仮にR6「Ⅲ」55点で、あと1つ2つキーワードを盛れば60点! もしその真っ赤な勘違いをすると試験でスライム認定され、永遠に過去問の答を覚え続けるふぞろいループに転移します。
過去問と違う新作事例が突如問われる「Ⅲ」はマジクソ魔王で、既存のアイテムやチートは通用しない。そこで既存ノウハウをリセットし、新ステージから再開です。

事例Ⅲが苦手な方は、第2~3問でC社の問題点を多面的に分析し、原因→施策→効果の因果関係で解答を構成しましょう。与件文のSWOT分析を基に多面的なアプローチで解決策を提示することが重要であり、単一視点に留まらないことで安定得点に繋がります。
論理思考を得意とする方は、現場と乖離した抽象的な施策を避け、与件文の具体的な根拠を引用し、「解像度の高い」実行可能性のある具体策を提示することが肝要です。抽象的な提案では、試験委員にその実行可能性や効果が伝わりにくいため、具体的な行動を示すことで答案の質を高めましょう。
第5問新規事業提案において多元的な記述を心掛けると、一つの施策で複数効果を同時かつ相互に達成する構造を示し、字数制限内で横断的視点や相乗効果を強調できます。そのため短い答案でも高い説得力と一貫性になり、採点者がつい加点したくなる好印象を与えるのです。
【R6事例Ⅲ】真の魔物は事例Ⅲ(ABC答案) / 新規事業は多元で助言
安定A⇔残念Bの違いを「あと1つのキーワード」⇔「多面と多元」のどちらと捉える? Notebook LMに尋ねると、「Ⅲ第2~3問を多面で考え」「第5問新事業は1つの施策で複数効果の多元」が良いそう。
A答案は、与件文を深く多面的に分析し、複数課題に対し複合的で包括的な解決策を多元的に提示する傾向があります。一つの施策で複数の効果を同時に達成する「多面性」や「多元性」を持ち、相乗効果を意識した提案が特徴です。また、「気の利いた言い回し(=語彙)」を用いることで、試験委員の理解や支持を得やすくなります。
B答案は、『ふぞろいな合格答案』に掲載された重要キーワードを漏れチェックリストとして活用し、テンプレートで書き切る練習を繰り返すことで、論点落ちを最小化できる可能性があります。また、独自採点表でPDCAを高速回転させ、漏れたキーワードを補填し再演習を反復することで、部分点を確実に積み上げ、合格期待値を向上させられる現実的なメソッドとされています。しかし、情報抽出が限定的で解決策が単一視点に偏りがちであり、多数派に埋没し試験委員が差をつけにくいという欠点があります。答案の「解像度」も不足している傾向が見られます。
C答案は、ソース中に直接的な記述はありませんが、B答案の欠点をさらに強調したものであり、一般的に不合格となる答案の傾向を示します。与件文からの情報抽出が極めて限定的かつ不正確で、設問の意図や要求をほとんど理解できていないことが多いです。論点落ちが多発し、基本的な要素すら網羅できていません。提案が抽象的かつ非現実的で実行可能性が極めて低く、画一的で独自の視点や考察が全く見られないのが特徴があります。
第1問:使い残した根拠を最後に書く「強み」
C社の強みを80字以内で述べよ。
A:良い答案 | B:普通の答案 | C:悪い答案 |
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搬送機器の提案力、工業団地の自社設備、設計・製造技術者による特注品対応力、部品構成表デジタル化による発注・在庫管理、生産管理への設計部参加による統制力。 | 工業団地に立地し、社長のX社での工場設備レイアウト設計経験と搬送機能提案力がある。部品構成表のデータ化により発注・在庫管理に活用、X社からの発注量が増加している点も強み。 | 工場の生産性向上につながる搬送機能の提案力の高さと、顧客の多様な特注品を実現する設計・製造の技術力の高さと生産設備を有している点。 |
