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【企業診断掲載事例を解説・添削】「事例Ⅰ」「Ⅲ」の共通点と差分 / 2024年3月号Ⅰ、2月号Ⅱ(AAS)

明らかにその場の思い付きな超絶アイデア解答に終始するEBAに比べ、現実的に妥当で再現性のある模範解答で高評価のAAS(※岡崎の合格オバサン除く)。デフォルメして強調された「事例Ⅰ」「Ⅲ」の共通点に注目します。

Q
弁護士でも2回は普通に落ちる「2次」で、涼しい顔でクールにロジカルなスト合格を決めてくるのが公認会計士と簿記1級持ち。何がどう違うか教えて?
A

診断士試験では、無闇な情熱や努力に頼るより、クールで合理的なアプローチを取ると高評価になる。以下を参考に各事例の特性に応じた学習を行うことで、効率的かつ効果的な試験対策になるでしょう。

①共通点は同額原価②意思決定では差額原価③埋没原価は考慮しない
同額原価は、選択肢にかかるコストが同じである場合に焦点を当てます。診断士試験の「事例Ⅰ~Ⅲ」に共通する点をモジュール化することで、同額原価のように安定したコストで、全体の学習効率を向上させることが可能です。差額原価は、異なる選択肢のコスト差に着目します。「事例Ⅰ~Ⅲ」それぞれに特有の必要なポイントを抜き出し、それに特化した対策を行うことで、差額原価を最小化します。埋没原価は、過去の投資によって固定化されたコストです。この考え方を試験対策に適用すると、過去の無駄な努力や情熱に囚われず、現時点で最も有効な学習法やリソースを選ぶことができるということです。
これにより、基本的な知識やスキルをしっかりと固めることができます。たとえば、「事例Ⅰ」では情報整理能力を強化し、「事例Ⅱ」では技術経営に関する理解を深め、「事例Ⅲ」では成功要因を分析する力を高めることが具体的な戦略となります。たとえば、これまでの学習方法が効果的でないと感じた場合、その方法に固執せず、新しい戦略や教材に切り替えることが重要です。

【企業診断掲載事例を解説・添削】「事例Ⅰ」「Ⅲ」の共通点と差分 / 2024年3月号Ⅰ、2月号Ⅱ(AAS)

マイたまたま合格にしつこくこだわり、猫が見ても非効率な過去問の解き直しや旧弊メソッドだらけのウンコ道場。アレと真逆の見方をすれば、試験はこれだけクールで簡単↑になります。

Step-1:「事例Ⅰ」は原則100字、「Ⅲ」は130~140字

Q
過去問やスクール事例の「事例Ⅲ」は製造業が多く、そうかと思えばR5「事例Ⅲ」は人手不足に自主商品企画とやたら「組織」「マーケ」に近い。これからの「Ⅲ」対策はどう進めるのが良いでしょう?
A

「Ⅲ」を生産事例と決めつけるより、「Ⅰ~Ⅲ」の範囲にまたがる【標準化と生産性向上】事例と捉える方がクール。そこで130~140字の書き方のコツを最初に3つ紹介します。

①結論先出し+2文構成②因果関係を示す接続詞③具体的な数値やデータを引用
100字と異なり解答の結論を最初に示し、その後理由や具体例を述べる形式が効果的です。接続詞を使用することで、文と文のつながりが明確になり、読み手に理解を促します。具体的な数値やデータを挿入することで、主張に説得力が生まれます。
例:
「C社は新製品の開発を強化する。理由は、①市場競争の激化により、②競争優位を維持する必要があるため。具体的には、③新技術を導入し、④生産効率を30%向上さる。」
「C社は、①製造プロセスの効率化を図り、②新たな技術を導入する。これにより、③生産コストを10%削減し、④持続的な成長を実現する。」「C社は、①設備投資1億円を実行してキャッシュインを30%増やし、②他工程と兼務できる多能工化と合わせ、③付加価値と労働生産性向上を達成すれば賃上げすると、社員に約束する。」

Step-2:「事例Ⅲ」の前に「Ⅰ」を得意化

Q
実務マーケと似ても似つかず、単に与件キーワードの回収ゲーでしかない「Ⅱ」と違い、近年の「事例Ⅰ」「Ⅲ」作問は時流が意識され、先手を打って実務に役立つ。
A

そして役立たずのクソ事例ノウハウを列挙するのがふぞろい流のウンコとすれば、「Ⅰ」を先に強化して共通点はそのまま「Ⅲ」で使うのが、意思決定上の賢い勝ち方です。

スクール解答⇔AI解答比較サンプル(2024年3月号事例Ⅰ(AAS))

