ファイナンス=上から眺めて数字を使う
簿記=下から積み上げて数字を作る
簿記の学習経験があると診断士の受験・合格に有利。ところがまともなスクールの講師なら「診断士に簿記はマストじゃない」。そう200%口を揃えるのには理由があります。
- 監督官庁である中小企業庁が診断士に期待する役割は、「財務諸表を診る」こと。
- 作るのは企業の経理部門であって、そちらを視るのは会計士・税理士の役割。
だから診断士の科目名は「財務・会計」。ファイナンスが主役でアカウンティングは脇役です。
では診断士試験を1~2年でスピード合格するには? それは診断士のテキストや問題集に手を出す前に、ファイナンスと同様、コンパクトな新書を一冊読んでおく。すると少し迷っても、いつでも正しい基本に戻れる安心感が。この準備を済ませたら、テキスト知識のメモ化を始めます。
【初めての財務・会計#6~9】簿記系のその他知識をひとまとめ
スピテキ#6 BS・PL作成プロセス
1簿記の5要素
→診断士「財務」§8~11を学ぶ時は、一回で理解しようとしない。具体的には講師の説明でわからない点は、深追いせずメモだけ。その代わり、講師の説明を一通りちゃんと聞く。まず大事なのが「簿記の5要素」。この考え方を、今後墓場まで持っていく。
2取引の二面性
→簿記には、単式・複式の2つがあり、普通は複式簿記を指す。これは、何か商行為をすると、同時にカネが動くことに注目。講師の説明とWeb解説でとりあえずさらっと理解。これも墓場まで持ってく重要知識。
1仕訳とは ☆超重要
→5要素+取引の二面性=仕訳。簿記は仕訳に始まり仕訳に終わると言われるのは、まず仕訳を学び、迷ったときは常に仕訳に戻って考えるから。ここはルールに慣れる。ここできないと「簿記」「財務」は一生苦手。
簿記の5要素+取引の二面性=仕訳。まずこの理解までが最重要。
2仕訳の手順
→仕訳を作る練習。やると決めたら文句を言わずにやる。
1試算表(T/B)とは
2財務諸表の作成
→仕訳の結果は1年毎に集計するルール。問題解いて体得していくが、試算表=BSとPLを分離する前のチェック表、程度のイメージで一旦OK。
1減価償却☆超重要
2償却方法
→簿記の様々な論点の中で、減価償却=固定資産は一旦資産計上し、使い方に応じて費用化することが超重要。すぐ慣れるけれど最重要。BS上の王様論点。
1売上原価☆超重要
→減価償却がBSの王様とすれば、売上原価がPLの王様論点。直観的に理解しづらいので、先に各論点の問題を解いて体得。後から納得すればOK。
1決算整理とは ☆超重要
→仕訳が出来たら、集計の仕方を教わる。単に合計するのでなく、ある一定のルールで1年単位に見やすくお化粧する作業が決算整理。
❶財務諸表の概観
→簿記一巡のこと。講師の説明をネット知識で補強。今日のA論点は、試験で直接出ないが、考え方として不可欠なものが中心。
3仕訳のルール
4取引と仕訳の例示
→仕訳=簿記のルール。なぜそうなるのか?と考えず、まずそういうものと丸呑みしていく。ここは考えたら負け。
1転記とは
2転記の手順
3取引と仕訳、転記の例示
→仕訳を集計していく作業。「簿記」上で大事。診断士「財務」では非重要。「財務」で問われない所で手抜きしないのが、簿記履修者の強み。
1掛けによる売買
→「簿記」学習では、仕訳をどんどん書いてマスター。ここでつべこべ言わない。ただし、商品を掛仕入れし、掛売りするのはビジネスの基本。イメージしやすいこの仕訳を最初にマスター。残りの仕訳は主にB論点で説明。
3期中取得
4会計処理および記帳・表示方法
→減価償却は頻出S論点。ただ「期中取得」「記帳・表示方法」はSとまでは言えないのでA論点扱い。
1貸倒引当金の設定
→BS売掛金には、必ず「貸倒引当金」という家来がついてくる。具体的にはB論点で詳しく説明。
2商品有高帳
3払出単価の計算
