おベテの暇つぶしの道具に使われ、世間の役立たずどころかノロマ扱いでしかない、診断士Ⅳ固有の電卓パチパチ勉。その真逆で「Ⅳ」CVP~NPVを猫でも得意化するのが、今回のGW特集5回シリーズ「マンガでわかる管理会計」です。

K事例Ⅳ

【Ⅳの確実70点】スッキリ1級 第2問 CVP

向き不向きと落とし穴があるため、スッキリ1級は万人にオススメできません。

相変わらず遠回しでうざいねっ。要は行間を読み、自分でリスクを取ってやれってことだろ?

お、おぅ。でも昨日の「スッキリ1級NPV」前半の業務的意思決定と違い、今日の「CVP」は簡単にキュレーションできます。

スッキリ1級CVPはズバリ狙い目。
・「Ⅳ」出題があり得る第2~5章は、計算問題を。
・純粋な簿記論点は出さないので、第1章は参考程度。
・第6章は出ない。

「事例Ⅳ」のCVPは深い所まで聞かれますが、スッキリ1級レベルの知識と計算力があれば、あのH30第3問爆益CVPも当たる。つまり当書をやっておけば、昨年まんまと合格できた方が多数いるってコトです。

ほう、これは捨て置けないね。ではどうぞ。

旨い話には落とし穴:Ⅳの確実70点【第2問 CVP】

【第2問対策】スッキリ1級CVP
【第2問対策】スッキリ1級CVP

CVPの前提には原価計算の知識があり、応用すると事業部の業績評価もできる。診断士にありがちな自己流CVPを避け、理論を強化したい方にはマストと言える良書です。

A★★ 第1章 直接原価計算

(B) CASE1 管理会計のための原価計算とは?

簿記2級を学習済の方を除き、診断士受験者は「原価計算」などチンプンカンプンでOK。要は余程ザルな会社でない限り、年度決算とは別に月次の損益管理、予算管理位はやっている。それが「管理会計」です。

(B) CASE2 利益管理とは?

ガンバりました→儲かりましたでは、成り行き経営。この位の値段でいくら売れば、どれだけ儲かるか。それが「利益管理」です。

(S) CASE3 直接原価計算の特徴 (例題) 問①

決算PL上の表示(売上原価+販管費)でなく、管理PL上の表示(変動費+固定費)にすると何ができるか。そう、ズバリ損益分岐点(SBEP=break even point)が求まります。

さらに、限界利益マイナス=採算割れの取引は中止に。この活動を積み重ねると、なんと赤字企業が黒字になるので、直接原価計算はとっても大事。

試験対策上は、例題レベルの「全部」「直接」原価計算PLを自力で作れるか。簿記未習の方は、エクセルを使ったカンニングが便利です。

(A) CASE4 全部原価計算制度と直接原価計算制度 (例題) 問②

簿記1級では「全部」「直接」を両方作りますが、診断士「Ⅳ」では掛け算と引き算で「直接原価計算PL」を作れば合格ライン。従い苦手な方はここから先は飛ばしてOKです。

(B) CASE5 固定費調整 (例題) 問③

簿記1級=決算PLを作る方は、「直接」→「全部原価計算PL」に作り替える「固定費調整」を理論と計算でじっくり学びます。診断士「Ⅳ」ではたまに理論が聞かれますが、ここの計算問題は出ないので飛ばしてOK。

×(C) CASE6 直接標準原価計算 (例題)

診断士「Ⅳ」はここまで聞かれません。もし出題しても80分では解けません。ここはパス。

S★★★ 第2章 CVP分析

(B) CASE7 原価の固変分解 (例題) 問④⑤

診断士「事例Ⅳ」では、固定費⇔変動費の分解は文章で与えられますが、簿記1級では実際に計算させる出題があります。当試験では高低点法以外は出ないし、高低点法ならいつもの方程式で解けるので、読み物程度に。

※問④⑤の最小二乗法は解答不要です。

(S) CASE8 CVP分析とは?

簿記1級と診断士「Ⅳ」のCVP分析を比べると、簿記1級は計算を煩雑に、診断士「Ⅳ」は過去問の暗記では解けない初見パターンを問う傾向があります。

公式でなく方程式で解かせる出題は、パターン化しにくく、点差をつけやすい。そのためこの出題傾向は当面続きそう。

(S) CASE9 CVP分析~基本編 (例題) 問⑥

当サイトのエクセルもそうですが、「Ⅳ」のCVP過去問の多くは「SBEP=固定費÷限界利益率」の公式で一発で答えが出ます。

そこで時間はかかるが、当テキストの様に売上高=Sと置く方程式での解き方を練習しておくと安心。具体的には、目標営業利益「高」なら公式で解けますが、目標営業利益「率」になると方程式でしか解けません。

(B) CASE10 CVP分析~応用編 (例題) 問⑦

目標利益が「営業利益」でなく「経常利益」で指示された時の手順を眺めておく。「こんなのもアリ」と、いざ出題された時の安心感が違います。

(S) CASE11 感度分析とは? (例題)

販売価格、販売量、変動費、固定費をいろいろ変化させ、いくら儲かるかをシミュレーション。感度分析はCVPの必須論点ですが、診断士「Ⅳ」では、予想PLとして出題するパターンが多い様です。

(B) CASE12 多品種製品のCVP分析 (例題) 問⑧

組製品の考え方。知っておいても良いけど、あまり気にしなくて良い知識。

A★★ 第3章 最適セールス・ミックスの決定

(A) CASE13 制約条件が1つの場合 (例題) 問⑨

最適セールス・ミックスは過去に出題例があり、「制約条件あたり限界利益額」の高い順に生産・販売します。

ただH26第3問は出題に凝り過ぎて誰も当たらない問題になってしまったので、ヘンな深追いは不要。

(B) CASE14 制約条件が2つ以上の場合 (例題) 問⑩

最適セールス・ミックスの制約条件が2つになると、簿記1級では「線形計画法(LP)」で解きます。1次「運営」で出題実績があり、「Ⅳ」でも出題可能ですが、一度も出ていません。

恐らく今年も出ないので、テキスト一読程度でOK。

B★ 第4章 予算編成

(B) CASE15 予算管理とは?