スクール解答AI解答AI採点基準
強みは、秘伝のタレであるメッキ液を自社開発する科学者集団の知恵と、厚メッキの職人集団の技を融合している点である。要因は、共同開発や性能評価をしてもらうなど、時計メーカーとの良好な関係があったため。第1問 強み強みは、①科学者集団による独自のメッキ液開発と、②職人集団による高品質な厚メッキ技術であり、要因は、①開発部門の工夫と製造部門の職人技術の融合により、②他社が真似できない高付加価値製品を生み出したこと。(101字)・強み各 3×3=Max8点 メッキ液、厚メッキ、科学者集団 ・要因各3×3=Max8点 時計メーカー、社内集団、それぞれの融合 ・構文因果~読みやすさに応じ4点まで加点
要因は、①開発部門が秘伝のタレの開発に、製造部門が生産体制の構築に各々専門性を発揮して取り組めたから、②A社長が技術社員一人ひとりに「できないことはない」と言い続け、その目標達成意識を高揚させたから。第2問 情報整理(理由)要因は、①A社長が「できないことはない」との意識を社員に訴え続け、②技術系社員が自社技術に対する自信を取り戻したことにより、③他社が真似できない付加価値の高い製品開発を行って市場で差別化したこと。(99字)・要因各3×4=10点まで A社長の発言、部門の力の発揮、社内技術、その応用 ・期待効果各3×2=6点まで モラール意識の向上、他社との差別化 ・構文因果4点まで加点
最大の理由は、高付加価値戦略の展開を考えていたから。具体的には、①大量生産で競合が多い分野は価格競争に陥りやすい市場と考えたから、②薄いメッキではA社が持つ秘伝のタレや厚メッキの技術が活かされないから。第3問 情報整理(最大の理由)最大の理由は、①自社コア技術の厚メッキを活かせず大手業者との競争も激しい薄メッキより、②景気に左右されない医療・健康・美容業界顧客を開拓することで、③自社の高い技術力と品質を活かせると考えたため。(98字)・最大の理由 高付加価値戦略の展開6点、それ以外4点まで ・要因各3点×4=10点まで 4C顧客要因、競争要因、自社要因、協力要因
施策は、①リーダー層社員に、A社長が決算情報等を毎月説明し、経営参画意識を高めて能力向上を図る。②女性社員に、働きやすい職場環境整備のために柔軟な勤務体系や保育施設等を導入しモラール向上を図る。第4問 助言(組織行動)A社は、①従業員が多くが男性で多様な視点が欠如しているため、②女性や異なる背景を持つ人材の採用を進めることで組織内の活性化を図り、③医療・健康・美容業界での事業拡大と持続可能な成長を目指す。(94字)・施策各4×3=10点まで 決算情報共有、経営参画意識、女性活躍、人事・福利厚生施策 ・期待効果各3×2=6点まで リーダー層の意識向上(幹部育成)、女性活躍
助言は、①開発部と製造部からメンバーを選抜して研究チームをつくり、チーム長への権限移譲により迅速な意思決定ができる体制を整える。②全部門長が、10年後に花が咲く事業の開発における役割を明確に掲げ、全部門内に強い一体化や使命感を醸成させる。第5問 助言(組織学習)A社は、①事業別と機能別のハイブリッド型組織とし、②収支責任を前提とする権限移譲により組織学習を促し、③全社員が参加する開発プロジェクトを通じて新市場開拓に挑戦するよう一人一人の役割を明確にする。(98字)・施策各3×5=12点まで 10年後に花が咲く、権限移譲、社内コミュニケーション、環境エネルギー ・期待効果4点まで 一体感使命感の醸成

Step-3:戦略論・組織論知識が使える「事例Ⅲ」

Q
同業D社が誇るヘタクソⅢノウハウで、やたら知識やパターンで決めつけた末路が、前年と傾向が全く異なるR5「Ⅲ」。ヘタクソなⅢノウハウや知識を振りかざすより、「事例Ⅰ」とに違いを知って解く方がクールで合理的。
A

最大に留意すべきが最初に挙げた「140字の書き方の違い」。次に意識するのが、第1問の強みを第5問の成長戦略にそのまま使う「事例Ⅲあるある」です。

スクール解答⇔AI解答比較サンプル(2024年2月号事例Ⅰ(AAS))

