年明けの口述試験は、面接官の手元にある「4事例のスコア」を見て、不得手な事例をあえて訊かれるケースを散見。もし「Ⅲ」を苦手にふぞろい列挙答案に終始すると、備考欄に「ふ」と書かれて「Ⅲ」を訊かれる噂があります。
そこで、顔面蒼白アウアウちゃんがこの1年繰り広げた合格自慢をからかいながら、「事例Ⅲ口述」の難しさをチェックします。
事例Ⅳは、数値やデータを基にした分析が求められるため、デジタル技術を駆使して効率的に情報を整理・判断することが可能です。知識が変わらず、データに基づいて評価・提案ができるため、比較的簡単とされます。
マーケティングに関する事例Ⅱは、消費者の購買行動や市場動向を考慮し、一般的なビジネス常識を基に論じることができます。具体的なデータや専門的な知識よりも、広く理解されている概念を適用できるため、難易度が低くなります。
事例Ⅰは、全社戦略や組織、人的資源管理に関する問題であり、方針や戦略が比較的明確に示されている場合が多いです。事前に覚える部分があり、ある程度の知識が必要になるため、やや難です。
事例Ⅲは生産管理に関する問題であり、生産現場の知識や原因・施策・結果の因果関係を正確に理解し、提案することが求められます。この分野では専門的な知識や深い理解が必要で、理論的な裏付けと具体的な施策を結びつけることが難しく、最も困難なケースとなります。
【もう一つの事例Ⅲ】口述のⅢは最も至難 / 訊かれたら不運と思って2分で話す
2割のガチャを仮に当てても、口述で「Ⅲ」を訊かれて顔面蒼白自信喪失があると知り、さらに試験に嫌気が差したあなたのために。ノウハウ&キーワード列挙のふぞろい暗記を今すぐやめて、レイヤーや見出しで体系化すると、「事例Ⅲ」はぐっと簡単になります。
第2+3問 工程改善+管理改善
その時は、訊かれたことを一度自分なりの言葉に置き換える。具体的には、工程改善=生産能力そのものを上げる、工程管理改善=混乱を避ける。さらに抽象化すると、前者が生産計画planning、後者が生産統制controlです。
工程改善では、まず与件で指摘された「生産のばらつき」や「納期遵守率の低さ」を改善するため、現状の作業フローを把握し、作業手順ごとの時間やコストを分析します。次に、問題箇所を特定し、ECRS手法(排除、結合、再配置、簡素化)を活用して、無駄な作業や二重工程を削減します。例えば、現在の手作業が多い部分を自動化することで、ばらつきを抑え、標準化された生産を実現し、効率を向上させます。これにより、納期遵守率も上がり、顧客満足度の向上が期待できます。
ECRS手法は、与件で示された「手作業の負担が大きい工程」の見直しに活用できます。まず、「排除」では不要な検査やチェックを減らし、「結合」では複数の工程を統合して生産ラインの効率を上げます。また「再配置」では工程配置の見直しにより動線を短縮し、「簡素化」によって作業手順を標準化・簡略化することで、ばらつきを削減します。この手法により、作業効率が向上し、結果としてコスト削減や納期短縮が期待されます。
工程管理改善においては、与件で指摘されているように「進捗の遅れや不確実性を減らす」ことが重要です。具体的には、生産計画と進捗のリアルタイムな管理が欠かせません。例えば、デジタルツールを用いて実際の作業進捗を可視化し、計画と実績のギャップを把握します。このギャップが発生した際には即座に修正を行い、工程の遅延を最小限に抑える体制を整備することで、納期の遵守と品質維持が可能になります。
ある事例として、与件に記載のある「自社内の製造工程の見直し」において、作業の標準化や一部工程の統合が行われた結果、生産時間を20%短縮できたという成功例があるとします。この改善により、ばらつきの低減と納期遵守率の向上が実現し、納期を守ることができたため、顧客からの信頼も高まりました。工程改善は品質や納期遵守率の向上に直結するため、さらなる継続的な改善が重要です。
第4問 値上げ手順の実際
人生で一度もやったことがないことを経験するほど、視野が高く、広くなります。国民一丸で値上げ賃上げブームの今だからこそ、まず以下の手順を覚えましょう。
