大荒れのR5から一転し、生産管理=計画planning+統制controlの伝統的作問に先祖返りしたR6「Ⅲ」。不意を突かれて第2⇔3問の切り分けがメタメタになった所で、計画と統制の違い=ニチ子と重代を思い出します。
与件文+設問別マーカー
その小さく固いオツムで覚えたなけなしの知識で、工程計画といえばIEによる改善、生産現場統制では5S徹底!と決めつけテンプレワードしか書けなくなるのがふぞろい病。そうでなく与件根拠とAIで構文を使うと、秒で解けるな。
段落 | 第1問 | 第2問 | 第3問 | 第4問 | 第5問 |
---|---|---|---|---|---|
1C社の部門構成 | |||||
2マテハン=コンベアやエレベータなど | |||||
3親受メーカー受注の一部を受託 | |||||
4前職の経験を活かし2011年設立 | |||||
5前職X社以外からの受託も増加 | ○搬送機能の有効提案 | ||||
6X社からの受注が6割 | ○NC加工機 ○技術者採用 ×X社受注が6割(依存) | ||||
7国内生産回帰で受注増 | |||||
8定番で問題だらけの受注プロセス | ×過去の契約金額 ×コスト高の対応遅れ | ||||
9デジタルの部品構成表 | ○部品構成表はデジタル化 | ||||
10C社製造部の課構成 | |||||
11主要3課の分業体制 | |||||
12日程計画と調達計画 | |||||
13工数計画は勘で作成 | ×工数計画は各課長の経験 ×日程計画作成が経験頼み | ×生産会議は週1回 ×設計担当者が時々会議参加 | |||
14工程管理の混乱をITで解決へ | ×大日程・週次日程の混乱 | ||||
15ボトルネックの製缶課は休日出勤 | ×製缶の影響で週次計画変更 | ○前後工程から応援 | |||
16メンテナンスする営業部 | ○据付後のメンテナンス |
【企業概要】
C社は、資本金5,000万円、従業員70名、年商約14億円の搬送機器製造業である。会社組織は、総務部、設計部、製造部、営業部で構成されている。
搬送機器とは、工場や物流倉庫などで製品・商品や資材などを工程間、設備間で移動させる機器であり、コンベヤ式や昇降式、パイプライン式など、移動する対象の形状や大きさ、移動方法に合わせたさまざまな形態のものがある。
C社は、工作機械メーカーや物流機器メーカーが設計、製造、据え付けする加工機械などの工場設備や、自動仕分け機などの物流設備に組み込まれるローラコンベヤや、ベルトコンベヤを受託生産している。
C社社長は、工作機械メーカーX社で、工作機械を設置する顧客企業の依頼を受けて、搬送機器を含む工場設備レイアウト設計を担当し、工場の生産性を高めることを顧客に提案してきた。その経験を生かして2011年にC社を設立した。
設立当初は賃貸工場で中古機械を活用し、X社が設計するコンベヤの特注品の受託生産からスタートした。その後、C社社長の搬送機能についての有効な提案を受けられることもあり、X社以外の工作機械メーカーや物流機器メーカーの特注品受託生産も獲得するようになった。
受注量の増加に対応するため、工業団地に用地を取得してNC加工機などの生産設備を導入するとともに、設計要員や製造要員などの技術者を中心に採用し生産拡大を図ってきた。現在の取引先企業数は、工作機械メーカー5社、物流機器メーカー3社であり、そのうちX社からの受注金額が多く全体の6割を超えている。
X社では、見込生産の搬送機器を中国企業に生産委託していたが、近年現地生産コストが上昇し、さらにコロナ禍以降納品が不安定な状態になったため、生産を国内に移管したことから、C社の受注量は近年さらに増加傾向にある。
【受注、設計のプロセス】
受注窓口の営業部に引き合いがあると、顧客企業が作成した製品仕様書および製品図面を確認して、見積書を作成し、顧客企業との価格交渉を経て契約をする。見積金額は、過去に製造した搬送機器の契約金額を参考に、営業部員が材料費と社内加工費、その他の経費を合計して算出し、最終契約金額も含め営業部長が決裁している。最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは一応行われているものの、契約金額は現状のコスト高には対応できていない。契約後、営業部は、受注番号を付与して受注管理システムに受注情報を入力し、顧客企業が作成した製品仕様書および製品図面を設計部に引き渡す。受注番号は、製造部では製造番号として使われる。
営業部が受注情報を入力すると、設計部では製品仕様書および製品図面に基づいて製作図面を作図し、部品構成表を作成する。部品構成表はデジタルデータとして、製造部での材料と外注品の発注、在庫管理に活用されている。
【生産の現状】
製造部は、生産管理課、資材管理課、機械加工課、製缶課、組立課で構成されている。
C社が製造するコンベヤ製品は、ローラやベルトからなる搬送体、搬送体を回転させるモーターを含む駆動部、搬送体と駆動部を支えるフレームの3つの構造体によって構成されている。これらの構造体については、フレームは主に製缶課で、駆動部および搬送体の加工は機械加工課で内製化されており、その他の外注部品やモーターなどの購入品を加えた最終の組立を組立課が行っている。