スクール解答AI答案AI採点基準
調整能力を持つ作業員から選抜した営業部が技術力をベースにした提案力を有している点。第1問 (営業)技術力を活かした提案営業により、X社との信頼関係を構築した点。4点×3=Max10点 調整能力を持つ作業員、選抜した営業部、技術から提案営業
装置の大小に関係なく、構想から国内外の現地調整まで一貫生産体制が整備されている点。〃(生産)精密な調整能力を活かし、小型機提案で新規市場に進出した点。4点×3=Max10点 大小の装置をカバー、構想から現地調整まで、一貫生産体制
対応策は、①付加価値の低い部品図面作成を安価で迅速な海外へアウトソーシングすることで、構想時間を確保すること、②設計構想時に多人数による事前DRを実施することで、工程のやり直しによる損失を回避すること。第2問C社は、①内部要因として複数設計者による事前DRを実施して問題発生による手戻りを防止し、②外部要因として作図業務の一部を海外に外注して生産性を高め、③設計品質の向上とリードタイムの短縮を図る。損失回避:3点×3=Max9点 設計構想時に多人数での事前DR(6点) やり直しの損失回避(3点) 生産性UP:3点×3=Max9点 大量の作図作業、付加価値が低い、海外アウトソーシングで生産性UP
課題は、生産管理部による全社的な生産管理の実施である。対応策は、①1つの案件の遅れが全体に影響しないよう現地調整工事のスケジュールを管理し、人的配置を日程計画に組み込むこと、②完成した部品から先行して組立工程に払出しするよう部品1点ごとの納期管理を行い、リードタイムを短縮すること。第3問課題は、①日程計画に人的配置が組み込まれていないことと、②部品単位での納期管理が行われていないこと。対応策は、①生産管理部が日程計画に人的配置を組み込んで現地調整工事の進捗管理をし、②部品ごとに納期を設定して完成次第払い出すことで、③全体の生産効率と納期遵守を向上させること。課題:4点 生産管理部の全社的管理4点、その他2点 対応策:3点×4=Max12点 現地調整工事のスケジュール調整、人的配置を織り込む、全社システムの導入、部品LTの改善
内容は、サーバーをクラウド上のグループウェアに移行することである。狙いは、①データを社外の安全な場所に保管することで災害時の情報消失を防ぐこと、②社外からサーバーにアクセスすることで、出張時も設計業務を可能とし、生産性を向上させることである。第4問C社は、①物理サーバーをクラウドに移行して災害時のデータ消失リスクを軽減するとともに、②外部からのアクセスを可能にして担当者不在時でも業務が滞らないようにし、③全社的な情報共有をグループウェアで促進することで、生産性と業務効率の向上を図る。効率性:3点×2=6点 社外からアクセス、出張中も設計作業 安全性:3点×2=6点 社内サーバーをクラウド化、セキュリティ性向上 期待効果:4点まで 全社のデジタル化・DX・生産性向上
戦略は、①海外に生産拠点を持つ大手国内メーカーに対して、装置の大小に関係なく構想から海外現地調整まで一貫して行える体制を活用して小型機の海外市場を開拓すること、②X社に対し、営業部の持つ技術力をベースにした提案力を活用してX社が必要とする大型製品用の精密自動機を新規開発すること。第5問C社は、①X社向け大型製品の開発ニーズに対して高度な調整力を活かした一貫生産ラインの導入を目指す。これに②大手国内メーカーの海外向け小型製品ニーズに対し、設計と製造をアウトソーシングして迅速な納期を実現することで、X社への売上に過度に依存しないバランスのよい成長戦略をとる。X社向け:3点×3=Max6点 今後大型製品へ、ニーズ把握と提案、営業部活用 大手メーカー向け:3点×3=Max6点 大小ともに対応、小型機の海外市場、設計から調整まで一貫 期待効果:4点まで

前回EBAの思いつき答案の欠点は、文章がいつも場当たりで再現性がない。そうでなくAASの「理由は~」構文なら、これなら書けると自信がついて安定します。

今日のまとめ

Q
同額⇔差額原価の違いに注目し、時流に合わない埋没ノウハウは考慮しない。公認会計士や簿記1級持ちが試験をクールにスト合格するのは、「事例Ⅳ」が最初から安定して強いうえ、「事例Ⅰ~Ⅲ」対策もクールでロジカルに意思決定できるため?
A

さらに不合格になる最大の理由=答案のバラつきだから、構文を使って共通・標準化を進め、生成AIで採点基準を作って添削させる。試験の時流がクールでロジカル一択になる流れはもう止まりません。

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