前年事例と全く違う問題を出し、本番中は手も足も出ないのに、確かに根拠は与件に書いてある。R5「Ⅲ」は、これまでの「テクニック」「ノウハウ」に絶望を降らせた良事例として、名を残します。
作問を前年から一変させると、答とパターンを覚えたベテから落とし、先入観の少ないスト組が素直に答えて受かりやすい。「みんなができた!」とはしゃぐふぞ17が一生知らない絶望の裏事情をどうぞ。
生成AIの試験委員なりきりアドバイス~信じる信じない、採用するしないはあなた次第~
①情報整理(配点20→10点) | ②期待効果(配点40→0点) | ③助言(配点40→90点) |
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ここの配点を20点から10点に下げ、受験者が与件文をどれだけ正確に要約できるかという部分の重みを減少させました。 | 事前に学習している生産知識を用いて答える「期待効果」の問題を、例年の1~2問から完全にゼロにしました。 | 受験者が当日のアドリブ次第で答を導き出す「助言」問題を4問に増やし、答えが一律に決まらないような問題を増やしました。 |
狙い:この変更の狙いは、受験者の単なる情報整理能力ではなく、より高度な分析や応用能力を評価するためです。与件文の要約だけでなく、そこから得た情報をどのように実際のビジネス状況に適用できるかを重視しました。 | この変更の狙いは、受験者が試験当日に柔軟に対応できるかどうかを測るためです。事前に準備した知識だけでなく、与件文の情報を基にその場で考え、適切な答えを導き出す能力を試します。 | ①パターン決めつけをけん制 過去問を繰り返し解いて一定のパターンに決めつける誤った勉強を防ぐため、自由度の高い問題を増やし、固定されたパターンでは解答しきれないようにしました。 |
②受験者の知識傾向をリサーチ あえて答が割れる設問で受験者がどう解答するかを調べることで、受験者の思考パターンや実務対応を把握しやすくなり、翌年出題の参考にすることができます。 |
【R5事例ⅢAI解説】R5「Ⅲ」が与えた衝撃 / 前年までと全く違う解答要求
「助言」を増やすと答が割れて、作問者が恣意的に点差をつけやすい
そこでふぞろい17P.203~223から、6名分の手ごたえと開示得点を確認します。
Ⅲはどの年も同じようなキーワードを使う傾向だけれど、今年は生産統制・DRINK・業務標準化・SLPとか全然使わなかった・・。【59点】
事前に書くと決めてきたことを、ほぼ使わなかった。60点切りそうだな。【69点】
従来の論点とは異なる、人員不足や生産性向上などが出題されて、驚き。かなり難しかった・・・。【66点】
途中まで順調に進んでいたものの、(中略)プチパニックに!少しずつ手ごたえがなくなる。【66点】
内容の把握はできているし、少なくとも大コケはしていないはず。【62点】
近年の過去問では問われたことがないパターンの問題が出てきたが、(中略)過去問演習で覚えたパターンをうまく活用できたと思う。【59点】
ふぞろい合格の成功要因は「素直である」一択。図らずも「難しく感じると好得点、デキたと勘違いすると低得点」の都市伝説をリアル実証して草。
【作問採点を時々ガラリと変える仮説】
事例を良くわかっていると難しいと感じ、逆に詳しくない方が「デキた!」と勘違いする。すると勘違いした方の決めつけパターン・ノウハウがネットやSNSで喧伝されるため、そこを狙い撃って作問を変えると考えられます。
R5「Ⅲ」はトンデモ難しいが、確かに根拠は与件に書いてある。そこでいつものふぞろい100点⇔AI答案の比較&AI助言に進みます。
第1問 強みS 20字×2要素で10点
C社の生産面の強みを2つ40字以内で答えよ。
ふぞろい100点 | 200%答案 | 生成AI解答 |
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①社長や管理者は料理人の経験があり現場を熟知②加工室をゾーニングし交差汚染を防止。(41字) | ①経験豊富な経営者と管理者が料理人経験を持ち、②多品種少量の高級食品を供給できる。(41字) | ①社長や管理者が料理人経験を持ち、②ホテル厨房に似たレイアウトで生産効率が高い。(40字) |
生成AIの解答アドバイス