○与件を深く多面に分析:C社社長の提案力、自社設備、技術者、デジタル化、部門連携といった多岐にわたる側面から強みを抽出している。 | ○論点落ちを最小化:与件文から複数のキーワード(社長の経験、IT活用、立地など)を抽出し、それらを答案に盛り込むことで、論点落ちを最小限に抑えられている。 | ×与件情報抽出が限定的かつ不正確:与件文には他にも重要な強み(X社からの受注割合、部品構成表のデジタル化、社長のX社での経験など)が複数あるにも関わらず、その一部しか抽出できていない。 |
○複数の強みを複合的に提示:単なる技術力だけでなく、社長の経験、設備、IT活用、組織的な連携といった複数の要素を組み合わせ、企業全体の強みとして提示している。 | ○部分点を積み上げ:主要な強みとなるキーワードが複数含まれているため、各キーワードに対して部分点が得られる可能性があり、合格期待値の向上につながる。 | ×字数制限の活用不足:80字という字数制限に対して、単調な表現や重複した内容(「提案力の高さ」と「技術力の高さ」)により、十分に情報を盛り込めていない。 |
○「多面性」を持つ:経営戦略、技術力、生産体制、IT活用、組織体制といった複数の視点から強みを捉え、多面的な回答となっている。 | ×情報抽出が限定的で、解決策が単一視点:抽出された強みの中には「X社からの発注量の増加」のように、企業の外部環境変化であり、必ずしもC社固有の競争優位性を示す「強み」とは言えない側面も含まれる。 | ×具体的な強みの記述不足:「提案力の高さ」や「技術力の高さ」といった抽象的な表現に終始しており、具体的にどのような提案力や技術力があるのかが不明確である。 |
○相乗効果を意識した提示:デジタル化された情報が発注・在庫管理に活用され、さらに生産管理に設計部が参加することで統制力が高まるという、各強み間の連携や相乗効果が示唆されている。 | ×多数派を狙い過ぎると、点差がつかない:一般的なキーワードの羅列に留まり、それぞれの強みがC社にどのような独自の価値をもたらすのかという深掘りや、強み間の連携が不足しており、他の多数の受験生と差別化が難しい。 | ×強みの連携が示唆されていない:各強みが単独で列挙されており、それらがどのように連携し、C社の競争優位性を高めているのかという視点がない。 |
○「解像度」の高い表現:単に「技術力」と書かずに「設計・製造技術者による特注品対応力」のように具体的に記述し、より「気の利いた言い回し(=語彙)」で解像度の高さを示す。 | ×答案の解像度不足:単に「部品構成表のデータ化」と述べるに留まり、それが具体的にどのような業務改善や競争優位性につながっているのかという詳細な説明が不足しており、深い洞察に欠ける。 | ×画一的で、独自の視点や考察が見られない:与件文の表面的な情報をなぞっただけで、深い分析やC社の本質的な強みを見出す視点に欠ける。 |
隣のふぞろいは一般に、第1問を先に書いてその根拠を第5問に使おうとする。そうでなく上位5%は第5問助言を先に書き、それと対応するか使い残した根拠を第1問で最後に書きます。
第2問:工程改善ステージ~生産能力自体を上げる
コロナ禍以降増加傾向にある受注量に対応するため、C社製造部では工程改善によって生産能力の向上を図る検討を進めている。どのように工程改善を進めるべきか、100字以内で助言せよ。
A:良い答案 | B:普通の答案 | C:悪い答案 |
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ボトルネックの製缶課の製造能力に合わせ計画調整し、前後工程からの応援体制と要員配置を最適化する。納期に応じた生産計画の短サイクル化で工程改善を進め、生産能力向上を図る。 | 作業標準化マニュアル化を行い、各作業の工数標準化・工程作業順序の見直しで工数見積精度向上。進捗・余力管理等生産統制を強化し、製缶工程の生産能力向上で受注量増加に対応。 | 製缶部門に過重に負担がかかっているため製造部内で人員配置を行いボトルネックの解消につなげる。また負荷状況の可視化のために生産進捗状況を共有するITシステムの導入を行う。 |
