診断士受験やその後の活躍を考えるとき、最大のボトルネックになる「財務・会計」。ではそこを先に埋めればこれからのビジネスや転職で無双じゃね? そう目ざとく気が付くあなたが大好きです。
いわゆる文系ホワイトカラーでジョブ型雇用の最先端を行くのが「経理・財務」で、あなたの勤め先が大企業であるほどその経理部には会計士出身の転職組だらけ。そこで「転職無双の会計士」⇔「まだ一歩及ばぬ診断士」を比べます。
会計士の転職無双 | 一歩及ばぬ診断士 | |
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デジタル化が進む現代では、経営判断にデータ分析が不可欠です。公認会計士は財務データの収集・整理・分析を得意とし、データドリブンの意思決定を支える重要な役割を担っています。 | ①デジタル化でデータドリブン | 中小企業診断士は経営全般の定性的なアドバイスが多く、デジタルで定量的な分析力に劣ることが多い。一方、公認会計士はデータ活用を前提とした専門スキルを持ち、デジタル化における即戦力となりやすいです。 |
財務諸表や企業データを精査し、そこから重要なインサイトを引き出すスキルを持っています。複雑なデータを的確に分析し、経営課題や改善策を提案する力が、デジタル時代の転職市場で大きな強みです。 | ②大量データからの洞察インサイト | 診断士は多面的な視点を活かして助言を行いますが、大量のデジタルデータを集め、そこから新たな洞察を得る専門性では公認会計士に及びません。この点で、診断士のアプローチは広範囲だが深度が浅いと見られることがあります。 |
公認会計士は厳しい試験や実務を通じて、客観的かつ中立的な判断力を身につけています。この信頼性が企業内での意思決定プロセスにおいて高く評価され、重要なポジションに転職しやすい要因となっています。 | ③高度な専門教育を通じて中立・客観 | 診断士試験は多様な経営知識を求めますが、財務や会計の分野に特化した公認会計士の厳格な専門教育と比べると、客観性や中立性がやや劣り、特定出版社の教材をヨイショして苦笑いされる姿を見かけます。 |
監査業務や会計業務では、高い責任感を持って最後まで業務を遂行することが求められます。この誠実性が、転職市場での評価を高め、企業からの信頼獲得に繋がっています。 | ④必ず最後までやり抜く誠実性 | 顧客企業が診断士に求めるのは分析や助言止まりであり、自らのハンズオンで最後まで実施する機会は少ないです。一方、公認会計士は監査業務などで実行責任を果たすための誠実性が求められ、その点で差がつきます。 |
会計基準や用語は国際的に統一されており、海外拠点やグローバル展開する企業で即戦力となります。この特徴により、国内外を問わず幅広いキャリアの選択肢が存在します。 | ⑤世界共通の会計はグローバルに強い | 診断士は国内の中小企業支援が主軸であり、国際的な会計基準や用語への精通度は低い傾向にあります。そのため、グローバル企業への対応力では公認会計士に劣る場合が多いです。 |
【2025年ループ問題④】会計に強い診断士は転職無双 / 事実上の簿記取得義務化を解説
「事例Ⅳ」CVPが3年連続で簿記1級意思決定出題に代わったことを、診断士2年目以降は「簿記2級取得の実質義務化」と捉えるのが吉。試験委員のこのサインを見逃すと、わかっていないふぞろいの裸踊りで周囲に嘲笑される末路を迎えます。
Step-1:BS・PLの理解に加えて精算表
実際2割ワンチャンの初年度たまたまに賭ける分には、簿記は要らない。ところが年々高度化する「事例Ⅳ」に対応するには、浅くて狭い診断士のⅣ対策では全く不足です。
これまではBS・PLの読み取りで事例Ⅳ第1問の経営分析が解けましたが、最近の出題は複雑化しており、単純に財務諸表を読むだけでは題意が理解しにくくなっています。精算表を学ぶことで、決算整理や仕訳調整などを理解し、財務諸表作成の本質を体系的に学べます。これにより、より深い経営分析力を養うことができ、事例問題の高度な要求にも対応可能になります。
