【1次残り3ヵ月】5～7月の過ごし方 / ｢2次｣150h時短合格への三方面作戦

生産管理・店舗運営など幅広い領域ですが、頻出論点は決まっています。例えばIE（経営工学）の手法、在庫管理モデル（ABC分析、EOQなど）、品質管理手法（QC七つ道具）等です。

学習法: 過去問を論点別に解き、毎回出る定番論点を洗い出します。その上で暗記カードに用語定義や手法の特徴をまとめ、スキマ時間に繰り返し暗記します。製造業の工程管理などイメージしづらい部分は、市販の図解本でビジュアルに理解すると頭に入りやすくなります。

運営管理は二次試験の事例III（生産・技術管理）とも直結するため、用語の表面的暗記に留まらず「なぜその手法が有効か」まで理解できればベストですが、どうせ点差がつかないので深くこだわる必要はありません。時間が許せば「ボトルネック工程の負荷平準化」が事例IIIの生産改善策で問われうるので、過去問で見かけたら具体的な適用場面も想像して覚えます。

ミクロ経済とマクロ経済の理論問題が中心です。グラフ描写や計算問題もありますが、パターンは限定的です。

学習法: まずミクロの需要供給曲線や弾力性、マクロのGDP・物価・財政金融政策など基本理論をテキストで学び、章末問題で公式の使い方を確認します。その後、過去問演習で典型問題（無差別曲線のシフト、IS-LM曲線、ゲーム理論の基本問題など）を網羅します。解けなかった問題は解説を読み、どの理論を適用すれば解けたかを整理します。本格的に経済を学ぶときは理論の理解が大事ですが、試験では定型的な問題反復が有効です。過去問を解く中で「この設問は需要曲線シフトを問うパターンだな」などと気づけるようになります。

暗記すべき公式（例：価格弾力性＝需要量変化率/価格変化率 等）はカード化し、毎週末に公式テストを自分に課して暗唱できる状態にします。加えて時事的な政策課題（例えば直近期の金融政策の動向）は中小企業政策科目とも関連するので、ニュース記事等でフォローしつつ背景知識を広げておきます。

IT分野の広範な知識が問われますが、基本用語の定義理解と暗記がカギです。例えば、OSI基本参照モデルの各層、データベース正規化、アジャイル開発とウォーターフォールの違い、AI・IoTなど新技術動向も含まれます。学習法: 専門用語集のような教材でIT基礎知識を一通り学習します。その際、単なる丸暗記ではなく簡単な例とセットで覚えると効果的です（例：「DNS＝電話帳のようにドメイン名からIPアドレスを引く仕組み」など）。

過去問演習では年度を跨いで類似問題が繰り返し出題されていることに気づくはずです。頻出テーマ（ネットワーク、データベース、システム開発手法、セキュリティ等）ごとに過去問を束ねて解き、正答率8～9割を安定して取れるまで繰り返します。ITは日進月歩の分野ですが、一次試験レベルでは基礎的な概念が中心であり、過去問重視で十分対応可能です​。また、情報システムは内容が抽象的で眠くなりやすい科目でもあるため、スキマ時間（通勤中など）の暗記に組み込んで細切れ学習する工夫も有効です。

会社法・民法・知的財産法・民事訴訟法など幅広い法律知識を問われます。法律用語や制度の暗記が中心ですが、細かい判例や例外規定まで深追いしすぎると時間が足りなくなります。

学習法: まずは『ビジネス実務法務検定2級テキスト』など類似資格の教材​で基礎知識を習得し、商法・会社法の組織再編や株式、知財（特許・商標・意匠・著作権）の保護要件など重要テーマを把握します。

過去問演習では、条文知識の正誤問題が多いため、一問一答形式で知識をチェックします。例えば「取締役会非設置会社では監査役の設置は任意である（○か×か）」といった問題に即答できるよう、頻出論点は丸暗記します。暗記には間隔反復をフル活用し、間違えやすいポイントには付箋やマーカーで強調、定期的に見直します。