会社にはあるけど、試験に出ない。それが「予算管理」論点です。「財務」「Ⅳ」では「予想PL」まで出題実績があり、将来的には出題対象になるかも。

(B) CASE16 予算編成 (例題) 問⑪⑫ ☆超難問

診断士「財務」の出題範囲に含まれ、実際ほとんど未出題の論点として「資金繰り」があります。

「資金繰り」とは、企業の予算編成の中の手順の一つで、販売利益予算→売掛/買掛予算→設備投資計画→借入計画(資金繰り)→利払い→経常利益、といった感じに簿記の論点山盛りで策定します。

例えばこの問⑪⑫は、診断士受験者が解けるレベルではありません。逆にこの問題を解ける方は、「事例Ⅳ」で問われる程度の資金繰りはラクラク正答し、点差の原因になります。

A★★ 第5章 事業部の業績測定

(A) CASE17 セグメント別損益計算 (例題)

会社の中には大抵「赤字部門」「赤字製品」があるもの。そこでCVPで学んだ直接原価計算の知識を応用し、その存廃を考える。

簡単すぎて点差がつきませんが、H28第3問で出題実績があります。

(C) CASE18 資本コスト率の計算 (例題)

診断士なら、ファイナンスでWACCをガッツリ学習済。ここはパスです。

(B) CASE19 事業部長と事業部自体の業績評価 (例題) 問⑬⑭

セグメント損益の応用論点。さてウチの会社の事業部長の業績指標は、利益額、利益率、残余利益のさぁどれだ? そんなクイズ程度にどうぞ。

(B) CASE20 業績評価の指標 (例題) 問⑮

とはいえボーナスやクビがかかる事業部長本人達は大真面目。正確な計算手法を押さえておきます。

B★ 第6章 予算実績差異分析

(B) CASE21 予算実績差異分析とは?

売上や利益が予算より上振れ・下振れした。すると経理部門が腕まくりし、こんな管理資料を作ってくれます。

診断士試験ではここを深堀りするより、資金繰り(ファイナンス)の話が大事。チラ見程度でOKです。

(C) CASE22 予算実績差異分析~直接実際原価計算 (例題)

経理部門の方たちが腕まくりする時の、分析手順のガイドライン。当試験ではここまで聞かないのでパスしてOK。

(B) CASE23 予算実績差異分析~直接標準原価計算 (例題) 問⑯

直接実際より直接標準の方がシンプルで、もし仮に試験に出るならこちら。出ないけど。理屈としては、以下に分解して説明すると、部長が納得。 売上高差異→数量差異+価格差異
変動売上原価/販売費差異→数量差異+価格差異
標準変動費差異→直接材料費・労務費・製造間接費別に

うん、こんな問題が「Ⅳ」で出るとは思えない。そう割り切って安心です。

(C) CASE24 製品品種別のマーケット・シェア分析 (例題)

タテヨコBOXの差異分析に慣れると、いろんな分析をしたくなる。試験上は、目先の変わった問題を出題したくなる。当試験では出ません。

(C) CASE25 同種製品のセールス・ミックス分析 (例題)

セールス・ミックスで売上構成が変わると、差異分析の手法も変わるよね? はい、分析ニーズの多様化に試験出題を通じ標準セオリーを示すのが簿記1級の務めです。当たり前ですが、当試験では出ません。

今日のまとめ

スッキリ1級は簿記の知識が少し要るけど、①基本~応用の順に ②テキスト+計算問題を解き進めることで ③正しい理論と計算パターンが身に付きます。

するとどんな新作ミラモン(未来問題)がやってきても大丈夫。もう終わってしまったけど(汗)、クロスオーバーな科目またぎ知識もこんなにあります↓。

CVP分析に近い1次論点まとめ
「経済」費用曲線45度線分析
「経営」規模の経済
「運営」経済的発注量
「法務」ロイヤリティ(知的財産)
「情報」単回帰分析(H29第24問)

科目またぎの知識が大事ってのは良く聞くね。だからCVPも大事なの?

はい、イノベーションの類型がインテグラル→モジュラーに進化すると(「経営」R1第11問H29第11問)、診断士に期待される役割は、△専門分野の知識やノウハウ→○科目をまたぐ戦略やコンセプト構成能力にシフトします。

△単に過去問の解き方を覚えるAさん⇔○「1次」の他の知識のつながりを想定して理論を固めるSさん。どちらが本試験の捻ったCVPへの現場対応力が高いかは、書かなくたって当たり前ですっ。

■■ここからテンプレ■■

ベテやふぞが過去問の答を必死に覚えてその小さなオツムを固くする隣で、柔軟な話題にさっと答えてタイムマネジメント力をダダ上げする【過去問RTA】。世間の誰も気づかぬ内に、今年R6の「2次」対策は既に春爛漫の満開モードです。

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