事例Ⅳの出題傾向が難易度を増し、これまではBS・PLを読み取り程度の知識で解答できた計算問題や文章題の内容が複雑化しています。決算整理や仕訳調整などのより詳細な理解に踏み込むには、精算表の作成を学び、企業の財務諸表がどのように構成され調整されるかの学びが必要になりつつあるのです。
精算表作成を学ぶことで、BS・PLの単なる理解にとどまらず、決算整理の仕組みやその過程を理解できます。これにより、どのようにして財務諸表の数値が変動し、最終的な結果が形成されるのかを把握できます。この知識は、事業分析や経営改善に必要な視点を養うため、実務でも有用です。中小企業診断士として、経営者に具体的で実務的なアドバイスができるようになります。
Step-2:連結会計のカベを超す
簿記2級における連結会計とは、「法務」における「民法」に相当し、掘れば掘るほど深みにハマる一方で、実務ビジネスでほぼ使わない。そこでこの知識の「余力」が何のプラスに働くかを知ります。
中小企業診断士は、主に個別企業の経営分析や戦略的アドバイスに注力します。連結会計は、企業グループ全体の財務状況を把握するために必要なスキルであり、企業の規模や複雑さが増すほど重要です。そこで中小企業診断士試験では、連結会計の詳細に関して深い理解を求められることはなく、むしろ企業単体の財務諸表を基にした分析がメインとなります。
公認会計士は、連結会計の専門知識を活用して、企業グループ全体の財務諸表を正確に作成・監査します。特に、複雑な資本取引や利益調整、税務処理に関する深い理解が求められるため、連結会計は公認会計士にとって必須の知識となります。この知識は、企業の合併・買収(M&A)や組織再編など、複雑な経営判断にも関わってくるため、会計士の専門領域として非常に重要です。
中小企業診断士試験で学ぶ連結会計は、あくまで基礎的な内容であり、詳細な計算や調整は扱いません。しかし、これを学ぶことで、診断士は公認会計士に求められる連結会計のレベルを理解し、その難しさや実務での重要性を認識することができます。これにより、診断士は自己研鑽の意欲を高め、必要に応じて更なる学習を進める意識が芽生え、会計分野におけるスキルアップを目指すようになるのです。
Step-3:1級工簿に備えて原価計算
本来「事例Ⅳ」を難化させるには、簿記1級相当⇔ファイナンスの2論点があるのに、ここ3年は極端と言えるほど工簿1級意思決定の計算出題が続く。そこで簿記2級原価計算を学ぶ利点に頷きます。
診断士試験では、計算問題を解く能力だけでなく、その解法過程や背後にある知識を説明する力も重要です。例えば、原価計算や損益計算書の項目の意味を理解し、それをどのように経営改善に結びつけるかを説明できる能力が求められます。単に数値を出すのではなく、その意義を深く理解し、経営者に伝えることが診断士に必要なスキルです。
CVP(Cost-Volume-Profit)分析は、企業の損益分岐点や利益に与える影響を理解するために用いられますが、方程式を使って一方的に解くことは誤りです。診断士は、変動損益計算書の方式を用いて、売上、変動費、固定費、利益の関係を直感的に説明できる能力を持つことが求められます。この方法は、経営者が意思決定をする際に非常に有用で、複雑な数式に頼ることなく経営状況を把握できるため重要です。
診断士は、限界利益(販売価格から変動費を引いた利益)を基に、どの製品やサービスが利益に貢献しているかを分析し、意思決定を行います。また、貢献利益を使って、事業のセグメントごとの損益を説明できる能力が求められます。これにより、企業のどの部分が利益を生み出しているのか、またどの部分が改善が必要かを明確にし、経営戦略の立案に役立てることができます。
今日のまとめ
それは大企業経理は国際財務報告基準(IFRS)へのコンバージェンスに忙しく、事業部の管理会計や意思決定まで面倒を見れない。よって簿記2を学んだ診断士がその穴を埋めてくれることに、会計界や試験委員の期待は大いに高いのです。