4商品の期末評価
→「財務」で必ず出題され、必ず苦手になるのがこのトリオ。出題パターンが様々。組み合わせでどんな問題でも出題できるので、解き方を覚える学習法では太刀打ちできない。唯一絶対の苦手解消法=「簿記3級をやる」。
1(経過勘定の)意義
4未払費用(費用の見越)
5未収収益
→簿記の目的は「期間損益」を表示すること。従い、当期に含む収益・費用を足したり引いたりするのが経過勘定。(費用・収益)×(未収未払・前受前払)の4種類いずれも大事だが、未払費用・未収収益の2つの登場頻度が高い。
1繰延資産
→日本の会計慣習は、会社設立時にかかる5つの費用を繰延資産に計上し、後から分割して費用化することを認める。内容にあまり意味はなく計算問題も出ないが、「5つの知識」→ABランクベタ問で出題しやすいため頻出。
1精算表の概要
2精算表の作成例
→実務では必ず使う。実務家なら問題ないが、試験上はいろいろややこしい。ここも理解でなく、出題パターンの暗記、繰り返し体得で一旦OK。
3返品・値引
5現金割引
→簿記の世界では、売上高を決める時に返品や値引きが起きたり、買掛金を早く支払うと代金を割引きされることがある。これを俗に
売上3兄弟=値引・割引・割戻
と呼ぶ。用語イメージでひっかけしやすく、試験で頻出。
1貸倒れとは
2会計処理
3具体的処理
→A論点「貸倒引当金」の仲間。ヘタな取引先に掛売をすると、なかなか支払ってくれなったり、倒産・夜逃げされることがある。この一連の会計処理が「貸倒」。簿記上の重要論点なので、問題解いてパターンでマスター。
2前払費用(費用の繰延)
3前受収益(収益の繰延)
→経過勘定4兄弟の三男坊と末っ子。期間損益を出す役割は同じだが、登場頻度は低い。
2仕入諸掛
→売上原価の仲間。簿記では出るが、診断士「財務」ではほぼ出ない。
4前渡金・前受金
→商品仕入やサービス提供の前にカネをやり取りするのが、前渡金・前受金。仕訳を理解というより、実務でなぜそんなことが起きるかのストーリーで理解すれば心配不要。
1手形
2手形の割引
→簿記の論点。実務では使わないが、ルールとして知っておく。
スピテキ#7 CF計算書作成プロセス
❶CF計算書の具体例
→CF計算書は財務四表の1つであり、所定の書式がある。だが書式を暗記する必要はなく、出題範囲の95%が営業CFで、残り5%が固定資産(減価償却+期中売却の処理)。難しく考えず、スピテキ先生、スピ問先生の指導通り、コツコツ解答、暗記でOK。
1営業収入
→CF計算書では、営業CFが最重要。その中で営業収入の考え方が最重要。試験対策上、実務上ともに直接法の計算出題は出ない(出ても解かなくて良い)ので、ここは気をラクにして考え方を概観。
❸間接法によるCF計算書の作成
→経理の実務はこちら。当期PLとBSの期首期末増減から営業CFを作るのが経理の腕の見せ所。そんなことはどうでも良いので、試験と割り切り解答パターンをコツコツ覚える。
2原材料又は商品の仕入れによる支出
3人件費の支出とその他の営業支出
→営業収入と同じ考えを、仕入(原価)、人件費(販管費)にするとどうなるか。この論点を暗記するか、簿記知識を応用して通りすぎるかは、合格センスの差として意外に大事。
4その他の取引によるCF(小計以下の調整)
→「営業CF」は、投資CF・財務CFに含まない雑多ものを一手に引き受ける男気。でも出ない。
2投資活動によるCF
→試験上は、固定資産の期中取得・売却した時にBOX図で処理する解法パターンを体得。実務上は、投資有価証券・貸付金もここに含むが、試験に出ないので考えない。
3財務活動によるCF
→試験上は、長短資金を無制限に借りてしまうので、論点にならない。実務上は、株式・社債を発行する華やかな仕事だが、それはコーポレートファイナンスで扱うので、CF計算書としては出題しない。
