ふわっとした設問文のせいで、9,000人がその切り分けに悩んだR6Ⅲの第2+3問。このとき「正解はこれしかない!」とすぐ決めつけるEBAを除き、みんなちがって みんないい=ダイバーシティ&インクルージョンの時流がやってきます。
『私と小鳥と鈴と』
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速くは走れない。
(中略)
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
「みんなちがって、みんないい」なんとうれしい言葉だろう。「あなたはあなたでいい」とうたっているのだ。人間を含めて地球上の全ては、違うから生まれることができ、違うからそれぞれが存在することができたのだ。「誰もが生まれただけで百点満点」ということだ。 出典:nippon.com
生産工場の指示命令は統一すべきで、ポエムのようなあいまい指示は絶対ダメ。でも今回の第2+3問のように【わざと答をブレさせる】設問はアイデア出し段階であり、私なら「みんなちがって みんないい採点」をチョイスします。
【3連休で採点完了】第2+3問工程管理切り分け難 / みんなちがって みんないい(金子みすゞ)
第2&3問 工程管理ペア
工程の「能力向上」+「管理改善」を2問セットで訊く良問。スクール解答も一長一短あるので一つに決めつけず、「みんなちがって みんないい」で採点します。
コロナ禍以降増加傾向にある受注量に対応するため、C社製造部では工程改善によって生産能力の向上を図る検討を進めている。どのように工程改善を進めるべきか、100字以内で説明せよ。
C社では、受注量の増加や納期短縮養成などの影響で製造部の工程管理が混乱している。どのように工程管理業務を改善すべきか、その進め方を100字以内で助言せよ。
施策(15点)
製缶工程の能力不足(5点)
ー製缶工程が能力不足であることを具体的に示し、これが生産計画に与える影響を述べる。
経験をやめデータに基づく工数計画(5点)
ー各課長の経験依存から脱却し、データ活用で計画精度が向上する理由を明確に示す。
IEによる工程改善(5点)
ーIE手法を活用し、実行可能な改善策を示す。
期待効果(5点まで)
・生産能力向上(3点)
・納期短縮(以下各2点)
・残業や休日出勤削減
・コスト削減
・人員配置の柔軟化
施策(15点)
生産会議に設計担当者参加(5点)
―生産会議の頻度を増やして設計担当者が毎回参加し、設計変更や生産スケジュールの迅速な調整が可能にする。
生産DXで情報共有と進捗管理(5点)
ITシステムで全社情報共有し、顧客からの設計変更や進捗状況のリアルタイムな管理で混乱を防ぐ。
余力確保で納期遅延防止(5点)
データに基づく見積で工数計画の精度向上と納期遅延防止を実現する。
期待効果(5点まで)
・工程管理改善(3点)
・計画の信頼性向上(以下各2てん)
・工程付加の均等化
・現実的な納期設定
・図面情報の管理
第2問(能力向上) | 第3問(管理改善) | |
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C社は、①製缶工程の能力不足により週次日程計画の変更が常態化する点に注目し、②各課長の経験に頼らずデータに基づく工数計画に変更し、③納期の余力を確保して残業や休日出勤削減につながる工程改善を進める。(99字) | 200%AI答案 | C社は、①生産会議の頻度を週1回より増やして設計担当者が毎回参加し、②製缶課の負荷削減のため前後工程からの応援や多能工化を進めて余力を持たせ、③日程計画表変更の常態化を解消するように工程管理を改善する。(100字) |
生産能力について、現状ネック工程となっている製缶工程について重点的に改善を行う。工程分析を行い、問題箇所についてIEを用いた工程の合理化や効率化を行うとともに、自動化等が可能な部分については検討を行う。 | KEC | ①顧客要求納期ではなく実行可能な納期により計画策定する②進捗管理について顧客からの設計変更等についてIT化で情報を共有する③経験により作成されている工数見積もりをデータに基づいた高精度なものに変更する。 |
