
これが試験であることを忘れ、つい読みふけってしまう犠牲者が続出とされる好事例のR6「Ⅱ」。S.Yさんがどうやってその迷いを断ち切ったかに注目です。
1. 診断士に挑戦した理由・きっかけ、年齢(任意)
2022年に家庭事情により、ワーク時間が少なく時間に融通のきく中小企業に転職したタイミングで、それまでの仕事経験の総括とブラッシュアップのために、中小企業診断士の勉強を初めることにしました。20年近く働いてきた中で、法務や人事などを経験していたため、中小企業診断士の内容が親和性高く感じました。
2. 学習開始時の知識・保有資格、得意科目・不得意科目、「1次」科目別点数(合格年)
学習開始 | - |
学習開始時知識 | 人事系経験一通り |
学習開始時保有資格 | 簿記2級、ビジネス法務実務検定3級 |
得意科目 | 「経営」 |
不得意科目 | 「中小」:聞きなじみのない用語のオンパレードでした 「法務」:法務経験はあったのですが、人材系企業で労務系ばかりを扱う担当だったため、相続や知的財産などに苦戦しました 「財務」:10年ほど前に簿記2級を取ってますが、何度やっても財務会計とは仲良くなれませんでした |
1次科目別点数
経済 | 財務 | 経営 | 運営 | 法務 | 情報 | 中小 | 計 | |
2023 | ○ | ○ | ○ | |||||
2024 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
3. 学習スタイルとそのメリット・デメリット
1次 | 「診断士ゼミナール」→「スタディング」 |
2次 | 独学 |
○メリット | ×デメリット | |
---|---|---|
1次・2次 | 自分のペースで進められるので私にはあっていました。 | 特に感じなかったです。 |
4. 筆記合格までの受験回数、学習時間とその作り方
回数 | 「1次」→2回、「2次」→1回 |
学習時間 | - |
作り方 | 仕事がない日や忙しくない日などは平日の日中に3~4時間勉強し、プラスして夜に1時間ほど勉強するスタイルでした。 2次試験の勉強開始は1次合格の可能性を感じた8月からでしたが、2次試験の勉強の深さにおののき「これは大変な勉強だ!」と強く思い、1次試験の時よりも時間を捻出して勉強に取り組みました。 |
5. 筆記合格までの学習法(1次・2次)
「1次」
利用テキスト | 「診断士ゼミナール」 「スピード問題集」 「スタディング」 |
戦術 | ・勉強を開始したのは2022年の1月からです。2022年度も受験は申し込んでいたのですが、試験3日前にコロナにかかってしまって受けられず、初受験は2023年になります。 ・2022年度は復習したい問題に付箋を貼って、完璧になったら外すアナログなスタイルだったのですが、試験科目が多いのと、復習すべき内容が多いため、付箋が多くなりすぎて復習管理がうまくできませんでした。そのため、AIで復習問題を管理して正当率や理解度に応じて出題し、勉強データが集計されるスタディングに変更したところ、復習漏れがなくなって、効率的に進められるようになりました。 |
「2次」
利用テキスト | 「まとめシート」 「ふぞろい」 「スタディング」 「事例Ⅳ全知全ノウ」 「30日完成」 「2次速習テキスト」 |
戦術 | ・事例Ⅰ~Ⅲについては「まとめシート」と「ふぞろい」を中心に自分の解答と照らして観点やポイントを押さえるようにしました。スタディングのAI添削も使いましたが、しっくりこない箇所もあったので、観点の参考として用いました。過去問は令和を中心に4~5周しました。平成の過去問は、時勢や観点が今とは違っている感じがしたので、さらっと解いてみた程度であまり注力しませんでした。 ・事例Ⅳについては、苦手意識もあったため、毎日取り組むことにしていました。 ・夜は家庭事情で忙しかったのでオンライン交流はせず、情報収集はネット、YouTubeを活用しました。 |
6. 私の思う当落分岐点 ~試験合格への転機を感じた、あの瞬間~
1次試験:スタディングのAI実力スコアで各科目75点を超えるようになったとき。各科目65点台だった2023年度では当落ギリギリのラインだったのだと思います。
2次試験:実は合格の手ごたえは今もありません。合格発表を確認した後もしばらくは「手違いだった」という連絡がくるのではないかとドキドキしていました。2月の得点開示を確認して、しっかりと振り返りたいと思います。
7. 学習時・試験当日のエピソード
・試験当日、事例Ⅱの陶器商のエピソードを読みながら、ふと中高時代の同級生の現在に意識が飛びました。陶磁器が盛んな地域だったので、窯元や陶器商の子息、有名な陶芸作家の子息なども同級生にはいました。
・「そういえば、あいつら今どうしてるのかなあ。この3代目みたいにがんばってるのかなあ」と、試験とは関係ないところに意識が飛んでしまったので、あわてて頭を切り替えなおしました。でもその分、事例を身近に感じつつ、解答を考えることができたのではないかと思います。
8. これから合格を目指す方へのアドバイス
・いまさらながらの紹介で恐縮ですが、テレ東の「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿」は、経営者の考えや、実際の施策と効果など、イマドキの時勢を踏まえた事例をわかりやすく紐解いた内容が多いので、中小企業診断士を勉強する方にはおすすめします。私は試験勉強中の息抜きとして撮り溜めて見ていました。
・また、私は1次試験の1年目で2次試験科目とは関連のやや低い「中小」と「法務」に合格し、2年目は2次試験に関連のある「経営」「財務」「運営管理」に集中できたことも、結果的によかったと感じています。
・1次試験を数年でパスする計画であれば、初年度に2次試験と関連が低めの科目をとってしまい、2年目に2次試験も見据えて関連科目に集中するのもおすすめです。
・中小企業診断士試験は科目が多いので、7科目の勉強を回していると、最初に勉強した科目の内容を忘れてしまうこともままあります。年度毎に科目を絞って勉強するのもいいのかもしれません。