知的財産権は特に細かい年数や要件が問われるため、表や図に整理して覚えると混乱が減ります。経営法務は難易度が年によって変動しやすい科目ですが、過去問で出題実績のある論点から攻めることで効率的に得点源にできます​。例えば「営業秘密の要件」「商標権の存続期間」など繰り返し問われた知識は確実に暗記しておきます。

中小企業白書や中小企業支援策の知識が問われ、年度により内容が更新される特殊な科目です。

学習法: 最新の『中小企業白書』『中小企業施策ガイドブック』を読み、重要統計データや施策名をピックアップします。例えば中小企業の数・従業員数の割合、直近の新規施策（事業承継税制の改正ポイント、中小企業向け補助金制度の概要など）です。これらは一度に覚えきれないため、7月にかけて繰り返し読み込み暗記します。

過去問は直近年度のものを重点的に解きますが、重視はしません。というのも古い白書内容は陳腐化しており、3年以上前の過去問は参考程度に留めます（ただし政策の考え方自体は連続性がありますので、「なぜその施策が必要か」の背景理解には役立ちます）。暗記には図表を活用します。例えば中小企業基本法に基づく中小企業の定義（資本金や従業員数）などは一覧表でまとめて語呂合わせで覚えるなど工夫します。

短期攻略ポイント: 白書の膨大な記述すべてを網羅するのは非効率なので、試験直前期（7月）に出版される要点解説資料（中小企業診断協会や受験情報誌が発行する要点整理）を活用するのも有効です。実際、中小企業経営・政策は短時間の集中学習で得点しやすい科目とされています​。直前期に重点暗記する計画を組み込み、一次試験本番では確実に得点源にします。

組織論、人事管理、マーケティング論、経営戦略論、オペレーション論など、多岐にわたります。各分野で主要なフレームワークや理論（例：PEST分析・3C・SWOT・7S、マズローの欲求段階・Two-factor理論、マーケの4P・STP・プロダクトライフサイクル、ポーターの競争戦略 etc.）を “理解→使える” レベルに高めます。

まずテキストで各理論の定義・ポイントを押さえたら、必ず具体例に当てはめて考えます。例えば「SWOT分析」であれば、自分が知っている企業を一つ思い浮かべ、その企業のStrength・Weaknessは何か、Opportunity・Threatは何かを箇条書きしてみます。最初は的外れでも構いませんが、教科書に載っている事例等も参考にしながら理論のイメージを掴みます。

このように理論→現実への当てはめ練習をすると、記憶の定着と応用力が飛躍的に向上します。実際、教育心理学の研究でも深い処理（Deep Processing）による学習は単なる暗記より長期記憶に残りやすいことが示されています（理解・応用といった高次の認知活動を伴う学習は効果的）。企業経営理論に深く早めに取り組むほど、その効果が高いことが分かっています。

企業経営理論の過去問は一問一答的な知識問題だけでなく、事例のミニ版のような問題も時々出題されます。例えば短い企業事例文を読ませて「この企業の組織構造上の問題点はどれか」などを選ばせる問題です。

これらは二次試験の予行演習と位置づけ、単に答え合わせするのではなく「なぜその選択肢が正解となる組織課題なのか」を分析します。解説を読み、関連する理論（組織文化なのか、権限委譲なのか等）を確認し、自分ならどう改善策を提案するかまで考えてみると良い訓練になります。こうした過去問の深掘りによって、一次知識が実際の企業課題に結びつき、頭の中で知識が「使える形」でネットワーク化していきます。

｢経営｣の過去問を解き直す時は、時々二次試験を意識します。例えば組織論を学ぶ際、「これは事例I（人事・組織）の知識だな」と意識し、マーケティング戦略を学ぶ際は「事例II（マーケ）のネタになる」と意識します。実際、二次試験の事例I・IIでは一次試験企業経営理論で習う知識の応用が頻繁に求められます​。