設計部で製作図面が完成すると、生産管理課で必要とする各製造工程の工数計画を立て、顧客要求納期を基準として製造番号ごとの大日程計画を策定し、製造部各課に調達指示、生産指示を出す。その大日程計画と設計部で作成された部品構成表に従って、資材管理課では必要材料と外注品の発注を行い在庫管理をする。
機械加工課、製缶課、組立課の製造工程では、生産管理課で作成される大日程計画に準じて製造を行うが、詳細の進捗管理など生産統制は製造部長以下、製造部各課長が参加して週1回週末に開催される生産会議で調整される。生産会議では、各製造番号の作業進捗状況の確認、各製造番号の材料や外注品の納品状況の確認などを行い、次週1週間の各工程の週次日程計画表を作成する。週次日程計画表の各作業の工数見積もりは、製造部各課長の経験を基に作成されている。また、顧客からの設計変更や納期変更などが生じた場合など、生産会議には必要に応じて設計担当者が参加し、変更内容を周知して作業順序などの確認を行う。
近年受注量が増加し、顧客から納期の短縮を要請されることもあり、大日程計画や週次日程計画などの工程管理の混乱が生じている。現在は何とか納期を確保できているが、今後この傾向が顕著になった場合、現在の管理では納期遅延が生じる恐れがあり、製造部ではIT利用も図りながらその対応を検討している。
生産工程では、製缶工程(製缶課)の残業や休日出勤が多く、納期対応のため週次日程計画表の変更が常態化している。前工程の機械加工工程(機械加工課)や後工程の組立工程(組立課)では、不適合品発生などの特別な場合を除き残業や休日出勤は生じていない。
製造完了後は製造部で最終検査を行い、顧客企業が指定する場所に納品し、据付は顧客企業が行う。据付後のメンテナンスについては顧客企業が行うが、X社の場合はC社の営業部が担当している。
設問・構文解答例
今回の「事例Ⅰ」「Ⅱ」ほどの派手さはないが、つい忘れがちな生産管理=計画+統制の切り分けを教える良事例。ほとんど方がC社の日程計画以上に混乱し、切り分けミスが多発するので、おっきな点差はつかないでしょう。
第1問(20点) 全社戦略 強み
いつものことだが、第1問を書き直さないよう、ここはラス問の答えを決めて最後に書くのがセオリーな。
【構文】強みは、①であり、②により、③になること |
【答案例】強みは、①生産性向上を提案できる社長の知見と、②NC加工機などの生産設備や技術者が充実し、③メンテナンスも担える営業部員により、多様な特注品ニーズに応えられること。(80字) |
第2問(20点) 生産計画planning 助言 + 第3問(20点) 生産管理control 助言
オツムがベテ化し知識やノウハウの経験が積みあがるほど、工程計画といえばIE、生産現場といえば5Sの徹底といった古臭いテンプレ解答に。そうでなく素直な私なら、それより週イチ限定の計画会議を2回にします。
【構文】C社は、①であり、②により、③になる工程改善を進める。 |
【答案例】第2問(計画planning) 第3問(統制control) C社は、①製缶工程の能力不足により週次日程計画の変更が常態化する点に注目し、②各課長の経験に頼らずデータに基づく工数計画に変更し、②納期の余力を確保して製缶工程の残業や休日出勤削減につながる工程改善を進める。(97字) |
【構文】C社は、①であり、②により、③になるように工程管理業務を改善する。 |
【答案例】①生産会議の頻度を週1回より増やして設計担当者が毎回参加し、②製缶課の負荷削減のため前後工程からの応援やその多能工化を進めて余力を持たせ、③日程計画表変更の常態化を解消するように工程管理業務を改善する。(99字) |
第4問(20点) コスト&データベース 助言
製造業DXに注目し、コスト高の価格転嫁をする値上げ施策は、猫でも予想した出題。そして「事前対策」「円滑な価格交渉」の2要素解答を求められた時、生成AIはこんなに素直な答を作ります。
【構文】C社は、①であり、②により、③になる社内事前対策をする。これに加え、④であり、⑤することで価格交渉を円滑にする。 |
【答案例】C社は、①過去の契約金額を参考にする他に、②材料費や人件費高騰に対応した見直しを行い、③見積価格を適正化する事前対策をする。これに加え、④デジタル化済の部品構成表に基づくデータを示し、⑤顧客企業が作成した製品仕様に対する価格交渉を円滑にする。(120字) |
第5問(20点) 新規事業 助言
120字助言なので、ふぞろいワード的な決めつけ解答が通用したのがこれまで。そうでなくこれからのAI答案時代では、その手の社長が驚く知識解答を避け、与件の根拠を使って素直に答えます。
【構文】C社は、①であり、②により、③になる事業拡大を行う。これに加え、④であり、⑤することで新事業展開を成功させる。 |
【答案例】C社は、①小規模施設の新設や更新を計画する企業に対し、④NC加工機などの生産設備や技術者を活かした、③据付後のメンテナンスを含む設計・製造を提案する。これに加え、④搬送機能についての提案力を活かし、⑤X社への売上依存を解消するように推進する。(118字) |
R6事例Ⅲまとめ
こらこら、年24匹が9か月かけてあのパフォーマンスしか出せない自称100点答案と一緒にされたら、生成AIが心底怒る。そうでなくこれからのAI添削答案は、①与件根拠引用で加点しやすく、②ふぞろいワードを避けて嫌がられず、③素直に答えて好感されます。