事実上「企業経営理論」の国語力、「財務・会計」定量意思決定の2科目あれば合格できる当試験。R7財務計算問題×エクセル再現性×1次データ(TAC正答率ランク)重視の流れを、2回に分けて実証します。
データの事実:R3~R7「財務」出題は計算問題11、文章題14マークで安定。「財務・会計」「簿記」に共通し計算問題を何度も解いて解き方を体で覚えるが、【計算練習頼みの量稽古】に走ると、60点確保が年々難しくなっている。
※年25マークの出題比率をまず計算⇔文章題に分ける。さらに計算・文章題それぞれの正答率A~Eを百分率にすると、意図的な「計算難化」が見えてくる。


R4以降の難化は一時的現象ではなく、2次事例IVにおける「簿記2級の実質義務化」への構造的なシフトであることを認識してください。
表面的な公式暗記だけでは太刀打ちできない出題が増加しており、基礎となる会計リテラシーを問う傾向は今後も不可逆的に加速します。
合否を分けるCランク問題において、公式に頼らず「仕訳」「T勘定」を描いて資金の動きを可視化する能力が不可欠です。
借方・貸方の整合性を常に確認しながら解く「複式簿記の思考プロセス」こそが、ケアレスミスを防ぎ60点を確保する唯一の正攻法です。
初学者はまず簿記3級で会計サイクルの全体像を掴み、用語と定義への違和感をなくすことが、その後の学習効率を劇的に高めます。
受験2年目以降の方は、事例IVの合否を握る標準原価計算等を攻略するため、簿記2級(特に工業簿記)の習得が避けて通れない必須要件です。
「診断士に簿記は不要」といったSNS上の無責任な定性意見や、安易なテクニック論などのノイズに決して惑わされてはいけません。
R7の出題実績という厳然たる「定量データ」に基づき、急がば回れで簿記学習に時間を投資する、合理的かつ戦略的な判断を行ってください。
【R7財務計算問題11マーク】定量で正しい意思決定へ~なぜこれだけ簿記優遇?
診断士用の市販過去問解説の解き方は見事に自己流バラバラで、アレを使うほどⅣ正答力は右肩下がり。そこで1次「財務」の内から、簿記×エクセルの「最も正しい解き方」一本に絞ります。
テキストレベルのABランク
| ABランクの傾向 | ABランクの対策 |
|---|---|
| 奇問は皆無で、WACCやNPV、有価証券評価など、ファイナンスと会計の「定義」「基礎ロジック」を問う良問構成です。合否を分ける命綱であり、2次試験にも直結する最重要の基礎領域と言えます。 | 公式の丸暗記ではなく、タイムラインや図を用いて「現金の動き」「取引の実態」を可視化する正統派の学習が不可欠です。会計処理の背景にある「企業の意思」を理解し、計算プロセスを盤石にしてください。 |
過去問で何度も問われるWACCは負債・株主資本コストの加重平均で求める。当問はその株主資本コストを「配当割引モデル」で求めさせる良問です。

| 以下のデータに基づき、毎期一定額の配当を行っている当社の加重平均資本コストを計算したとき、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、株主資本コストは配当割引モデルによって求めるものとする。 |
![]() |
| ×ア 5.6% ○イ 6.4% ×ウ 6.5% ×エ 7% |
2次「事例Ⅳ」で必ず問われるNPVの初級問題。ここを解けないと2次合格はないので、関連問題を何度も解いて覚えます。

| Y社は、ある投資案の採否について検討している。同社では、投資案の採否を正味現在価値法に基づいて判断している。なお、税金は存在しないものとする。 この投資案の初期投資は第1期首に行われ、初期投資額は2,200万円、第1期末のキャッシュフローは1,100万円、第2期末のキャッシュフローは2,200万円と予測されている。投資の経済命数は2年であり、資本コストは6%である。 この投資案の正味現在価値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、計算には以下の複利現価係数表を使用すること。 |
![]() |
| ×ア 737万円 ○イ 770万円 ×ウ 825万円 ×エ 902万円 |
会計界で話題のリースは多様な出題があるが、当問は、「NPV=0となるキャッシュフロー」=毎期の最低リース料と考え、逆算で解く。リースは当問の形でなく別論点としてまとめて解いておくこと。