合格者の多くが指摘するように、二次試験は一次知識の単なる暗記では解けませんが、一次知識がなければ解けないのも事実です。したがって、企業経営理論を単なる暗記科目と捉えず、「事例攻略の武器を揃えている」という意識で学習することが短期合格の鍵です​。この意識付けができると上位5%に近づき、この意識づけが不足すると｢2次｣対策でも過去問の答を覚えるふぞになります。

おすすめの方法はアウトプット型ノート作りです。各章の学習後、「自社の課題」と仮定した架空の問題に対するコンサル提案を書いてみます。例えば人事制度の章を学んだ後、「社員のモチベ低下に悩む企業Aに対し、どのようなモチベーション理論を踏まえて施策提案をするか」というお題を自分に出し、100字程度で回答を書くのです。

これは一見｢2次｣答案を書く100字訓練そのものですが、｢2次｣で覚えた答を書いてしまわないように、文章練習ではなくあくまで｢1次｣知識の暗記の一つとして行います。書いた内容を誰かに添削してもらう必要はありません。自分で教科書の該当理論を再確認し、理論の使い方が合っているか点検します。最初は上手く書けないかもしれませんが、この試行錯誤が理解を深めます。12週間後の二次試験対策開始時に、このノートが財産となっているでしょう。

財務諸表論（BS/PL/CFの構造理解、財務比率計算）、管理会計（CVP分析、直接原価計算、意思決定会計、予算管理）、企業財務（資金調達・投資評価、株主価値、DCF法）など幅広いですが、まずは頻出論点から固めます。例えば損益分岐点分析（CVP）は毎年のように問われ、二次でも前提知識になります。また企業価値計算やNPV・IRR、株価算定なども頻出です。簿記知識があれば有利ですが、ない場合は簡易な仕訳・精算表問題にも触れておきます。

とにかく手を動かす演習がものを言います。5月は基礎理論を学びつつ各テーマの基本問題を解き、6月・7月は徹底的に問題演習です。具体的には、市販の『財務会計計算問題集』や過去問を使い、計算50題を目標に解きます。

問題は1問ずつ時間を計って解きます。最初は時間無制限でも構いませんが、徐々にプレッシャーを与えるために本番想定時間（例えば標準的な問題1問あたり7～10分など）を意識します。

計算問題は解きっぱなし厳禁です。間違えたら解説を読み、どのステップで誤ったか分析します。「公式の適用を間違えた」「計算ミス」「問題文の条件読み落とし」など原因を特定し、再計算して正答にたどり着くプロセスまでやり切ります。

ミスノートに自分の間違いパターンを書き出し、次回から同じ誤りをしないよう意識します。例えば「税引前当期純利益を求めるのに税効果を引き忘れた」など具体的に書き留めます。

2次｢事例I｣Vでは、一次と同じ計算に加え計算結果の解釈や助言を書く設問が登場します​。したがって一次対策の段階から、計算結果を言語化する癖をつけます。例えば過去問でROIを計算したら、「ROIが◯%で業界平均を下回るので収益性改善が課題」など、一言所見を付ける練習をします。これは余裕があればで構いませんが、計算と経営分析を結びつける良いトレーニングです。

また、過去問演習では一部電卓の使いこなしも鍛えます。二次本番では電卓操作がスピードに直結するため、日頃から電卓を使って計算し、位取りやメモリ機能に慣れておきます。

財務・会計は最初は難しく感じても、慣れれば安定して高得点が狙える科目です。実際、合格者の多くは「最初は苦手だったがひたすら演習しているうちに楽しくなった」という声を上げます。毎日少しでも計算に触れることで、問題パターンが見えてきて解法スピードが上がります。

7月末までに過去問を解き尽くしたら、本番では見たことある問題ばかりという状態に持っていけます。さらに二次対策でも財務は他の科目よりも点が伸びやすい科目（計算問題は部分点も期待できる）なので、一次の努力が二次でも報われます。過去問分析によれば事例IVではCVPや資金繰り、投資採択など一次と共通するテーマが頻出です​。一次と二次の両方を睨んで演習を積み重ね、短期合格に必要な財務力を養成します。