○与件の課題を的確に分析:問題文で示唆されている「製缶工程の残業や休日出勤が多い」というボトルネックを明確に捉え、そこに対する改善策を提示している。 | ○論点落ちを最小化:工程改善における主要な要素である「標準化」「工数見積もり」「生産統制」「生産能力向上」といったキーワードを網羅しており、論点落ちを防げている。 | ×設問意図や要求を理解できていない:ボトルネックの特定はできているものの、具体的な改善策が非常に乏しく、単なる「人員配置」や「ITシステム導入」という漠然とした助言に留まっている。 |
○複合的な解決策を提示:「ボトルネックの解消」「要員配置の最適化」「生産計画の短サイクル化」という複数のアプローチを組み合わせ、包括的な改善策となっている。 | ○部分点を積み上げ:各キーワードが正答に繋がる要素を含んでいるため、それぞれに対して部分点が得られ、合格ラインに近づくことができる。 | ×論点落ちが多発:工程改善に不可欠な「標準化」「計画の短サイクル化」「多能工化」といった重要な論点が全く触れられていないか、極めて抽象的である。 |
○多面性と多元性:人員配置(組織)、生産計画(管理)、ボトルネック解消(工程)という多面的な視点からアプローチし、同時に複数の効果(残業削減、納期確保、生産能力向上)を狙う「多元性」を備えている。 | ×情報抽出が限定的で、解決策が単一視点:製缶課のボトルネックという与件文中の具体的な課題(「製缶工程の残業や休日出勤が多い」)に対する直接的な解決策が明確に示されておらず、一般的な改善策に留まっている。 | ×提案が抽象的かつ非現実的:「ITシステム導入」とあるが、それが具体的にどのようなシステムで、どのように進捗を可視化し、生産能力向上に繋がるのかが不明確で、実行可能性に乏しい。 |
○相乗効果を意識した提案:要員配置の最適化と生産計画の短サイクル化が連携することで、ボトルネック解消と生産能力向上という相乗効果を生み出すように構成されている。 | ×多数派を狙い過ぎると、点差がつかない:IT化や情報共有といった一般的な改善策に留まり、C社の具体的な状況や課題に合わせた独自の工夫が見られないため、他の答案との差別化が難しい。 | ×因果の欠如:提案されている施策と、それが生産能力向上にどう結びつくのかの論理的な因果関係が不明瞭である。 |
○具体性と実行可能性:抽象的な改善策に留まらず、「前後工程からの応援体制」「要員配置を最適化」「生産計画の短サイクル化」といった具体的なアクションが示されており、実行可能性が高い。 | ×答案の解像度不足:「OJT等の教育で社内共有可能に」という部分は抽象的で、どのようにシステムを使いこなし、混乱を具体的に防ぐのかという点での「解像度」が低い。 | ×解像度が低い:助言の具体性や詳細さがなく、試験委員が評価するような「オヤ?」と感じる要素が全くない。 |
難問第2問工程改善、第3問工程管理の改善の切り分けは、前者=工数計画、後者=進捗・現品・余力管理にするのが最もスマート。すると「工程能力そのものを上げる」A答案に近づきます。
第3問:工程管理の改善ステージ~生産統制(進捗・現品・余力)に注目
C社では、受注量の増加や納期短縮要請などの影響で製造部の工程管理が混乱している。どのように工程管理業務を改善するべきか、その進め方を100字以内で助言せよ。
A:良い答案 | B:普通の答案 | C:悪い答案 |
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工数見積もりを標準化し、ITで生産統制を高度化する。設計変更や納期変更情報をITでリアルタイム共有し、進捗状況の見える化で日次計画を短サイクル化し、混乱を防ぎ短納期化を図る。 | 日次日程計画の追加、受注・日程計画・工程計画・納期・生産統制情報をDB化し一元管理。OJT等の教育で社内共有可能にし、工程管理混乱による納期遅延防止と受注量増加・納期短縮要請に対応。 | 営業と生産の情報共有を図るCRMシステムを導入し情報の共有化を行う。また、週次計画の管理頻度を高めるほか、設計部と営業部の担当者が生産会議に参加し情報共有を密にする。 |
