計算練習はなぜ効果的?
どのテキストにもある企業価値(=FCF÷WACC)をH30「Ⅳ」で出すと、完答者が限りなくゼロになり、出題側はニヤリとしたり、がっかりしたり。
あの問題の狙いは、①試験対策が過去問回転に偏重し過ぎて、②近年「1次」未出題のFCF÷WACCを「全員が」ノーマークだったこと。
であれば、人並み合格点のためならやはり計算パターン別に過去問を回せばokとニヤリ。H30「Ⅳ」でガッツリ10点差がついたCVPななら、この計算パターン↓でイタダキです。
損益分岐点の「公式」 | 〃の「方程式」 |
![]() 画像:堀田経営コンサルティング事務所 | ![]() 画像:簿記検定ナビ |
直観的にすぐ解ける | どのパターンでも解ける |
変動費率が変化するとOUT (=販売単価が変わるケース) | 直観的にわかりにくい 検算が必須 |
CVP分析×方程式【Ⅳ第2問対策】
CVP分析
まず超基本の公式パターンを。
前期と今期の損益計算書は次のように要約される。下記の設問に答えよ。 |

(設問1) 今期の損益分岐点売上高として最も適切なものはどれか。 ×ア 12,000 千円 ×イ 16,400 千円 ×ウ 18,000 千円 ○エ 20,000 千円 |
当問は超基本パターン。①固定費9,000に注目し、②次に限界利益率を分数で出す(1-15,400/28,000)。後は公式を使って、電卓か手計算の約分テクで○エ20,000一択に。
この問題で方程式なら0.45S=9,000ですが、同じ計算で一手間多いので、当問なら公式利用が便利です。
①公式利用 ②方程式(売上高をS) ③方程式(売上個数をX)の3通りで解いてみる。
次の資料に基づいて、下記の設問に答えよ。 |

(設問2) 第2期の損益分岐点比率として最も適切なものはどれか。 ×ア 17.5 % ×イ 45.0 % ×ウ 55.0 % ○エ 82.5 % |
簿記原価計算のヘンな表がついていますが、(設問2)では無視して「第2期売上=100個」だけ使います。
①SBEP公式で解くと、(1)売上高=100個×@1,000=100,000円。(2)SBEP=33,000÷0.4=82,500円なので、○82.5%はすぐ出ます。②売上高S ③売上個数Xの方程式でも解けるので、①~③どれが得意か決めるのにピタリの良問です。
感度分析:CVPで目標利益が増えたり、販売単価を変えるとどうなる?
当社の当期の損益計算書は、以下のとおりであった。下記の設問に答えよ。 |

(設問 1 ) 当社では、次期の目標営業利益を 55,000 千円に設定した。他の条件を一定とすると、目標営業利益を達成するために必要な売上高として、最も適切なものはどれか。 |
×ア 255,000 千円 ○イ 265,000 千円 ×ウ 280,000 千円 ×エ 330,000 千円 |
目標利益や営業外費用は”固定費の調整項目”に。
これは簡単Aランク。そこで①公式 ②方程式のどちらが使いやすいかを検証します。 左側の公式は電卓を使わないと約分が大変。筆算なら右の方程式(S)が良さそう。
SBEP公式 | 方程式(売上S) |
①159×②240/144 | ②0.6S=①159 |
(共通)固定費104+目標営業利益55=159・・①
(貢献利益率)144÷240 (または@120/@200)・・②
(設問2)は公式も方程式も要らない掛け算と引き算です。さっさと当てる。
(設問 2 ) 次期の利益計画において、固定費を 2,000 千円削減するとともに、販売価格を190 円に引き下げる案が検討されている。また、この案が実施されると、販売数量は 1,400 千個に増加することが予想される。次期の予想営業利益として、最も適切なものはどれか。なお、他の条件は一定であるものとする。 |
○ア 52,000 千円 ×イ 57,600 千円 ×ウ 68,000 千円 ×エ 72,800 千円 |
設問文が難しくても、数字が簡単なので必ず当たるBランク。
以下に示す今年度の実績資料に基づいて、目標営業利益 600,000 円を達成するときの総資本営業利益率を計算した場合、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、総資本は売上高増加額の 10 %分の増加が見込まれる。 |
【資料】 売上高 5,000,000 円 営業費用の内訳 変動費 2,500,000 円 固定費 2,400,000 円 営業利益 100,000 円 総資本 2,400,000 円 |
×ア 10.0 % ×イ 12.0 % ○ウ 24.0 % ×エ 25.0 % |
売上増で「総資本額」が増えますが、だからどうなの?って感じですぐ当たるサービス問題です。
ところがこの「感度分析」の度が過ぎると、H30「Ⅳ」の様に変動費率を変え、ひどいケースは販売単価まで変える。出題側のやりたい放題で、とてもSBEP公式の一つ覚えでは解けなくなります。
参考:「事例Ⅳ」は国語のテスト
簿記をしっかり勉強した方へのサービス問題。計算メモを作る勝負なので、不得意な方は後回しに。

X 製品の需要が高まっているため、遊休機械設備を利用して月間 1,200 個増産することを検討中である。以下の資料に基づいて、増産によって得られる追加的な利益として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
【資料 】 ・遊休機械設備に関するデータ 月間減価償却費は 500,000 円であり、増産した場合には月間メンテナンス費用が追加的に 120,000 円かかる。 ・X 製品に関するデータ X 製品の販売価格は 2,000 円であり、単位当たり変動費は 1,500 円である。また、減価償却費以外の固定費が月間 250,000 円発生すると予測されるが、このうち 60 % は増産による追加的なコストである。 |
×ア ―170,000 円 ○イ 330,000 円 ×ウ 450,000 円 ×エ 480,000 円 |
CVP分析で使う「限界利益(直接原価計算)」の応用で解くのが業務的意思決定会計。つまり診断士を目指すお兄さん達に人気のイケカコの世界です。ヘンテコリンな【資料】を読んでわかりやすい計算メモを作る論点と思えば、外しません。
今日のまとめ
- 計算練習はなぜ効果的?
- 「財務」「Ⅳ」の計算パターンは大きく5つしかないから。
電卓が使える「Ⅳ」のCVPならまず①公式で、NGな時は②方程式に。筆算の1次財務では、③約分テクニックで計算を簡単に。
例えばCVP問題を「今日は公式」「明日は方程式」と、行き当たりばったりに解く人はいません。そして「Ⅳ」出題者が計算条件の国語を増やしたり省略したり、あの手この手で難しく見せても、自分の計算パターンに持ち込めば勝ち。
診断士の「財務」勉強が間違ってるのは。とにかく問題集の回転に夢中で、一方通行なヨコ解きしかしないトコ。計算パターン別の「タテ」を入れれば、「Ⅳ」計算問題なんて楽勝に。次回【第3問NPV対策】ではタイムテーブルを使います。
これまでのアナログをこれからのデジタルに
クリックする度に試験が進化します↓
にほんブログ村