資格スクール系過去問集: 大手資格スクールTAC出版の『中小企業診断士 最短合格のための 第1次試験過去問題集』は科目別に直近5年分を収録し、解説・配点、さらにはTAC受験生の正答率データ付きで信頼性抜群です​。7冊に分かれているので科目ごと持ち運べ、解説も丁寧と定評があります。正答率データは自分の弱点比較にも使え、「多くの受験生が落とした難問か、自分だけ落とした基本問題か」が判断できます。

もう一つの有力書は同友館の『過去問完全マスター』シリーズです。こちらは過去10年分もの膨大な問題を論点別・重要度順に編集しており、一問一答形式で効率的に演習できます​。法改正や制度変更にも対応済みなので安心です。

比較: TAC版は年度ごとに試験の雰囲気を掴みやすく、同難易度の受験生データが有用です。一方、完全マスターは論点別で苦手分野を集中的に潰すのに向きます。

選定: 迷った場合、TAC過去問集を主軸にしつつ、時間が許せば完全マスターで10年分の問題にも触れるのがベストです。時間がなければTACの5年分だけでも十分合格基準に届きます。なお二次試験向けには『最短合格のための第2次試験過去問題集』もTAC出版から出ています​。独学では過去問の質と信頼性が極めて大事なので、これら実績ある出版社のものを選べば間違いありません。

無料オンライン過去問: 予算を抑えたい場合、ネット上の過去問サービスも活用可能です。例えば中小企業診断協会の公式サイトでは一次試験の年度別正解と配点が公表されています（問題そのものは非公開ですが市販過去問集と対応）。また有志サイトで年度別問題と解答を掲載しているところもあります。ただし信頼度に注意が必要です。信頼できる例として、中小企業診断士試験の過去問アプリ「過去問試験徹底対策」があります​。iPhone限定ですが2012～2015年の全過去問901問を無料収録しており、科目別の正答率分析や苦手問題の抽出など機能が充実しています​。古い年度のみなのは残念ですが、スマホで手軽に解けるので初心者のウォーミングアップには最適でしょう。

近年の問題については、スタディングやアガルートなどオンライン講座の無料お試しで一部過去問演習機能が開放されている場合があります（プロモーション利用）。

選定: やはり最新年度まで含む市販過去問集が主となりますが、スマホアプリはスキマ時間用に併用すると良いでしょう。特に仕事の合間に1問だけ解く、通勤電車で10問解く、といった使い方で積み重ねると馬鹿になりません。ただSNS的な要素や課金誘導には踏み込まないよう注意し、あくまで補助ツールと位置づけます。

定番テキストシリーズ: スクール各社が出しているテキストは内容が充実しています。TACの『スピードテキスト』シリーズや、同友館のシリーズが有名です。これらは受験生の多くが使う定番で、情報も正確です。ただし分量が多く、短期独学には消化不良になりかねません。必要な章だけ拾い読みするなど取捨が必要です。今回、アガルート社の提案する独学おすすめ書籍32選リストから、ユニークな参考書をピックアップしてみます​。

経済学：『中小企業診断士のための経済学入門』 – 経済学の初学者向けに平易に書かれた本で、数式アレルギーがある人でも理解しやすい。
財務会計：『図解「財務3表のつながり」でわかる会計の基本』 – 財務諸表の構造を図解で理解でき、簿記未学習者が財務の全貌を掴むのに役立つ。
企業経営理論：『販売士教科書 販売士○級』 – マーケティング分野の基礎が販売士試験向けに解説されており、中小企業診断士のマーケ分野にも通じる（浅く広く掴むのに◎）。
運営管理：『<イラスト図解>工場のしくみ』 – 工場運営や生産管理を実例と図で理解できる。専門用語のイメージ形成に役立つ。
経営法務：『合格革命 ビジネス実務法務検定2級』 – 法務分野はビジ法2級テキストが内容的に近く、説明も平易。診断士独特の論点以外は代用可能。
経営情報システム：『ITパスポート最速合格術』 – 基本的なIT知識はITパスポートの教材で概ねカバーできる。図も多く初心者向け。
中小企業経営・政策：『図解要説 中小企業白書を読む』 – 白書の重要ポイントを図表に落とし込んだ解説書で、政策科目の攻略に直結。

