J事例Ⅲ 構文★Syntax

【R6先取り傾向変化Ⅲ】知識を書かせず時事問題 / 妥当なら複数解加点の時代

R5「Ⅲ」作問採点を従来から一新し、過去問の答を覚える万年おベテを一掃し、既存受験知識&ノウハウは全面的に無効と宣言された。そしてこのR5「Ⅲ」を使って、さらに試験のミライを読み解きます。

参考:テストキッチンとは
R5「Ⅲ」で自主企画製品開発を考え、知り合いのシェフがいて適切な厨房設備があれば、業界的な答は「テストキッチン」になる。でも「業界知識を書くのは禁止」であるのが、これまでの「2次」受験の常識に。

画像:ホシザキ南九㈱

Q
相変わらず知識が古くて視野の狭いふぞはもとより、どのスクールの模範解答にも「テストキッチン」なんて書いてない。そんなアイデア解答をしたらバツに決まってます!
A

いえ、実験的要素の強いR5「Ⅲ」は与件の根拠を使えていれば、その正解は一つでなく幅広く加点する。その理由は「知識を書かせるための与件」から、「リアル課題を解決するケーススタディ」に作問技術が進化したため。

試験傾向の変化傾向変化の狙い
R4以前の「事例Ⅲ」では生産管理の基本事項を覚えさせ、それを書かせるための与件が示されました。しかしR5「Ⅲ」の題意はこれまでの「知識の確認」から、「実際のビジネス課題の解決に知識をどう使うか」にシフトしています。単なる知識の暗記より、その知識が実際のビジネスでどのように使えるかを問う、ケーススタディ形式の出題が増加しています。①知識の代替性ネットや生成AIの発展により国家試験における知識暗記の重要性が低下し、「知識をどう覚えるか」より、「どのように知識を使うか」が問われるようになる。これにより、診断士試験合格者のパフォーマンスは、これまでの一段階上にシフトすると考えられる。
知識の多寡を問い知識をそのまま書かせる出題は激減し、リアルなビジネスシーンで起きる課題をどう解決するかのMBA的なアプローチが求められるようになりました。これにより、受験者は与件文の情報を使って、どの知識が適切に使えるのかを判断し、それを応用して解決策を提示する力が重要視されます。②応用力の重視応用力を重視した出題にすることで、受験者は現代のビジネス環境で発生する課題をどのように解決するかを考える訓練ができます。これにより、受験者は実際のビジネス課題に即応し、柔軟に解決策を導き出す力を養うことができます。狙いは、MBA的な思考を持ち、現実の問題に対処できるビジネスリーダーを育成することです。
これまでは理論的な知識や標準的な対策が評価されていましたが、今後の試験では、具体的なビジネス課題を解決する力が問われます。実際の企業でのケースをモデルにした問題が多くなり、その中でどの知識やスキルが役立つのかを見極め、それに基づいて問題解決を図る力が評価されます。③リアル課題の解決スタディ試験問題を現実のビジネスケース、時に時事問題に近づけることで、受験者は実務で直面する課題に対する解決策を考える力を磨くことができます。これにより単なる知識の多寡でなく、実際のビジネス環境で高いパフォーマンスを示す人材から優先的に合格させることができます。

【R6傾向変化予想Ⅲ】知識を書かせず時事問題 / 妥当なら複数解加点の時代

つまり必要知識は「1次」で済ませ、「2次」は知識でどう読み書きするかの「国語のアドリブ試験」化がいよいよ進む。「2次」150h合格がスタンダードになる時代は、もうすぐそこです。

Step-1:複数解を認める採点進化

Q
それにしてもR5「Ⅲ」は前年と出題内容が変わりすぎ。「過去問こそが重要!」のふぞろい信者を一発で黙らせるグーパンチが、圧巻ですらある。
A

初見80分ではとても解けないのに、解答に必要なヒント(根拠)は確かに与件に書いてある。一方でどうみても、その正解は1つに決まりません。

採点技術の進化考えられる採点基準
これまでの第一基準=キーワードの数に加え、素直さや読みやすさでの加点があるでしょう。具体的には、解答の因果関係や思考のクリアさを評価することで、表面上の受験テクニックやノウハウより、実務に近い考え方に加点することができます。①第二(素直さ)、第三(読みやすさ)基準の採用知識の多寡は「1次」で済ませているものと考え、「2次」では知識を実務にどう活用するかの視点で評価が行われます。具体的には、論理的に明瞭な文章で、具体的な課題に対して適切な知識を用いた解答が高評価になるでしょう。
相対評価の導入により、9,000枚の答案全体を俯瞰し、その中での基準設定が可能になりました。具体的には、全答案を確認した後に、優れた解答とそうでない解答のバランスを見て、評価基準を調整することができます。②答案9,000枚回収後の相対評価で決定優れた解答を中心に他の答案が相対的に評価されるようになります。具体的には、全体のレベルを見て、上位の解答に合わせた基準が設定され、知識の活用や解決策の創意工夫が重視される評価が行われます。
複数の試験委員が合議制で採点基準を決定することで、異なる視点を融合し、よりバランスの取れた評価ができるようになりました。具体的には、与件文をどれだけ読めているかのキーワードと、どれだけ実務上好感される答案を書けるかの、複数以上の基準で評価されます。③複数試験委員による合議制の採用複数の視点を取り入れることで、より公平で一貫性のある採点が可能になります。具体的には、試験準備に一定程度の時間を割いたうえで、これまでの受験の常識に囚われない答案にも、必要に応じて加点することができます。

