あの悪夢の1日から1か月近く経ち、「素晴らしい作問だった」「感動した」「早く続きが知りたい」と未だに賛辞が続く例の4事例。その物語性からクセになる常習者の続出が懸念されます。
であれば試験をさっさとパスした上で、時々「1次」「2次」新作問題をチェックすると良い。理由は、「2次」で過去問崇拝など大外れもいい所で、これからのビジネスの方向性(ベクトル)を示してくれるため。
1次:ビジネススキル | 2次:ビジネスのベクトル | 試験合格後もスキルチェック |
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1次試験は、財務、経営、ITなど幅広いビジネス分野の基本知識を習得する「スキルブック」の役割を果たします。これにより、中小企業が直面する多様な課題に対応できる知識の基盤を築きます。 | 2次試験は、ケーススタディを通じて、課題解決能力や戦略提案力を鍛え、ビジネスのミライを示す「ベクトル」として機能します。受験者は、未来志向の経営戦略を描き、中小企業を成功に導く力を身につけます。 | 診断士の学びは合格後も終わりません。定期的に知識をアップデートする「スキルチェック」を続けることで、最新のビジネス環境に対応するクセが身につき、診断士としての成長が持続します。 |
【忘れたいけどクセになる】試験はこれから輝く羅針盤 / 1次はスキルで2次はベクトル(事例Ⅰ&Ⅲ)
つまりウチの「2次」は常にビジネスのミライを示すので、いい年こいたおじオバが受験生支援祭りの裸踊りをするより、自分のスキルチェックに使うのが吉。これは同友館のみっともないノウハウ商法に愉快な最終通告です。
事例Ⅰ:2つの事業部が犬猿の仲の運送A社
外部から舞い戻った2代目や3代目が単に笛を吹いても、組織が全く踊らない。同族企業内の人間関係に踏み込むドラマチックな展開に、9,000人が息を飲みました。
複数拠点を持つA社では、拠点ごとや部門間の縦割り構造が非効率の要因となる可能性があります。与件からも多様な顧客ニーズへの対応が重要とされているため、情報共有の活性化やプロジェクト型の横断組織を構築し、全社的な連携を強化することが課題解決の鍵となります。
創業者主導で組織改編を行い、新たなリーダーを育成することが重要です。与件では3PL事業への展開を目指していることが示されており、外部環境に適応するための変革が必要です。創業者が主導権を握りつつ、次世代リーダーに責任を持たせることで、事業承継の基盤を整えることが可能です。
A社が保有する拠点を活かし、物流網を効率化することで、3PL事業の競争力を強化します。特に、首都圏と地域間の輸送ネットワークを効率化し、コスト削減と迅速な対応を両立させることで、顧客満足度の向上と市場拡大を目指します。
3PL事業の展開を支えるには、デジタル技術の活用が不可欠です。与件を踏まえ、輸送管理システムや在庫管理システムの導入を通じて業務効率化を図ることで、リソースを戦略分野に集中させ、顧客対応力を向上させることが可能となります。
事業承継において、A社のブランド価値向上が重要です。地域密着型の物流サービスをさらに強化し、地域社会からの信頼を獲得することで、次世代に引き継ぎやすい基盤を構築します。環境配慮型の事業展開を加えることで、社会的評価も高まります。
事例Ⅲ:工程改善+工程管理改善の謎かけをするベルトコンベアC社
続く事例ⅢC社では、ボトルネックに悪戦苦闘する製缶工程を差し置いて、隣の工程は残業も休日出勤もなしの超ホワイトぶり。ここでも部門の壁の高さを意識します。
C社は工程改善により生産能力向上を図りました。作業フローの標準化や自動化技術の導入により、効率化を推進し、需要変動に対応できる柔軟な生産体制を構築する必要があります。
C社は工程管理の混乱に直面しました。管理体制の可視化、責任明確化、デジタルツール導入により進捗をリアルタイムで把握し、問題発生時に迅速に対応できる体制が求められます。
価格引き上げを実現するには顧客の納得感が不可欠です。製品やサービスに高品質や環境配慮などの付加価値を付与し、価格上昇の正当性を明示することで支持を得るべきです。
C社は自社の優位性を活かし新規事業を模索しました。コア技術や地域ブランドなどの強みを活用し、既存市場やニッチ市場での事業開発を進め、多角的な収益源を構築する必要があります。
競争力維持には持続可能性が重要です。製造工程の環境負荷軽減や地域社会との連携を進め、SDGsに対応した価値提供を通じて市場競争力と社会的信頼を向上させるべきです。
事例Ⅰ×Ⅲミックス:2つの事業部が犬猿の仲の製造AC社
一般に中小製造業の中で不仲な2事業といえば、忙しい既存の主力事業部と、のんびり好きな仕事に没頭する研究部門の軋轢が有名。業績評価や報酬が一緒だと不満、分けてもさらに不満と打つ手に悩みます。
各事業部が担う役割や目標に基づいた評価指標を独立して設定し、公平な評価を実現する。例えば、研究部門には新技術の特許取得件数や基礎研究の進捗度を評価基準に設定し、主力事業部には生産量や納期遵守率、営業利益率を指標とする。これにより、部門間での不満や対立を減らし、各部門が自分の成果に集中できる環境を構築する。
両部門の成果を反映した個別の報酬制度を設け、それぞれのモチベーションを高める。研究部門には長期的成果への報奨金や特別手当を、主力事業部には短期的な業績向上を評価した賞与や昇給を導入する。これにより、異なるタイムスパンで成果を求められる部門間の報酬に対する不公平感を解消し、双方の努力を正当に評価できる体制を整える。
両部門が協力する機会を増やすため、横断的なプロジェクトを立ち上げる。例えば、新製品開発において研究部門が素材選定や技術的な課題解決を担当し、主力事業部が市場ニーズ調査やコスト試算を担当する形で連携を図る。これにより、両部門の相互理解を促進し、企業全体としての一体感を高めるとともに、成果に対する責任を共有する体制を作る。
部門間の相互理解を深めるため、一時的な人材の異動を実施し、業務の視点を共有する機会を提供する。具体的には、研究部門の社員を生産現場に派遣し、製品化プロセスや顧客のニーズを学ぶと同時に、主力事業部の社員を研究開発に参加させて技術や開発の背景を理解させる。これにより、両部門の連携がスムーズになり、部門間の壁を徐々に取り除くことができる。
両部門が共通のゴールを共有することで、一体感を持って協力できる環境を整える。例えば、「5年以内に全社で市場シェアを10%向上させる」という全社的な目標を掲げ、それに基づいて各部門の役割や貢献度を明確化する。このように、共通の目標を設定することで、部門間の対立よりも協力を優先させ、企業全体としての競争力向上を図る仕組みを構築する。
今日のまとめ
そのためのスキル・知識は「1次」で学べるので、AI時代の「2次」に今更ノウハウやテクニックは要らない子。それよりもどの企業が今後どう進むべきかのベクトルを、試験で考えさせる時代がやってきました。