| Xリース社は、第14期首に500万円の機械を購入し、同日、得意先に5年間リースを行う予定である。この機械の耐用年数は5年、残存価額はゼロであり、定額法により償却を行う。第14期から毎期均一のリース料を毎期末に受け取る契約である。毎期のリース料の最低額として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、Xリース社の要求収益率は年4%である。また、計算には以下の年金現価係数表を使用すること。 |
![]() |
| ×ア 106万円 ×イ 109万円 ○ウ 113万円 ×エ 116万円 |
有価証券の評価額(商業簿記)の問題ですが、ここを一度軽く流し、「事例Ⅳ」でしつこく問われる2級工業簿記原価計算を習って解きなおすと、暗記が減ります。

| 以下の投資有価証券に関する資料に基づき、当期の投資有価証券売却益として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
| 【資料】 ・当社はA社株式を長期保有目的で保有している。 ・当期において、過去に数度にわたって徐々に購入してきたA社株式1,000株のうち800株を、1株700円で売却した。 ・A社株式の過去の購入時の単価などは次のとおりである。 (a)7期前に、300株を1株500円で購入した。 (b)5期前に、500株を1株660円で購入した。 (c)3期前に、200株を1株650円で購入した。 ・前期までに、A社株式について減損は生じていない。 ・前期末のA社株式の株価は620円である。 ・当社は投資有価証券の取得単価の計算方法として、移動平均法を採用している。 |
| ×ア 64,000円 ○イ 72,000円 ×ウ 80,000円 ×エ 90,000円 |

正答率AB、特にその計算問題は必ず当たるサービス問題。このレベルは手書き・筆算・電卓で正解できます。
「事例Ⅳ」60点目安のCランク
| Cランクの傾向 | Cランクの対策 |
|---|---|
| 事例Ⅳで実質義務化された「簿記2級レベル」の土台となる、標準原価計算、決算整理(貸倒引当金)、消費税の仕訳を問う実戦的な良問です。単なる暗記ではなく、簿記2級相当の「仕訳力」と、原価や税金の「勘定の流れ」を正確に追う力が試されます。 | 「仕訳を書く」「ボックス図(T勘定)を描く」という基本動作の徹底が唯一の近道です。特に原価計算は数量と単価の箱を、税金や引当金は仕訳によるPLへのインパクトを可視化するために、エクセルで解く癖をつけてください。 |
R4~以降の「事例Ⅳ」は簿記2級が実質義務化されており、このCランクを確実に当てないとⅣの60点確保=2次合格が難しい。当問を解けない場合、受験1年目はそのまま進んで良いが、受験2年目以降は「簿記2級原価計算」を先に学ばないと、合格ゴールが年々遠ざかります。

| 以下の材料に関する資料に基づき、当月の原価差異として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、日付は省略している。 |
| 【資料】 ・材料の予定消費価格は@1,100円であり、実際消費額の計算は先入先出法を用いている。 ・材料の前月繰越高は200,000千円(200千個、@1,000円)である。 ・材料の当月購入高は960,000千円(800千個、@1,200円)である。 ・材料の当月消費数量は850千個であり、そのうち800千個は直接材料であり、残り50千個は間接材料である。 ・棚卸減耗は発生していない。 |
| ×ア 15,000千円 ○イ 45,000千円 ×ウ 55,000千円 ×エ 60,000千円 |
営業債権(売掛金など)に対する貸倒引当金は簿記3級、営業外債権(貸付金など)に対しては簿記2級で学ぶ。設問文を正しく読み取ることで正解○イになるので、答えを当てるほかに、周囲に説明できるレベルまで細かい論点も押さえたい。