発注元に値上げを要求するには、まず与件にある「材料費や運送費の高騰」など、値上げの必要性を裏付ける具体的な根拠を用意することが重要です。このデータを基に値上げの妥当性を発注元に説明します。さらに、現在の価格維持が自社の経営に与える影響も示し、理解を求めます。例えば、コスト増により利益が大幅に減少していることを具体的に提示することで、発注元の理解を促し、値上げ交渉の土台を整えます。
値上げ交渉を円滑に進めるためには、与件にある「長期的な関係維持」を前提とし、発注元の利益やニーズにも配慮した説明が効果的です。具体的には、品質の維持や納期遵守のために値上げが不可避であることを強調し、段階的な値上げ案や追加のサービス提供など、発注元にとってのメリットを提案します。このように交渉を双方に利益がある形で進めることで、発注元の理解を得やすくなり、長期的な取引関係の維持にもつながります。
値上げ交渉が難航する場合には、与件にある「段階的な値上げ」を提案することが有効です。例えば、初期段階での値上げ幅を抑え、数か月後に追加で値上げする形で提案することが考えられます。また、品質向上や追加の付加価値サービスを提供することで、発注元にとってのメリットを増やし、値上げの必要性を理解してもらいます。さらに、他社の値上げ状況も参考に、業界全体の動向を示すことで、交渉を有利に進めることが可能です。
値上げ交渉後のフォローアップには、与件に基づく「関係維持と価格の再確認」が重要です。例えば、発注元と定期的にコミュニケーションを取り、値上げによる影響を確認します。また、再び市場環境が変動した場合には迅速に調整できるよう、価格見直しのタイミングや条件をあらかじめ共有しておきます。これにより、発注元の信頼を確保し、今後も安定した取引を続ける基盤が築かれます。
第5+1問 C社の強み×新規事業
新規事業への助言や留意点を述べる時は、①現状の問題の解決 ②C社方針の実現 ③それらの施策によるリスクの考慮の3つが定番。唐突に新規事業名を挙げるより、①問題点→②C社方針の順に思い出しながら話すことで、自ずと新事業案を提案できるでしょう。
C社の強みである「高い技術力と品質」は、与件で述べられているように「信頼性の高い製品開発」に役立ちます。これを新規事業に応用するために、既存技術をベースにした製品の応用開発や、信頼性を活かしたアフターサービスを新たな事業領域で展開することが考えられます。例えば、耐久性や安全性が重視される産業機器分野への進出も視野に入れることで、さらなる市場拡大が期待できます。
C社の新規事業を成功させるためには、与件に示されている「顧客ニーズの把握」と「適切なリソースの配分」が鍵です。市場調査を通じて顧客の潜在的なニーズを把握し、それに応える製品やサービスを提供することが重要です。また、強みを活かすために、既存の技術者や設備を活用しつつ、必要に応じて新規のリソースも投入し、競争力を高める体制を整えます。
C社の「高品質と高耐久性」の強みを活かし、与件に挙げられている「顧客満足度の向上」を目指して、新規市場を獲得することが可能です。具体的には、環境に配慮した高付加価値製品や、メンテナンスサポートを充実させた製品が求められる市場(例:医療機器やエネルギー分野など)への参入が期待されます。これにより、信頼性の高い製品を提供し、新たな顧客層を獲得できます。
C社が新規事業を実施する際には、いくつかのリスクが想定されます。まず、顧客層や市場ニーズに関する情報不足による需要予測の誤りで売上が伸び悩むリスクです。また、既存事業と異なる製造プロセスや品質基準により、製品不良やトラブルが発生し、ブランドイメージに影響を与える可能性があります。さらに、新規事業に必要な追加資金やリソースの負担が経営全体に影響を及ぼし、既存事業への悪影響が生じるリスクも考慮が必要です。これらを回避するために、綿密な市場調査と段階的なリソース配分が重要です。
今日のまとめ
そこまで今からクヨクヨ心配するリスク志向はとても大切。でもリスクが小さい点は、訊かれたら不運と思って2分で話すのが口述試験であり、そう割り切る力が【胆力】です。