R6の上位A⇔残念B答案の違いをAIに説明させたら、その差は【解決施策の具体性】だった。「事例Ⅳ」ネタの次は「運営」「Ⅲ」と予測したあなたのために、ドッキリネタを先行公開です。
試験の採点基準は話しませんが、実際の開示スコアに応じた上位⇔中位⇔下位答案の傾向であればお話しできます。なぜそうなるかの理由とセットでどうぞ。
~生成AIがここまでする時代~
リアル再現答案79枚中、スコア提供いただいた47枚をAIに分析させると、こんなコメントが返ってきます。
上位A答案(60~) | 中位B答案(50~) | 下位C答案(~49) |
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与件文から具体的な数値や固有表現(例:受注比率、標準作業書、PDCAサイクルなど)を高解像度で正確に引用し、原因と対策・効果が明確な因果関係で論理的に展開している。 | 主要なキーワードは抽出しているが、具体性に欠け、因果関係の説明が部分的で抽象的な表現に留まり、改善策も全体的に中途半端。 | 与件文の重要情報が十分に抜け落ち、単なる抽象論や一般論の羅列に終始、論理の連続性や具体的な実行策が示されず説得力が低い。 |
理由:適度な量の過去問演習や添削を通じ、情報処理と論理整理が確立している。 →言い換えると、自分なりの勝ちパターンが既にある | 理由:知識はあるが、実際の現場に落とし込む具体例や論理の深掘りが不足している。 | 理由:基礎知識の理解不足や、試験中の時間管理・緊張により、情報抽出と論理展開が不十分に終わった結果。 |
【事例Ⅲ予告】上位A⇔残念B答案の違いは○○ / リアル再現答案×開示得点×AIで実現
ここまでなら「確かにそう」で終わるが、新機能を実装した生成AIの本気はここから。R6「Ⅲ」の第1~5問に対し、実際にどんな答案が書かれたかのサンプルと、どう直せば改善するかを具体化な。
最初に評価基準を作ってもらう(試行錯誤)
①情報抽出&把握力 | ②論理展開力 | ③実行可能な問題解決型行動力 |
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与件文から、必要な数値・固有名詞・キーワードなどを正確に読み取り、問題の背景や前提条件を漏れなく把握する能力。 | 抽出した情報をもとに、原因と対策、あるいは対策と効果の因果関係を明確にし、一貫性ある短文で展開する能力。 | 理論や抽出情報を踏まえて、現場で実行可能な具体的な対策(助言)を提示する能力 |
(従来の表現)情報整理 | 期待効果 | 助言 |
このスキルは従来から「情報整理」と呼ばれ、与件文から根拠となる情報を正しく整理することが求められます。 | これは従来から「期待効果」と呼ばれ、試作の結果でどのような効果が得られるか、論理的に示すことを重視します。 | これは従来「助言」と呼ばれ、実務に落とし込める具体策を明示することが求められます。 |
ビジネス環境がカオスになるにつれ、「事例Ⅲ」出題も期待効果→助言へのシフトが進む。もしここを具体化すると、R6試験の一歩リードは確実です。
Skill-1:情報抽出&把握力(キーワードの質と数)
その精緻を極めるには4か月後のふぞろい17発売を待つ。しかしある程度のサンプルと的を得たプロンプトがあれば、かなり近い所まで自力で出来ます。
キーワード | 第1問(情報整理) | 第2問(助言) | 第3問(助言) |
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高配点 | – 「X社からの受注金額が全体の6割超」 – 「独自の技術提案力」 – 「設計から製造までの一貫体制」 – 「生産設備の充実」 具体的な数値や独自性を明示することで高得点につながる | – 「週次日程計画の再構築」 – 「各工程の標準作業手順の策定」 – 「ITツールを活用した進捗管理」 – 「部門間連携の強化」 受注増や納期短縮に対する具体的な改善策を評価 | – 「進捗報告の統一」 – 「情報共有体制の徹底」 – 「週次会議での状況確認」 – 「各工程間の連携強化」 現場の混乱に対する具体的な改善策を示す |
中配点 | – 「受注実績」 – 「安定した生産基盤」 – 「企業概要」 事実として正しいが、強みとしての説得力が弱い | – 「工程改善」 – 「管理体制の見直し」 – 「内部調整の強化」 方向性は示すが、詳細が曖昧 | – 「管理体制の整備」 – 「内部統制の改善」 – 「プロセスの見直し」 大枠はつかめているが、具体的施策が不十分 |
低配点 | – 「技術力が高い」 – 「優れている」 – 「強みである」 抽象的すぎる記述は、具体性に欠け点数に直結しにくい | – 「効率化を図る」 – 「能力向上する」 – 「改善する」 抽象・一般論な表現は具体性が不足し加点しにくい | – 「改善する」 – 「統一する」 – 「管理を見直す」 具体性を欠く抽象的な助言は加点しにくい |
キーワード | 第4問(助言) | 第5問(助言) |
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高配点 | – 「原価構造の再構築」 – 「各部門の原価改善策の統一」 – 「定期的な原価レビュー」 – 「内部コストの最適化」 具体的な対策とその実施方法を明示 | – 「直接契約の促進」 – 「自社企画製品の差別化」 – 「専任推進チームの編成」 – 「現地調査と部門間連携の強化」 新規事業展開に向け、実行可能な具体策を示す |