| 以下の資料に基づき、貸倒引当金に関する当期の決算整理で計上される貸倒引当金繰入のうち、損益計算書における販売費及び一般管理費に含まれる金額として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 |
| ・決算整理前残高試算表の借方には、売掛金が10,000,000円、営業活動から生じた未収入金が4,000,000円、短期貸付金が5,000,000円計上されている。これらはいずれも当期に生じたものであり、期首にあった売掛金等は全額回収済みである。 ・決算整理前残高試算表の貸方には、貸倒引当金が50,000円計上されている。これはすべて前期末に売掛金について設定された貸倒引当金の残額である。 ・売掛金の期末残高に対しては2%の貸倒れを見積もり、未収入金と短期貸付金の期末残高に対しては20%の貸倒れを見積もっている。 ・貸倒引当金繰入の処理にあたっては、差額補充法を採用している。 |
| ×ア 200,000円 ○イ 950,000円 ×ウ 1,000,000円 ×エ 1,150,000円 |
簿記3級レベルの仕訳問題。簿記2級実質義務化前はどんな解き方でも良かったが、今は必ず仕訳を書いて納得。診断士向け参考書の自己流解説で覚えると2次になって始末に負えないので、ベテが嫌なら簿記2~3級を先に学ぶ。

| 以下の資料に基づき、法人税が課される所得金額と消費税および地方消費税(以下、消費税とする。)の納付税額として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 なお、税抜経理方式を採用しており、期首の在庫や中間納付税額はゼロとし、消費税の課税事業者であるが簡易課税を選択していない。 |
| 【資料】 ・1個1,100円(消費税100円を含む)の商品を1,000個仕入れ、現金で支払った。 ・仕入れた商品のうち800個を期中に1個1,650円(消費税150円を含む)で販売し、代金は現金で受け取った。 ・期末において200個の商品が在庫として残っている。 |
| ○ア 消費税の納付税額は20,000円である。 ×イ 消費税の納付税額は40,000円である。 ×ウ 所得金額は200,000円である。 ×エ 所得金額は440,000円である。 |
2次「事例Ⅳ」を安定60点にするには、1次「財務」正答率Cランクの全問正解が目安。さらに「計算当たればOK」でなく「周囲への説明力を高める」ために、このランクからはエクセルを使って解きます。
計算量の多いDEランクは見分けて復習
| DEランクの傾向 | DEランクの対策 |
|---|---|
| 事例IV(2次)の合否を左右するNPV(第18問)や総合原価計算(第12問)と、1次特有で費用対効果が低い税効果(第9問)・連結(第10問)が混在しています。前者の「本質的な理解度」が最終合格を決定づけます。 | 第18問は2次本丸として正攻法で習得し、第9・10問は後回しにします。第12問で躓くなら、安易な暗記やSNSの雑音を遮断し、「簿記2級基礎に戻る」という定量的に正しい意思決定を行うことが、合格への最短ルートです。 |
筆算では絶対に解けない「見せ筋」出題であり、さらについ真ん中を選ぶイウを×にして正解○エにした「絶対に当てさせない」NPV問題。1次=Eランクでも2次「Ⅳ」では必ず当てないとまず合格しないので、TAC「事例Ⅳの解き方」レベルを7月までにエクセルで1周終わらせておく。また市販問題集の自己流ヘタクソ解説を使うほど「Ⅳ」が解けなくなるので注意。

| 現在、Z社は新製品の投資案を検討している。初期投資額は150,000千円である。減価償却は、耐用年数5年、残存価額を取得原価の10%とする定額法で行い、耐用年数終了時に残存価額で売却できるものとする。 この投資案の実行により生産される製品は販売価格が40千円で、5年間にわたり毎年4,000個販売できると予測される。製品の製造に当たり、変動費が単位当たり15千円、現金流出を伴う業務費用が年間で40,000千円生じる。 この新規投資案の正味現在価値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、法人税等の実効税率は30%とする。また、資本コストは5%であり、正味現在価値の計算には以下の現価係数表を使用すること。 |
![]() |
| ×ア -38,508千円 ×イ 21,108千円 ×ウ 66,432千円 ○エ 78,132千円 |
総合原価計算における仕損(度外視法)は工簿2級の論点。「度外視法を採用しその負担関係は進捗度による」なる呪文も簿記2級で学ぶので、急がば簿記2級から。言葉は悪いですが、簿記を学ばず診断士問題集の自己流解説で突き進むのは【バカ・ベテ確定】です。