○課題の真芯を捉える:工程管理の混乱の原因である「工数見積もりの経験依存」と「情報共有の遅延」を正確に特定している。 | ○論点落ちを最小化:「日次計画」「DB化」「情報共有」「納期遅延防止」といった関連キーワードを多く盛り込むことで、設問の主要な論点を外さずに回答している。 | ×設問意図や要求を理解できていない:工程管理業務の改善を問われているにも関わらず、CRMシステムという顧客関係管理のシステム導入を提案しており、設問の意図と大きく乖離している。 |
○因果を意識した提案:工数見積もりの標準化が計画の精度向上につながり、ITによる情報共有がリアルタイムな進捗把握と短納期対応を可能にするという明確な因果構造がある。 | ○論点落ちを最小化:「日次計画」「DB化」「情報共有」「納期遅延防止」といった関連キーワードを多く盛り込むことで、設問の主要な論点を外さずに回答している。 | ×与件からの情報抽出が不正確:IT利用の検討は示唆されているが、生産管理に関する混乱であり、CRMは直接的な解決策とは言えない。情報抽出の段階で既に誤解が生じている。 |
○IT活用で効率化:情報の一元化とリアルタイム共有をITで実現することで、計画作成から進捗管理までの効率化と迅速化を図る具体的な手段を提示している。 | ×情報抽出が限定的で、解決策が単一視点:与件文で示されている混乱の原因(週次計画、経験に依存した工数見積もり)に対して、直接的かつ深い改善策が不足しており、単に「DB化」という手段が羅列されている印象が強い。 | ×提案が抽象的かつ非現実的:「管理頻度を高める」「情報共有を密にする」といった表現は抽象的で、具体的な改善方法やその効果が明確ではない。 |
○多面性を持つ:日程の管理(進捗)、調達の管理(現品)、工数の管理(余力)というド基礎のフレームワークを使うと、分かっている感が出る。 | ×多数派を狙い過ぎると、点差がつかない:IT化や情報共有といった一般的な改善策に留まり、C社の具体的な状況や課題に合わせた独自の工夫が見られないため、他の答案との差別化が難しい。 | ×論理的な飛躍:CRMシステム導入が直接的に工程管理の混乱を解決する具体的な道筋が示されておらず、論理的な飛躍が見られる。 |
○解像度の高い記述:「週次作成に短サイクル化」「リアルタイムで共有」「進捗状況の見える化」など、具体的なアクションと効果が明確に表現されており、質の高い回答となっている。 | ×答案の解像度不足:「OJT等の教育で社内共有可能に」という部分は抽象的で、どのようにシステムを使いこなし、混乱を具体的に防ぐのかという点での「解像度」が低い。 | ×画一的で、独自の視点や考察が見られない:問題解決に対する深い考察がなく、キーワードの表面的な接続に留まっている。 |
第2問の工程改善は「事前の静的」、第3問の工程管理の改善は「進行形の動的」。この違いを意識すればA答案に近づく設定でした。(別解あり)
第4問:時流に応じた値上げ要請
C社の顧客企業との契約金額は、最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは行われているものの、現状のコスト高には対応できていない。今後、顧客企業と価格交渉を円滑に行うための社内の事前対策を120字以内で助言せよ。
A:良い答案 | B:普通の答案 | C:悪い答案 |
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材料費高騰推移をグラフ化、顧客・製品別利益率を整理し目標設定。社長のX社経験を活かし、生産性向上提案で他社と差別化。他社比較資料作成により、価格転嫁への理解を得る。 | 適切な材料費や人件費で見積り精度を高め正確な見積りを提示。営業部強化で取引先を多様化しX社依存を脱却。提案力を活かし付加価値を高め差別化を図り、価格交渉力を高め価格転嫁を進める。 | ITの導入により、製造原価の推移を可視化する。また原価管理を直接費・間接費に分け、労務費・材料費・加工費の細分化により負担が大きい費用を明示化する。また新機能の開発・提案により、より付加価値の高い機能を提案する。 |