R5の「事例Ⅰ」「Ⅱ」以上に、「Ⅲ」は使いたい与件の根拠がマシマシ。そこで具体的にどの根拠に注目するかを助言します。
経験の強調 | 社長や管理者が料理人経験を持つことは、実務知識と現場の理解が深いことを示す。これにより、実際の業務に即した指導が可能である。 |
設備の効率性 | ホテル厨房に似た設備レイアウトは、生産効率を高めるため、食品製造の効率化と品質向上に寄与する。 |
衛生管理 | 食品衛生管理が徹底されている点は、顧客の信頼を得るために重要であり、企業の競争力を高める要因となる。 |
第2問 生産管理・期待効果→人員不足の解決策を
C社の製造部では、コロナ禍で受注量が減少した2020年以降の工場稼働の低下による出勤日数調整の影響で、高齢のパート従業員も退職し、最近の増加する受注量の対応に苦慮している。生産面でどのような対応策が必要なのか、100字以内で述べよ
ふぞろい100点 | 200%答案 | 生成AI解答 |
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対応策は①レシピ整理、作業標準化、マニュアル化、DB化で共有、OJTで多能工育成②手作業を専用調理器具で一部自動化③口頭指示を製造指示書で書面化④生産計画週次化により生産性を向上させ、受注量増加に対応する。(100字) | 対応策は、①専用調理器具を導入して手作業の調理を自動または効率化し、②直接指導監督している作業方法をマニュアルで標準化し、③製造班をまたぐパートの多能工化を進めて週ごとの需要変動に沿った勤務体制を取る。(100字) | 対応策は、①若年層パート従業員を新たに採用し育成し、②手作業の調理を効率化するために専用調理器具を導入し、③作業方法の標準化とマニュアル化を進めることで生産効率を向上させ、全体の生産体制を強化する。(99字) |
生成AIの解答アドバイス
人材の採用と育成 | (×制約違反?)若年層のパート従業員の採用と育成を行うことで、退職した高齢者の穴を埋め、長期的な安定した生産体制を確立できる。 |
自動化の導入 | 手作業の調理を効率化するために専用調理器具を導入することで、生産性を向上させ、増加する受注量に対応できる。 |
標準化の推進 | 作業方法の標準化とマニュアル化により、生産効率を向上させるとともに、全体の生産体制を強化することで一貫した品質管理が可能になる。 |
第3問 生産計画(調達)・期待効果→廃棄削減で収益UP
C社では、最近の材料価格高騰の影響が大きく、付加価値が高い製品を販売しているものの、収益性の低下が生じている。どのような対応策が必要なのか、120字以内で述べよ。
ふぞろい100点 | 200%答案 | 生成AI解答 |
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対応策は、①生産計画の週次化、②食材や調味料の必要量の標準化により在庫量や発注量を適正化し、入出庫記録をつけて全社で共有し生産統制を徹底する。以上で過剰在庫による保管費用や廃棄ロス、納品遅れによる機会損失を抑制することで収益性を向上させる。(120字) | C社は、①受託生産品では地元食材の使用量や作業手順は指示されるため原材料調達と管理に注目し、②経験値による発注を改め入出庫記録をつけて在庫量を管理し、③食材発注頻度を月間から週次に変更し発注ロットを小さくして廃棄を減らし収益性を高める。(120字) | C社は、①材料調達先の見直しと価格交渉を実施し、②原材料の効率的な利用を進め、③製品ラインの見直しを行いコスト削減を図るとともに、④付加価値の高い製品の差別化戦略を強化し収益性を改善することで、材料価格高騰に対応する。(109字) |
生成AIの解答アドバイス
調達先の見直し | (×制約違反?)材料調達先の見直しと価格交渉を実施することで、コスト削減と安定供給の確保が可能となる。 |
効率的な利用 | 原材料の効率的な利用を進めることで、廃棄ロスを減らし、全体のコストを削減することができる。 |
差別化戦略の強化 | 付加価値の高い製品の差別化戦略を強化することで、市場での競争優位性を確保し、収益性の改善を図る。 |
第4問 事業戦略・助言→製品企画の助言は試験の範囲超え