| 以下の資料に基づき、平均法による完成品原価として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 なお、計算の結果が割り切れない場合は、小数第1位を四捨五入すること。 |
![]() |
| ×ア 720,000円 ×イ 726,750円 ×ウ 757,894円 ○エ 765,000円 |
税効果会計は実務上大事な論点ですが、診断士受験者が「ショウライカサン・ゲンサン」「クリノベゼイキンシサン・フサイ」と呪文を唱えるより、法人税申告書を1回作れば覚えてしまう。これは理由を説明するための理論なので、法人税実務に携わる人以外はノータッチで。

| 税効果会計に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、法人税等の実効税率を30%として計算していることを前提とする。また、繰延税金資産の回収可能性は考慮しなくてよい。 |
| ×ア 期首に備品を購入し、減価償却方法を定額法とすると、取得原価10,000千円、残存価額1,000千円、会計上の耐用年数が5年、税務上の耐用年数が4年の場合、1年目の終わりには135千円の繰延税金負債が計上される(→○会計費用が税務費用を上回るため、繰延税金資産/負債は計上されない)。 ×イ 期首に備品を購入し、減価償却方法を定額法とすると、取得原価10,000千円、残存価額1,000千円、会計上の耐用年数が5年、税務上の耐用年数が6年の場合、1年目の終わりには90千円の繰延税金負債(→○繰延税金資産)が計上される。 ○ウ 前期に計上した賞与引当金3,000千円が全額損金不算入となり、繰延税金資産が900千円計上されていたとする。当期末に賞与引当金3,300千円を設定し、同額が損金不算入になった場合、繰延税金資産は90千円だけ増加することになる。 ×エ 当期に積立金方式による圧縮記帳を行ったことにより将来減算一時差異が10,000千円生じた場合、当期末には3,000千円の繰延税金資産(→○繰延税金負債)が計上される。 |
連結会計に関する嘘つき3択で、いずれもそれらしくボケています。当問を当てようとするより、なぜそうなるのか、簿記2級連結会計を通して学びます。※論点つまみ食い厳禁。
| 連結財務諸表に関する記述として、最も適切なものはどれか。 |
| ×ア 親会社の当期純利益が1,000百万円であり、子会社の当期純利益が500百万円であった。親会社が子会社の普通株式の70%を保有しているので(→○所有比率50%超であれば連結子会社になるので)、当期の連結損益計算書の当期純利益は1,350(→○1,500)百万円である。 ×イ 親会社は子会社に対して売掛金を500百万円保有しており、子会社が親会社に対して売掛金を100百万円保有している。他社に対する売掛金がないので、連結貸借対照表における売掛金は両者を相殺して400(→○全て相殺されて0)百万円である。 ×ウ 当期(4月1日~3月31日)の10月1日に他社を買収し、10月1日時点で生じたのれんが200百万円である。のれんを10年で償却する場合、当期の連結損益計算書におけるのれん償却は20(→○10)百万円である。 ○エ 当期(4月1日~3月31日)の12月1日に普通株式の70%を取得して他社を買収し、12月1日時点の非支配株主持分が500百万円であった。買収後の子会社の当期純利益が100百万円なので、当期末の連結貸借対照表における非支配株主持分は530百万円になる。 |
正答率DEになると、簿記未修者には宇宙語レベルの難問。第12問総合原価計算なら簿記2級エクセル、第18問NPVなら簿記1級エクセル相当です。
今日のまとめ
具体的には、「財務」「簿記」対策は計算練習主体で進めるが、1次計算問題はひたすら難化傾向にある。どの問題を当ててどれを後回しにするかは、時代遅れのスクール解説を避け、正答率の1次データを使って自分で判断します。