まず製缶工程の作業改善を行い、不足する場合は前後工程も含めた工程改善を助言する。①製缶工程の作業分析で作業面のムダを削減し、②工程分析で各工程の負荷状況に応じて人員の再配置を進め、生産余力の確保を図る。 | 大原 | 週次日程計画の精度を高めて納期遅延リスクを回避するよう助言する。進め方は、①毎週の生産会議に設計担当者も参加する体制とし、②各作業の工数見積もり基準を経験からIT利用に変更することで工程管理の混乱を防ぐ。 |
3工程のうち製缶工程のみで残業や休日出勤が生じており、最適な要員配置が行われていない可能性があるため、各工程の要員数や作業量、作業順序を継続的に分析し、増加する受注量に合わせて柔軟な要員配置を行う。 | TAC | まず、確認・調整の手間を減らすため、工程管理システムを製造部に導入する。次に、設計部の製作図面と生産管理課の工数計画をデータ化してシステムに取り込み、計画と統制に必要な情報を設計部と製造部で共有する。 |
①製缶工程の能力不足 製缶工程の能力不足がネックとなっており、これに対応するための工程改善や作業改善を重点的に行う。 ②経験をやめデータに基づく工数計画 各課長の経験依存から脱却し、データを活用して工数計画を精緻化することで、計画の精度を向上させる。 ③IEによる工程改善 問題箇所に対してIE手法を活用し、工程の合理化と効率化を図る。 | 各答案の共通要素 | ①生産会議に設計担当者参加 生産会議に設計担当者が毎回参加する体制を構築することで、設計変更や生産スケジュールの調整が迅速に行えるようにし、工程管理の精度を向上させる。 ②生産DXで情報共有&進捗管理 顧客からの設計変更や進捗状況に関する情報をITシステムで共有し、リアルタイムでの情報共有を通じて生産現場の混乱を防ぎ、スムーズな統制を実現する。 ③余力確保で納期遅延防止 経験ではなくデータを基にした工数見積もりを導入し、計画の精度を高めて日程変更や納期遅延のリスクを減少させる体制を整える。 |
①作業上のムダ改善(E:なくす) 製缶工程において作業分析を行い、作業のムダを特定して削減することで、効率化を図る。 ②前後工程の改善(C:一緒にする) 製缶工程のみならず、必要に応じて前後工程も含めた改善を行うことで、生産全体の流れをスムーズに。 ③人員配置の柔軟化(C:一緒にする) 製缶工程に対する工程間応援や配置転換を行い、余力を確保して同じくスムーズにする。 ④継続的な見直し(R:順番を変える) 各工程の作業量や順序を継続的に分析し、増加する受注量に柔軟に対応できるよう作業順序を変更。 ⑤自動化の検討(S:簡単にする) 製缶工程やその他の工程で自動化が可能な部分について、改善策として自動化の導入を検討。 | 各答案で異なる要素 | ①製品図面をデジタルデータ化 設計部門で作成した製品図面をデジタルデータ化し、生産管理システムに統合する。 ②生産DXで工程管理 工程管理システムを導入し、製造部門の工程確認や調整作業を効率化する。 ③週次日程計画の精度向上(進捗管理) 週ごとの日程計画の精度を上げて計画の信頼性を高め、納期リスクを軽減し余裕を保つ ④前後工程からの応援と多能工化(余力管理) 製缶課の負荷削減を目的として、前後の工程からの応援と作業者の多能工化を進める。 ④納期に余裕を持つ(余力管理) 顧客の要求する納期ではなく、現場で実行可能な納期を基準に計画を立てる |
解答順:第4問 スクールが的中させた「値上げ交渉」
下請製造業からの値上げ交渉は、どのスクールも予想を的中させたトレンド論点。ここは事前の外段取りで+5点は狙えるサービス問題な。
C社の顧客企業との契約金額は、最近の材料費や人件費の口頭に対応した見直しは行われているものの、現状のコスト高には対応できていない。今後、顧客企業と価格交渉を円滑に行うための社内の事前対策を、120字以内で助言せよ。
社内事前対策(15点)
見積算定基準の見直し(5点)
― 時代や市場の変動に適応した見積とし、より正確に価格設定としてコスト高騰に柔軟に対応する。
コストの可視化(5点)
―コストの透明性を確保して見積に対する信頼性を高め、顧客との価格交渉を有利に進める。
部門間の連携強化(5点)
ー部門間の連携を強化して情報共有を進めて見積の精度を高め、同じく交渉時の説得力を増す。