スピテキ#8 原価計算
(1)原価の職能による分類
→企業で発生する費用(原価)は、①製造原価 ②販売費 ③一般管理費の3つに分類。この程度はビジネスパーソンの常識。
(2)製造原価の分類(形態別分類) ☆超重要
→さらに①製造原価は、材料費(M)・労務費(L)・経費(K)に分類される。これを知識でなく、仕訳を書いて無意識にスラスラこなすのが簿記2級の強み。
(1)製造直接費
→この辺りから、頭の理解でなく、手を書いて仕訳で覚える簿記学習の強み。直接費を覚えるのでなく、間接費以外が直接費。
(2)製造間接費
→製品に直接紐付かない共通経費。スピテキの例を表でイメージ。
直接費D | 間接費 | |
材料費M | ___車のタイヤ___ | 共同使用のネジやスパナ |
労務費L | 工員の賃金 | 工場長の給料 |
経費K | 外注加工費 | 減価償却費 |
さらに原価計算の計算手続き上、①直接材料費(DM) ②直接労務費(DL)を重視し、残り(青セル分)を③製造間接費(FOH)にひとまとめ。この考え方を体得するのが原価計算の入門第一歩。
(1)個別原価計算
→家具や船など受注生産品は、発生した原価をそのまま積み上げれば製造原価。最初の基本でここを体得。
(2)総合原価計算
→パンや菓子を大量生産する工場は、個別の受注を待たずに見込み生産。原価を足し上げ、出来上がった個数で割るのが総合原価計算。世の中は一般にこちら。
(2)標準原価計算
→発生後の原価を把握する実際原価計算に対し、「そんなの待ってられない」と見込みの原価を決め、後から実際原価との差異を把握するのが標準原価計算。世の中は一般にこちら。
(1)当期総製造費用の計算
(2)当期製品製造原価の計算
→製造原価報告書の作り方。勘定連絡図がこれを図示。暗記対象ではないので、やはり問題を解いて体得。「費用」と「原価」の違い=「仕掛品」と理解するのがこの論点のポイント。
(1)実際原価計算
→発生原価を積み上げ製造原価を求める方式。当り前なので出ない。
1原価計算期間
→原価計算は月単位で行う。毎週やると忙しすぎ、四半期に一度では間延び。試験に出ないマメ知識。
スピテキ#9 企業会計原則
1期間利益
2費用収益対応の原則
→試験に直接出ないが、経理部門はなぜ4月になると忙しそうにごそごそするかの理屈。企業の営業成績は1年で区切り、社外発表したり納税するルール。その時、その収益に見合う費用を計上し、収益-費用=利益とするのが会計の大原則。その作業が決算整理。昭和の時代は、咥え煙草でこれを徹夜で仕上げて一人前の経理マン。
1資金(キャッシュ)の範囲
→CF計算書において、「満期まで3か月以内の短期投資(定期預金やCP)」は現金同等物(Cash equivalent)として扱う。この知識は「1次」で1マーク出して良い。もっとも「経済」貨幣供給の予習論点と考えればOK。
1資本金
2株主資本等変動計算書
→ここは「純資産会計」の話。BSの右下「資本=純資産」の世界では、資金集め、利益稼ぎ、配当するため年1回のサイクルで何かが起きる。純資産のその年間変動を示すのが「株主資本等変動計算書」。当てる必要はなく、それが何者が知っていればOK。
資本金とは、株式発行で得る会社設立時の最初の元手で、その1/2の額は「資本準備金」として良い。これは今後事業が上手く行かない時、「資本金を取り崩したくなる」ことがある。それを見越し、予め1/2までは「資本金」でなく、取り崩し易い「資本準備金」にして良いルール。
4分配可能額
5剰余金の配当による準備金の計上
→次は配当の話。配当は利益(剰余金)を配るものであり、剰余金以上に配当しては駄目。なお自己株式の話はやり出すと面白いが、一旦スルー。
次に会社が配当をする時は、以下のルールがある。
・資本金の1/4に達するまで、
