前年より少し手加減されても、「とても歯が立たない良問だった」「ビジネスの在り方を今一度深く考えさせられた」。R6受験を終えた方から続々と、今回の新作事例への称賛の声が集まりました。
それは試験に挑む狙いが、マイスキルやキャリアUPの実を取るのか、単に難関国家試験合格の名だけを追うのかの違い。特にR6「事例Ⅰ」「Ⅱ」はイマ現実に起きているビジネス課題に近く、「そうやって解決するのか」と驚く声が相次ぎます。
試験問題では、実際に中小企業が直面する経営課題を、リアルなストーリーや具体的な状況で表現しています。特に事例Ⅰや事例Ⅱでは、組織やマーケティングの現場で実際に起こり得る課題を描写し、受験者がまるで経営者の立場で問題解決に取り組むかのような臨場感を感じられる点が評価されています。
各事例は受験者の発想力や企画力を引き出すように工夫されており、特に事例Ⅱや事例Ⅲでは、従来の型にはまらない多角的な視点を求める問題が含まれています。これにより、解決策を創造的に考え、実務でも活かせる応用力が問われるため、多くの受験者から挑戦しがいのある試験として支持されています。
事例問題は、ふるさと納税の価値や技術継承といった地域貢献や社会的な価値も含んでおり、診断士が中小企業や地域社会に与える影響力を受験者に実感させています。これにより、受験者が試験を通して診断士の役割に対するやりがいと意義を再確認できる点も、称賛を集める理由の一つとなっています。
【どの事例が一番人気?】俺の推し事例20人アンケート / 今年はどれも良問揃い
ではⅠ~Ⅳの中でどの事例が一番受験者に感銘を与えた? 当日再現答案提出者中まず20名に解答いただき、1位2点、2位1点で集計しました。
1位:事例Ⅱ 不振のX焼をデザインで再生(30票)
一方で9,000人ほぼ全員が白紙投票に近い「感覚価値」「観念価値」は、ブランドの在り方とその伸ばし方の実際を教える極めつけの良問に。診断士=マーケに強いとの評価を固める、誰もが喜ぶ良事例でした。
ふるさと納税の本来の趣旨を問う事例であり、地域社会への貢献や価値観の共有が重要視されています。アウトサイドインの視点を通じて、B社のような企業に対する前向きな助言が求められ、地域活性化に貢献する意義が再考される機会を提供しています。
この事例は卸売業を扱っており、一般的な小売業や製造業の事例とは異なり、業界の上流(窯元・メーカー)と下流(小売から消費者)の関係に着目する良問です。実現可能性を高めるため、食器や調理器具としての新たな提案が現実的で、考察の幅を広げる題材となっています。
B社の社長は地域の価値を守りつつも積極的な姿勢で取り組む人物として描かれ、受験者にとって企業とその経営者への感情移入がしやすくなっています。伝統と流行のバランスを図りつつ、地域社会と一体となって事業を進めるストーリー性が、読んでいて引き込まれる要素となっています。
2位:事例Ⅰ 2事業部が不仲の運送会社(21票)
2024年問題の運送業あるあると思わせ一転、後継ぎ候補として入社した長女やその長男が思わぬ県内ゆで蛙の抵抗に遭う。ドラマ以上の筋書きにご隠居様の大岡裁きが吉凶どちらに出るか、ドラマ並みに続きを知りたいとの声が殺到します。
組織や人事に関する課題に対するリアルな問題提起があり、時流を捉えた組織論が展開されています。世代間ギャップや歴史的経緯が企業の課題として描かれており、診断士としての深い洞察が求められるため、企業実務の現実感が伝わります。
基礎知識を応用しやすい問題設定で、受験者が学習成果を確認しやすい構成です。実際の経営者が抱える課題に対して、具体的かつ現実的な助言が期待され、受験者にとっては、経営支援の醍醐味を味わえる良問となっています。
事例企業の創業者の視点から課題が示されており、経営者の思いを反映した経営課題の解決が求められています。創業者の視点やその背景に共感しやすく、受験者にとっても診断士としてのやりがいを感じられる構成です。
3位:事例Ⅲ 第2、3問の切り分け至難(15票)
この作問を見て、「ヨシ、来年はスクール通いだ!」と決めつけるのは、ゆで蛙のはじまり。ベテ専スクールの講義をいくら聞き漁っても、第2+3問を解けるセンスは身に付きません。
第2問・第3問では、生産性向上と工程管理整流化の異なる視点から考察が求められ、具体的かつ実務的な改善策が問われます。日本の製造業が抱える生産性向上の本質的課題に立ち返り、診断士の実践的な知識を試す問題となっています。
事例Ⅲでは、技術的な改善が問われ、理論と実務の連携が求められます。これにより、基礎から応用へと学習を深める良問であり、受験者にとっても手ごたえのある内容です。
独立して事業を行うエンジニアの挑戦を描き、技術力と自立心を試す内容となっています。元の会社や他企業へ展開できる技術力の重要性が描かれ、職人や技術者の目線からも共感できる問題設定が好評です。
4位:猫60点+計算ボーナス(5票)
NPVは白紙で提出!とはしゃいだふぞろい道場の真逆を行く、10点単位の加点があり得るNPV。そこに本当に加点をするのか、ここまで簿記1級路線で良いのかも、今後の議論が待たれます。
第2問設問2や第3問NPVに関する問題が例年通り難易度が高く、受験者の実力差が如実に現れる構成です。財務知識を駆使して複雑な意思決定が求められ、試験対策を通じて会計の全体像を把握する必要があると実感させられます。
所属する会社で行われる意思決定会計に近いテーマが盛り込まれ、現場での応用を意識した内容です。計算だけでなく、現場での判断力が問われ、受験者にとっても即戦力としての会計知識が試される問題となっています。
1次試験の知識を踏まえて計算力が試されるため、受験者にとっても学び直しのきっかけとなる良問です。特に線形計画法などの誤解が招きやすい設問が含まれ、財務の理解度を深める機会を提供します。
今日のまとめ
こうやって再現答案作成を当日に済ませてしまえば、目先の答案の合否に目を奪われず、新作事例が伝えようとした思いに至る。そして何より3代目B社長のX焼との向き合い方に、感銘を受ける受験者が後を絶ちません。