C社社長は受注量が低迷した数年前から、既存の販売先との関係を一層密接にするとともに、他のホテルや旅館への販路拡大を図るため、自社企画製品の製造販売を実現したいと思っていた。また、食品スーパーX社との新規事業でも総菜の商品企画が必要となっている。創業から受託品の製造に特化してきたC社は、どのように製品の企画開発を進めるべきなのか、120字以内で述べよ。
ふぞろい100点 | 200%答案 | 生成AI解答 |
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①既存販売先との関係性を強化し、②営業部門の専任化でX社や高級ホテルからニーズ収集を行い、③外部人材の開発経験や経営者の料理人経験を十分に活かし、製品開発力向上を図る。以上により、季節性や高級感のある製品を企画開発し、販路拡大を目指す。(118字) | C社は、①受託製品における食材・使用量・作業手順のノウハウを蓄積して標準化し、②口頭で指示されたメモ程度のレシピの活用と整理を進め、③客先の厨房と同様の設備を持つ加工室に販売先料理長を招き、④調理場作業のニーズに応じた自主企画製品を開発する。(120字) | C社は、①市場調査を実施して顧客ニーズを把握し、②専門家を招いて強化した商品開発チーム試作とフィードバックを繰り返し、③他のホテルや旅館への販路拡大を図れる独自性のある開発により、自社企画製品の製造販売を実現する。(107字) |
市場調査の実施 | 市場調査を実施して顧客ニーズを把握することで、実際の需要に応じた製品開発が可能になる。 |
商品開発チームの強化 | 専門家を招いた商品開発チームを強化し、試作とフィードバックを繰り返すことで、独自性のある製品を開発する。 |
販路拡大の図り方 | 他のホテルや旅館への販路拡大を図るために、自社企画製品の製造販売を実現し、市場でのプレゼンスを高める。 |
生成AIの解答アドバイス
第5問 新規事業・助言→妥当の2択はどちらもOK
食品スーパーX社と共同で行っている総菜製品の新規事業について、C社社長は現在の生産能力では対応が難しいと考えており、工場敷地内に工場を増築し、専用生産設備を導入し、新規採用者を中心とした生産体制の構築を目指そうとしている。このC社社長の構想について、その妥当性とその理由、またその際の留意点をどのように助言するか、140字以内で述べよ。
ふぞろい100点 | 200%答案 | 生成AI解答 |
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C社社長の構想は妥当。理由は①工場や専用設備導入にて量産可能な生産能力が強化され②X社からの受注増加に対応でき売上拡大を図れるため。留意点は①作業の標準化②新規採用者の活用とOJT教育③生産管理(計画・統制)の徹底④工場レイアウト最適化等により生産性向上と納期遵守体制を構築すること。(140字) | 構想は妥当である。理由は、①高級感ある和洋食の総菜はX社既存総菜との差別化が可能で、②X社総菜コーナーの売上や客単価向上に寄与するためであり、③新規事業の設備投資を回収すべく外部人材の製品開発実務や管理の経験を生かし、④客単価の低くなる店舗への拡大に留意して実現するよう助言する。(140字) | 構想は妥当である。理由は、新規事業の受注量に対応するためには生産能力の拡充が必要であり、工場増築と専用設備導入で対応可能だから。留意点としては、①設備導入の費用対効果の検討、②新規採用者の教育と既存従業員との調整、③生産効率を維持しつつ納期を守る体制の構築が挙げられる。(135字) |
生成AIの解答アドバイス
生産能力の拡充 | 新規事業の受注量に対応するためには生産能力の拡充が必要であり、工場増築と専用設備導入で対応可能である。 |
費用対効果の検討 | 設備導入の費用対効果を十分に検討することで、投資の正当性を確保し、経営資源の有効活用を図る。 |
教育と調整の重要性 | 新規採用者の教育と既存従業員との調整を行い、生産効率を維持しつつ納期を守る体制を構築することが成功の鍵である。 |
今日のまとめ
今回の生成AI解答の一般知識より、やはり与件の根拠を使って答えたい。今回は無料版ChatGPT 4o miniを使っており、より強力なAIエンジンがあれば動画のコメント欄でお知らせください。