期待効果(5点まで)
価格交渉を円滑にする(3点)
顧客満足度向上(以下各2点)
部門コミュニケーション改善
コスト管理強化
リスク管理向上
200%AI答案 | KEC | 大原 | TAC |
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C社は、①過去の契約金額を参考にする他に、②材料費や人件費高騰に対応した見直しを行い、③見積価格を適正化する事前対策をする。これに加え、④デジタル化済の部品構成表に基づくデータを示し、⑤顧客企業が作成した製品仕様に対する価格交渉を円滑にする。(120字) | 現在は過去の契約金額を参考に営業部が算出している見積金額について、営業部が見積書を作成する前に、製造部が作成する想定契約について最新の製造にかかるコストの変動を分析の上、正確な費用等の内容を可視化したデータを参考にできる体制を構築する。 | 事前対策として、見積金額の算出方法の見直しを助言する。①過去の契約金額を参考とする方法から部品構成表と週次日程計画に基づく方法に改めるとともに、②X社には新たに据え付け後のメンテナンスに関する見積書を準備し、コスト高に対応した金額提示を行う。 | デジタルデータ化済みの部品構成表の発注金額に基づいて材料費を算出し、経験ではなく実績に基づいて工数を見積もって人件費を算出する。過去の契約金額ではなく、最新のコストに基づいて算出した契約金額を用いて顧客企業と価格交渉できる体制を整備する。 |
※AI答案では80分に間に合わせるため、マス目の因果に使う根拠が3つ揃うと記述に移る。よって重要根拠は1つまで(例:部門間連携)省略してもOKと考えます。 | ①部門間の連携強化 営業部が見積書を作成する前に製造部がコスト変動を分析する体制を構築 ②コストの可視化 最新の製造コストを分析し、正確な費用内容を可視化する ③体系的な値上げ 営業部が過去の契約金額に依存しないような仕組みを提案し、見積もりの算出過程を見直す | ①見積算定基準の見直し 算出方法を過去の契約金額から部品構成表や週次日程計画に基づく方法に改める ②過去ではなく最新コスト 過去の契約金額ではなく、最新のコストに基づいて見積もりを行う体制を整える ③メンテナンス費用の考慮 据え付け後のメンテナンスに関する見積書を新たに準備する | ①効率的な業務プロセス 経験ではなく実績に基づく算出方法を提案することで、業務プロセスを効率化 ②最新実績で見積もり デジタルデータ化済みの部品構成表を基に材料費を算出し、実績に基づいて工数を見積もる ③柔軟な価格交渉 最新のコストに基づいて契約金額を算出することで、顧客との価格交渉において有利な立場を確保 |
第5&1問 強み+新規事業ペア
事例Ⅲの鉄板パターンは、第1問で特定した強みを第5問の新事業展開に活かす。そこで第1問を最後にし、第5問で使いたい「社長の提案力」「生産設備や技術者の充足」「特注品対応」を、コンパクトに80字でまとめる順序が得策です。
C社社長は、小規模の工場施設や物流施設の新設や更新を計画している企業と直接契約し、自社企画の製品を設計、製造することで事業を拡大したいと考えている。この新しい事業展開を成功させるにはどのように推進するべきか、120字以内で助言せよ。
C社の強みを80字以内で述べよ。
施策(16点)
顧客ニーズの把握(4点)
ー顧客の潜在的ニーズを詳細に分析し、収集・把握する具体策を示す。
小規模施設をターゲット(4点)
ー小規模施設に特化した具体的な提案内容と受注戦略が明示する。
提案力の強化(4点)
ー営業提案力を強化する具体的な教育プログラムやノウハウ共有の方法を示す。
据付後のメンテナンス(4点)
ーメンテナンスを含む設計やサービスの提案を具体化する。
期待効果(4点)
ーX社への売上依存解消4点、それ以外2点
強み(20点) ※80字20点なので、以下3要素をバランスよく記述する
社長の提案力と知見(7点)
ーC社長が持つ提案力の具体例や、生産性向上に関する豊富な経験を示す。
生産設備や技術者の充実(7点)
ーNC加工機他の生産設備や技術者どのように充足されているかを示す。
多様なニーズに対応(6点)
ーC社が特注品を含む顧客要望への迅速に対応できることを示す。