・配当額の1/10を準備金として積み立てさせる
簿記1級論点なのでわからなくても気にしない。また純資産の各項目が置かれる理由はちゃんと訳アリだが、名称が紛らわしく、かつ年1回しか動かない。診断士はこういう知識に口出さず、信頼できる経理担当者に任せる。
1工事進行基準と工事完成基準の意義
2成果の確実性
→これも利益大小の話。時事問題的にB→Aとするが、試験のための勉強でなく、試験を通じ、理解しにくい会計知識を押さえておく趣旨。
1現金主義
2発生主義
3実現主義
→費用収益認識基準3兄弟。実務上ざっくり言えば、現金主義=税務上原則NG、費用=発生主義、利益=実現主義。だが理論覚えても使い道がない。興味があれば簿記2級「特殊商品売買」の仕訳パターンで習得可能
1その他有価証券
2有価証券の強制評価減
→これも典型的な簿記論点=嫌がらせ用に出題しやすい。企業が持つ有価証券(株式や債券)は、その保有目的によりBS表示科目・期末評価基準(時価・簿価)・仕訳が変わる。仕訳をするための知識であり、仕訳力を問わない診断士試験で、この手の知識問題を追いかけ出したらNG。
1減損処理の意義
2減損処理の目的
→期末固定資産の減損処理の問題。これも「仕訳するための知識」だから、軽くスルー。
1リースの定義
1ファイナンス・リース取引(売買処理)
2オペレーティング・リース取引(賃貸借処理)
→身近なリースと言えば、コピー機や営業車。資金面や経費処理の手軽さで発展したのがオペレーティングリース(賃貸借処理)。だが隠れリース債務による倒産が問題化し、手抜きせずちゃんと記帳せよとのお達しがファイナンスリース。
1会計上と税務上の考え方
2税効果会計の目的
3会計手続き(法人税等調整額の認識)
→税効果会計の話。業績不振の企業は利益を大きく見せたがるが、真に儲かっている企業は節税のため利益を小さく見せたがる。そうはさせじと利益減少工作を許さず、課税額を増やすのが税務署の役目。両者のバトルは傍目に面白いが、実務上は煩雑、だから簿記の試験に出しやすい。診断士試験では解かなくて良い。
1資産除去債務の意義
2会計手続き
→比較的新しい会計基準。簡単に言えば、固定資産取得時に将来の現状回復費用を見越し、取得原価に含め、かつ毎年利息費用を計上する処理。仕訳問題としては面白いが、診断士実務に全く無関係。無視。
3剰余金の算定
→分配可能額の論点で、計算日を決めるルール。不要。
1第1法
2第2法
→連結CF計算書において、利息・配当金の受取額を営業CF⇔投資CFのどちらにするかの話。通常は営業CFに表示する。細かすぎるので無視。
1連結の対象
1投資と資本の相殺消去
2のれん
3非支配株主持分
→連結決算の話題。連結決算する様な企業は、「会計・財務」の専門家が社内にいるので診断士には不要な知識。実務でやりたい人は簿記1級。
1棚卸資産の意義
1評価基準
2評価損の表示
→時価評価会計においては、固定資産だけでなく流動資産(棚卸資産)も時価評価。これも仕訳の問題に過ぎないので軽くスルー。
今日のまとめ
簿記のその他知識はひとまとめ
診断士試験では、テキストが薄い「ファイナンス」が手厚く問われる。そしてテキストが分厚い「その他簿記論点(制度会計)」はめったに出ないが、その気になると沼より深い。その感覚をこの2日間で掴んだら、チャンス到来です。
ファイナンス重視
=上から眺めて数字を使う。簿記知識は不要で1~2年のスピード合格向き。
簿記重視
=下から積み上げて数字を作る。毎日コツコツ学習継続できる方むき。
この試験は自分に合った合格スタイルを自分で選べます。ところがスクール・サークルに不慣れなスタイルをおススメされると。
出題傾向変化に振り回され、合格が数年単位で先送り。
怖っ。
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