○多角的な対策アプローチ:コスト根拠の明確化(データ)、内部決裁体制の強化、付加価値による差別化、競合比較といった多角的な戦略を提示している。 | ○論点落ちを最小化:「見積り精度」「コスト高対応」「提案力」「差別化」「価格交渉力」といったキーワードを含み、価格交渉に関連する複数の論点を網羅している。 | ×設問意図や要求を理解できていない:価格交渉の「事前対策」を問われているにも関わらず、「新機能の開発・提案」といった長期的な事業戦略に近い内容が含まれており、焦点がずれている。 |
○具体的なデータ活用:「材料費高騰推移をグラフ化」「顧客・製品別利益率を整理」といった具体的な資料作成を提案し、交渉の客観的根拠を強化している。 | ○部分点を積み上げ:コストの正確な把握や付加価値向上といった、価格交渉に有効な要素が複数提示されており、部分点を獲得しやすい。 | ×提案が抽象的かつ非現実的:「ITの導入により製造原価の推移を可視化」は良いが、具体的にどのようなITで、どのように可視化し、それが交渉にどう活かされるのかが不明瞭。また、新機能開発が価格交渉に即座にどう貢献するかも不明。 |
○内部強化と権限移譲:「目標契約金額を設定、部長が目標に基づき決裁する仕組みを整備」という、内部の意思決定プロセスの改善も提案している。 | ×情報抽出が限定的で、解決策が単一視点:「営業部強化で取引先を多様化しX社依存を脱却」という内容は、価格交渉の「事前対策」というよりも、より広範な経営戦略の課題であり、設問の焦点とずれている。 | ×論点落ちが多発:価格交渉に不可欠な「顧客への説明資料作成」「競合分析」「社内決裁体制の見直し」といった具体的な対策に言及がないか、非常に弱い。 |
○強みを生かした差別化:「社長のX社経験を活かし生産性向上提案を活かし他社と差別化」というC社の固有の強みを価格交渉に結びつけており、付加価値による価格転嫁を狙っている。 | ×多数派を狙い過ぎると、点差がつかない:一般的な「見積り精度向上」「提案力強化」「差別化」といった言葉に終始しており、C社特有の状況や強み(社長の提案力)を具体的にどう活かすかという点が不足しているため、差別化が難しい。 | ×因果が不明瞭:「新機能の開発・提案」が「より付加価値の高い機能」に繋がり、それが「円滑な価格交渉」に結びつくという因果関係が不明確であり、説明不足。 |
○多元性と相乗効果:コスト根拠の明確化と付加価値提案が連携することで、単なる値上げではなく、顧客にとっての価値向上も同時に訴求し、円滑な価格交渉という複数の効果を同時に狙っている | ×答案の解像度不足:「適切な材料費や人件費」とは具体的にどのような基準で算定するのか、「付加価値を高め差別化を図る」とはどのような提案をするのか、といった具体的な内容が不足しており、「解像度」が低い。 | ×因果が不明瞭:「新機能の開発・提案」が「より付加価値の高い機能」に繋がり、それが「円滑な価格交渉」に結びつくという因果関係が不明確であり、説明不足。 |
普段の勤め先が大企業・中小企業のどちらかで対応が変わる実戦問題。いつもふんぞりカエって下請叩きばかりしているJTC勤めは、解像度の低いBC答案に誘導する設問でした。
第5問:ここで差がつく新規事業~新規の助言は「多元的」~
C社社長は、小規模の工場施設や物流施設の新設や更新を計画している企業と直接契約し、自社企画の製品を設計、製造することで事業を拡大したいと考えている。この新しい事業展開を成功させるにはどのように推進するべきか、120字以内で助言せよ。
A:良い答案 | B:普通の答案 | C:悪い答案 |