これらはあくまで補助的な参考書ですが、短期学習では「専門的すぎるテキストを1から読む時間はないが、関連資格の入門書で代用しエッセンスを摂取する」という戦略が有効です​。独学のメリットは自分に合った教材を自由に組み合わせられる点です​。例えば法務が苦手ならビジ法2級本→診断士過去問というルートで力を付けるなど、横断的な教材活用も積極的に検討します。

二次試験向けの独学リソースも計画段階で確保しておきます。有名なのがふぞろいな合格答案シリーズです​。直近の本試験で実際に合格者・不合格者が書いた答案を多数収集・分析し、良い答案・悪い答案の差や採点傾向を探った非常に有益な教材です。独学者でも、他の受験生がどんな答案を書くのか、その中で高得点答案の特徴は何かを知ることができます。

ノウハウ本としては『2次試験合格者の頭の中にあった全ノウハウ』や『全知識&全ノウハウ 事例IV』など、事例ごとの攻略法・知識を凝縮した書籍があります。これらは短期間で二次対策エッセンスを掴むのに有用です。二次試験は独特の記述試験で、答案の書き方テクニックも問われます。その点『30日でマスターできる 中小企業診断士2次試験 解き方の黄金手順』​は、2次試験初心者が答案構成や解答プロセスを一から学べる良書です。忙しい中でも1日単位で進められる工夫がされており、当プランの「12週150h」で使う教材として相性が良いでしょう。

選定: 二次対策書は数多ありますが、独学ならふぞろいシリーズ（最新2～3年分）と黄金手順1冊を手元に置けばスタートには十分です。これらは一次試験終了後すぐに活用開始します。一次試験前から読み込む必要はありませんが、計画の段階で購入だけして机に積んでおくと「一次を突破して必ずこれらに取り組むぞ」というモチベーションにもなります。

過去問サイトや書籍のほか、中小企業診断士試験合格者のブログや勉強法に関する書籍も参考になります。ただし玉石混交の情報に惑わされないよう注意が必要です。例えば合格者ブログには個別の勉強法やモチベーション管理術が書かれていますが、人によって状況が異なるため鵜呑みにしないことです。SNS（Twitter等）の受験アカウントも盛んですが、情報過多で混乱したりフィルターバブルに陥る恐れがあるので、本計画ではあえてSNSに深く依存しない方針とします​。

独学リソースとして中小企業診断協会発行の会報や診断士関連雑誌を挙げる方もいます。理論政策更新研修テキストなどには経営トレンドやケーススタディが載っており、二次試験のネタとして勉強になります。時間が許すなら目を通しておく価値がありますが、まず必要ないと考える方が適切です。

暗記カードをデジタル管理し、忘却曲線に沿って出題してくれるツールです。自作のカードをどんどん取り込んでいけば、毎日アプリが復習すべきカードを提示してくれます。特に情報・法務の用語暗記に威力を発揮します。紙のカードより検索性や持ち運びに優れるので、スマホに入れておけば電車でもさっと暗記復習できます。

注意: 作り込みすぎて時間を浪費しないよう、カード作成は大事なものだけに絞ります（市販テキスト付属の論点カードがあればそれを利用）。

前述のように「過去問試験徹底対策」アプリや、資格学校の提供するオンライン問題演習を活用します。特にスタディングのようにAI出題機能があるものでは、苦手問題の繰り返し出題や最適学習順序の提案などサポートが受けられます​。独学でもITを賢く使えば、予備校講師の指導に近い効果を得ることも可能です​。ただし基本有料ですので、コストとのバランス次第です。本プランでは低コストにこだわるため、無料または書籍購入特典として使えるものを中心にします。