中配点 | – 「原価管理体制の見直し」 – 「内部調整の強化」 – 「コスト改善策の策定」 改善の方向性は示すが、詳細がやや抽象的 | – 「内部体制の整備」 – 「契約促進」 – 「連携強化」 方向性は示すが、具体的な手順や効果が不足 |
低配点 | – 「コストを下げる」 – 「体制を整える」 – 「改善する」 抽象的な指示は加点しにくい | – 「事業拡大を推進する」 – 「契約を増やす」 – 「積極的に行う」 抽象的で内容が薄く、具体性がない |
生成AIの本気は次の「論理構築力」「問題解決力」ですが、この言い回しを具体化するか一般論にするかで、「Ⅲ」の5点位は違いそうです。
Skill-2:論理構成力(因果関係)
同じ100字であっても、上位答案が与件の引用と具体的施策を因果で示すのに対し、中位答案は対策の方向性は示すものの具体性や論理の緻密さで劣ります。
答案 | 第2問(助言) | 第3問(助言) |
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上位A | 各工程の作業標準書を策定し、週次進捗会議で現状を定量的に共有、PDCAサイクルを回すことで、受注増に伴う生産混乱を根本から改善する。 | 全工程の進捗データを一元管理するITシステムを導入し、週次会議で各部門の実績を数値化、問題点を迅速に共有・改善する体制を構築する。 |
中位B | 各工程の標準作業を導入し、週次会議で進捗を共有することで、受注増に対応し生産能力向上を図るよう改善する。 | 各部門の進捗状況を整理し、定期会議で情報共有することで、工程管理の混乱を緩和し管理体制の改善に努めるよう助言する。 |
下位C | 工程を見直して、作業の効率化を図り、生産能力を上げるための改善策を実施する。 | 進捗管理を強化し、各工程の状況を把握して混乱を改善するよう努める。 |
上位答案:具体的に「作業標準書の策定」「定量的な共有」「PDCAサイクル」という実施手順を盛り込み、原因(受注増による混乱)と対策・効果(根本改善)が明確に論理展開されています。 中位答案:標準作業導入と進捗会議という対策は示すものの、具体性や因果関係の説明がやや抽象的です。 下位答案:単に「見直す」「効率化する」といった一般論に留まり、具体的な手順や論理の連続性が不足しているため、論理構築力が低く評価されます。 | 上位答案:具体的な対策(ITシステム導入、数値化、迅速な情報共有)を示し、混乱の原因とその改善策の因果関係が明確に構築されています。 中位答案:会議での情報共有や整理は述べられるものの、改善策の具体性や実施手順が薄く、論理展開に説得力が不足しています。 下位答案:非常に抽象的で具体的な実行方法が示されず、単なる一般論の羅列に終始しているため、論理の連続性が乏しいと評価されます。 |
Skill-3:実現可能な問題解決型行動力
確かにJTCホワイトカラーが中心の診断士試験ではここまで書ける人は希少で、実際の「Ⅲ」でも大きな加点はない。ですが「今後もし点差がついたら?」を考えると、ここが合否のカギになるでしょう。
答案 | 第4問(助言) | 第5問(助言) |
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上位A | 各部門で原価改善策を統一し、定期レビュー会議と原価管理システム導入により全社で数値を共有、内部コストの最適化を徹底して交渉材料を強化する。 | 専任の新規事業推進チームを編成し、対象企業との現地調査とヒアリングを実施、各部門の連携体制を整備して契約条件や製品仕様の差別化を明確化することで、直接契約の拡大を着実に推進する。 |
中位B | 各部門で原価管理体制の見直しと、定例会議で情報共有を行い内部調整を進め、顧客との交渉準備を整えるよう助言する。 | 社内で新規事業推進体制を整え、対象企業への現地調査を実施し、各部門と連携して契約条件の再検討を行うことで、直接契約の推進を図るよう助言する。 |
下位C | 原価管理を改善し、各部署でコストを下げる取り組みをすることで、交渉が有利になるよう努める。 | 内部体制を整え、対象企業と直接契約を進め、製品設計・製造を行うよう努め、事業拡大を推進する。 |
上位答案:具体的な手法として「原価改善策の統一」「定期レビュー会議」「原価管理システムの導入」「数値共有」を明示し、内部コストの最適化が交渉材料を強化する因果が明確です。 中位答案:改善の方向性(体制の見直しと定例会議での情報共有)は示すものの、具体的な実施方法(たとえばシステム導入など)の記述が不足し、抽象的な表現に留まります。 下位答案:全体的に抽象的な助言にとどまり、具体的な施策や実施手順がほとんど示されず、実現可能性の説得力が大きく不足します。 | 上位答案:専任チームの編成や「現地調査・ヒアリング」の実施、さらに「各部門の連携体制の整備」「契約条件や製品仕様の差別化の明確化」といった、具体的かつ実行可能な対策を盛り込み、それが新規事業展開に直結する因果が明確です。 中位答案:新規事業推進の体制整備と現地調査、部門連携の必要性を示しているものの、具体的なアクションプラン(専任チームの編成や差別化の具体策)が不足しており、実行可能性の説得力で上位に及ばない点が見受けられます。 下位答案:非常に一般的な表現にとどまり、具体的な実施手順や現場での行動イメージが全く示されていないため、実行可能な改善策としての説得力が低く評価されます。 |
今日のまとめ
そう、上位A⇔残念Bの違いは、「方向性はわかっているが」「解決施策の具体性の違い」とわかる。この話は次回に続きますが、「その違いがわかるなら」「どう改善するかの具体性」が今年の試験の点差です。