の解釈や分析を加えることで、解答の精度を向上させる。 |
| 基本的な構成や文を迅速に生成し、ヒトがすぐに使える初期草案を提供する。 | ②100字答案の作成 | 提供された草案を基に、論理性や説得力を強化し、独自の言葉や具体例を加えて質を高める。 |
| 複数の解答を迅速に生成し、各答案の特徴や違いを整理して提示することで、比較しやすくする。 | ③複数答案を比べて改善 | 各答案の良い点や改善点を分析し、最適な解答を導くための独自の視点やフィードバックを加えることで、最終答案の質を向上させる。 |
Step-2：読みやすく納得しやすいAI解答&採点基準
以下のAI模範解答はいわゆる｢超絶解答｣でなく、構文に与件の根拠を引用してあてはめるだけ。ふぞろいキーワードで2割受かる試験で100字の読みやすさ&答案再現性を実現するには、このやり方が一番です。
スクール解答⇔AI解答比較サンプル(2024年3月号事例Ⅱ(EBA))
| スクール解答 | AI模範解答 | AI採点基準 | |
|---|---|---|---|
| 顧客は、X県周辺で醤油や日本酒を製造する醸造メーカー、X県を訪れる観光客やX市内に住む家庭、若い女性層。 競合は、全国市場に販路を持つ大手種麹メーカー2社、X県内のスーパーに麹甘酒を販売する大手企業。 自社は、X県産の米と水にこだわった糀、B社社長の商品開発ノウハウ、米糀工場を使用する食育教育ノウハウ。(150字) | 第1問 3C分析 | 顧客は、X県を訪れる観光客やX市内の住民に加え、健康や美容に関心のある女性層である。 競合は、糀甘酒市場でシェアを持つ大手企業であり、安価な商品がX県のスーパーで販売されている。 自社の強みは、X県産米と水を使った高品質な糀甘酒や糀みつあり、弱みは、業務用市場での価格競争力や消費者向け認知度の不足である。(151字) | 顧客各3×4＝Max9 醸造メーカー、観光客、市内の家庭、若い女性 競合各5×2＝Max9 大手種麹メーカー2社、低価格糀甘酒の大手企業 自社各3×4＝Max12 米と水と糀、食育教育、開発ノウハウ、社長の腕 |
| 美容に気遣う女性向けの贈答用商品や土産用商品としてリニューアルする。若い女性向けに健康や美容に良い糀の魅力を訴求したパッケージに変更し、糀ジェラートの開発に協力した高級ホテルでの販売を提案する。 | 第2問 ﾀﾞﾅﾄﾞｺ | B社は、①健康や美容を気遣う30代から40代の女性層を対象に、②「X県産素材を使った美容・健康サポート」を商品コンセプトとし、③パッケージデザインの改善や販路拡大により、消費者の購買意欲向上を狙う。(99字) | ターゲット：美容に気遣う女性4点、その他2点 コンセプト：適切8点～それなり4点 施策(どのように・効果)：8点まで加点 |
| コ･ブランディング戦略を採用する。Z社は、B社社長の商品開発ノウハウを生かし、X県産の米と水にこだわった糀を使用して競合スーパーに対抗できる。B社は、全国のスーパーの販路獲得、B社ブランドの認知度向上による企業ブランド強化、最終消費者向けの売上拡大が期待できる。 | 第3問 ﾀﾞﾅﾄﾞｺ | B社は、①Z社の全国規模の顧客を対象に、②X県産の米と水を使った高品質な生醤油麹を開発し、③共同ブランド戦略を採用する。協業の効果として、①両社のブランド力を活かして商品を差別化し、②新規顧客を獲得して売上拡大と競争優位性を高めつつ、低価格競争を回避する。(128字) | ターゲット：適切・・4点、言及なし0点 商品の内容：4点まで加点 ブランド戦略：PB0点～Wブランド4点 協業施策と効果：販路獲得、ブランド認知向上、売上拡大までMax13点 |
| X市外の小中学校の生徒と保護者を対象に、米糀工場を生かしたオンラインの食育教室を開催する。事前に飲み比べきっとや手づくりキットを郵送し、工場の様子を見学できるようにする。オンライン販売サイトに塩糀を使った鶏ハムなどのレシピを掲載する。 | 第4問 ﾀﾞﾅﾄﾞｺ | B社は、①X市外の親子を対象にオンラインの食育教室を開き、②事前に手作りキットを郵送して工場見学を体験してもらう。③見学後に販売サイトの鶏ハムのレシピを紹介してリピート購入を促すほか、④サイトに掲載するレシピを募集し双方向の交流を図る。(118字) | ターゲット：適切4点、何か書く2点 商品：適切5点、何か書く2点 オンライン施策：各4点×4＝Max12点 工場見学、食育教育、飲み比べ手づくりキット、鶏ハムレシピ 効果：適切4点、何か書く2点 |
Step-3：生成AIリアルコラボの進め方
もし与件で使う根拠を特定したら、後はマス目に引用するだけの試験なら。ふぞろい並列列挙の末路を避け、AIの自然な因果で与件の行間をインサイトする洞察力を磨く一択です。
手書きの100字マス目を避けるため、まず文章の骨組みである構文を頭の中で浮かべます。これにより、論理的な構成がしやすくなります。その後、Wordを使って少し長めに書き、必要な部分を縮めることで、文章を端的にする推敲力を高めます。このプロセスでは、冗長な表現を排除し、明確で簡潔な文章を作成する力を養います。
次に、複数の受験者が作成した答案を生成AIに読み込ませます。AIはこれらの答案から共通のテーマや良い点を抽出し、モデル答案を生成します。この段階では、異なる視点やアプローチが反映された答案を集めることで、多様な解答のスタイルや構成を理解することができます。
生成したAIモデル答案をもとに、明確な採点基準を設定させます。これにより、何が求められているのかを具体的に把握でき、各答案の評価基準が明確になります。この基準を使用して、複数名の答案をAIに添削させることで、各答案の改善点を示すインサイトを得られます。これにより、自身の解答の質を高めるための具体的な指導を受けることが可能になります。
最後に、AIが示した改善点を元に、自身の答案を見直します。これにより、どの部分を強化すべきかを理解し、今後の学習に役立てることができます。このようにして、生成AIを活用することで、事例演習の効率を大幅に向上させることができるのです。
今日のまとめ
生成AIに読ませた根拠を構文に入れると、｢読みやすく｣｢見慣れたキーワードを使い｣｢説得力のある因果で書かれた｣100字答案が出来上がる。解き直す度に答が変わるふぞろいと完全に差別化された、答案再現性とブレない一貫性が、AIリアルコラボの魅力です。