演習時はポモドーロ・テクニック（25分集中→5分休憩の繰り返し）などを使い、時間を区切って取り組むと集中力が維持できます。スマホの勉強用タイマーアプリ（Forest等）で環境を整え、誘惑を断ちます。模試や過去問フルセット演習ではスマホは機内モードにして邪魔させない工夫を。

独学では疑問点をそのままにしがちです。スタディングやアガルートでは受講生向けに質問対応サービスがありますが、試験特有の細かい疑問はネット検索で公式見解や条文を調べて自力で解決する姿勢も大事です（そのプロセス自体が記憶に残ります）。

さらに2025年に入ってからは生成AIが高い精度で答を返すので、｢1次｣4択マークの誤答を探してエラー検知力を高めた状態であれば、そちらで十分以上の答を得られます。

7月末～8月上旬に、｢2次｣事例を一年分だけ着手します。方法はシンプルで、過去の二次試験問題を1年分ピックアップして時間を測って解いてみるだけです。一次試験終了翌日でも構いませんし、疲れていれば1週間程度休息してからでも構いません。過去問は直近年度だと難易度が高すぎることもあるので、例えば3～5年前の二次試験を使います。

具体的手順: 例として「平成○年度 二次試験（事例I～IV）」の問題文と設問を入手します。事例I～IIIは各80分、事例IVは約80分（計算量多）なので、本番さながら2日間に分けてもいいですが、一日で連続解答してみるのも自身の総合力測定になります​。

解答作成: 時間を計り、本番同様に答案用紙形式で解答を書きます。事例I～IIIは設問ごとにだいたい100～150字の記述です​。与件文（ケース文）を読み、設問要求を分析し、自分なりの解答を作成します。事例IVは電卓を用い、計算問題と短文記述を行います。

自己採点: 解答が書けたら、模範解答やふぞろい答案解説を見て自己評価します。初見で満点を狙う必要は全くありません。ここで確認すべきは一次知識を活用できたかと回答プロセスが妥当だったかです。例えば事例Iで「組織の問題点」を問われた際、企業経営理論で学んだ組織論用語を使って指摘できたか？事例IIのマーケ施策提案で4P分析など念頭に置けたか？などです。事例IVでは計算は合っていたかよりも、途中式を書けたか、時間内に全設問に手を付けられたかを振り返ります。

課題抽出: 自己採点の結果から、二次対策で重点を置くべき課題をリスト化します。例えば「与件文を読むのに時間がかかりすぎた」「答案にキーワード（理論用語）が不足していた」「事例IVでケアレスミス多発」等です。これらはまさにこれからの150時間で改善すべきポイントになります。

まず最初の2週間程度で、各事例に対応する基本フレームワークや解答プロセスを学びます。この段階はインプット寄りですが、一次知識と二次思考法を橋渡しする重要フェーズです。

事例別攻略本の読み込み: 『ふぞろいな合格答案』最新号を読み、直近の出題傾向と合格答案の雰囲気を掴みます。また『解き方の黄金手順』を通読し、事例I～IVそれぞれの解法手順（与件の読み方、設問解釈の仕方、解答骨子の作り方）を理解します。アウトプット練習前に正しい型をインプットするイメージです。短期間で独学合格した先達も「まずは二次試験は型を知ることが大事」と口を揃えます。ここで得たフレームワークは以降の演習で何度も使い体に染み込ませます。