第5問 新規事業 | 第1問 C社の強み | |
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C社は、①小規模施設の新設や更新を計画する企業に対し、④NC加工機などの生産設備や技術者を活かした、③据付後のメンテナンスを含む設計・製造を提案する。これに加え、④搬送機能についての提案力を活かし、⑤X社への売上依存を解消するように推進する。(118字) | 200%AI解答 | 強みは、①生産性向上を提案できる社長の知見と、②NC加工機などの生産設備や技術者が充実し、③メンテナンスも担える営業部員により、多様な特注品ニーズに応えられること。 |
助言は、現在は受注窓口である営業部の強化である。具体的には①顧客の潜在的なニーズ収集が可能な体制の構築②営業部員が社長の持つ提案力に関するノウハウが使用できるように教育を行う③X社に関する据え付け後のメンテナンスについて他の部門に移管する。 | KEC | ①C社社長の搬送機器を含む工場レイアウトの生産性を高めるための経験と提案力②特注品をはじめとする多彩な製品を生産可能な生産設備や技術力③X社との良好な取引関係。 |
マーケット・インの製品企画の推進を助言する。①企画部の新設、および設計部と製造部の技術者の配置転換、②社長のノウハウ共有による営業部の提案力の強化、③企画部と営業部の定期的な会議の開催による見込顧客の情報共有、等の取組で成功可能性を高める。 | 大原 | 強みは、①新規顧客の獲得も可能な社長の提案力、②特注品の受託生産も可能な技術者中心の生産体制、③受注量増加に対応可能な工業団地における充実した生産設備等である。 |
メーカーを介さないため、社長が有する強みを生かし、小規模企業の施設に適したコンベヤの特注品を受託し、生産性を向上できる提案をする。自社企画製品については、C社自身でのメンテナンスの負荷を減らすため、メンテナンスのしやすさを考慮して設計する。 | TAC | X社で工場設備レイアウト設計を担当し、工場の生産性を高めることを顧客に提案してきた経験を持つ社長の、特注品受託生産の獲得に寄与する搬送機能についての有効な提案力。 |
①顧客ニーズの把握 ー顧客の潜在的なニーズを収集・把握する体制の構築を提案する。 ②小規模施設をターゲット ―小規模施設の新設や更新に適した提案と受注を進める。 ③提案力の強化 ー営業部の提案力を強化するための教育やノウハウ共有を進める。 ④据付後のメンテナンス ーメンテナンスを含む設計やサービスの提案を含める。 | 各答案の共通要素 | ①社長の提案力と知見 ーC社社長が持つ提案力や生産性向上に関する経験。 ②生産設備や技術者の充実 ーNC加工機やその他生産設備が整備され、技術者が中心となって特注品を受託生産できる。 ③多様なニーズに対応 ーC社が特注品を含む多様な製品ニーズに応えられ、営業部員がメンテナンスも担い、顧客の要望に迅速に対応できる。 |
①C社の特注品受注 ーメーカーを介さず、社長が持つ強みを活かして小規模企業向けの特注品を受託。 ②企画部門の新設 ーマーケット・インの製品企画の推進のために企画部の新設を提案。 ③技術者の配置転換 ー設計部と製造部の技術者を配置転換することで、製品企画の質を向上させる。 ④定期的な情報共有 ー営業部と他の部門(企画部、製造部など)との定期的会議実施で情報共有を図る。 ⑤メンテナンスの設計考慮 ー自社企画製品のメンテナンスのしやすさを考慮した設計を提案。 | 各答案で異なる要素 | ①X社との取引関係 ーX社との良好な取引関係も強み。 特注品受託生産の可能性 ー技術者の中心的な役割が特注品獲得に直結する。 ③工業団地の立地 ー工業団地内に充実した生産設備が整い、受注量増加に対応できる。 ④搬送機能に対する提案力 ー社長が持つ搬送機能に関する提案力で受注を確保。 ⑤営業部員の役割 ーメンテナンスも担う営業部員の役割が他社と異なる強み。 |
今日のまとめ
第2+3問はスクール解答もブレており、採点は「みんちがって みんないい」路線が濃厚。特に今年は「事例Ⅰ」「Ⅱ」が難しく、「Ⅲ」はふぞろい列挙で55点~上手に書いても65点と、点差をつけないことも確実です。