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C社は、顧客のニーズを汲む機会を設けて自社企画製品の改善に活かし、X社での生産統制性向上提案と据付後のメンテナンスにより他社と差別化する。これに加え企画経験のある人材採用と新規顧客開拓によりX社への依存度を下げ、経営リスクを分散する。 | 既存の工作機械・物流機器メーカーとの関係強化でノウハウ獲得・蓄積。メンテナンスを外注し営業を専任化、顧客ニーズを収集。提案力強化で付加価値を高め差別化を図り、新規顧客を開拓し事業拡大に繋げる。 | C社社長以外にも営業提案ができる人材を増やすためにスキル・経験を積む機会を設けるほか中途採用を活用する。また、設計から据え付け、保守点検のアフターサービスまで一貫して提案するとともに、業務の拡充に伴い営業が兼任する保守点検を専門部隊を設ける。 |
○明確なターゲット設定:「生産性向上+メンテナンスの自社品企画提案」という具体的なターゲットを明示している。 | ○論点落ちを最小化:「ノウハウ獲得」「営業専任化」「ニーズ収集」「提案力強化」「新規顧客開拓」といった、新規事業展開に必要な複数の要素を盛り込めている。 | ×設問意図や要求を理解できていない:事業拡大の「推進方法」を問われているにも関わらず、人材育成や採用といった内部的な人事施策に終始しており、具体的な事業戦略や市場開拓のアプローチが欠けている。 |
○C社の強みを最大活用:「メンテナンスによる顧客ニーズ汲み上げ」を活かしつつ、不足する人材を中途採用する補完関係が明確になっている。 | ○部分点を積み上げ:新規事業を推進するための一般的なアプローチとして、外注化によるリソース集中や、営業力・提案力の強化といった正解要素が含まれており、部分点が得られる可能性が高い。 | ×論点落ちが多発:新規事業に必要な「ターゲット顧客の特定」「C社の強みの活用」「自社企画製品の具体化」「販路開拓」といった重要な論点がほとんど網羅されていない。 |
○依存度を下げて下請脱却:メンテナンスの継続収益も前提とした自社企画品ビジネスモデルの構築により、下請体質を脱却する将来像が明示されている。 | ×情報抽出が限定的で、解決策が単一視点:「既存メーカーとの関係強化でノウハウ獲得」という点は、自社企画製品の直接契約による事業拡大という設問の主旨と直接的に結びつきにくい。社長のX社経験を活かすというよりは、一般的なアプローチになっている。 | ×提案が抽象的かつ非現実的:「スキル・経験を積む機会を設ける」「中途採用を活用する」といった内容は具体的手段に欠け、事業拡大という目標達成への道筋が不明瞭。最後の文も未完成で、解答として不完全。 |
○多元性を意識した提案:メンテナンス業務のアウトソーシングが営業強化につながり、その営業強化が新規顧客獲得と売上増加につながるという、複数の効果を同時に実現する「多元性」を備えている。 | ×多数派を狙い過ぎると、点差がつかない:提案されている内容が一般的な事業拡大策に近く、C社特有の強み(社長の工場設備レイアウト設計経験や搬送機能提案力)を最大限に活かした独自の具体的な戦略が見えにくいため、他の答案と差別化が難しい。 | ×強みの活用が不明確:C社社長の「工場設備レイアウト設計」や「搬送機能についての有効な提案」といった核となる強みを新しい事業でどのように活かすのかが明確に示されていない。 |
○実行可能性と具体性:抽象的な理想論ではなく、「アウトソーシング」「提案を訴求」といった具体的な行動が示されており、現実的な推進方法が提案されている。 | ×答案の解像度不足:「提案力強化で付加価値を高め差別化」といった表現は抽象的で、具体的にどのような製品やサービスで、どのように差別化を図るのかという「解像度」が不足している。 | ×解像度が低い:回答全体が漠然としており、診断士としての具体的な助言としての価値が低い。問題解決に対する深い洞察や独自の視点が全く見られない。 |
「事例Ⅲ」のラスト第5問では、第1問SWOTで特定した強みを生かし、自社経営課題×顧客ニーズを捉えて成長するのが鉄板ストーリー。さらに事例横断を苦にしない私の活躍で、【第5問は多面より多元的】が急速に普及する見込みです。
今日のまとめ
「Ⅲ」はもともと作問方針大変更したH29以来、急に組織っぽく(Ⅰ)したり、マーケ(Ⅱ)にちょっかい出したりとクロスオーバー出題に余念がない。そして第5問新規事業=多元とネタ割れした以上、今年R7は再び魔物級に難化すると身構えます。