Step-2:生成AIで与件変化を把握

Q
R5「Ⅲ」の正解が1つに決まらないのは、課題問題点を何かの知識で解決させるため。一方でR4までの「Ⅲ」は「何か特定知識を書かせるための作問」だから、そこに備えて勉強してもR5で詰むのは当たり前?
A

「知識を書かせる」ための~R4と、「知識を選んで使わせる」R5。その違いを知りたい時は、生成AIに訊いてくれれば5秒で答えます。

【これまで】R4「Ⅲ」の傾向【これから】R5「Ⅲ」の変更点
C社は1964年創業の金属製品製造業で、従業員60名。主力製品はアルミニウムおよびステンレス製のプレス加工製品と板金加工製品で、主に業務用食器や什器を製造している。コロナ禍による観光業の停滞で売上が減少しているが、新たにホームセンターX社からの発注を受け、アウトドア用品の製造に取り組むことを決定。新規事業の成長性を見据え、C社の強みを活かして生産性を向上させる方針を採用している。①与件の内容C社は資本金3,000万円、従業員60名の業務用食品製造業。主要顧客は温泉リゾート地にある高級ホテルや旅館。コロナ禍の影響で観光業の需要が減少しているが、感染対策関連の商品や個食商品の需要が増加。C社はこれに対応して、即席の個食商品を開発し、高級志向の商品ラインナップを拡充。さらには、地域の観光業の回復を見据えた商品開発に取り組んでいる。
R4年の与件文では、C社の従来の事業に焦点を当て、既存の製品ラインの延長として新規取引への対応を論じることが求められています。特にコロナ禍前から続く課題に焦点を当て、それにどう対応すべきかを問う構成になっています。主に生産現場のボトルネックを解消してから、次の新事業戦略を描く設定になっています。②与件の変更点R5年の与件文では、コロナ禍後の新しい経営環境におけるC社の戦略や対応に同時進行的に焦点が当てられています。具体的には、時事問題にを迅速に解決する実行策に加え、地域の観光業の回復を見据えた商品開発など、より即応的で実務的な課題に対する解決策が求められています。
R4年の与件文は「鉄板知識」を前提にし、それに基づいた回答を促す構成になっている。③求めるスキルの変化R5年の与件文は「時事問題への対応」を重視し、最新の社会情勢や業界動向を理解した上での戦略立案能力を問う構成に変更されています。これにより、受験者に求められる能力が従来の知識やテンプレ的な対応から、より柔軟で実践的な対応能力へとシフトしていることが伺えます。

Step-3:生成AIで設問進化を予測

Q
言われてみればR4までの「Ⅲ」作問は、「レイアウトや設計」「管理部門で生産計画」「現場部門でQCD」のように、部署の役割分担が明確だった。そしてR5以降は~?
A

R4→R5での設問の進化は、「局所的な課題解決」から「全社経営視点でのパフォーマンス向上」です。R6以降はこれまでの「与件キーワード」「決めつけパターン」でヨシとせず、第1~5問を通じた「解答の一貫性」が問われるようになるでしょう。

【これまで】R4「Ⅲ」の傾向【これから】R5「Ⅲ」の変更点
個別の問題を分析し、解決策を見出す能力が重視されました。たとえば、特定の部門や機能に関連する課題を深掘りし、それに対して解決策を提案する出題が多く見られました。この時期の試験では、局所的な課題認識とその具体的な対策が求められる傾向が強く、解答者には各論的なアプローチが求められていました。①個別課題から戦略的解決へ個別の課題からより広範な戦略的視点へのシフトが顕著になりました。企業全体の経営戦略と連動した解決策を提案する問題が増え、単一の問題を解決するだけでなく、それを全体の経営戦略の一環として捉える能力が問われました。このような出題傾向は、受験者に対して全体最適を意識しながら解答を組み立てることを求めています。
特定の部門や機能にフォーカスした問題が中心で、各部門の最適化を目指す解答が求められました。生産計画の週次化や生産技術のOJT継承などのパターン解答で一定の得点ができた一方で、全社的な視点での評価はやや限定的でした。②部門最適から全社視点の最適へ部分最適を超えて全社的な視点からの最適化が強調されるようになりました。出題では、部門間の連携や全社的なリソースの最適配分を考慮した解決策を提案する問題が増え、企業全体としてのパフォーマンス向上を目指す視点が重視されました。このように、部分最適ではなく、全体の最適化を目指す戦略的な思考が求められる傾向が強まりました。
組織の部分的な変革や既存範囲での人材活用に焦点を当てた問題が多く見られました。新工場を建設したり、念願の直営店進出などその年ごとに新しい課題を設定する工夫が見られたものの、組織や人材に関する出題は主に局所的な視点からの解決策にとどまっていました。③組織変革と人材活用組織全体の変革や戦略的な人材活用が重要視されるようになりました。企業全体の持続的成長を支えるための組織変革や人材の戦略的配置、リーダーシップの強化が問われ、受験者には、組織全体のパフォーマンスを向上させるための包括的な視点からのアプローチが求められる傾向が強まりました。

今日のまとめ

Q
R5一年だけの変化で決めつけるのは早いけど、「Ⅲ」はこれまでの「1問ずつキーワードが入ればヨシ」でなく、受験者自身が多能工化し、部門の壁をまたいで全社のパフォーマンスを向上させる事例に。これは何か他にもに役立ちそう?
A

あら、「Ⅲ」を単なる生産事例と勘違いしていると、あっという間にベテふぞループの刑。そうでなく今の「Ⅲ」は、隙あらばマーケ(製品企画)・組織人事(生産性向上)の、総合事例に進化しています。

■■ここからテンプレ■■

-J事例Ⅲ, 構文★Syntax

PAGE TOP