一次知識の再整理: 二次試験では一次ほど細かい知識は不要ですが、ベースとなる理論がすぐ出てこないと解答に苦労します​。そこで一次試験テキストを科目ごと再読します。ただし全部ではなく、事例対応部分に絞ります。例えば事例I用に「組織論・人事管理」部分、事例II用に「マーケ戦略・流通チャネル」部分、事例III用に「生産管理・IE・QC」、事例IV用に「財務分析指標・意思決定会計」部分といった具合です。一次知識の総復習を兼ねますが、事例でどう使うかを意識しながら読む点が違います。この再整理により、頭の中の知識を事例別の引き出しに分類し直すイメージです。例えば「3C分析・SWOTは事例IIの環境分析に使える」「動機づけ理論は事例Iの組織課題に使える」とタグ付けしておきます。

過去問分析: 時間が許せば過去の二次試験（少なくとも直近5年分）の設問テーマと与件企業の業種を一覧にします。これにより、どういうパターンの質問が多いか見えてきます。例えば事例Iなら「人事制度改革」「組織構造変更」が頻出、事例IIなら「新製品販売戦略」「販路開拓」が定番、事例IIIは「生産プロセス改善」「外注管理」、事例IVは「収益性分析」「投資是非判断」などです。過去問研究を深くやる時間は無いかもしれませんが、問題集の冒頭にある出題傾向まとめや、予備校講師の分析記事（ネット上にある場合）を読むだけでも価値があります。それらによれば一次試験と二次試験の関連性も指摘されており、「事例IIでは一次のマーケ知識を組み合わせて解く」「事例IVではまさに一次財務の理解が問われる」ことが確認できます​。こうした情報をインプットしておくことで、勘所を押さえた学習が可能になります。

次の約1か月間で、事例ごとの演習と改善サイクルを回します。ここではまだ全事例通しの模擬試験形式ではなく、事例単位でじっくり練習します。

事例I～III記述演習: 毎週それぞれ異なる事例に取り組みます（例：Week1=事例I×2問、Week2=事例II×2問、Week3=事例III×2問、Week4=また事例I…とローテーション）。「×2問」とは過去問2年分という意味です。1問（1年分）80分をフルで使って解き、解説・ふぞろい分析に80分使う計160分サイクルを週2回程度こなすイメージです。もし時間がなければ1問/週でも構いません。重要なのは毎週コンスタントに答案を書くことと、各事例をバランスよく回すことです。独学で陥りがちな「苦手事例は後回し」は厳禁です。均等に練習し、苦手事例にも初期から取り組むことで恐怖心をなくします。演習後の自己採点・分析では、前回決めた改善策の実践度をチェックします。例えば「前回は設問読解ミスをした→今回は設問文に下線を引くようにした結果ミス減少」のように、PDCAを回していきます。

事例IV計算演習: 事例IVについては一次対策期間から継続して計算演習を積んできたため、基礎力はできています。8月～9月は過去問ベースの総合演習に移行します。具体的には過去問の事例IVを年度ごとに時間を計って解いてみます（与件文から設問(1)～(n)まで60～80分で解く訓練）。部分的な論点演習は既に済ませていますから、ここでは総合力（複数の設問を取捨しつつ時間配分する力）と、回答レイアウトの練習が主眼です。計算過程を如何に書けばミスなく伝わるか、回答用紙にどう書けば時短になるかなど、自己流テクニックを磨きます。例えば、電卓メモリ機能の活用術、答案用紙の余白での計算順序工夫、など、実際に解きながら改善していきます。事例IVは再現性の高い科目なので、演習量に比例して安定度が増します。目安として9月中旬までに過去問10年分（可能ならそれ以上）の事例IVを解き終えます。手が回らなければ頻出分野（CVP、NPV、BS/PL分析等）中心にピックアップ演習でもOKです。

弱点論点の補強: 部分演習を進める中で、「特定の論点で何を書けばよいか分からない」という場面に出会います。例えば事例IIで「新規顧客獲得策」と問われて引き出しが出てこなかった場合、マーケティングの知識に穴がある可能性があります。そうしたらすぐ一次テキストや補助教材で該当知識を復習し、解答ネタ帳にメモします。解答ネタ帳とは、分野ごとによくある質問に対する汎用的な解答パターンや切り口を書き溜めたノートです。独学だと回答の引き出しに限界があるので、自作のひな型集を用意して不安を減らします。例えば「人事施策：動機づけ要因向上→○

弱点論点の補強（続き）: 例えば「人事施策：社員のモチベーション向上策」と聞かれたら、マズローの欲求5段階説やハーズバーグの動機づけ衛生理論を踏まえて「成長欲求を満たす研修制度導入」「衛生要因である職場環境の改善」といった回答例をネタ帳にまとめておきます。マーケティングなら「新製品プロモーション策→4PのPromotion戦略（SNS活用や展示会参加）」、生産管理なら「納期遅延への対応策→PERT図による工程管理とボトルネック解消」など、頻出のお題と解答要素のひな型をペアで書き出します。これを各事例分用意し、演習前や演習後に見返して頭に入れておくと、本番で白紙に悩むリスクを減らせます。ただしネタ帳はあくまで参考で、実際の与件に合わせて柔軟に応用する必要がある点は忘れずに。

最後の約1か月は、全事例を通しで解く実戦訓練と、答案内容のブラッシュアップを行います。

模擬試験演習: 9月下旬と10月中旬にそれぞれ模擬試験形式の演習を行います。市販の二次試験模試や過去問4事例セットを、本番と同じタイムスケジュールで解きます（事例I～IIIを午前・午後に分け2事例ずつ、事例IVを別日など、本番2日間を想定）。これにより、長時間の集中力配分や事例間の切り替えを練習します。採点は自己採点でも構いませんが、可能であれば予備校の公開模試を受験し、客観的なスコア評価・講評を得るのも有益です（独学でも模試だけ受ける人は多い）。模試結果では事例ごとの得点バランスや弱点を確認し、残り期間で補強すべき点（例えば「事例IIIの採点が伸び悩み→生産管理知識のさらなる補充」といったこと）を最終特定します。また模試答案の講師コメント等から、自分では気づかなかった癖（例えば「設問のキーワードに言及していない」「解答が一般論すぎる」等）を把握し、最後の修正に活かします。

答案ブラッシュアップ: 模擬演習や過去問練習で書いた答案を再度見直し、表現や論理のブラッシュアップを図ります。独学の場合、他者添削が得られにくいので、自分で模範解答との比較や要件チェックを行います。具体的には、解答に「質問に対する明確な答え」「根拠となる与件の裏付け」「理論用語の活用」が含まれているか自己チェックリストを用いて点検します。不足があればどう書けばよかったか追記します。この作業を繰り返すと、答案の型が安定してきます。例えば事例IIなら「最初に結論（何をすべき）→理由（なぜそれが必要か：与件裏付け）→効果」の型が染み付き、どんな設問でも慌てず書けるようになります。

タイムマネジメント最終調整: 直前期には各事例の理想時間配分を決めておきます。例えば「事例I：与件読み20分・設問解釈5分・解答メモ作成10分・記述45分」「事例IV：設問読解5分・計算60分・見直し5分」といった具合です。本番では予期せぬ難問に時間を奪われることもあるため、「◯分経過時には設問◯まで終える」といった目安を持っておき、模擬演習時にシミュレーションします。残り2週間時点で、このタイムプラン通り解答できるか確認し、もし毎回時間オーバーするようなら書き方をもっと箇条書き簡潔にする練習をする等の対策を取ります。時間管理も戦略のうちであり、ここまでの練習で身につけたスキルを時間内に出し切れるよう微調整します。

メンタルケアと体調管理: 最終期は知識詰め込みよりも、コンディション調整に重点を置きます。睡眠不足や焦りは思考力を低下させますので、直前は無理な夜更かし勉強は避け、日頃の成果を最大限発揮することを優先します。一次試験を突破した自信を持ちつつ、「ここまでやったのだから大丈夫」という自己肯定感を高めて本番に臨みます。レビューシートの初週と直前週を見比べ、「これだけ成長した」と感じられれば精神的余裕も生まれます。